戦後77年。東京の街の姿はかわった。

世界の中の日本。岸田内閣は国内では、

統一教会の問題・国葬で支持率低下。

日本は何処へ。

 

戦後、自民党結成に関わり以後も政界の黒

幕だった男がロッキード事件で姿を見せる。

この人物が戦前・戦中・戦後どういう活動

し、いまに続いているのかを、かれの自伝を

通してみてみる。

 

 

東京タワーより見る東京の街(手前プリンスホテル)

 

<近衛文麿「対華声明」>

近衛首相は「蒋介石の国民政府はこれを相手

とせず」の対華声明(1938.1.16)を発して

いらい、日支事変解決の見通しが立たなかっ

た。そこで近衛首相は、同年12月全面的和平

「日華国交調整」の声明を発する。(12.22)

同年同月29日突如国民政府の汪兆銘氏がハノ

イ(仏領)から蔣政府の「あくまで抗日、徹

底抗戦」の気構えにたいし、和平声明を発表

し、事変の糸口を見つける。

<児玉誉士夫「極秘交渉」>

児玉誉士夫は昭和14(1929)年4月初旬、

上海から帰国。その数日後に陸軍参謀本部

第八課から極秘での交渉がある。それは、

数名の部下をつれて香港に潜入し、ちかく

河内(ハノイ)から香港に入る予定の汪兆

銘(1883-1944)氏を、彼地で厳重護衛

して欲しいという内容のものだった。

<児玉誉士夫「上海(汪兆銘)」>

長崎から香港に着き、汪氏が上海へ直行。

捧皇隊もすぐ上海にひきあげる。汪兆銘氏

の護衛は身辺護衛は正式の憲兵その他で十

分であった。上海は不思議な町で、中国の

領土内でありながら、英、米、仏といった

各国の租界があって、これらは、いずれも

治外法権の区域であった。当時、ほかの地

域は大体日本軍の勢力下にあったので捧皇

隊は、現地で解散。じぶんは、南京総司令

部の嘱託をかね、汪兆銘政権の樹立の任務

にたずさわり、大陸にとどまる。

<児玉誉士夫(松岡外相「汪政権承認」)>

日本政府は、重慶(蒋介石政府)がわと和平

工作を画策していたために、新政権の承認を

目前にしながら、現地においてもまた、二兎

を追うものは一兎もえずで、好ましからぬ雲

行きであった。そこで、南京総軍の今井武夫

大佐から自分に、極秘で相談があった。大役

と思ったが、本国へとんで帰り、松岡外相に

面会し、約1時間意のあるところを談じる。

「よく考えておく」といい、数日後、日本政

府は汪政権の承認にふみきり、内外に発表す

る。汪兆銘は南京国民政府(1940.3.20-19

44.10.10)の初代主席になる。

<大東亜戦争前夜>

昭和16(1941)年5月、突然、参謀本部の

命令で日本へ戻された。南京総軍の今井武

夫大佐から「きみが東亜連盟のことで、石

原莞爾将軍と通牒し、連絡していたのが問

題となり、東条陸相がきみをこのさい辞め

させようとの考えらしい」と、語った。じ

ぶんは即座に「けっこうです、辞めましょ

う」と言い切った。

(石原莞爾と児玉誉士夫)

石原将軍は当時日本に戻っていられたが、

南京総軍の辻政信中佐や民間の田村真作

くん、のちには緒方竹虎さんなども加わり

重慶側との折衝工作に中国人の要人と提携

し、「東亜連盟」の運動を展開しつつあっ

た。そしてじぶんが石原将軍とのいろいろ

な連絡にあたっていたことも事実であった。

(東条英機と児玉誉士夫)

東条さんが関東軍参謀長のころ、石原さん

は同副長だが、その時分から二人は犬猿の

仲で対立し、じぶんは、東条さんにとって

「坊主憎けりゃ袈裟まで」の譬えのとおり

の好ましからぬ人物のひとりであった。

<児玉誉士夫「大政翼賛会」>

こういう事情で、じぶんは軍関係の仕事を

辞めて、永井柳太郎の口利きで興亜同盟と

いう国策団体にはいり、おもに中国方面を

担当する委員に選ばれる。大政翼賛会の傘

下にあった興亜同盟は、アジアにおける民

族の結合と、思想的復興をめざすもんであ

った。こうしたなか、焦眉の急に迫ってい

る対米問題にからみ、近衛内閣は退陣し、

かわって東条英機内閣が出現(1941.10.

17)。国内のあらゆる機構と組織を軍国

主義の一色でぬりつぶし、やがて世論を「

米英打倒!」の方向にかりたてたのである。

 

 

児玉誉士夫(31歳・左)と汪兆銘南京政府主席(昭和17・1942年3月17日)

 

<児玉誉士夫(1911-1984)>

昭和4(1928)  年   児玉誉士夫(天皇直訴・11月入獄)

昭和5(1930)  年  8月出所、11月急進愛国党入党(←建国会) 

昭和6(1931)  年  全日本愛国者共同闘争協議会(1931.3)

           錦旗革命(国会ビラ撒き・3月入獄)

昭和7(1932)  年  2月出所。五・一五事件、10月事件・入獄

昭和10(1935)年  (殺人予備罪4年6ヵ月判決・府中刑務所)

昭和11(1936)年  二・二六事件、4月出所、二月会に入党。

昭和14(1939)年  参謀本部秘密命令(捧皇隊:汪兆銘)

昭和15(1940)年  南京国民政府(-1944)

昭和16(1941)年  東条英機内閣出現(10.17) 

           児玉機関誕生

           第二次世界大戦開戦

昭和18(1943)年  軍需省新設11月・岸信介就任(次官)

昭和20(1945)年  終戦

 

           

東条英機(首相兼陸軍・軍需大臣)と岸信介次官(1943.11)

 

参考

昭和元(1926) 年

昭和2(1927)  年  田中義一(内閣、昭和4没)

昭和3(1928)  年      久原房之介(鮎川義介)

昭和4(1928)  年      児玉誉士夫(天皇直訴)

昭和6(1931)  年  満州事変、          

昭和7(1932)  年  満州国、「弐キ参スケ」東条英機・岸信介

           ・鮎川義介他)

           五・一五事件、十月事件

昭和11(1936)年  二・二六事件

昭和12(1937)年  近衛文麿内閣(1937-1939)首都・南京占領

昭和13(1938)年  国家総動員法

昭和15(1940)年  近衛文麿内閣(1940-1941)

昭和16(1941)年  東条英機内閣(1941-1944)

昭和16(1941)年  第二次世界大戦開戦

昭和20(1945)年  終戦

昭和21(1946)年  東京裁判

           吉田茂(日本自由党総裁・内閣)  

昭和23(1948)年  昭和電工事件(GHQ関与)

昭和23(1948)年  芦田内閣(1948.3-10)

           吉田内閣(第2-3次・1952)

昭和25(1950)年  朝鮮戦争(~1953)

昭和26(1951)年  日米安保条約

昭和29(1954)年  吉田内閣(1948-1954)

           自由民主党結成

           鳩山一郎内閣(1954.12-1956)

昭和31(1956)年  石橋湛山内閣(1956-1957)

昭和32(1957)年  岸信介内閣(1957-1960)

昭和35(1960)年  日米安保条約(改定)

           池田勇人内閣(1960-1964)

昭和39(1964)年  佐藤栄作内閣(1964-1972)

昭和47(1972)年  田中角栄内閣(1972-1974)

昭和49(1974)年  三木内閣、児玉誉士夫「自伝」

昭和51(1976)年  ロッキード事件、福田内閣

昭和53(1978)年  大平内閣

昭和55(1980)年  鈴木内閣

昭和57(1982)年  中曽根内閣

昭和62(1987)年  竹下内閣

平成 元(1990)年  宇野内閣

平成  2(1990)年  海部内閣 角栄政界引退

平成21(2008)年  鳩山由紀夫内閣

平成22(2010)年  菅直人内閣

平成23(2011)年  野田佳彦内閣

平成24(2012)年  安倍内閣

令和  2(2020)年  菅内閣

令和  3(2021)年  岸田内閣

令和  4(2022)年      安倍晋三(銃撃事件)

 

 

 国会議事堂(永田町)・霞が関・丸の内・皇居

 

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2022.8.22

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2022.8.22

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