母の日の夜。

寝る前にパソコンをしていた。

相方はパワプロをしていた。

「もう寝ようか」

「うん」

「忙しいならまだやっててもいいけど」

「いや、いい」

私はパソコンの電源を落とした。

「もう1試合やるかな」

えっ、寝るんでしょ?

相方は新しく試合を始めた。

パワプロに回帰前は私が「もう少しパソコンしてから寝る」と言ったら、

「そういうこと言わないで(エッチを)しなくても同じ時間に寝ようよ」と言っていたのに、

回帰後は、私が寝ると言ってもしょちゅう相方1人でパワプロを続けている。

「同じ時間に寝ようって言ってたでしょ」と言ってみても、

「そうだね」というだけで次の試合に入ってしまう。

約30分後、パワプロを終えた相方がふとんに入って眠りについた。

私は結局プレゼントはおろか母の日らしいひと言さえ言ってもらえなかったのだ。

逆に“母の日だから”という言葉を利用して嫌味のごときセリフを言われただけだった。


去年プレゼントなんかくれなければよかったのに。

「去年プレゼントなんかくれるからいけない」と言う私になにか弁明してくれればいいのに。

ふれちゃいけないことなの?

ふれてほしくないことなの?

それはやっぱり彼女と関係あることだから?


涙が出て止まらなくなった。

もうふとんで泣いていても相方に無視されるだけだし、

ウザがられるのでトイレに行って、心を落ち着かせた。


でも、まだ、ふとんに入ると涙がでそうだったので、

パソコンしてさらに心を落ち着かせようとした。


30分くらいして、もう大丈夫かなと思い、またふとんに入った。

涙が流れてきた。

でも少しだけだったので、そのままふとんの中で軽く鼻をすすった。


その時、


「うるっせんだよっ!」


突然、もう寝てると思っていた相方が怒鳴った。


びっくりした。


わけがわからなかった。

声には出なかったけど「ひぃっ」って、固まった。


パソコンしてる時から泣き声なんて出してなかったし、

今だって軽く鼻をすすっただけだった。


私の出す音が気に障ったのはわかる。

わかるけど・・・。

相方が怖くなって、少しの間しゃべれなかった。

ようやく、しゃべった。

「なんでそういうこと言うの?」

「・・・」

「私そんなにうるさくしてないのに」

「・・・」

「たとえうるさかったとしても、ゆうが寝てる所でそんなに大きな声で言う必要ないでしょ。

なんでそんな大きな声出さなきゃいけないほど怒ってるの?」


「・・・」


「なんで?」

「寝ぼけただけ」

“寝ぼけただけ”なんて答え、予想してなかった。

はっきりさせないで、またうやむやにしておきたいのだろう。

それは私ともめたくないという心理なのかもしれないけど。

「寝ぼけたって、そうやってまた“なかったこと”にするの? 何もなかったみたいに」

「・・・」

「なんで?」

「・・・」

「何も言わないの?」


結局、相方は口を開かなかった。


私もあきらめて、寝た。