食塩水の入れまちがい② | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

何らかの手違いで予定外の食塩水ができてしまった…という状況の食塩水問題の第2弾です。

 

  その1(恵泉女学園2023第2回)

 

濃さがわからない食塩水300gに、濃さが4%の食塩水100gを加えて食塩水を作るところを、まちがえて水を100g加えたため濃さが4.5%の食塩水ができました。正しく作ったときの食塩水の濃さは何%ですか。

 

右矢印 できあがった「濃さが4.5%の食塩水」は400g(=300+100)あるからいま食塩18g(=400×0.045)が入っている。

 

正しくは水100gではなく「濃さが4%の食塩水100g」を入れるはずだった。とするとあと食塩4g(=100×0.04)がここに足されるはずだった。

 

よって正しく作ったときの食塩の量は18+4=22gとなり(食塩水の全体量は400gで変わらないから)22÷400=0.055 よりその濃さは 5.5%

 

 

  その2(愛工大名電2023)

 

2%の食塩水と7%の食塩水100gを入れて食塩水をつくる予定でしたが、間違えて混ぜ合わせる量を逆にしてしまったので、できた食塩水の濃度は予定していた食塩水の濃度の半分になりました。このとき、2%の食塩水の量は何gか求めなさい。

 

右矢印できた食塩水の濃度は予定していた食塩水の濃度の半分」ということなので、予定していた濃度を②%、実際にできた濃度を①%とする。

 

混ぜ合わせる量を逆に」したときの天びんを考えると支点の左右のうでの長さもちょうど逆になる。予定では支点アだったのが実際には支点イになったとすると

支点アから7%までの長さと支点イから2%までの長さは等しいことから

 7-②=①-2 より ③=9 だから①=3%

 

よって 3%×2=6%の食塩水ができる予定だったとわかり、支点アの天びん図を書いて

2%の食塩水の量は 100÷4×1=25g

 

 

  その3(八王子中2023)

 

5%の食塩水150gに水を入れて3%の食塩水を作ろうとしましたが、誤って入れようとした水と同じ量の2%の食塩水を入れてしまいました。できた食塩水の濃度は何%ですか。

 

右矢印 いま「5%の食塩水150g」には 150×0.05=7.5gの食塩が入っている。

ここに「水を入れて3%の食塩水」にすると(7.5÷0.03=250より)食塩水の量は250gとなる予定だった。

つまり(いま食塩水は150gだから)水100gを入れる予定だった

 

実際に入れたのは「同じ量の2%の食塩水」だから2%の食塩水100g。ここには2gの食塩が入っている。

 

よってできた食塩水は250g(=150+100)でこのなかに食塩9.5g(=7.5+2)が入っているから 9.5÷250=0.038 より 3.8%

 

 

  その4(神奈川大学附属2023第2回)

 

11%の食塩水A 480gに水[ア]gを加えて8%の食塩水を作る予定でした。しかし、食塩水Aをいくらかこぼしてしまい、水[ア]gを加えたところ、7%の食塩水ができました。
①[ア]にあてはまる数はいくつですか。

 

右矢印11%の食塩水A 480g」には食塩52.8g(=480×0.11)が入っている。これで「8%の食塩水を作る予定」だったから予定していた食塩水の量は660g(=52.8÷0.08)

よって 660-480=180 より

[ア]=180g

 

②こぼした食塩水Aの重さは何gですか。

 

右矢印 こぼれずに残った食塩水Aの重さを▢gとする。11%の食塩水▢gに水180gを加えると「7%の食塩水」になるということなので

天びん図を書くと ▢=180÷4×7=315 とわかり、こぼれずに残った食塩水Aの重さは315gとわかる。

よってこぼした食塩水Aの重さは

 480-315=165g

 

 

  その5(栄東2023A)

 

5%の食塩水560gを作ろうとして水と食塩を別々にはかりで量って混ぜたところ、はかりがこわれていたため、食塩も水もそれぞれ▢gずつ多く入れてしまい、8%の食塩水ができました。

 

右矢印5%の食塩水560gを作ろうと」するとき

  • 食塩は 560×0.05=28g
  • 水は 560-28=532g

が正しい量。

それをあやまって「食塩も水もそれぞれ▢gずつ多く入れて」しまうと

 食塩は(28+▢)g、水は(532+▢)g

になる。そしてできあがった「8%の食塩水」を比であらわすと

 食塩:水=8:92=2:23

ということだから

 (28+▢):(532+▢)=②:㉓

とおける。

ここで等号の左の比「 (28+▢):(532+▢)」に注目すると、この比の左右の数の差は504(=532-28)

これが等号の右の比の差㉑(=㉓-②)だから ①=24

 

よって 28+▢=②=48 より ▢=20g  

 

 

  その6(横浜雙葉2023)

 

濃度が4%の食塩水が50g入っている容器Aと、濃度が10%の食塩水が290g入っている容器Bがあります。容器Aに入っている食塩水をすべて容器Bに移そうとしましたが、誤って何gかこぼしてしまいました。その後、容器Bに10gの食塩を加えると、濃度が12%になりました。こぼした食塩水は何gですか。

 

右矢印容器Bに10gの食塩を加える」操作はあとからされたものだが、順番を変えてこの操作を先にしてもできあがる食塩水の量や濃度は変わらない。

そこで「濃度が10%の食塩水が290g入っている容器B」に10gの食塩を加える」操作を最初にしたと考える。

すると食塩の量は39g(= 290×0.1+10)、食塩水の量は300g(=290+10)だから 39÷300=0.13 より容器Bのなかは13%の食塩水300gになる。

 

これと容器Aに残っていた「濃度が4%の食塩水」▢gを混ぜたら「濃度が12%に」なったのだから天びん図を書いて

▢=300÷8×1=37.5より、こぼれずに容器Aに残っていた食塩水▢gは37.5gだとわかる。

 

よってこぼした食塩水は 50-37.5=12.5g

 

 

  その7(大宮開成2023)

 

A、B、C 3つの容器には砂糖と食塩の水溶液が入っています。Aには水溶液100gにつき砂糖だけが5gとけています。Bには水溶液100gにつき食塩だけが6gとけています。Cには両方がとけていて、その割合は水溶液100gにつき砂糖が4g、食塩が3gです。Cから水溶液250gをとり、Aから何gか水溶液を取り出してまぜ、砂糖と食塩の比が7:3になるようにするつもりでしたが、まちがえてAから取り出す予定の量をBから取り出してまぜてしまいました。
このとき、次の各問いに答えなさい。
⑴ できた水溶液の中の食塩は何gになりましたか。

 

右矢印 Cには「水溶液100gにつき砂糖が4g、食塩が3g」入っているから「Cから水溶液250g」をとるとそこに入っているのは(4÷100×250=)10gの砂糖(❶)と(3÷100×250=)7.5gの食塩(❷)

このCから取った水溶液に「Aから何gか水溶液を取り出してまぜ」ると「砂糖と食塩の比が7:3」になる予定だった。

  1. Aには砂糖しか入っていないからできる予定だった水溶液に入っている食塩は❷だけで7.5g
  2. これが「砂糖と食塩の比が7:3」のうちの「3」にあたる量だからできる予定だった水溶液に入っている砂糖は17.5g(=7.5÷3×7)。このうち10gはCからきた❶だから(17.5-10=)7.5gの砂糖がAからくる予定だった
  3. 水溶液100gにつき砂糖だけが5gとけて」いるAから砂糖7.5gがくる予定だったとするとAから取り出す予定だった量は 100×7.5÷5=150g

この150gをまちがえて「水溶液100gにつき食塩だけが6gとけて」いるBから取り出してしまったので実際には(6÷100×150=9より)9gの食塩がBからきた(❸)

 

よって❷❸より、できた水溶液の中の食塩は

 7.5+9=16.5g

 

⑵ できた水溶液の中の砂糖の割合は水溶液100gにつき何gですか。

 

右矢印 Cから取り出したのは「水溶液250g」でここには砂糖10gが入っている(❶)。これとまぜたのはBから取り出した水溶液150g

 

よってぜんぶで水溶液400gのなかに砂糖10gが入っている。これは水溶液100gあたりの割合にすると 10÷400×100=2.5g 完了