昨晩雨にうたれたソメイヨシノ。

散ってはいなかった桜。

いまがこの花の旬。

 

 

桜といえば西行法師とその歌。

ねがわくは花のしたにて

春死なんそのきさらぎの

望月の頃

 

願わくば満開の桜の下で春に死

にたい。釈迦が入滅しという、

花盛り(旧暦の2月16日)の

満月の頃に。

 

 

西行法師

桜をこよなく愛でた「百人一首」の

西行法師の歌(86番)

嘆けとて月やは物を思はする

かこち顔なる

我が涙かな

 

「嘆けとて 月やは」は、月が私に

嘆けといって。「物を思はする」

はもの想いをさせるのか、いや

そうでなく「かこち顔なる」は

他人(月)のせいにするという。

ということで、歌を詠む。

 

 

月が嘆けというように、わたしに

もの思いをしいるのだろうか、

悩める顔をあげて見れば、涙があ

ふれそうになる。

という意味になる歌。

 

前北斎卍(西行法師の歌)

 

 

北斎・百人一首(西行法師の歌)

 

北斎(前北斎卍)が西行法師の「

百人一首」(乳母の縁説)の歌を

もとに版下絵を描く。

嘆けとて月やは物を思はする

かこち顔なる

我がなみだかな

 

 

 

前北斎卍こと北斎の百人一首(乳母の縁説・前北斎卍

 

 

『北斎百人一首ーうばがゑとき』

後世のひとが北斎のものをあつめ

たピーター・モースの著(訳・高

階絵里加)『北斎百人一首うばが

ゑとき』(岩波書店)がある。

北斎(1760-1849)の「うばが

ゑとき」は76歳のときの作品。

このシリーズでは「前北斎卍」(

以前は北斎で、今は卍)と署名し

ている。

その題にはうば、乳母、姥などが

あり、宮廷生活やその文学とは無

縁で、西行法師の歌にみるように、

田舎の庶民や個人の体験をもとに

描いている。

それにしても北斎は和歌、その全

てにも能く通じていた。これが驚

きである。北斎は、西行の百人一

首の歌を自分と重ねて描いたのだ

ろうか。

 

 

 

『北斎百人一首ーうばがゑとき』の西行法師

 

 

西行法師

2012.12.5

明山上人と西行法師、竹房と高野山ー和歌山(17)

2013.5.16

西行法師と法金剛院、讃岐(崇徳帝流刑地)

ー「西行物語絵巻」と新京都物語(8)

2017.6.13

高野山の天野(かつらぎ町)ー西行法師と西行庵ー新和歌山物語(87)

 

「百人一首」(男と女の物語)

2024.3.18

光る君へ⑪「寛和の変(高御座)怪事」男と女の物語(621)

2024.3.25

光る君へ⑫「思いの果て」男と女の物語(630)

藤原道隆と高階貴子

2024.3.31

Enjoy藤原道隆の妻「儀同三司母(忘れじの)」男と女の物語(637)

2024.4.1

光る君へ⑬「進むべき道(三つ)」男と女の物語(631)

右近と藤原敦忠

2024.4.2

右近「忘らるる」(藤原敦忠「後朝の歌」男と女の物語(639

 

北斎百人一首

2024.4.3

北斎百人一首「絵とき(右近と藤原敦忠)」男と女の物語(640)

2024.4.3

北斎百人一首(元良親王「絵とき」)男と女の物語(641