GWに千葉劇場へ行った時、
映画『花様年華』25周年
特別版が上映されることを知り、
先週末にまた千葉劇場へ
足を運んでしまいました。
都内だとBunkamuraなどで
上映されていますが、
千葉県民の私にとっては
やっぱり千葉劇場の方が
近いから行きやすい。
https://www.unpfilm.com/itmfl25anniv/
以下、ネタバレしますので、
前情報なしに『花様年華』を
鑑賞したい方は、
ここでそっ閉じお願いしますね。

映画『花様年華』が公開された
2001年は、
内容が不倫だと聞いていたので、
全く興味が湧きませんでした。
その後、テレビで放送された時、
VHS(!)で録画して
長らく寝かせていたのを、
ビデオテープを廃棄する前に
せっかくだから観ておこう…
と思って1人で観ました。
初見の印象は
不倫と聞いていたけれど
マギー・チャン演じるチャンは
「一線は越えない」
とキッパリ言い放っているので、
所謂「濡れ場」といった
体の関係は描かれず、
何というか
プラトニックな映画
だと思いました。
「不倫=濃厚なラブシーン」
と思って、
そういうのが嫌いな私は
避けていたのですが、
想像していたものとは違いました。
そして、ただただ
マギー・チャンの
チャイナ服姿が美しかった
長い首のラインが強調され、
チャイナ服の柄も
どれもこれも素敵で
ほっそりとした
贅肉のないボディラインが
強調されるチャイナ服姿は
それはもう芸術的で、
後ろ姿なんて
美術館に展示してありそうな
高級な花瓶みたいな
美しさがありました
なんというか、
高貴な猫みたいな
感じもしました。
ウォン・カーウァイ監督映画では
お馴染みの
クリストファー・ドイルの
カメラワークも
独特なアート味があって、
鏡を使った
役者の姿が別方向からも
見える計算された映像があったり、
映画『花様年華』は
「味わう映画」と言われるのが
とてもしっくりきます。
ただ、セリフは少なめで
静かに話が進んでいくので
もしかしたら
睡魔に襲われてしまうかも
あらすじは、
1962年の香港が舞台で、
地元新聞社の編集者のチャウ
(トニー・レオン)夫妻と
商社の秘書として働くチャン
(マギー・チャン)夫妻が
同じアパートへ同じ日に
引っ越してきて隣人となります。
アパートといっても
下宿みたいな感じで、
大家さん一家と
一緒にご飯を食べたり
みんなで麻雀に興じたり
それぞれの家族と距離が近い。
みんな上海人で
上海人同士の繋がりなどで
当時はそういうことが
歴史的にあったそうです。
やがてふたりは、互いの伴侶が
不倫関係であることに気付き、
チャウがチャンに近づいて、
それとなく話すのですが、
気付いているのは
私だけかと思ったわ…
とチャンは答えるのでした。
何かで撮影秘話を見たのですが、
それぞれの伴侶も実は
トニー・レオンと
マギー・チャンが
演じているのだそうです
後ろ姿や声だけなのですが、
すれ違ったり
麻雀で同席したりしているので
合成されたのかな〜⁇
お互いの伴侶の好物を
レストランで食べるシーンが
あったり、
わりと食にまつわるシーンが
多いのですが、
当初は
「THREE STORIES ABOUT FOOD
(食べ物にまつわる3つの物語) 」
という構想があって、
異なる3つの時代を描く
三部作としてまとめられる
予定だったそうな。
後で語る予定の
『花様年華2001』は
デザートとして位置付けられて
いたという。
『花様年華』は
簡単に言ってしまえば
サレ夫とサレ妻の物語な
訳ですが、
チャンがチャウを
出張中で留守の夫に見立てて
不倫を問い詰める練習をしては、
ダメ、こんなこと言えない…
なんてわちゃわちゃしたり、
チャウが執筆する小説の
アドバイスをしたり、
恋愛としては煮え切らない
なんだか不思議な関係です。
チャウは奥さんより、もはや
チャンに気持ちが傾いている
感じでしたが、
真面目なチャンは
「一線は越えない」宣言だし、
大家さんに注意されたら
反省してしまう貞操観念の持ち主。
そして、チャンの旦那さんは
ズルい男なんですよね〜。
チャンの誕生日に出張中だけど
ラジオに曲をリクエストして
プレゼントしたりする。
不倫は火遊びで、
チャンとは別れないつもり⁇
ってかい
そのうちチャウは友人に
誘われてシンガポールへ
仕事で行くことになり、
チャンも誘われますが
真面目っ娘のチャンが
ついて行くことはなく…。
しかし、離れ離れになる前だったか、
タクシーの中で
「今夜は帰りたくないの」と言って
遂に手を握り
チャウにもたれかかったチャン。
グレーゾーンというか
限りなく黒に近い
グレーゾーン発生です。
なんといっても
この映画にはいたす姿および
いたす直前すら描かれないので、
観客は想像するしかないのです。
その後時は流れ、
一度、シンガポールの
チャウの滞在ホテルに
チャンが訪ねますが、
生憎チャウは不在で
会うことはありませんでした。
さらに時が流れ、1966年に
チャンが男の子を連れて登場。
果たしてこの子は
誰との間の子供なのか⁇
グレーゾーン発生の日に
実はチャウと結ばれたのか、
それともあの直後に
愛する夫が帰宅してその時に
授かった子供なのか。
他の方の考察を読んでみたら、
みなさんほぼ父親がチャウで
確定していました。
そしていきなりの
カンボジア遺跡のシーン。
えっ?なんでカンボジア

後で調べたら、
どうやら別の構想で
映画を撮影していた時、
チャウが取材で
カンボジアを訪れ、
チャンは夫が勤める会社の
社長夫人と遺跡を観光中に
2人がすれ違うという
設定があったそうで、
実際はそのシーンが
カットされたものの、
チャウが遺跡の穴に
自分の秘密を囁いて
穴を埋めるシーンは残ったので、
訳わからん



というラストに
なってしまったみたいです。
別のストーリー展開で
撮影されたりもしたそうですが、
最終的には静かな
プラトニックな作品となり、
結局それが功をなして、
心の機微を表現した
トニー・レオンが
第53回カンヌ国際映画祭で
主演男優賞を受賞したのでしょう。
あれ?
カンボジアですれ違う構想が
ベースにあるとすると…
あの子供は
旦那さんとの子供の可能性も
捨てきれないような。。
男は過ぎ去った年月を思い起こす
埃で汚れたガラス越しに
見えるかのように
過去は見るだけで
触れることはできない
見える物はすべて、
幻のようにぼんやりと…
詩のような言葉が流れ、
『花様年華』が『2046』に
続いていくことになる…
のかな?
『2046』はキムタクが
出演した話題作で
映画館で観たはずだけど
ほとんど記憶にありません
ウォン・カーウァイ監督の作品は
色々繋がりがあるみたいなので
見直ししてみたいところです。
初見は意識しなかったけど、
チャウがチャンのことを想ったり
している時は、
ズンちゃっちゃ〜
ズンちゃっちゃ〜の
三拍子のリズムの
『Yumeji's Theme』で、
想いが頭の中を
ぐるぐる回る〜
という感じがする曲で、
2人が密会するような時は
『Quizas Quizas Quizas』
の曲でルンバなんですよね〜。
ルンバといえば【愛の踊り】
なんですよ。
元ラテン競技ダンサーだったので
懐かしいっ。。
スペイン語【Quizas】は
英訳すると【Perhaps】なので
【多分】と訳され、
男性が恋人の女性に色々
問いかけるけれど
女性は「多分」としか
答えてくれない、
といった内容だそう。
チャウはチャンとの関係を
進展させる気満々なのに
チャンにかわされちゃう
という所で
曲のイメージと合っているな〜
と思いました。
これからご覧になる方は
曲も合わせて味わってみて
くださいませ。
こちらは映画『花様年華』を
理解するのに役立った動画。
『Yumeji's Theme』
『Quizas Quizas Quizas』
今回の上映では、
『花様年華』のクレジットが
流れ終わった後に、
『花様年華2001』が
すぐに上映されました。
『花様年華』の本編が終わって
すぐに退出してはなりませんよ!
『花様年華2001』は
2001年カンヌ国際映画祭の
マスタークラスで
上映されたのみの伝説的短編
なのだそうです。
私はこの作品の存在を
知りませんでした。
『花様年華2001』では
トニー・レオンはコンビニ店主、
マギー・チャンは常連客。
トニー・レオンが
コンビニ店主というところに
なんとなく
『恋する惑星』のラストが
思い起こされます。
コンビニ店主は、
恋人に振られた女性客から
恋人の家の鍵を託されたり、
そうかと思えば
あの鍵を返して!と言われたり。
ある日、
店主は万引きした客を
追いかけるも
殴られて鼻血を出し、
そこに
今カノに殴られて鼻血を出した
マギー・チャン演じる
女性客がやって来ます。
お互い怪我をしてシンパシーを
感じちゃったの⁇って感じ。
失恋してケーキを
イートインコーナーで
やけ食いする女性客は
いつの間にか眠ってしまう。
口元にはケーキのクリームが
ちょっと残っている。
それを見つめる店主は…
キスで汚れをとってあげるん
ですね
えー!
それ、犯罪だぞー!
しかし、
眠っていたかと思われた彼女は
店主の頭を鷲掴みにして
ディープキスするのでした
彼女が受け入れたから
セーフだわね〜
【デザート】の方が短いのに
濃厚接触で
お味が濃かったですね
それにしてもこの感じって、
後にウォン・カーウァイ監督が
ノラ・ジョーンズと
ジュード・ロウで撮影した
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』
に似ているような。
ウォン・カーウァイ監督の作品は
難解な作品が多いけど
色々考えたり、
他の方の考察を読んだりして
理解を深めると面白い!
最後まで長々とお読みくださり
ありがとうございました