K3 surfaces with involutions -3ページ目

K3 surfaces with involutions

Local and global Torelli theorems for complex K3 surfaces, periods of K3 surfaces, non-symplectic holomorphic involutions, anti-holomorphic involutions, Hilbert schemes of K3 surfaces, Nikulin's lattice theory, lattice-polarized K3 surfaces. . .

最近調べた文献です:


Symplectic Geometry and Lagrangian submanifold (IPMU Opening Symposium, 2008 March)

http://www.math.kyoto-u.ac.jp/~fukaya/Kashiwa.pdf   (→わかりやすい合格

そのビデオ:

http://www.ipmu.jp/seminars/20080311-OpeningSymposium.html


こちら(↑)より引用:


○Symplectic Geomery の2つの重要なソースは:

 (1) Hamiltonian Dynamics

 (2) Algebraic or Kahler Geometry

○シンプレクティック幾何には,curvatureはない! (ダルブーの定理より)

○Global Symplectic Geomery には,高度に非自明なfactがある.それには,string theory を使う.

○非自明なGlobal Symplectic Geomeryの例として, Lagrangian submanifolds !

○Lagrangian submanifold は open string に対し,正しい境界条件を与える.

○ (Symp Geom) - (代数幾何からのアナロジー)

     = Hamiltonian Dynamics + Lagrangian submanifold + ε

C^n のLagrangian submanifold は?

    n=1のとき circle

    n=2のとき torus, Klein bottle

    n=3のときは?

     Gromovの定理(1980年代)  (p.26)

       「S^3はC^3のLagrangian submanifoldではない!」

       これを証明するには,open string theory を要する.

       もし,LがC^n のLagrangian submanifoldなら,それをboundするholomorphic disc D^2 がある.

       しかし,このようなdiisc D^2 は,L=S^3のときには存在しない.なぜならば,

       L=S^3のとき(位相的条件)は,D^2上でsymplectic formを積分すると 0 であるが,

       D^2 がholomorphicであることから,D^2上でsymplectic formを積分すると正となる.これは矛盾.


    Thurston Perelmanによれば,3-manifoldsには8種類ある.

    これらの8種類のうち,どれがLagrangian submanifoldなのか?

    答え・・・・p.37を見よ!! (→こんなことがわかっているのだ・・・)

    ちなみに,H^3がNoなのはViterbo, SL(2,R),Sol,Nil がNoなのjは,Fさんの結果.

    S^3はcurvatureが1であり,H^3はcurvatureが-1,これらはともにNoである.


    方法:

    disc (open string) を数える → 多くの数を得る → 

    これらの数たちは構造を持っている → (群のような)代数系を得る(algebraic topology)


    しかし,disc を数えることは,実際には難しい.

    disc を数えることは,非線形偏微分方程式の解を数えること.


    L が C^nのLagrangian submanifoldのとき,それをboundするholomorphic disc D^2 があるが,

    それらを数えることは難しい


    「algebraでgeomtryを近似すること」:

      20世紀初めにはポアンカレが,空間 X に対し,ホモロジー群 H(X) を考えたが,

      これはLinear storyであった.

      21世紀初めには,我々は Nonlinear storyを行っている.


    物理の助け:

    1990年代に発見されたMirror Symmetryは,discを数えるための強力な道具を与えてくれる.


    (Homological) Mirror Symmetry (Kontsevich 1992, 1994) (→p.48, p.54) を用いるならば,

    discを数える難しい問題(Globalで非線形,non perturbative)は,

    複素幾何におけるattackableな問題(localで線形,perturbative)になる.   (なぜlocal??)


    Understand Global Symplectic Geometry by using the ideas from String theory.




Lagrangian Floer Thoery (スライド Sydney, April, 2009)

http://www.math.kyoto-u.ac.jp/~fukaya/Sydneyslide.pdf

   4次曲面に対するホモロジー的ミラー対称性は,Paul Seidel が解決(2003).

   K3曲面に対するホモロジー的ミラー対称性については,on progress とのこと!


Counting pseudo-holomorphic discs in Calabi-Yau 3 fold (Aug 2009)

http://arxiv.org/abs/0908.0148


ホモロジー的ミラー対称性の諸相 (平成15年10月8日)

http://www.math.kyoto-u.ac.jp/~nakajima/Surveys_in_Geometry/fukaya.pdf



代数的スタック入門 (2005)

http://insei.math.kyoto-u.ac.jp/2005/hokokushu/aoki.pdf





文献:

V.V. Nikulin,
Integral symmetric bilinear forms and some of their applications,
Izv. Akad. Nauk SSSR Ser Mat. 43-1 (1979), 111--177.
= Math. USSR Izv. 14-1 (1980), 103--167.


---------------------------------------------------

定理3.10.1

Μ_{n,k}(R)連結成分は,

polarized integral involution (偏極対合付き格子) (L,φ, h)

(ここで,φは,lattice L上のformを保つhomomorphismであるようなinvolution,

h ∈L) で,L が even unimodular lattice of signature (3,19) (つまり,K3格子),

φ(h)=-h, h はLの中でprimitivet_(+) = 1, h^2 =n であるものの同型類

bijectiveに対応する.

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ここで,φのfixed part E_+ 上のsignatureを (t_(+), t_(-)) とする.


この定理(定式化はこちら )の証明の概要は以下のとおり:


注意事項

[1] Μ_{n,k}(R)は,ヒルベルトスキームH_{n,k}(R)をPGL(N+1, R)で割ったものであった.

[2] H_{n,k}(R)の各連結成分に対し,そこに属する実代数的偏極K3曲面

「associated polarized integral involution(L,φ, h)」の同型類は決まる.

Μ_{n,k}(R)に対してもそうである.

また,そのようなpolarized integral involution (L,φ, h) は,

φがlattice L上のformを保つhomomorphismであるようなinvolution,

h ∈L,L は even unimodular lattice of signature (3,19) (つまり,K3格子),

φ(h)=-h, h はLの中でprimitivet_(+) = 1, h^2 =n  という性質を持つ.

[3] Pijateckii-Shapiro and Shafarevichによる代数的K3曲面に対する大域的トレリ定理

  の主張においては,

  2次元コホモロジー上のisometryからK3曲面間の複素解析的同型が決まるということも重要である.

  これにより,K3曲面上の反正則対合の存在(実K3曲面であること)もいえる.

[4] (L,φ, h)のautomorphismで移りあうような周期を「equivalentな周期」という.

  [3]により,ある周期に対応する偏極実K3曲面が存在すれば,

  それにequivalentな周期に対応する偏極実K3曲面が存在する.

  特に,ルートにおける鏡映も, (L,φ, h)のautomorphismである.

  Kulikovによる周期写像の全射性

   V. S. Kulikov,“Surjectivity of the period mapping for $K3$ surfaces”,

   UMN, 32:4(196) (1977), 257–258.

  は,(L,h)のautomorphismsの,周期領域への作用に関する商空間への全射性を言っている.

  しかし,代数的K3曲面に対応する周期については,こちら を参照!

[5] 周期を実部と虚部に分け,その対として,「代数的K3曲面の周期」を考えていく.

[6] n=2, n=4 の場合は特別扱いを要する.

[7] polarized integral involution (L,φ, h) のひとつの同型類を固定すると,それに対し,

  周期領域のある部分集合 Ω_{φ, h, k}  が定義される.この集合は連結である.

  この各点に対して,Kulikovによる周期写像の全射性を用いて,

  ある代数的偏極K3曲面が対応するが,

  それらのK3曲面は,P^N(R)の可逆実線形変換を除いて一意的である.

  この,」の部分の主張は,Kharlamov(1976)の論法をまねている.

  P^Nへの埋め込みについては,Saint-Donatの結果を用いている.

  周期写像によりΩ_{φ, h, k} の点に対応するような実代数的偏極K3曲面に対して,

  そのassociated polarized integral involutionの同型類は(L,φ, h)である.

[8] H_{n,k}(R) のいくつかの連結成分が,周期写像により,

  ひとつのΩ_{φ, h, k} のopen coveringをなしているが,Ω_{φ, h, k} の連結性により,

  それらの各連結成分は,それぞれ,Ω_{φ, h, k} 全体上に写る.

  また,[7]前半により,Ω_{φ, h, k} に写るようなH_{n,k}(R) の連結成分たちは,

  projectively equivalentである.



説明:

H_{n,k}(R)のひとつの連結成分C上の点(実代数的偏極K3曲面)を,周期写像により周期領域に写すとき,その実代数的偏極K3曲面のassociated polarized integral involutionの同型類を(L,φ, h)とすると,周期点はΩ_{φ, h, k}に含まれるはずである.[2]より,H_{n,k}(R)の各連結成分に対し,そこに属する実代数的偏極K3曲面のassociated polarized integral involutionの同型類は決まるので,さきほどの連結成分C上のすべての点は,周期写像により,Ω_{φ, h, k}の中に写ることになる.

周期写像はΜ_{n,k}(R)上の局所解析的同型写像である(Pijateckii-Shapiro and Shafarevich参照)ことから,さきほどの連結成分Cの像は,Ω_{φ, h, k}の中の開集合である.

仮に,その開集合がΩ_{φ, h, k}全体に一致しないとしよう.

その開集合に属さないΩ_{φ, h, k}の点を考えると,[7]より,それに対応する実代数的偏極K3曲面を考えると,そのassociated polarized integral involutionの同型類は(L,φ, h)なので,その実代数的偏極K3曲面は,やはり,H_{n,k}(R)に属することになる.それを含むH_{n,k}(R)連結成分C'(これはCではない)を考えると,さきほどと同様に,連結成分C'上のすべての点は,周期写像により,Ω_{φ, h, k}の中に写る.このようにして,Ω_{φ, h, k}は,H_{n,k}(R)のいくつかの連結成分により,周期写像によりopen coverされていることがわかる.さきほども述べたように,それらの連結成分の像はΩ_{φ, h, k}開集合である.もし,2つの連結成分の像が交わるとすれば,[7]により,それらの2つの連結成分は,PGL(N+1, R)の作用で写りあい,像は完全に一致するはずである.このようにして,Ω_{φ, h, k}は,周期写像により,H_{n,k}(R)のいくつかの連結成分により,open coverされ,しかも,それらのopen setたちはdisjointであることになる.ところが,Ω_{φ, h, k}連結なので,結局,

さきほどのH_{n,k}(R)の連結成分Cの周期写像による像はΩ_{φ, h, k}全体であることがわかった.

そして,H_{n,k}(R)の別の連結成分'もΩ_{φ, h, k}に写るとすれば,これらの2つの連結成分は,PGL(N+1, R)の作用で写りあい(すなわち,Μ_{n,k}(R)においては同じ連結成分),後者の連結成分の像もΩ_{φ, h, k}全体であることがわかった.




証明の完結:

まず,Μ_{n,k}(R)各連結成分に対し,

polarized integral involution (L,φ, h) (ここで,φは,lattice L上のformを保つhomomorphismであるようなinvolution,h ∈L) で,L が even unimodular lattice of signature (3,19) (つまり,K3格子),φ(h)=-h, h はLの中でprimitivet_(+) = 1, h^2 =n であるものの同型類

がただひとつ対応するのであった.(ここまでは,対応がwell-definedであること)

逆に,上のような性質を持つpolarized integral involution (L,φ, h)の同型類(ここでは,φが重要!)を与えると,それに対し,Ω_{φ, h, k}を考えると,[7]により,この各点に対して,ある代数的偏極K3曲面が周期写像で対応するが,そのassociated polarized integral involutionの同型類は(L,φ, h)であることから,その実代数的偏極K3曲面は,H_{n,k}(R)に属する.これで,対応の全射性が言えた.

次に,H_{n,k}(R)の2つの連結成分のassociated polarized integral involutionが同じ同型類(L,φ, h)だとする.すると,それらの連結成分を周期写像により周期領域に写すと,上記説明のとおり,像は,Ω_{φ, h, k}に含まれる.また,上記説明により,それぞれの連結成分の像はΩ_{φ, h, k}全体であり,これらの2つの連結成分は,PGL(N+1, R)の作用で写りあう.すなわち,Μ_{n,k}(R)においては同じ連結成分なのである.これで,単射性が言えた.




補足注意:

ロシア語からの英訳に少々誤訳があると思われる.記号の誤植も多い.


(つづき)


Theorem 1 の存在に関する定理)


任意の自然数 n (≧3) に対し,marked polarized K3 surfaces の family

X → S が存在して,次の性質を持つ:

a) effectively parametrized   (以前の記事参照・・・この当時の用語)

b) marked porlaized K3 surface で the class ξ が P^nへの埋め込みを定めるもの(任意)は,family X のあるfiber X_s にmarked porlaized K3 surfaceとして同型である.

c) the base S は複素19次元である.



注意:

Theorem 1は,族に関する定理であり,

ここではまだ,周期領域も周期写像も出て来ません!



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さて,上のTheorem 1で得られた族のbase S 上で周期写像 τ を考える.

すなわち,各fiberX_s (marked polarized K3 surface)に対して,その周期(∈Ω(l))を対応させる.


すると,次の系を得る:


Corollary of Theorem 1

周期写像 τ はholomorphicであり,複素多様体(manifold) S と Ω(l) の間のlocal isomorphism となっている.


(証明には,S と Ω(l) の複素次元がともに19であることが使われている)




●このように,

§2までに書かれている結果が,Nikulinの論文を理解するのに必要な部分ですが,


§5にも重要な結果が述べられていますので引用します:



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この論文では,まず,special Kummer surfaces と呼ばれる代数的K3曲面に対して,The global Torelli theorem (the second form) が証明されている.

それは,次のとおり:


Theorem 1 of §5

X と X' を代数的K3曲面とし,X はspecial Kummer surfaceだとする.

もし,H_X から H_X' へのisometryψで,

周期を周期に写し(⇔Hodge分解を保つ),

effective classes を effective classes に写すものが存在すれば,

(1) X' も special Kummer surfaceである.

(2) ψは,X から X' へのあるisomorphismφから誘導される.


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次の補題は重要である.

Lemma 5

X とX' を代数的K3曲面とする.φがPicard lattices S_X からS_X' へのisometryで,

あるvery ample class を,very ample classs に写すならば,

φはeffective classをeffective classに写す.


注意:

2つの代数的polarized K3 surfaces の間のHodge isometry(⇔isometryかつ周期を周期に写す)は,偏極(あるvery ample class )を偏極に写すならば,

Kaehler cone のある元をKaehler cone のある元に写すのだから,もちろん,

positive cone を保ち,

Lemma 5 より,さらに,effective classをeffective classに写すので,

effective Hodge isometry」であることになる!!




(注: 中井の判定法より,ample class は,その自乗が正かつ,任意のeffective class との積が正なので,the Kaehler cone に属する)






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他の参考文献:

I.I. Piateckii-Shapiro, I.R. Shafarevich,

The arithmetic of K3 surfaces の§1のみ.
Proc. Steklov Inst. Math., 132 (1973), 45--57.




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(2009/6/5 作成)

(2009/7/10 修正)



I.I. Pjateckii-Shapiro, I.R. Shafarevich,

A Torelli theorem for algebraic surfaces of type K3,

Math. USSR Izvestija, 5-3 (1971) 547--588.



この論文は,代数的な K3 surfaceに対するThe global Torelli theoremを証明した論文である.


注意したいのは,この論文における「marked K3 surface」とは,

(代数的な) marked polarized K3 surface

を意味するということ.


これらに対しては,後に考案されたBurns-Rapoport periodでなく,従来の

   周期 [α_C(η)]  ∈ Ω(l)

  (ここで,ηは,X上のa nowhere vanishing holomorphic 2-form)


を考えるだけで,「marked polarized K3 surface」 を識別できることが書かれている.


marking を付すこと,Hodge isometry,さらに,effective Hodge isometry のアイデアが,代数的K3曲面に関するこの論文の中ですでに現れている.



●K3曲面に関するNikulinの論文を勉強するためには,

Pjateckii-Shapiro and Shafarevich のこの論文を(結果だけでも)読むことが必須です.




内容は以下のとおり:

Introduction

§1 Statement of the problem. Basic results

 marked polarized K3 surfaceの定義,それが同型であることの定義,

 周期領域 Ω

 Ω(l)・・・・Ωにおいて,l の直交補空間,これは,

 C^19におけるIV型対称領域の2つのコピーのdisjoint unionである.

 

 周期(period)の定義.


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 Torelli theorem for K3 surfaces

 marked polarized K3 surfaces(の同型類)はその周期により決まる.


 The second form of Torelli theorem

 X, X' を代数的K3曲面とし,それぞれの2次元ホモロジー群をH_X,H_X'

 とする.lattices H_X から H_X' へのisometryで,

 Xの周期をX'の周期に写し,

 Xのeffective classesをX'のeffective classesに写すもの

 (つまり,effective Hodge isometry)

 は,XからX'への(uniqueな)isomorphismから誘導される.


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 K3曲面Xに対するリーマン・ロッホの不等式と,

 それから導かれるX上のdivisorsに関する基本的性質の確認.



§2 Families of marked (polarized) K3 surfaces


 X を代数的K3曲面とし,FをX上のvery ample sheafとし,

 X ⊂ P^n を対応する埋め込みとする.(このnを固定する

 C を対応するdivisor classとする.(つまり,hyperplane sectionsのclass)

 すると,l(C)=n+1,C^2=2n-1,Cのgenus g(C) = n である.


 このような代数的K3曲面の集合は,

 the Hilbert scheme のa Zariski open set S' 上のfamilyを成す.

 (Grothendiek [9],p.23)


 Proposition 1 (p.554)

 scheme S' はsmoothである.(連結とは限らぬ)

           (注意: 後でわかる事から,S'の次元は19よりかなり大きいはず)



 このS'上のfamilyを考え,改めて,f' : X' → S'  とおく.

 各fiberにおいて,hyperlplane section の homology class ξ_s' を指定する.(polarized K3 surface)


 Lの元 l を指定する.


 S'の点s'で,H_{X'_s'}からLへのisometryで,ξ_s'を l に写すものが存在するようなs'の全体を

 S'_0

 とおく. (そのようなisometryが存在するためには,

 ξ_s'と l の最大約数が一致し, (ξ_s')^2 = l^2 であることが必要十分!)

 

すると,S'_0 は,S' のZariski connected component となっている.

このようにして,S'の各点s'で,このような S'_0 が得られる.



~~~~


 次に,S'の各点s'で,

 H_{X'_s'}からLへのisometryで,ξ_s'を l に写すもの全体を考える.

 (つまり,すべてのmarkingを考える)

 このようにして,

 すべての(考え得る)marked polarized K3 surfaces をfiberとするfamily

 f'' : X'' → S'' を作る.


 P^nへのactionにより,PGL(n+1, C)がX'' と S'' にactする.

 この作用によるquotientsを考える(考えることができる)ことにより,

 family


 f : X → S  を得る.


 すると,X と S は complex manifold になっている(p.557).

 

 そして,次の重要な Theorem 1 を得る:



 (次の記事に続く)


(2009/6/4 作成)

(2009/7/10 修正)


[BHPV] p.313より


Proposition 3.11

X,X' をK3曲面とするとし,φ:H^2(X,Z) → H^2(X',Z) を Hodge-isometry とする.

次の3つの性質は,同値である:


(1) φがeffective

(2) φがX のthe Kaehler cone を X' のthe Kaehler cone に写す.

(3) φがX のthe Kaehler cone の1つの元を X' のthe Kaehler cone の中に写す.



この命題の証明の論法は重要!!

まず,

「ケーラー錘は,effective classesから決まる」ので,(1)⇒(2)は言える.

(2)⇒(3)はまったく明らか.

(3)⇒(1)が重要.

まず,(3)より,Xのpositive coneはXのpositive coneに写される.

命題3.8より,K3曲面のeffective classesは,

nodal classesとpositive coneの閉包の整数点から生成される半群なので,

nodal classesがeffective classesに写されることを言えば良い.

仮定より,φがX のthe Kaehler cone の1つの元xを X' のthe Kaehler cone の中に写すとする.

もし,dがnodalだとすると,d'=φ(d)がeffectiveであることを示そう.

(φ(x),d') = (x,d) >0より,-d'はeffectiveではありえない.

よって,命題3.7より,d'=φ(d)はeffective. □



K大学での集中講義が終わりました.集中講義の機会を与えて下さったT先生,ご聴講くださった方々に感謝致します.

私自身,この講義の準備のお蔭でいろいろなことがはっきりしました.

 

「証明に欠陥がある」という噂ばかりを気にしていた論文に関して,多くの価値ある部分を読み取ることなくこれまで来ていたことを知りました.

大域的なモデュライ空間を勉強したおかげで,ずっと疑問に思っていてようやく(不完全ながら)意義がわかったことが沢山あります.

non-Hausdorffなモデュライ空間を考えざるを得ない状況,モデュライ空間があっても,その上に対応する族(family)を構成できるとは限らないこと,そして,族(family)を構成できる場合こそ,isotopyが作れて,Topologicalな問題の役に立つのです.

 

ヒルベルトスキームを考える意義:

 個々の状況でそれぞれのモデュライ空間とその上の族を具体的に構成するのではなく,

 モデュライ空間が満たすべきいくつかの公理系:

    ◎すべての対象を含むこと

    ◎その上に対象をファイバーとする普遍族が存在すること

    ◎その普遍族とは,他の任意の族からの一意的な射が存在するもの,

    など

 を定式化しその公理系を満たすようなモデュライ空間の存在性について探求する.

 

markingの意義,

K3曲面の「周期の定義」の発展.

 

●残された課題は,

Nikulinとの共著論文の主定理Theorem1(Nikulin氏が単独で証明)の証明の理解 と,

その前の段階として,

実代数的偏極K3曲面に対するNikulinの定理3.10.1の証明 の理解です.

 

非特異実4次曲面の位相の研究において,最初にK3曲面の理論を使ったKharlamovの研究(1976)の紹介から初めます.そのほうが,「周期」を考える意味がつかみやすいと思います.続いて,Nikulinの理論を紹介します.



§1 Hilbert 第16問題 (非特異実6次曲線,非特異実4次曲面)

     概複素多様体上の反正則対合の不動点集合

     M-曲線,M-多様体

     K3曲面との関わり

§2 Kharlamovによる,ある位相型の非特異実4次曲面の存在証明

§3 K3曲面の定義,いくつかの例,K3曲面の重要な性質 

§4 倉西族, K3曲面に対する局所トレリ定理

    marked K3曲面とその周期  

§5 Picard-Lefschetzの定理の応用

§6 Pjateckii-Shapiro and Shafarevich(1971)における定式化

     P^NにおけるK3曲面たちからなるヒルベルトスキーム

     不変量 (n, k)

     Saint-Donatの結果

     代数的marked polarized K3曲面

     Hodge isometry

     effective Hodge isometry

     代数的marked polarized K3曲面に対する大域的トレリ定理

§7 実・代数的・偏極K3曲面の粗モジュライ空間の連結成分と

   偏極対合付き格子の同型類の間の対応 ~Nikulinの定理(1979)~

§8 偏極対合付き格子の不変量系, 「種」

    実・代数的・偏極K3曲面の実部の位相型

    (それと関連して)

    反シンプレクティック正則対合を持つK3曲面の固定点曲線について

§9  rigid isotopy classes と (Nikulinによる)粗射影的同値類 

§10 非特異実4次曲面のrigid isotopy classes

§11 marked K3曲面に対する大域的トレリ定理

     代数的とは限らないK3曲面に対して,周期の定義の改良

     (Burns-Rapoport周期)




 石川・齋藤・福井 著 「代数曲線と特異点」 (特異点の数理 4) 第II部 (共立出版,2001)

における訂正・修正・改良箇所を,ここで周知したいと思います.

 

~ ~ ~ ~

第5章 ニクリンの理論の応用

●p.265において,モジュライ空間

Н_{n,k} , Н_{n,k}(R) , Μ_{n,k}(R)

の説明が曖昧でした.それについては,こちらの記事 をご覧下さい.

注意5.3.23 および 注意5.3.25の説明についても,こちらの記事 に詳しく書きました.

●p.268

π_0 (RP^N - D_R)/(PGL(4,R)) は134個の要素からなる.

  →出典はどれだろうか?

   「135」が正しいかも知れません.未確認です.

文献[121] →[124]の間違い? しかし,[124]にも,134とは書いてありません.

●5.4節  条件付き対合付き格子

p.270

(2)(Itenbergの仕事(1991)を紹介) 「CP^2の超平面(→ complex line)の被覆写像による引き戻しのホモロジー類 h と 例外因子のホモロジー類 δ で生成される部分群上で,交点形式は一定」

とだけ書いてありますが,この交点形式は <2>+<-2> です.

 

また,h は,「CP^2におけるlineの被覆写像による引き戻しのtotal transformのホモロジー類」というのが正しい.

●p.275

注意5.4.13

「条件付き実K3曲面のモジュライ空間の連結成分と条件付き対合付き格子の同型類の対応」について言及していますが,もっと正確に書くべきです.

●5.5節 RP^1 × RP^1 上の実代数曲線の分類への応用

この節では,当時まだ研究の途中だったことを紹介しています.導入部分の動機,それから,p.277までの記述はこれでよいです.当時は,「すべての種の書き挙げ(enumerating)」(p.279~p.281までの表)までしか出来ていませんでした.

p.278の「主張5.5.1」は,その後,証明に成功し,

Nikulin and Saito, Proceedings of LMS 2005において定理となりました.

 

「不変量 δ_{φS} は曲線の分離性(dividingness)と関わる」とだけ書いてあり,,命題5.5.3だけがわかっていました.また,その証明方法は,「1つ1つの例をすべて調べた結果,1つの例外もない」というものでした.

しかし,現在では,

δ_{φS} が曲線のdividingnessを特徴付けること 」 が判明しています.

しかも,このことは,RP^1 × RP^1 上の非特異実(4,4)次曲線のみならず,

real 2-elementary K3 surfaces の固定点曲線に対して言えることが判明しました. (Nikulin and Saito, Proceedings of LMS 2007参照)

 

証明は,real 2-elementary K3 surfaces のhyperkaehler構造を用いることにより,「主張(定理)5.5.1」 と 「δ_{φS} が曲線のdividingnessを特徴付けること 」が同値な主張であることに着目し,主張(定理)5.5.1を用いて行いました.

 

このように,5.5節に関しては,

Nikulin and Saito, Proceedings of LMS 2005 および 2007 で得られた結果に従って書き直したいところです.

(By S. Saito)

 

 

Barth-Hulek-Peters-Van de Ven では,


p.338,14節に,周期写像の全射性に書いてありますが,

これは,代数的とは限らないK3曲面に対するもの.



代数的K3曲面については,

p.358

Special Topics

22 Projective K3 surfaces and Mirror Symmetry




polarization,さらに,

lattice M によるpolarization

についても.



参考書:

[BHPV] (Barth Hulek Peters Van de Ven)



K3曲面Xに対しては,c_1 が単射であることから,

Pic(X) = H^1(X,0^*_X) (complex line bundles のisomorphism classes)

は,Neron-Severi group NS(X) := H^{1,1}(X) ∩ i^*(H^2(X,Z))

と同一視できる.(Prop.3.6)


NS(X)のclassで,effective (resp. irredudible) divisorで代表されるclassを

effective (resp. irredudible) classという.


特に,(-2)curves (see p.92)のclassをnodal class と呼ぶ.

effective classで,別の2つのeffective classesの和として表せないものは,indecomposableであるという.


Prop.3.7

K3曲面Xに対しては,

(1) NS(X)の元d≠0 (d,d)≧-2 に対し,dか-dはeffectiveである.

(2) もし,dがirreducibleならば,(d,d)≧-2 であり,等号はdがnodal classのとき,また,そのときに限り成り立つ.

(3) indecomposable class は irreducible classである.

(4) nodal class は,ただ1つの(-2) curveで代表され,特に,indecomposableである.


Prop 3.8

K3曲面のeffective classes の集合は,

the nodal classes と

the positive coneの閉包の整数点で生成される半群である.



Δ = { d ∈ NS(X) | (d,d)=-2,d はeffective } とおく.

つまり,effectiveな"ルート"たちである.

これらは,nodal class とは限らない.decomposableかも知れない.


d ∈ Δに対し,H_d を,dの直交補空間(hyperplane)とする.

the positive cone C_XからすべてのH_d を取り除いたものの連結成分を,

C_X のchambersと呼ぶ.すると,


すべてのKaehler classesは,次のchamberに含まれる


C^+_X = { y ∈ C_X | (y,d) > 0 for all d ∈ Δ }


Corollary 3.9

K3曲面に対しては,C^+_Xは,the Kaehler cone に一致する.

(つまり,Δの元 d に対してだけ,(y,d) > 0 となればよい


(ここで,the Kaehler coneとは,C_X のconvex subcone で,

{ y ∈ C_X | (y,d) > 0 for all effective class d in NS(X) }

であった.)



Proposition 3.10

K3曲面Xの"the Picard Lefschetz reflections"は,

the positive cone を不変にし,

the Picard Lefschetz reflectionsで生成される群W_X は,

the positive cone に固有不連続に作用する.

the Kaehler cone のthe positive cone における閉包は,

W_Xの基本領域となっている.