◆立川談春『赤めだか』を読み解く



★要旨



・中学時代、

誰も目もくれなかった落語全集を

図書室で読んでみたら、これが面白い。



・中学卒業間近、

上野領本へ落語を聞きにいった。

立川談志の評判は、決して良くなかったが、

僕は魅せられた。



・高校に入ってから、談志の追っかけを始める。



・談志の危なくて、激しい漫談を数多く聴くうちに

なんでこの人は世の中から叩かれないのか、

不思議に思った。



・昭和59年3月、

なごり雪の降る日に、

僕は、立川談志の弟子になった。



・談志は言った。


「よく、芸は盗むものだと云うがあれは嘘だ。

盗む方にもキャリアが必要なんだ。

最初は、俺が教えた通り覚えればいい。

盗めるようになりゃ一人前だ。

時間がかかるんだ」



「いいか、落語を語るのに必要なのは、

リズムとメロディだ。それが基本だ」



「怒鳴ってもメロディが崩れないように

話せれば立派なもんだ。

そうなるまで稽古をしろ。

俺がしゃべった通りに、そっくりそのまま覚えてこい。

物真似でかまわん。

それができる奴をとりあえず、

芸の質が良いと云うんだ」



・現在の自分が振り返って、

感じる立川談志の凄さは、次の一点に尽きる。


「相手の進歩に合わせながら教える」



・青天の霹靂。築地魚河岸修業。



・ある日、突然、談志がいった。


「おまえら、礼儀作法から気働きを含め、

何から何までダメだ。

文字助が一から仕込むと云っているから、

魚河岸へ行け。

みっちり働いて修業してこい」



・はじめての築地修業は、シュウマイ屋だった。

ここのおカミさんの凄いのは、

物事の説明を一切しない点だ。

場内だの、薬屋だの、とにかく行ってこいの一点張りだ。

仕方ないから他人に尋ねる。

そこでコミュニケーションができる。

コミュニケーションをとるための礼儀も必要だし、

自然と訓練になる。



・修業とは矛盾に耐えることだ、

と談志に云われたことが蘇った。



・この修業をやり抜くしかないんだと

覚悟を決めた。



・あとから、

立川志らくという弟子が入ってきた。

しかし、築地の修業は嫌です、

と断ったらしい。



・しくじった時は、

とにかく時間を置かずに謝れというのが

この世界(落語界)の鉄則で、

その対処の仕方で、

執行猶予がつくか、実刑になるかが決まる。

夜中だろうが関係ない。



・談志の教えは、

いつ何処でどんな根多(ネタ)が

自分の人生にシンクロしてくるか、わからんのだから、

ネタだけは、たくさん覚えておけ、

というものなのだ。



・談志は云った。


「唄や踊りが嫌いだという奴に、

伝統芸能をやる資格はないと俺は思っている」



・柳家小さん師匠から稽古をつけてもらった。

驚いたことに、

稽古の仕方、進め方が談志とそっくりだったのである。



・小さんが談志に教えたものを、

同じ教え方でオレは教わってたんだ。



・談春の芸には間違いなく、

柳家小さんの血が流れていたんだ。



★コメント

さすが、語り口がおもしろ過ぎる。

彼の落語も聞いてみたい。






◆渡部恒雄『デジタル国家ウクライナはロシアに勝利するか』を読む




★要旨



★フェドロフ・デジタル化大臣、発言録。

(ウクライナ副首相)



・戦時下でもデジタル政府化は加速する。



・我々のグローバルな目標は、

2024年までに達成すべき4つの戦略目標に分けられる。


1、サービスの100%オンライン化。


2、交通インフラと集落の95%を

ブロードバンドでカバーする。


3、ウクライナ人600万人が、

デジタルスキル開発のプログラムに登録する。


4、GDPに占めるITの割合を10%に引き上げる。



・我々はつねに臨戦態勢だ。

戦争が始まって以来、軍事支援、

周辺国へ書類なしで家を出た人のためのeドキュメント、

政府への現金支援申請、

敵の動きをウクライナに知らせるチャットボットであるボログ、

周辺国の避難した国民向けインターネットテレビ、ラジオも始めた。



・戦時下にある今、すべてのウクライナ人にとって

政府サービスへのアクセスがいかに必要であるかを

目のあたりにしている。



・暗号通貨の寄付を通じて、

購入されたすべてのヘルメットとベストは、

現在、ウクライナの兵士たちの命を救っている。



・暗号通貨はその使いやすさから、

本当の意味で命を救ってくれることが証明された。



・私のビジネス経験は、

デジタル変革省で体系的なプロセスを構築し、

2年間で多くのデジタル改革を実行するのに

役立った。



・デジタル国家は、テクノロジーだけでなく、

システム管理も重要だ。



・今、我々はロシアと世界初のサイバー戦争を戦っている。

本格的な侵略が始まる前から、

ロシアは我々の国家資源、ウェブサイト、銀行システム、

メディアを常に攻撃していた。

ロシアによるサイバー攻撃を撃退し、

サイバーセキュリティを強化した。



★コメント

デジタル国家の進化は止まらない。

いまこそウクライナから学ぶところは多い。






◆河東哲夫『日本がウクライナになる日』を読む



★要旨



・ロシア軍の通信体制は、弱い。



・日本にとっての満州は、プーチンにとっての東ウクライナなり。



・プーチンは狂っていないが、住む時代が違っているのである。



・バイデンは、「東ウクライナ=緩衝地域」の腹だった。



・2014年、ロシアが武力でウクライナから

クリミア半島を奪ったことへの制裁として、

西側諸国が先端技術をロシアには出さないようにしたことが、

通信問題にも響いた。



・必要な半導体、つまりマイクロチップを自分で作れず、

輸入もできないので、

ロシアはいまや宇宙を使ったGPSの体制も維持できなくなっている。

それに昔から、ロシアは軍事予算が横領されることで有名だ。



・戦争は、情報収集、評価、シュミレーション、

補給「ロジ」能力が命である。



・ナマの戦争は、まず敵の地理、地形、交通路など

十分調べておかないと攻め込んでから立ち往生してしまう。

そして敵の持っている武器、兵員、士気なども調べておかないと、

悪くするとこちらが全滅する。

よくいう、情報収集とその分析、インテリジェンスが絶対に必要なり。



・プーチンは、KGB出身。

警察や軍隊は秘密体質が強い。

敵に情報がもれると捜査や作戦に差し支えるから、

部下に何のために何をするのか全容を言わない。

ただ細かい具体的な任務ばかりを言いつけて、

情報は自分が一手に独占する。



・今回のウクライナ作戦がそうだった。

大臣たちも、そのほとんどはこれを事前に知らなかったし、

軍や情報機関の中堅幹部でも、これを知らなかった。



・今回、ロシアの情報機関は、

ロシアのエリート層のいい加減な国際情勢認識に

合わせたようなレポートを、

上に上げ続けていたと思われる。



・補給。

おおげさなことを言えば、戦争は補給で決まる。

兵隊は飲み食いしなければ動けない。

弾薬がなければ戦闘ができない。



・守るほうも、食糧が切れたら降参するしかない。

これをすべて担っているのは、補給・ロジスティクだ。

補給とは、現場の状況を考えて、

必要なものを必要なときに届ける想像力、

思いやりの問題でもある。



・「植民地」が必要なロシアの経済力。



・キエフは1240年、モンゴルに制圧される。

モンゴル統治をのがれたノヴゴロドも、

1478年にはモスクワ大公国に併合され、

のちに、イワン雷帝によって市民を虐殺され、

その自由を奪われる。



・一方でモスクワはモンゴル来襲以後、

モンゴル人支配者のための税金集めを請け負い、

これを着服することで急に伸びた新興勢力だ。

やがてモンゴル勢力を駆逐すると、

ウラル山脈を越えて制服を開始。

300年かけて今のロシアのもとを作った。



・いまでも記憶に新しいのは「ガス戦争」だ。

ガスの通過料引き上げなどで、何度ももめて、てんやわんやだった。

最後にはウクライナのチモシェンコ首相が

プーチンと直談判してガス価格の値下げを勝ち取ったりしていた。

この美人のチモシェンコ首相がモスクワにやってくるたび、

プーチンは苦笑い。

でも満更でもない顔で彼女のいうことを受けていた。



・いままでは、ウクライナ・ロシア関係というのは、

表面では殴り合っていても、

テーブルの下では手を握ることが多かった。



・ロシアが魅力ある経済社会を築いていれば、

ウクライナのほうからロシアに寄ってきていただろう。

しかし、それは無理だった。



・ロシアは、天然資源に依存する異形の経済である。



・ただ資源だけでは1億4000万人の国民を

食わせるだけの富は生まれない。

資源輸出の利権は少数の特権者に集中しやすく、

途方もない格差を社会に生み出すもとになる。



・制裁がたとえ緩和されたとしても、

資源以外の産業が発達しないと、

民主主義の基盤となる中産階級が生まれない。



・いまのロシアの中流は、

そのほとんどが中央・地方の公務員、

国営・公営の社員、学校教員などで、

政府予算に依存して生きている。

ときには政府を批判する、健全な中産階級ではないのだ。



・ロシアの製造業には、

「サプライチェーンの不備」という問題もある。



★コメント

やはり世界を大きな目で見ていきたい。

大戦略の視点で見ることが大事。









◆猪瀬直樹『空気と戦争』を読む(その2)



★要旨



・日米戦争が始まったのは、1941年である。



・日中戦争が泥沼化していても、

撤退の選択は、ゼロではない。



・アメリカとの交渉も臥薪嘗胆で譲歩すれば、

原田少佐の述べるような、

「満州は駄目だが、朝鮮と台湾はうまくいけば残るよ」

という形もあり得た。



・昭和16年(1941)に、

アメリカと戦争を始めることに、

100%の必然性があったとは限らない、

と考えることも重要である。



・近衛首相も東條陸相も、

「大政治家というものは、正しいと自分で信じた場合、

国民など黙らして、その方向へ引っ張っていく」

という強いリーダーシップは、発揮しなかった。



・私は、昭和57年(1982)に、

鈴木貞一に取材した。

当時93歳。

鷹のような鋭い眼で、若い僕を見つめた。



・鈴木貞一は、元陸軍中将。

近衛内閣、東條内閣で、企画院総裁をつとめた後、

戦時中は貴族院議員や

労組を統制する大日本産業報国会の会長などをつとめた。



・戦後、「電力の鬼」と呼ばれた松永安左ェ門の

シンクタンク「産業計画会議」の委員となった。



・数字を誤魔化すと、国が滅びる。



・政治家の「腕力」と官僚の作った「統計」で

決まってきたものが、

正しい事実と数字で覆すことができる。



・人との出会いは、不思議である。

たまたま未知の人物を訪ねると、

そこに一枚、歴史を開く扉があった。



・きっとそんな扉が、無数に存在するのだろう。



・たった一つの数字、

あるいはひとつの決断が世界を変える、

と僕は知ったのだった。



・1997年に、

小泉純一郎という代議士に出会った。



・その人物が総理大臣になると

予想した者は皆無だった。

運命とは、ほんとうに分からないものだ。



・2006年、退任直前の小泉総理は、

感慨深げに言った。

「道路公団民営化が、本当にできるとは思わなかった」



・ほっとひと息ついたところで、

作家の大先輩の石原慎太郎・東京都知事から

「つぎの戦場があるぞ」

と呼ばれた。



★コメント

調べまくることの凄みを感じた。

学び取りたい。




◆PDF小冊子『諜報力の研究』のご案内。



※お申し込みはこちらです↓




★金額
5,000円(PDF版のみ)


※ページ数
A4サイズ・140ページ



★小冊子『諜報力の研究』目次と内容★



◆『戦争と諜報外交。杉原千畝たちの時代』(白石仁章)
◆『第5の戦場、サイバー戦の脅威』(伊東寛)
◆『陸軍中野学校の光と影』(マルカード)
◆『日本インテリジェンス史』(小谷賢)
◆『最強の知的武装術。英国諜報機関』
◆『インテリジェンス大国・日本の復活』

◆『MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』
◆『公安調査庁』(手嶋龍一)
◆『ゾルゲ・ファイル。赤軍情報本部機密文書』(名越健郎)
◆『ハイブリッド戦争』(廣瀬陽子)
◆『米中露覇権闘争と日本の最期』
◆『知的再武装・60のヒント』
◆『昭和の参謀』(前田啓介)
◆『ペンタゴン・ペーパーズ』(小野善邦)
◆『ベトナム秘密報告。ペンタゴン文書』(杉辺利英)

◆『ウィキリークス。アサンジの戦争』(月沢李歌子)
◆『ウィキリークスの衝撃』(菅原出)
◆『北朝鮮・核の資金源。国連捜査秘録』(古川勝久)
◆『石油・武器・麻薬。中東紛争の正体』
◆『KCIA秘録』(牧野愛博)
◆『諜報戦秘史』(岡部伸)
◆『レーニン対イギリス秘密情報部』(築地誠子)
◆『情報戦のロシア革命』(三浦元博)
◆『尾崎秀実とゾルゲ事件』(太田尚樹)

◆『内閣調査室秘録。戦後思想を動かした男』(志垣民郎)
◆『至誠の日本インテリジェンス』(岡部伸)
◆『エンペラー・ファイル。天皇三代の情報戦争』
◆『警視庁公安部外事課』
◆『内閣情報調査室』(今井良)
◆『国家の謀略』(佐藤優)
◆『戦略的インテリジェンス入門。分析手法の手引き』
◆『中国が仕掛けるインテリジェンス戦争』
◆『武器になる情報分析力』(上田篤盛)
◆『国際情報戦に勝つために。情報力強化の提言』(太田文雄)
◆『武漢コンフィデンシャル』(手嶋龍一)
◆『インテリジェンスで読む日中戦争』


以上。


※ページ数
A4サイズ・140ページ


★申し込みはこちらです↓








◆立川談四楼『一流の人は、なぜ落語を聞くのか』を読む



★要旨



・ドジでマヌケな話ほど、面白い。



・落語は、問題を処理、解決するためのアイデア、工夫なども

提供してくれる。



・落語の誕生には、仏教の影響も大きい。



・仏教には「節談説教」というものがある。

浪花節の原型。



・仏の教えを物語のように語る。

ここから笑いの部分を抽出すると、落語になる。



・マジメな正しいだけの話は、聞いてくれない。

聴衆は退屈する。

お坊さんは、ちゃんとそこを心得ている。



・そこで諸国で拾ったエピソードを

下ネタを中心に披露する。

するとドーンと笑いがくる。

1回笑うと、次の話を聞いてくれる。



・扇子をおいて、お辞儀する。

この扇子は「結界」を意味する。



・一流の人は、落語に人間を見ている。



・一流(ツウ)の人は、

落語を聞いているようで、

じつは演者をふくめた「人間」を見ている。



・視線を決める稽古。

これを覚えるのに、

気の遠くなるほどの時間と修業がいる。



・視線の位置、割振りで、

すべてが決まるといっても過言ではない。

登場人物に、命を吹き込む基本中の基本なり。



・会話の妙は、人付き合いの妙でもある。



・落語は、年をとると上手くなる。



・アシストの上手い人がいると会話がハズむ。



・落語家は、

登場人物の話の聞き上手でなければならない。



・昼間ケンカしたら、夜のうちに飲ませろ。



・職人の世界では、

ケンカ、モメ事がそのまま仕事にもちこまれると

命に影響が及ぶ。

だから親方は、早めに仲直りさせ、

仲裁に入る。



・昔は、ケンカ、仲直り、手打ちには

暗黙のルールがあった。


「よしこれで、もうおしめえ、終わり。

飲んで明日からまた励め」



・落としどころのツボも、みんなが共有していた。



・ケンカ、モメごとの仲裁には、

酒がほどよい雰囲気を作ってくれる。



・見習い、付き人は、

相手が何を求めているか、察知能力が問われる。

これを立川談志から徹底的に教わった。



・立ち位置が肝心。

付き人は、基本的には、目立たないこと。

つかず離れず。



・寄席の基本は、街角の銭湯にある。



・昔は、新聞記者の条件というのがあった。

歌舞音曲に通じていること。

とくに、歌舞伎と落語は必須。

知っていないと、いい記事は書けないといわれた。



・ジャーナリズムとユーモアと粋は、

つながっている。



・無理してでも、一流と呼ばれる店で飲む。



★コメント

落語から、日本文化の神髄を学びたい。







◆稲田和浩『ザ・前座修業。5人の落語家が語る』を読む



★要旨



・落語の世界は、

前座、二つ目、真打の三階級がある。



・前座は、一番下の修業の身分である。



★林家正蔵



・喜んで身体を使って働くことは、

前座時代だけではない人生の基本だ。



・父の林家三平は、

礼儀と約束事に関して、ものすごく厳しかった。



・父、三平は、祖父が56歳で亡くなり、

橘家円蔵門下に移り、

はじめて落語協会に入る。


もう、二つ目待遇でもよかったが、

父の意思と円蔵師匠の言葉で、

協会で一番下の前座からやり直した。

父は、ここで強くなった。



・父は、ぼくに言っていた。


「前座のうちは、とにかく働きなさい。

『はい』と返事をして、

どんな仕事でもなんでもいいから働きなさい。

徹底して身体を動かして働きなさい」と。



・ボクは父と違い、古典をやりたいと思っていた。

しかし、父の精神は、受け継いでいきたい。

つまり「落語を愛すること」

「寄席を大切にすること」

そして、いちばん大切な、

「お客様に楽しんでもらうこと」。



・一番弟子の「たけ平」は、ボクの追っかけだった。



・弟子は、なるべく辞めさせない。

花開く可能性を待つ。



・弟子には、お金のこと、時間のことは、

うるさく言う。


「何々師匠から、お小遣いいただきました」

「何々師匠のところに、お稽古に伺います」

「何々師匠にご馳走になりました」


これらの報告は、徹底させている。



★立川志らく



・立川流一門は、

寄席の定席に出ることはない。

だから前座修業の場がない。



・したがって、ひたすら毎日師匠の家に出掛け、

掃除などの身の回りの世話をすることで修業する。

これは寄席より大変なこと。



・立川談志の家で、


「自分で考えて、どう処理して行動するのか」が

修業なんだ、と私は理解した。



・「気を遣ってうまく立ち振る舞え」

というのが、

師匠の前座への基本の教えだった。



・談志の好きな映画と懐メロに

興味を持てない者は、

談志の弟子である価値はない、

と常々思っている。



・修業時代って、まるごと師匠に帰依し、

まるごと師匠から学ぶ貴重な時代である。



★コメント

人生には、前座修業のような時期が、

だれにも必要だと思う。




 



◆正田圭『ファイナンスこそが最強の意思決定術である』を読む



※要旨


 



・若くしてとんでもない成果を出しているビジネスパーソンが、

稀にではありますが、確かに存在します。



・これらのビジネスパーソンたちは、意識的にか、

そうではないかは別として、

戦略的に機会を呼び込む努力をしているのです。



・その努力とは何か。

それは「意思決定力の開発」です。



・どちらかといえば、とても細かい、

一つひとつ取り上げてみたら何でもないような意思決定を日々積み重ねることで、

毎日毎日、少しずつの意思決定の差を乗数的に積み重ねていくのです。

気が付いたら、そうした意思決定の回数は天文学的な数字になっていて、

それが「とんでもない結果」を生み出すのです。



・「とんでもない結果」を連続的に出す秘訣は、

実はこれらの細かい意思決定の質を高めることなのです。



・意思決定の質が高く、

ずば抜けた結果を出す人は皆、高度なファイナンス力を持っています。



・私は、会社を作っては売却するという、

いわゆるシリアルアントレプレナー(連続起業家)であり、

どのタイミングで経営の舵を切ろうかとか、

どの条件で売却しようかという意思決定を繰り返してきました。



・私は現在、

M&Aや資金調達などのファイナンスに携わる仕事についていますが、

もともとそのようなバックグラウンドがあったわけでも、

この分野について何かビジネススクールに通ったり、

資格を手に入れたりしたわけではありません。



・つまり、ファイナンスと会計学は、

お互いがお互いを補完する関係になっているのです。



・ファイナンスのプロフェッショナルを目指すには、

実は、会計、税務、法務の知識は避けては通れません。

効率よくファイナンスを学ぶ前提条件としての

会計、法務、税務などの知識を学ぶにはどうすればよいかをよく聞かれるのですが、

私が最もお勧めしている勉強法は公認会計士試験です。



・といっても、なにも試験を受けて合格しなさいという話ではありません。

授業だけ受けて、

テキストの問題をそれなりに解けるようになっていればじゅうぶんです。



・私は10代中盤のころ、

知り合いの上場企業の社長から、

これからビジネスの世界でやっていくのであれば

公認会計士試験の勉強をしたほうが良いと言われたものの、

メリットがよくわからず、放置していました。



・ファイナンスの能力を磨くには、実際のビジネスで使用して、

その結果を分析し、さらに精度を上げていくことが必要です。



・自分の人生をかけて取り組んでいる「起業」を、

運が悪かったですませたくない。

不確実な会社経営の中で、自分独自の意思決定のルールを作りたい。

私は独自の勉強を始めました。



・試験までは受けていないものの、

「公認会計士試験」「税理士試験」「司法試験」

「宅建」「保険数理士」など様々な分野の勉強もしました。

書籍は数千冊読みました。


 



※コメント

ビジネスに大切なことは何か。

その本質が、わかりやすいタッチで学ぶことができる。

今後もこの分野について深堀したい。






◆渡邊毅『日本と世界の架け橋になった30の秘話』を読む



副題→「戦争と平和」を考えるヒント。



★要旨



・『源氏物語』はなぜ欧米で評価されたのか。

11年かけ英訳したイギリス人の熱意。



・『源氏物語』はいかにして、時を超え、国境を越え読み継がれる文学作品になっていったのか。

11年の歳月をかけて『源氏物語』を英訳し、眠れる紫式部を目覚めさせた王子さまは、一人のイギリスの博物館員だった。



・大英博物館の館員、アーサー・ウェイリーがいつも通り日本画の整理をしていると、

一幅の絵巻物が目に入った。

「源氏物語絵巻」だった。



・「美しい」

 とウェイリーは、ものの哀れを背景にして浮かびあがる、美の世界に魅せられていた。 



・ウェイリーは少年の頃から古典に親しみ、

古代アイルランド語の碑文の読解に熱中するなど、

異なった言語に興味をもつような子供だった。 



・もとより彼は言語の才能に恵まれていた。



・一旦『源氏物語』を原文で読み始めたら、紫式部の天才性に魅了され、

夢中になって惹きこまれてしまった。

そして、ウェイリーはその高い文学性に大きな確信を持ったのである。 



〈これはまさに東洋最高の、そしてヨーロッパの小説と比較しても、

世界名作10点の中にその位置を占める長編小説だ〉



・『源氏物語』は世界屈指の名作だ、

と確信し自分がその翻訳者として運命づけられたと予感し、

この作品の翻訳を決意するのである。 



・以後11年を費やす翻訳は、

それはすさまじい集中力で進められていった。



・心の中の式部が語りかけたように

「自分が続けるしかない」と思い直し、

〈必ずや世界十大傑作にかぞえられるに相違ない作品を訳しているのだ〉

という信念を繰り返し自分にいい聞かせて、

精魂を込めてペンを走らせていくのだった。



・1000年の夢を破り、

世界に登場した『ザ・テイル・オヴ・ゲンジ』。



・第一巻が出たのは、翌1925年。

装丁は濃紺の布表紙に金文字で『源氏物語』、

背文字には同じく金文字で『ザ・テイル・オヴ・ゲンジ』というタイトルが入っている。 

日本古典文学が世界に進出した歴史的快挙である。



・忽然と東方から登場した紫式部の文才は、欧米の文壇で衝撃をもって迎え入れられ、

各新聞・雑誌上のおびただしい書評で激賞と喝采を浴びる。



・彼の文体は美しく、原文に新しい光を浴びせて、

一つの創作的な英文学作品につくり上げているのも、

読者を魅了する力になっているのである。



・ウェイリー訳は今も色あせることなく、

英文学の古典としての地位を占めている。まさに不朽の名作といえるだろう。



・ウェイリーに発見されるまで、『源氏物語』を知る人は欧米で皆無であった。



・1000年眠り続けたその目を覚まさせ、『源氏物語』の真価を蘇らせ、

世界第一級の文学として全世界に知らしめたのが、

ウェイリーという「王子さま」だったのである。



★コメント

今一度、源氏物語をしっかり読みたくなった。





◆岩井秀一郎『今村均。敗戦日本の不敗の司令官』を読む



★要旨



・今村均は、大東亜戦争(太平洋戦争)開戦時に第16軍司令官として活躍し、

最後は要衝ラバウルで第8方面軍司令官として終戦を迎えた陸軍大将である。



・開戦時、蘭印(オランダ領インドネシア)を攻略し、

温情主義的な統治によって成功を収めた。



・その後はニューブリテン島のラバウルを要塞化し、

徹底的な自給自足体制を整えて連合軍の反攻に備えた。



・第8方面軍の構築した要塞は連合軍の攻略を躊躇させるほど 強力なものであり、

とうとうラバウルは連合軍の上陸を見ずに戦争の終結を迎えた。



・結果として日本は戦争に敗れてしまったものの、

今村のいるラバウルは最後まで統率を全うしたのである。



・そして、戦争が終わっても今村は指揮官の責任を

放棄しなかった。



・しかし彼は旧部下がパプアニューギニアのマヌス島の劣悪な環境で収容されているのを見過ごせなかった。



・今村は、誰もが戻りたかった祖国に帰ってきたにもかかわらず、

志願してマヌス島へと向かった。



・戦争が終わってオーストラリア軍の管理下に置かれた後も、

将兵に旧制中学校卒業程度の学力をつけさせるために、

一般教養科目の教科書・資料を編纂させ、

部隊ごとに適任者をもって臨時の教育を行わせた。


・戦争末期、

今村はすでに戦後を見据えた指導を行なっていた。

昭和20年6月ごろ、今村は方面軍の若い中、少尉を集め、

戦闘とは直接関係のない技術教育(講座)を開始した。



・今村均という人間は一見平凡にみえながらも

指導者として欠いてはならない修養を重ね、

大東亜戦争という日本最大の危機に可能な限り対処した。



★コメント

今村さんの凄みから、

学びとりたい。