インフルエンザと抗インフルエンザ薬
きましたねー今年もインフルエンザの季節が子どもたちのクラスでもバタバタと感染者が出ているようで保育園に送迎に行くと先生方や保護者のみなさんがソワソワしているのを感じます「インフルだったから○曜日までは休み」とか「インフルじゃなかった!セーフ!」とか薬剤師の私としてはめちゃくちゃ軽いインフルもあればすんごい重いインフルじゃない風邪もあるし検査薬は陰性だけど本当は陽性ってこともまぁまぁあるしなんであれ この時期発熱したら 「解熱後3日はお家で養生」ってすればいいんじゃないかなぁ と 思ったりしますそれは周りに感染拡大させないためだけでなく発症した子の体のためにもねさて昨年発売になった【インフルエンザの新しい特効薬】がすんごい売れているようです「『これ一日で治るから!』ってドクターに言われた薬 なんだっけ?魔法の呪文みたいな?」と保育園のママさんが 話してくれましたその名は【ゾフルーザ】今までのタミフルやリレンザといった薬は「ノイラミニダーゼ阻害剤」という種類の抗インフルエンザ薬でしたこれウイルスの感染も増殖も防げないけど細胞内でパンッパンに増えたウイルスがバーンと細胞をこじ開けて細胞外に出て行かないようにするお薬結局免疫細胞さん達がお掃除してくれて収束しますインフルエンザウイルスはあっという間に増殖して全身に広がるからノイラミニダーゼ阻害剤を使うなら【感染初期】じゃないと薬の恩恵に預かれないのですタミフルやリレンザで「飲んだ次の日治った!」とか時々言うヒトいるけど薬の作用機序的に あり得ない・・・おそらく 飲んでも飲まなくても 次の日 熱下がってる程度のインフルだったんだと思います研究データもいくつか出ていましてこと「タミフル」に関しては 有名なところだと・治るまでにかかる時間を7日→6.3日に短縮する程度の効果・入院や合併症を減少させるわけではない・未成年者では有位な効果はみられない・小児への使用により耐性ウイルスが出現(←これ日本)・19歳以下の子どもに使うことでおこる副作用の9割が異常行動などの精神障害(亡くなる事例も少なくなく10代への処方は原則中止でしたが、昨年解除)・使用すると抗体産生能力が低下する人もいる・医薬品一覧からの削除も検討されているなどなどなど・・・効果と副作用を天秤にかけても子どもには 使う意味が全然見いだせない・・・コクラン共同計画からレポートが提出されて以来今や ほぼ日本のみで消費されている薬かも知れませんそんなインフルエンザ薬市場に救世主(?)出現!「ゾフルーザ」は今までのノイラミニダーゼ阻害剤とは違ってウイルスが増えるために必要な酵素を阻害する「ウイルス増殖抑制剤」販売前から「一日で治る!」と大々的に宣伝しまくってましたからドクター達もゾフルーザに期待大だったわけですねしかし臨床データがでてきたところで見えてきたのは・症状のある期間を約1日短縮させる効果はあるけど、タミフルと比べるとほぼ同じくらい・ウイルスを検出する期間をタミフルやプラセボよりも2~3日短縮させる。・成人の約1割(小児では2割以上)でウイルスに遺伝子変異が生じ、遺伝子変異が起こった場合はウイルスがかえって増殖。検出期間は延長し、症状のある期間も長引く。(←超逆効果!)Hayden FG, Sugaya N, Hirotsu N, et al. Baloxavir Marboxil for Uncomplicated Influenza in Adults and Adolescents. N Engl J Med 2018; 379: 913-23という結果(データの8割が日本人ですって)・・・当初のふれこみと だいぶ違うんじゃ?汗症状に関してはあまり効果なく誰かにうつす可能性のある期間は短くなるけどたまに逆効果になります・・・って患者的には「このキツい状態を早く脱したい」と思って薬をもらいにきてるだろうからあまり嬉しくない気がしますじゃあ インフルにかかったらどうするの?かかりたくなかったらどうするの?に関してはまた 改めて書こうと思います♢ お気に入りをおすそわけ ♢♢ 開催予定の講座やイベント ♢♢ 自分史上最高キレイを目指すなら ♢♢ お薬の不安・疑問・減薬など相談したいなら ♢