石川・齋藤・福井 著 「代数曲線と特異点」 (特異点の数理 4) 第II部 (共立出版,2001)
における訂正・修正・改良箇所を,ここで周知したいと思います.
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第5章 ニクリンの理論の応用
●p.265において,モジュライ空間
Н_{n,k} , Н_{n,k}(R) , Μ_{n,k}(R)
の説明が曖昧でした.それについては,こちらの記事 をご覧下さい.
注意5.3.23 および 注意5.3.25の説明についても,こちらの記事 に詳しく書きました.
●p.268
π_0 (RP^N - D_R)/(PGL(4,R)) は134個の要素からなる.
→出典はどれだろうか?
「135」が正しいかも知れません.未確認です.
文献[121] →[124]の間違い? しかし,[124]にも,134とは書いてありません.
●5.4節 条件付き対合付き格子
p.270
(2)(Itenbergの仕事(1991)を紹介) 「CP^2の超平面(→ complex line)の被覆写像による引き戻しのホモロジー類 h と 例外因子のホモロジー類 δ で生成される部分群上で,交点形式は一定」
とだけ書いてありますが,この交点形式は <2>+<-2> です.
また,h は,「CP^2におけるlineの被覆写像による引き戻しのtotal transformのホモロジー類」というのが正しい.
●p.275
注意5.4.13
「条件付き実K3曲面のモジュライ空間の連結成分と条件付き対合付き格子の同型類の対応」について言及していますが,もっと正確に書くべきです.
●5.5節 RP^1 × RP^1 上の実代数曲線の分類への応用
この節では,当時まだ研究の途中だったことを紹介しています.導入部分の動機,それから,p.277までの記述はこれでよいです.当時は,「すべての種の書き挙げ(enumerating)」(p.279~p.281までの表)までしか出来ていませんでした.
p.278の「主張5.5.1」は,その後,証明に成功し,
Nikulin and Saito, Proceedings of LMS 2005において定理となりました.
「不変量 δ_{φS} は曲線の分離性(dividingness)と関わる」とだけ書いてあり,,命題5.5.3だけがわかっていました.また,その証明方法は,「1つ1つの例をすべて調べた結果,1つの例外もない」というものでした.
しかし,現在では,
「δ_{φS} が曲線のdividingnessを特徴付けること 」 が判明しています.
しかも,このことは,RP^1 × RP^1 上の非特異実(4,4)次曲線のみならず,
real 2-elementary K3 surfaces の固定点曲線に対して言えることが判明しました. (Nikulin and Saito, Proceedings of LMS 2007参照)
証明は,real 2-elementary K3 surfaces のhyperkaehler構造を用いることにより,「主張(定理)5.5.1」 と 「δ_{φS} が曲線のdividingnessを特徴付けること 」が同値な主張であることに着目し,主張(定理)5.5.1を用いて行いました.
このように,5.5節に関しては,
Nikulin and Saito, Proceedings of LMS 2005 および 2007 で得られた結果に従って書き直したいところです.
(By S. Saito)