母の日の翌日。

起きて携帯を見たら相方からメールが来ていた。


「お前は何をしているの?」


母の日に2度目にスーパーに買い物に行った時に、届いていたらしい。


私を“おまえ”と呼ぶ時は怒ってる時だ。

昨日もそんなに私が不愉快だったのか。

そりゃ、夕飯中に母の日だからって優しくしないわけだよな。

もちろん謝ったりもしないわけだ。


起きて早々涙がにじんだ。


後から起きて来た相方は無言だった。

普段なら、眠いとか会社行きたくないとかうだうだしゃべってる人だけど。


出かけに小さく相方が「いってきます」と言ったような気がした。

でも子供が私に話しかけていて、なんかタイミングを失ってしまった。

不倫告白され後は「いってらっしゃい」を毎日言っている。

前の晩にもめても、言っとかないと、やっぱり後味悪い。

メールで「いってらっしゃい」と打っておいた。


相方からの返信が思いのほか優しかったので、

「いってらしゃい」と言えなかったことを謝っておいた。


するとまた思いがけない返信。

「こちらこそ泣かせてしまってごめんなさい」


最近にしてはめずらしく、相方の方から昨夜のプチいさかいについてふれてきた。


「君みたいに何事もなかったようにうまく振るまえなくて」


「ゆうちゃんは幼稚園へ行ったの?」


いさかいに相方自らふれてきたと思ったら、やっぱりスルーのようだ。


「ゆうなら行ったけど。昨日の事はまたスルーしておしまいなの?」


「ごめんなさいしょぼん昨日は何で泣いてたの? 母の日なのにやさしくなかったから? (エッチ)しなかったから?」


相方の方から聞いてきたので、思い切ってぶちまけてみた。


「それもあるけど去年プレゼントをくれて今年はないのはやましくないからなんだろうなと。

でも携帯忘れれば無言で回収し彼女の事を聞けば黙秘して、やましくないようには見えない。

飲みに行く時もまた曖昧な表現ですませてるし。

でも君は何事ないように楽しそうだから、私は何も聞けない。

君が楽しくなさそうだと一気にいろんな事が押し寄せてきて収拾がつかなくなる時がある。

すぐに私に不機嫌になるし」


続けて、またメール。


「君が(エッチの)間をあけた方が楽しいって言うのはしかたないって思う。その気持ちはわかるし。

でも間があいた方がいいんなら彼女との遠距離恋愛はベスト周期じゃん、毎回楽しめたんだとかまた思って、

そういうきっかけで涙が止まらなくなるんだけど。

何か言っても「また始まった」って不快そうに言われるだけだし。

彼女の事が解決してないのに、過ぎた事を蒸し返すムカつく女扱いはおかしいでしょと思うけど、

それは言えないから、うまくしゃべれなくて泣いちゃうんだけど。

私を許容できないならそこをつきつめてちゃんと考えた方がいいんじゃないの」


彼女と切れてないことも書いてみた。


「ぷにーニコニコニコニコニコニコしょぼんしょぼんしょぼん


・・・orz


がっくり。

ぷにーって・・・。

まともにとりあってない。

ダメだ、こりゃ。


「つーか、またスルーかい!? 泣き損、書き損だわっ!」


たぶん次の返信はアレ。


「愛してるニコニコニコニコニコニコ


当たり。そうくると思った。


「予想通りの返信(-_-)」


「愛してないよニコニコニコニコニコニコ


「なら別れたら」


「愛してる???ニコニコニコニコニコニコ


本当にダメだ、こりゃ。もう放置だ。



しばらくして、


「元気?」


「ただの泣き損、書き損で元気が出るかっ」


「ぶーぶーぶーぶーぶーぶーぶー


やっぱりダメだ。私が何か言っても“なかったこと”だ。



夜、相方は弟と実家で飲んでいる。


「大丈夫?」


「そんなに昨日と別人のように心配しなくても」


返信なし。


「根本的に私の事嫌いだよね」


「そんなことないよニコニコニコニコニコニコばか」


「だって昔からおめえは全然変わらないって、この間不快そうに怒ってた。

私からネガティブな所を取ったら何も残りません。

なのにそこが嫌いって言われちゃ全否定に近いの」


「そうだねニコニコニコニコニコニコ


「笑顔で同意かよっ」


返信なし。


「彼女と付き合って私を生殺し状態においてるんだから、

多少ムカつくくらい目をつぶるか、ちゃんとアフターフォローするかしてよね。

ムカつくのが多少じゃないっていうなら、ちゃんとそこえお突き詰めて人生考えた方がよいかと」


「愛してるよニコニコニコニコニコニコ


都合が悪くなると愛してるって言う。

そんな使用法で“愛してる”って言われて、納得すると思うのか?


「私の事を扱い易くなったと言うだけのことはあるわね!」


返信なし。


「もう余裕を感じます」


「そう???ニコニコニコニコニコニコ


「まともに相手されてると思えません。メールちゃんと読んでるのかさえ怪しい。一読したら削除されて葬り去られて、ハイさよなら」


「もうしょぼん愛してるのに」


「本当に愛してる妻がいたら普通愛人はいません。妻が普通じゃないとかいうツッコミはおいといて」


返信なし。


「そこで黙るか」


「ぷぷニコニコニコニコニコニコ


( ̄□ ̄;)!!


ぷぷ、ですって!?

あー、もう完全にダメだ。完敗だ。

彼女の件は全く口を割らないし、それ関係の謝罪もしない。

まるでその問題が存在しないかのような態度。


やれやれ。


「君の勝ちだよ。おめでとう。じゃあね!」


「なんで勝ち???」


バカっ!


相方本人的には解決してることなのかもしれないが、

彼女と切れてないし、それは彼女的には解決してないって事でしょう?


それでも君がその問題に目をつぶって今の生活を続けるっていうんなら、それでもいいさっ。


あたしゃ、負けだよ。


でも、生活に持ち込んでイライラしたり、

説明なしに外泊したりして、かき回すのやめてよね。


私にいちいちイラつくのもやめてよね。

私とやり直すって決めたんなら、もっとあきらめなさいよっ!



しかし、相方のメール、絵文字がウザい・・・。

何度もやめてくれって言ってんのに。

母の日の夜。

寝る前にパソコンをしていた。

相方はパワプロをしていた。

「もう寝ようか」

「うん」

「忙しいならまだやっててもいいけど」

「いや、いい」

私はパソコンの電源を落とした。

「もう1試合やるかな」

えっ、寝るんでしょ?

相方は新しく試合を始めた。

パワプロに回帰前は私が「もう少しパソコンしてから寝る」と言ったら、

「そういうこと言わないで(エッチを)しなくても同じ時間に寝ようよ」と言っていたのに、

回帰後は、私が寝ると言ってもしょちゅう相方1人でパワプロを続けている。

「同じ時間に寝ようって言ってたでしょ」と言ってみても、

「そうだね」というだけで次の試合に入ってしまう。

約30分後、パワプロを終えた相方がふとんに入って眠りについた。

私は結局プレゼントはおろか母の日らしいひと言さえ言ってもらえなかったのだ。

逆に“母の日だから”という言葉を利用して嫌味のごときセリフを言われただけだった。


去年プレゼントなんかくれなければよかったのに。

「去年プレゼントなんかくれるからいけない」と言う私になにか弁明してくれればいいのに。

ふれちゃいけないことなの?

ふれてほしくないことなの?

それはやっぱり彼女と関係あることだから?


涙が出て止まらなくなった。

もうふとんで泣いていても相方に無視されるだけだし、

ウザがられるのでトイレに行って、心を落ち着かせた。


でも、まだ、ふとんに入ると涙がでそうだったので、

パソコンしてさらに心を落ち着かせようとした。


30分くらいして、もう大丈夫かなと思い、またふとんに入った。

涙が流れてきた。

でも少しだけだったので、そのままふとんの中で軽く鼻をすすった。


その時、


「うるっせんだよっ!」


突然、もう寝てると思っていた相方が怒鳴った。


びっくりした。


わけがわからなかった。

声には出なかったけど「ひぃっ」って、固まった。


パソコンしてる時から泣き声なんて出してなかったし、

今だって軽く鼻をすすっただけだった。


私の出す音が気に障ったのはわかる。

わかるけど・・・。

相方が怖くなって、少しの間しゃべれなかった。

ようやく、しゃべった。

「なんでそういうこと言うの?」

「・・・」

「私そんなにうるさくしてないのに」

「・・・」

「たとえうるさかったとしても、ゆうが寝てる所でそんなに大きな声で言う必要ないでしょ。

なんでそんな大きな声出さなきゃいけないほど怒ってるの?」


「・・・」


「なんで?」

「寝ぼけただけ」

“寝ぼけただけ”なんて答え、予想してなかった。

はっきりさせないで、またうやむやにしておきたいのだろう。

それは私ともめたくないという心理なのかもしれないけど。

「寝ぼけたって、そうやってまた“なかったこと”にするの? 何もなかったみたいに」

「・・・」

「なんで?」

「・・・」

「何も言わないの?」


結局、相方は口を開かなかった。


私もあきらめて、寝た。

母の日の夕方。

まだ大きないさかいに発展してないけれど、きしみ始めた私と相方。


「母の日だから」という私に「じゃあオレが作るよ」とか言ってくれれば丸く収まるのに、

嫌そうにしか答えてくれない相方。


「オレが作ればいいの?」と嫌そうにいう相方に「うん、お願い!」とかかわいく言えば丸く収まるかもしれないのに、

それを言えない私。


1度ずれたもんは、なかなかかみ合わない。



スーパーへ行き、まだ値引きされてない刺身とその他を買って帰った。

相方は不機嫌そうに座ったままだった。


それでも、結局何もなかったかのように夕飯を食べ始めた。


途中、酒のつまみが足りなくなった相方が言った。


「母の日だから自分でやればいいの?」


お酒飲むなら乾杯ついでに母の日にふれたっていいのに、何も言わないで、

なんでそこで“母の日だから”って言うの?

つまみが足りないけど“母の日だから”私に頼まないで自分で用意すればいいの? って。


どうして“母の日だから”って言葉をそういう使い方するの?

つまみが足りないけど“母の日だから”私は用意してくれないよね、って。



「何それ、“母の日だから”って」


相方がしゃべる前に続けて言ってしまう。


「別に母の日にこだわってるわけじゃないけど、

去年君が母の日のプレゼントなんてくれるからいけないんじゃない」


それも君の財政状況からしたら、ちょっと高価なプレゼント。

去年くれた理由、今年くれない理由が知りたくなるじゃない。


相方はひと言「はい」と答えただけだった。


その短い答えは、まだ彼女と切れてないという感じがした。

「彼女と別れたって言えばブログで書くのやめるから」と私が言った時の、

相方の「はい」という答えと同じ感じ。

それに去年のプレゼントはやましさからだったと認めてるような気がした。

引っ越しの時に彼女と別れられず、

遠距離不倫を始めた罪悪感からだったのか、

そんなことを意識せずの行動だったのか、

もう少し突っ込んでみても「忘れた」で片付けられておしまいだろう。


そしてまた何事もなかったように夕飯は続いた。

母の日の午後、子供が近所の公園に行くというので、子供と相方2人出かけて行った。

ところがすぐに子供の気が変わり、他の場所へ行くというので、

今度は2人で車で出かけていった。

相方が子供と2人でいいと言うので、私は無理についていかなかった。


今日の夕飯どうしよう。


最近、子供の主張が激しすぎて、

週に、1回はファーストフード、1回はファミリーレストラン、1回は回転寿司に行かされる。

行かないとぐずってうるさい上に、ごはんを食べなかったりする。

挙句に、寝る頃になって「レストランいく」とか玄関先でひと騒動したりするので、

行っちゃった方が楽だったりする。


母の日だから外食でもOKさ、今日は。


でも、相方、外食したくないって。

刺身が食べたいって。

プロ野球中継が見たいからみたい。


今日、母の日なんだけどなぁ。

また、忘れてるんだろうなぁ。


2人が外出して遊んでる間に、

ドラッグストアとホームセンターへ行って、

1度家に戻り、それからスーパーへ行った。

刺身売り場で思案してると相方から電話がかかってきた。


「安くてよさそうなのないけど」


「いいや、後で(値引きが始まってから)買いに行くから」


え、後で買い物来るなら、今買い物しなくていいじゃん・・・。


背後で子供が「おすしやさん! いくら食べるの!」と騒いでいた。

う~ん、回転寿司へ行けと騒いでるなら、それでもいいよ。

だって、母の日だし。


買い物を中止して、帰宅すると、相方が言った。


「手ぶらで帰ってきて、いったい何しに行ったの?」


もう、語調に不機嫌さがにじんでる。


「後で刺身買いに行くんなら、後でいいんじゃないの?」


「せっかく行ったんなら買えばいいだろ」


「それに、おすしやさんへ行くって騒いでるし」


「おすしやさ~ん! いくらがたべたいの!!」


「今日は行かないよ」


「おすしやさ~ん!!」 


「明日お母さんと2人で行けばいいだろ」


「やだー、おすしやさ~ん!」


「今日は行かないって」


「いくら食べるのっ!!」


自分がプロ野球中継が見たいから1人で決めちゃって、

“明日2人で行けば”だもんな。

明日は弟と真夜中まで飲むから、夕飯は私と子供だけだから。


「何も買ってこないで夕飯どうするの?」


「君が刺身と鶏肉が食べたいんだから、それでいいんじゃない。君が作る?」


相方は私の味付けじゃ物足りない人で、

自分で作ると自分好みの味になって“すっごいおいしい”ので自分で作るの好きなのだ。


「別にいいよ、作るのは君で」


母の日なんだけどなぁ。

去年の母の日のプレゼントでできたわだかまりが私を捕らえてる。


「今日、母の日なんだけど」


「じゃあ、母の日だからオレが買い物行ってオレがつくればいいの?」



“じゃあ”という部分の不満げな様子に、また悲しくなってきた。

いやいやながら、仕方なく、そんな感じがアリアリ。

相方はよく、そういう言い方をする。


不倫告白直後、彼女はまた会いに来るのかと聞いた私に、

「来させなきゃいいんでしょ」と答えた。

“来させない”という相方の意思ではなく、

私になんか言われたから仕方なく言ってるような答え。


今回も“母の日だから”と私が言ったから、仕方なく言ってるような答え。


これ以上、何か言ってもしょうがないと思ったので、

私はまたスーパーへ行った。

5月14日、母の日。

起きてテレビをつけた相方が言った。


「今日って母の日だったんだ」



相方が母の日のプレゼントをくれるかどうか、答えは早々に出た。


相方は母の日そのものを忘れていた。


母の日のプレゼントがあるわけがない。



ほら、去年プレゼントくれたのは、やましいからだ。


母の日のプレゼントを相方からもらえないのはかまわない。

でも3月の誕生日にプレゼントをもらえなかったのが尾を引いている。


誕生日も母の日も、去年はやましいからくれただけなんだ。

今年はやましくないからくれないんだ。


でも、彼女と切れてないのに、彼女の事で黙秘するのに、

なんでやましくないの?


もし、やましくないのなら、なぜ黙秘するの?


黙秘しなきゃいけないような事、何があったの?



う~ん、もし相方がプレゼントをくれていたとしても、

“もしかして、やましいから?”と考えてしまったかもしれない。


でも誕生日&母の日、どっちもプレゼントなしって、けっこう傷つく。

かろうじてホワイトデーだけ、もらったけど、

買う直前に私に金を借りてったのが、素直に喜べない。

こんなこと言ったら、ぜいたくだろうか?



ともかく、母の日の私は早々に機嫌が悪くなってしまった。

でも、午前中のその時点では、相方に何かを訴えるつもりはなかったんだ。


だって夕飯をおごってくれるかもしれないし、

何かひと言添えて、乾杯でもしてくれるかもしれないし。


そう思いながらも、また、

去年プレゼントをくれた理由を考えてしまい、

彼女の事、去年までの相方の私に対する態度、

いろんなことが頭の中を回って、

なんか胸が痛くなってきた。

母の日の前から私は憂鬱だった。


今年、相方は母の日のプレゼントをくれるだろうか?


3月の誕生日プレゼントもくれなかったんだから、たぶんくれない。


くれないってことは、私に対して、やましさが減ってるんだと思う。

それは悪いことじゃない。


まぁ、それに私は相方の母親じゃないし。



でも、なぜ去年は母の日のプレゼントをくれたのか?


そればかり考えてしまう。


不倫してることで、やましかったからだと思ってしまう。


不倫告白後、相方は「ただ、あげたかったから」とやましさを否定していた。



やましくなくて、去年母の日のプレゼントをくれたのなら、


今年もプレゼントして。


今年もプレゼントをくれることで、去年やましさからプレゼントしたわけではないと証明して。


なんでもいいからプレゼントして。



去年の母の日のプレゼント。

相方が出かけに玄関先に紙袋を置いていった。

女物のファッションブランドの黒い紙袋。

でも何の説明もなかったので、私はそのまま放置した。


その日の夜だったか、

翌日の夜は相方が外泊していなかったのでその翌々日の夜だったか、覚えてないけど、

放置されたままの紙袋について相方に聞いた。


「これ何?」

「母の日だから」


“母の日だから”のひと言だけ。

ご苦労様とかありがとうとか何もない。

玄関先に置かれただけのプレゼント。

こっそり置いていってびっくりさせようなんて、サプライズが通じるような夫婦仲でもなかったし、

母の日のメッセージカードが入ってるわけでもなく、

私には得体の知れない紙袋だった。


“あぁ、そんなにやましいんだ。今までくれたことのない母の日のプレゼントを急にくれるなんて”


プレゼントをもらったことで、かえって涙が出そうだった。



4月の中旬に引っ越してから謎の外泊は2回で、

あの会社の人が遊びに来るという相方の説明を素直に聞いていた私。

「だったら温泉とか泊まればいいのに」とか「休んで一緒に観光したら」とか、

大真面目に言っていた私。


相方から見たらバカな女だよな。

不倫相手が来るっていうのに、妻ときたら、

“温泉に泊まったら、一緒に観光したら”なんて言っちゃって。

そんなバカ女だから、プレゼントでもやろうと思いついたのかもしれない。



ねえ、今年もバカ女にプレゼントして。



ちなみにその去年のプレゼントはシャツで、

「蛍光剤入りの洗剤で洗うな」と表現を変えて4回も書いてあって、

他のものと一緒に洗うと、他のものについてる蛍光剤が洗濯中に染着するから単独洗いしろとか、

もちろん手洗い表示。


小さい子供がいるってのに、そんな面倒な服着れるかっ、

洗濯表示くらい見て買えっ、

第一大きめのMサイズで私には大きいんだよっ、

とムカムカ怒ってしまい込み、

1年たってもしまったまま。

たまに見て、怒りと悲しみでいっぱいになっていた。


最近はしまったまま、存在を忘れていた・・・。

4月下旬、花見でにぎわう公園で、

子供と2人でレジャーシートの上で焼きそばを食べていた時のこと。


「なにやってんだよ、おめえはよっ」


相方が私によく吐き捨てるのと、同じセリフが聞こえてきた。


でも、聞こえてきたそれはなんだか優しさにあふれていた。


見ると大学生くらいのカップルがレジャーシートを広げようとしていた。

女の子が何かやらかして、男の子がツッコミを入れたみたいだった。

笑顔でレジャーシートに座ったカップルを眺めていて、気付いた。


あれ?


“おめえ”って、そういえば方言?


相方が私に特に怒った時に私を“おめえ”って呼ぶの、方言が出てるだけ?


私は標準語系なので、私と話す時は相方も標準語。

でも怒って、感情が乱れると方言が出るってこと?


別の機会に相方にさりげなく聞いてみたら、

「親にそう言われて育ってきたから」との答え。

怒って方言スイッチが入るというよりは、

身をもって体験してきたセリフをそのまま吐いてるみたいだ。



んー、でも言葉ってやっかい。


標準語系で育った私は、

どこの方言であれ、怒って方言で怒鳴られたら、

怒鳴ってる方にその気がなくても、たぶん怖さ倍増。


“おめえ”もここの人間にとっては普通でも、

私にとっては“あんた”と呼ばれるよりも相手が不快感を示してると思って、

すごくショックを受けた言葉だったんだけど。


言葉って、感性の問題じゃない?

慣れで多少は克服できるけど、溝は決して埋まらない。


以前、ここの県の出身の女優が料理系トーク番組で食事した時に「うまい」と言ったらしく、

新聞だったか「女性なのにはしたない。おいしいと言えばいいではないか」とかなんとか投書が載って、

ここの県じゃ「うまい」とか「うめえ」って言うんだから、

投書した人も掲載を決めた人も標準語の人なんだろうなと笑ったけど、

私は他人を笑える立場になかったのね。


「早く食え」とか言われると、正直、ムッとする。

でも“食う、食え”って、ここじゃスタンダード。

アイスクリーム屋で女子高生が「食えねえ」って笑ってて、正直、イヤな感じだと思った。

でも彼女達、方言で話してるだけ。

東京の女子高生が言うのとは違う。


それに相方を標準語で責める私の言葉を、

相方は冷たさ倍増、憎さ二乗とかに無意識に感じて受け取ってる可能性もあるわけだし。

言葉が違うとマイナス面が増幅されてるのかも。


まー、どっちにしろ相方が大いに不快感をこめて、

「おめえ」と私を呼んでるのには変わりないのであるが。

朝、仕事に実家へ出かけて行った相方が、20分後くらいに戻ってきた。


2週間に1回くらいは財布を忘れて行くので、また財布を忘れて戻ってきたんだと思った。

子供と出かける時に子供の着替え一式の入ったリュックを相方が持って、

自分の財布もリュックに入れてそのまま取り出すのを忘れてるというパターンなのだ。


無言で部屋に入ってきた相方はふとんのところでしゃがみ、隠すように何かを拾い、

そしてまた出かけて行った。



携帯電話を忘れたようだ。

携帯を目覚ましにしてるので枕元にいつも置いてる。



相方が携帯を忘れるって、何年ぶり?

最後に忘れたのは2台前の機種の時だもん。

あの機種の時はまだ私はさわらせてもらえたし、

家に帰ると財布やなんかと一緒にポケットから出してまとめて棚に置いてあって、

風呂に入る時も隠さなかったから、

相方の入浴中に電話がかかってくると私が着信を見て「誰々から電話だよ」とか教えてたもんな。

不倫始めてから忘れたことなんて1回もなかった気がするけど。



携帯忘れるなんて、だいぶ気がゆるんできたのねぇ。

それって、いいことのような気もするけど。



一方で、財布を忘れた時は「財布忘れた」と言いながら入ってくるのに、

無言で部屋に入ってきて隠すように持って行くあたり、

まだ携帯にやましさ満載って態度がアリアリ。


携帯を忘れたことを私に気付かれて、見られたんじゃないかって警戒してたんだろうけど、

自分が置いたのと同じ場所にあって、安心したことでしょう。

私が「携帯忘れて取りに来たんだ」とか聞かずに無言で見送ったので、

見られた可能性がないわけじゃないと少しは気にしてるかもしれない。


うん、気にして。

そして私に優しくなって。



あぁ、しかし、相方が携帯を忘れたなんて気付かなかった。

くっそー、すぐそこに見れる機会があったとは。


すぐにメール削除する相方とはいえ、

メモリに彼女と悪友が登録されているであろうから、

携帯電話がやましいアイテムなことは、まだ変わりない。


まだ彼女は「○おり」という名前だけで登録されてるのだろうか?



あぁ、やっぱり知りたくない!

携帯電話チェックなんてしたくない!


携帯なんて忘れてかないでよ!

余計なこといろいろ考えるじゃないの。


おかげで半日も情緒不安定になっちゃったわよ。

子供の幼稚園の同じクラスに、相方の彼女と同じ名前の子がいる。


○おりちゃん。彼女と字が違うけど。


で、名字は我が家と同姓。


つまり、彼女が相方と結婚したら、そういう名前になるわけ、

っていう、名前の子がいるわけ。


子供がほのかちゃんと仲良くなるのもね、面倒だわって思うけど、

○おりちゃんと仲良くなって、毎日「○おりちゃんがね」って聞く状況になるのもね、微妙だ。

仲良くならないことを祈っていては、母として間違ってるしなぁ。

でも○おりちゃんを連呼される事態になったら、きっとイライラしちゃうだろうし。


その子の名前を名簿で見るたび、

“彼女が相方と結婚してたら、この名前だよな”と思う。


たぶん、今さら離婚・結婚なんてしないだろうし、

相方も不倫告白した時点でも、彼女と結婚したいとは言ってない。

「わからない」と言っていた。

相方の“わからない”は結局どうにでもなるんだし、

彼女と切れてない以上、可能性はゼロではないけど、まぁ、ないだろうなと。


でも、その子の名前を見るたび、

ざわざわと心が落ち着かなくなる。


名字が一緒だから、いつもうちの子供の隣りにその子の名前はある。

ざわざわしなくなる日は来るんだろうか。


やっぱり、仲良くならない事を少し願ってしまう。

いっそ、仲良くなって何度も何度も「○おり」ちゃんと口にして抵抗なくなればいいのかも。

昔、相方が浮気した女子と同じ名字の上司が私の職場に異動してきた事があって、

はじめは名字を聞くたびにイライラしたけど、

そのうち、その名字=上司になって女子の事はかなり薄らいだもんな。


でも、それって浮気が過去のものだからそう思えるんであって、

相方と彼女が切れないことにはねぇ・・・。

GW中の平日、幼稚園の同じバス停の1人がお休みだった。

セクシーお母さんの娘だ。


うちの子供があんまり「ほのか(仮名)ちゃん、なんでいないの?」と言うもんだから、

もう1人のお母さん、せりな(仮名)ちゃんママが「ほのかちゃんはおばあちゃんちに遊びに行ったの」と教えてくれた。


ほのかちゃんがお休みだと、迎えのバス停では私1人だ。

ほのかちゃんセクシーママと気まずく沈黙してなくていいので、

私は気が楽になり、足取りも軽かった。


が、うちの子供はバスを降りてくるなり、

「ほのかちゃんがいなかったのぉ」と泣き出さんばかり。

家に帰っても「ほのかちゃんがいないの」と泣き顔。

お絵かきしてても、「ほのかちゃん書いたの」。

それから何日か過ぎても「ほのかちゃんおやすみなの」。



あぁ、なんか自分がイヤになってくるわね。


それにしても、いずれ「ほのかちゃんちに遊びに行くの」ってな展開がありそうな。


相方がほのかちゃんママを「セクシー」だの「あっちの方がよかった」と言ったのを別にしても、

やっぱり苦手なんだよねぇ。



帰りのバスを待ってる時に、顔を合わせると会釈する。

しばらくしてほのかちゃんママの方を見るといない。


消えた!?


と思ったら、しゃがんで携帯電話を眺めてた。

足はそんなに開いちゃいなかったと思うけど、うんこ座り?


小さな子供と日々付き合ってると子供と同じ目線にするために、日々しゃがまないといけない。

でも大人1人の時に道端でしゃがんで携帯眺めてるって・・・。

いや、地べたに座らないだけいいんだろうけど。

年が若いんだろうなぁとは思うけど。


いや、1人じゃなくて私がいるんだけども。


私が自分から壁をつくってるのはわかるけど、なんか苦手。



最近やっと冷静に見られるようになったんだけど。


この間の暑い日、カットソー1枚で薄着だったほのかちゃんママ、

胸が大きかった。

おまけに子供2人産んだとは思えない、すっきりしたおなか周り。

すばらしい体型。


さらに壁が高くなってしまいそうな・・・。