日本ではまだまだ進まないワクチン接種ですが、怖がってばかりはいられません。もちろん、感染しない努力は必須ですが、万が一感染しても重症化しない努力も必要です。そこで重要なのが炎症を抑え、血管を守り、血栓を予防する食材です。
新型コロナウイルスに感染しても、多くの人は無症状か軽症で回復してきましたが、最近蔓延してきたイギリス型の変異種(N501Y)は、ウイルスが細胞に侵入する時に使う突起に結合力を強める変異があるため、より多くのウイルスが侵入、若い人たちでも重症化することが知られています。
新型コロナウイルス感染症の初期症状は熱、寒気、咳、息切れ、呼吸苦、筋肉痛、関節痛、嘔吐、下痢などです。感染者の約15%は重症肺炎となり、約5%は致死的な急性呼吸促迫症候群(ARDS)という自己免疫症を発症すると考えられています。
それ以外にも血栓による心肺機能障害、肝臓や腎臓などあらゆる臓器にも障害が出るケースがありますが、これらを引き起こす原因は炎症です。
炎症はウイルスなどの異物を取り除くために必要な免疫反応ですが、やり過ぎると自己免疫症といって、自分自身の臓器や血管を攻撃して炎症を広げてしまいます。
血管に炎症が起こると血圧が上昇、体全体に酸素や栄養が行き渡りにくくなって倦怠感が高まり、血管が硬くなって毛細血管が壊れる、血栓ができることから、無症状でもシワやシミができやすくなり、重症だと心臓病、脳梗塞の原因になります。
つまり、血管の炎症を抑えることは感染症予防だけではなく、老化防止にも効果的なのです。
炎症を抑え、血管を守り、血栓を予防する食材とは、ズバリ「減塩より減糖 人生を変える血圧の新常識」でご紹介した10個の食材なのですが、特に感染症対策としておすすめするのが脂の乗った魚と葉物野菜です。
どんな魚かというと、みなさんお馴染みのあじ、イワシ、さば、ブリ、太刀魚、ニシンや、お刺身の定番、サーモン、はまち、鯛などです。
これらの魚は、①抗炎症作用のある高分子のオメガ3脂肪酸、EPAとDHAが豊富、②免疫力維持に不可欠なビタミンDが豊富、③血栓を予防するビタミンB12が豊富です。
感染症予防という点では、できれば毎日、サバ缶なら1/2缶、焼き魚なら1切れを食べていただきたいです。我が家では、鯖やサーモンを毎回焼くのは面倒なので、一度に焼いて冷凍しています。お刺身も、ハマチやサーモンは冷凍で保存していて、もう一品欲しい時に利用しています。
葉物野菜とは、その名の通り葉っぱの野菜、キャベツ、小松菜、レタス、春菊、ちんげん菜、白菜、ほうれん草、水菜、ビーツの葉などです。
これらの野菜には、①血管を柔軟にする一酸化窒素ガス(NO)の元となる硝酸塩(NO3)が豊富、②血栓を予防する葉酸、ビタミンCが豊富、③抗酸化・抗炎症効果のあるポリフェノール類、カロテノイド類、フラボノイド類などが豊富です。
②と③の観点からは、色の濃い野菜や果物も当てはまりますが、①の血管を柔軟にするには葉っぱを食べる必要があります。臨床試験で有効な量は、硝酸塩として1回300mgまたは1日に500mgです。
具体的には、小松菜やちんげん菜なら100gで500mg摂取できるので、おひたしにして常備していると便利ですね。白菜やキャベツだと100gで100mgしか摂取できないのですが、ロールキャベツや鍋物だと200gくらい食べられるし、お漬物やコールスローとして常備しているといつでも食べられます。
野菜をたくさん食べるコツは作り置きです。買ってきてそのまま冷蔵庫に入れるのではなく、洗っておくだけでもすぐ使えますが、さっと茹でたり、塩麹につけたりしていると便利ですよ。
マスクや手洗いで予防しながら、良い食材をたくさん食べて元気にパンデミックを乗り切りましょう。