K大学での集中講義が終わりました.集中講義の機会を与えて下さったT先生,ご聴講くださった方々に感謝致します.
私自身,この講義の準備のお蔭でいろいろなことがはっきりしました.
「証明に欠陥がある」という噂ばかりを気にしていた論文に関して,多くの価値ある部分を読み取ることなくこれまで来ていたことを知りました.
大域的なモデュライ空間を勉強したおかげで,ずっと疑問に思っていてようやく(不完全ながら)意義がわかったことが沢山あります.
non-Hausdorffなモデュライ空間を考えざるを得ない状況,モデュライ空間があっても,その上に対応する族(family)を構成できるとは限らないこと,そして,族(family)を構成できる場合こそ,isotopyが作れて,Topologicalな問題の役に立つのです.
ヒルベルトスキームを考える意義:
個々の状況でそれぞれのモデュライ空間とその上の族を具体的に構成するのではなく,
モデュライ空間が満たすべきいくつかの公理系:
◎すべての対象を含むこと
◎その上に対象をファイバーとする普遍族が存在すること
◎その普遍族とは,他の任意の族からの一意的な射が存在するもの,
など
を定式化し,その公理系を満たすようなモデュライ空間の存在性について探求する.
markingの意義,
K3曲面の「周期の定義」の発展.
●残された課題は,
Nikulinとの共著論文の主定理Theorem1(Nikulin氏が単独で証明)の証明の理解 と,
その前の段階として,
実代数的偏極K3曲面に対するNikulinの定理3.10.1の証明 の理解です.