「義賢最期」観劇レポ@新春浅草歌舞伎 | 油絵で歌舞伎! KABUKI OIL PAINTING

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皆さん、こんばんは~竜雲ですラブラブ

「義賢最期」は、筋書を読むと愛之助さん曰く「何より大切なのは、武士道を貫く忠義の心、源氏の白旗を大切に思う気持ちだと叔父(片岡仁左衛門さん)に教わりました」とのこと。

まさにこれこそが私が感じ入り泣いてしまうところなんです!愛之助さんの義賢は、ちゃんとそういう義賢になっています!

少しお勉強いたしましたところ、この次のお話が「実盛物語」なんですってね。
「義賢最期」で大奮闘をした小万も、次の「実盛物語」で腕を切り落とされてから瀕死の状態で舞台に登場。亡くなってしまうんですよね。。。
この小万も義賢との約束のために・・・と思うと更に泣けてしまいました。

「義賢最期」は本当に涙なしでは見れません。 

どういう演目なのか、っていうところをあらすじ+感想で今日は書きます。

舞台は義賢の館。(見えにくいですが、観劇中にメモりましたよ)
DCIM4868.jpg

葵御前(義賢の後添で、身重。上村吉弥さん)と松宵姫(中村梅丸さん。可愛いなぁ!)が話しています。

奴 折平(中村亀鶴さん)は義賢のお使いで、多田蔵人行綱の元にお文を届けに行っています。

そんなところに百姓九郎助(嵐 橘三郎さん)と、その娘の小万(中村壱太郎さん)と孫がやってきます。
小万は折平の妻なのです。折平は行方知れずになっていたが、ここで奉公していると知って、折平の暇を乞いにやってきたのです。

ここで三角関係が発覚します。松宵姫と折平は恋仲なんですよ!松宵姫にしてみれば、恋人がいきなり妻子持ちと発覚した!!ってことなので、そのショックは計り知れません。(これは本当に可哀想なシチュエーション)

折平が使いから帰ってくると松宵姫が「妻の小万さんが来ました。お使いと言って示し合わせていたのでしょう?ひどい人・・・」と責めます(これは至極当然ですよ)
でも折平は「義賢殿のお使いだった。小万が来たことなど全然知らない」と。

そこで義賢(片岡愛之助さん)登場。
なのですが、渋く低い声のトーンで重厚です。愛之助さんは本当に重厚なお役だといいなぁって思います♪松宵姫はお父さんである義賢に「折平と話があるから、松宵には用はない、下がれ」と言われます。
(だってまだ折平さんと話が終わっていないわ)と思いながら、心を残して松宵姫は下がります。

行綱(源氏方)宛ての手紙のお使いの様子をききますが、「屋敷が空で渡せませんでした」と折平。
でも文箱の封が切られているので「どういうことだ?」とききますが「知りません」と答える折平。

義賢は手水鉢の方に歩いて行き、松を引き抜いて、手水鉢の端っこの方だけ割ります。
これは「水の『源』はそのままに残した」ということで源氏への忠誠を表しているんですって。
(メモったのですが、「保つ 水の源」と言ってました)ここが難しくて、最初観た時は「これ、どういう意味で源氏への忠誠を表しているんだろう、とはてなマークはてなまーくはてなマークだったんですが、どうやらそういうことみたいなんです。

「二つに割るべき手水鉢を敢えて割らなかった」と言っていました。 
分かりにくいですが、それを分かるのが時代物!私みたいに鈍感な者は「あの、どういう意味ですか?」ときいてしまいそうで、それではお話になりませんあせる

自分の心はこれだから、折平も心を明かせと迫る義賢。その様子に、折平は「密書のお返事」と差し出します(=自分が行綱であるということ)。

二人の心は源氏への忠誠で結びつきます。
大事の源氏の白旗を壁に掛けて、身内の最期などを語り涙する二人。

そこへ(にっくき)平清盛からのお使いが登場!白旗の行方を尋ねにきたんです。
このお使いが、非道なんですよむかっ すっごく「下衆い」感じに描かれております。源義朝(義賢のお兄さん)の骸骨を首桶に入れて持ってきてます。「白旗のことを知らないと言うか!裏切りの心(ふた心)がないならば、この骸骨を足蹴にしろ」と自分たちがまず足蹴に蹴ります。
ほんとに下衆い・・・汗これはキリスト教徒の踏み絵よりずっとつらいことだと思います。義賢はお兄さんの骸骨を勿論蹴ることなんてできません。下衆いお使いはしたり顔で「ふた心に極まったり~」と言うのです。いやな人たちむかっ

ここから義賢と行綱の反撃です。義賢はお兄さんの髑髏を手に取って、「よくも兄の髑髏を足蹴にしてくれたな」とお使いを髑髏で殴ります。(実際にそんなことをしたら頭骸骨が砕け散ってしまいます・・・ってツッコんじゃいけない)

義賢は娘の松宵姫と行綱を一緒に逃がします。逃がす、というか落ち延びて源氏の旗挙げという大事の役目を言いつけます。
行綱は「殿(義賢)が我々のことを知ったら、俺の首が飛んでしまうよ。いややの、いややの~」なんて最初に言ってましたが、義賢はお見通しだったのですね。二人を一緒に逃がしてあげます。
(あれ?そうしたら小万はどうなるの?と思ったのですが・・・)

義賢と行綱&松宵姫の別れも悲しくて、泣いてしまいました。
中村梅丸さんは中村梅玉さんのお弟子さんなんですってね。見た目にも可愛らしいお姫様で、心を残しながら立ち去るこの花道、可憐で良かったですね~。

後に一人残された義賢が心境を物語るのですが、そこでも泣いてしまいました。
娘との今生の別れ・・・ 愛之助さんは辛抱役もいいかもしれませんね。苦渋な感じが上手かったです。

そうして次は身重の妻との今生の別れ。腹の子に盃を取らそう、と盃を・・・ 
涙なしでは見れません泣く 
ここで盃の用意をしてあげるのが小万(中村壱太郎さん)。小万は・・・奥様を守るお役目に奮闘することになります。なんて物分りのいい・・・ 夫 折平が源氏の行綱だったから、私も源氏のために働きます!と・・・ いつそういう話になったのか。その点だけツッコみたい気持ちですが、ともあれ小万は御台 葵御前をお守りして奮闘します。なるほど、人気あるだけあってスラッと綺麗な役者さんなんだなぁ、と拝見。

お父さんの九郎さんも孫も出て来ます。孫が走ってきて、花道のところで「物見」の格好をしてるのが可笑しくってw 歌舞伎ではこの「物見」も見せ場なんですよね?(以前、何の演目だったかな。ども又?市川右近さんが物見のポーズを取った時に大向こうが入ってました)

孫を背負った九郎さん(嵐 橘三郎さん)の立ち回りもユーモラスな感じです。ちっちゃい孫が見得で首を回すのが可笑しかったです(笑)

小万に向けられた討手が、市川欣弥さんで道化の格好なんです。(「道行初音旅」の逸見藤太みたいな拵え!なんで?)緊張した場面に少し可笑しさが混ぜてあるのはなんでなんだろう~?開いた扇がちっちゃくて可笑しいんですよ。キメのポーズもかっこいい見得とは違う感じw
道化の格好で出てくるなんて、「ゼッタイ強くない役でしょ。やられるでしょ」って思いますよね(笑)

小万は討手たちを相手に立ち回り。女形の立ち回りなので、綺麗な感じです。
壱太郎さんファンの方はここで堪能できますね♪

順番合ってるのかな。次に本格的な討手=進野次郎宗政(澤村國矢さん)が花道から現れ、義賢との死闘が始まります。このお役は拵えも派手で、花道から駆けて出てきて、出番的には短めですが、けっこう印象に残るお役です。なんといっても義賢とやり合うんですからね。

義賢は礼服で迎え撃ち。討死にするのに甲冑は要らない。とのことなんです・・・ 甲冑を着ないと痛いよ。と思うのですが、死ぬ覚悟だから、どのみち甲冑は無意味なのか・・・ 

ここの義賢の礼服の色が本当に綺麗です。水色で・・・手負いの義賢が現れた時にははっといたしますよ!! この登場の見得は美し過ぎる。 残念なことに、討手衆の姿が義賢にかぶってしまって「あ~ちょっと見えにくい!」と思ってしまったんですが(笑)この手負いの義賢登場の見得がめちゃくちゃに美しいのですが、見得の構成的に、センターでしかこの美しさを楽しめないもので御座いますよ。本当に綺麗な見得です!真ん中のお席の方はぜひぜひ見て、お見逃しなきよう、感動してくださいね!!
・・・感動してくださいね、っていうのも変ですが(笑)私がこの見得で超感動するので(笑)

義賢の死闘・・・美しいです。歌舞伎の美がいっぱいキラッ 
やっぱり手負いの義賢が登場する時の舞台が美しくて「ああ美しい」と、絵面に涙がこみあげました。この演目は、耽美主義的な私にとって、ヤバいくらい涙のツボです。

そして戸板倒し。観てる方が緊張します!あんなのどうしてやってしまえるのか!?凄過ぎ・・・!

息も絶え絶えな感じでの花道での仏倒れ第一段も泣けます。。。

愛之助さんはやはり仁左衛門さんからこの演目を習われただけあって、表情の作り方が時々仁左衛門さんだなぁと思う場面がちらほらありました。

そして死闘の挙句、義賢が絶命するところ。
源氏の白旗を小万に預けます。涙なしでは見れません!

客席、あんまり誰も泣いている風ではないのですが、私は武士道精神に感じ入り、この演目はやはりボロ泣きです。

小万の中村壱太郎さん、義賢との別れを悲しむところ上手いです。声のトーンも違和感なく、別れのシーンもつらそうで。(小万がいつからこんなに義賢を慕っているのかという点はツッコみたくなりますが置いておいて)

そして最後の地蔵倒し(仏倒れ)!
「ああ!!」と思っている観客を後目に閉まる幕。そして小万の泣き声。

私は武士の心にボロ泣き・・・ 
やっぱり何回見ても泣いちゃいます。男泣きをしてしまう「義賢最期」なのでした。

で、松宵姫の中村梅丸さん(17歳なんですってね!)ですが、お姫様の拵えだと永作博美さんに似てませんか?可愛らしい。こんな可愛らしい娘さんは1枚描いてみたいですね(笑)この可愛らしさは「上州土産百両首」でも見れますキラッ 

「上州土産百両首」のレポも書きますね~
それでは~☆

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