☆ 東殿塚古墳
大和国山邊郡
奈良県天理市中山町・萱生町
(車でアクセスできるが停め置きできそうなスペース無し、衾田陵 西殿塚古墳は車でアクセス不可)
手白香皇女 衾田陵(西殿塚古墳)の東隣の古墳。
全長139mの前方後円墳(周濠有り)、4世紀前半頃の築造と推定。西殿塚古墳より少し遅れて造られました。
陵墓治定されている西殿塚古墳とは異なり、墳丘の発掘調査がなされています。
掘削が激しく全容解明は困難を極めているようです。あくまでも可能性としては、下段は前方後方形、上段は前方後円形という特殊な形も考えられるとか。
これは同じ天理市内の杣之内古墳群内にある、西山古墳(未見学)と同じ形。
前方部が長く細いのが特徴的。
括れ部から祭祀跡の造り出しが発見され、そこから夥しい量の埴輪片などが出土しています。
主な出土遺物は以下の通り
*鰭付き円筒埴輪(最大で高さ107cm)
*鰭付き楕円筒埴輪(船の線刻絵画有り)
*朝顔形埴輪
なんと言っても船の線刻絵画でしょう!
計3艘の船が描かれています。調査報告書から抜粋を。
*1号船画
「操舵のための櫂や幡のなびく方向から右側が船の舳先と考えられる。船上両端には屋形、中央に幡、舳先に蓋がそれぞれ描かれている。(中略) 全形では舳艫の先の両端が角状に迫り上がりゴンドラ船のようになるのが特徴である。また舳先側には止まり木と鳥が小さく描かれ…(以下略)」
*2号船画
「舳先両端の堅板と船底刳舟の表現から明瞭に二体構造(準構造船)を示すものと考えられる。舳先の堅板上端には止まり木と鳥(鶏?)が大きく描かれ、船上には幡、蓋、太刀等の表現が見られる」
*3号船画
「船体表現は1号船画に類似するが、船上の付随物表現は大幅に異なり屋形、幡に加えて、舳先側の提灯や他に何らかの祭具を表現したものが見られる」
長々と引用したのは、この線刻絵画が当時の「葬送観念を反映する」という考えもあることから。
なお西殿塚古墳との間には陸橋状遺構(渡り堤)があるようです。