もう4月。

新年度の始まりですね!!

 

そして、【3ヶ月ワークショップ】4月〜6月期も、本日スタート!!

 

 

 

今期は合計47名の受講生と、演技探求の航海へ出発します。

皆さん、どうぞよろしくお願いします!!

 

 

 

 

……さて。

先日の記事で、役を演じるに当たって最も重要なことのひとつ「葛藤」についてお話をしました。

 

 

 

英語では「conflict」、つまり「対立、衝突」という意味合いですね。

これは、スタニスラフスキーから始まる近現代のリアリズム演劇のみならず、あらゆる演劇においてめちゃくちゃ重要な考え方です。

 

今回は、新年度ということもあり。

あらためて、演技でもっとも「キホン」となる構造と、それに関するお話しをしてみようと思います。

 

今月から僕の3ヶ月ワークショップに参加される方も、先にこのキホンを押さえておいていただけると、より一層理解が進みますよ!!

 

 

 キホン構造は、こんなにも簡単!!

 

演技とは、何か?

台本には何が書かれ、俳優は何を実行すべきなのでしょう??

 

この大いなる疑問を、とってもシンプルな言い方をすると……

 

 

役が、達成したい「目的」に向かって歩む中、さまざまな「問題」とぶつかり合う。

 

 

コレが台本に書かれていることであり。

目的に向かって、その問題を「解決」しようとする行動を俳優が演じるのです。

 

この「目的」と「問題」がぶつかり合って、「conflict」(コンフリクト)を生み出します。

conflict とは「葛藤、対立、ぶつかり合い」のことです。

 

 

実は。

演技のキホン構造は、こんなにもシンプルなんです!!

 

 

もう一度、整理しますね。

 

 

①役は、何らかの「達成したい目的」を持っています。

 

②しかし、劇中で、その目的を阻む「問題」(演劇用語では、これを「障害」といいます)が立ち現れ。

 

③役はその問題とぶつかり合い(conflict)、それを乗り越えようと行動します。

 

 

上の①〜③に登場するのは、赤い文字で書かれた "たった4つの要素"

そして、この①〜③の "3つの手順" が折り重なるように描かれている。

 

このキホンさえ理解しておけば、演技の理解度は一気に高まり、アタマが整理されます。

 

ちなみに、「conflict」だけが英語で表記されていますが。

これは、日本語での表現(「葛藤」「対立」という演劇用語)の使い分けにちょっとした複雑さがあるため、今回はあえて英語で書かせていただいてます。

あくまでも "混乱を避けるため" にそうしているだけなので、今はあまり気にしないでくださいね。

 

 

 

 キホンを忘れるべからず!!

 

僕の経験上。

日本の俳優たちが抱える「演技に関する悩み」の大半は、このキホン構造を忘れている、またはきちんと学んでいないことに起因していると感じます。

 

このキホン構造をすっ飛ばして、いきなり感情やらキャラクターやらを表現しようとして、混乱状態に陥ってしまっているんです。

 

 

たとえば。

役の目的や、そこに起きている問題がクリアに把握できていない。

そうすると当然、それらのぶつかり合い(conflict)もはっきりしない。

 

そんな状態では、当然ながら、舞台上やカメラの前で何をしていいのかも明確にならず、困ってしまいますね。

 

明確でない状態のまま、現場やオーディション、レッスンなどで演技を披露しなくてはいけない。

それは、非常に怖いことです。

「何をしたらいいのかわからない」のに「何かをしなくちゃいけない」という状況下で、俳優は過度な緊張状態に陥って、結果的に「演じるのが怖い」「楽しくない」と感じることになります。

 

 

 

 

また。

「台本読解が苦手」という方も、多くの場合、この「conflict」を明確に掴めていないのが原因です。

 

conflict を明確にしようとすれば、自ずと役の「目的」や、そこに発生している「障害」(問題)もクリアに見つけなくてはいけません。

 

こうして、見つけるべき要素がはっきりしていれば良いのですが。

キホン構造が理解できていないために、台本を読もうとしても、「そこから何を拾い上げたらいいのか?」「何を読み解けばいいのか?」が、そもそも分かっていない、という状態が発生します。

何を読めばいいのか、という、読解の「目標」が失われていては、もうお手上げですよね……。

 

そんな風に、キホンが分からない状態で台本に向かうと。

結局、「役はどんな感情なんだろう?」「このセリフはどんな言い方をすればいいのかな?」「どんなキャラクターで演じれば良いだろう?」といった、的外れなことばかりを考えてしまったり。

あるいは「あらぬ方向へ役の想像を広げてしまい、おかしなことになる」といったことが起こります。

 

 

 

 

……どうでしょう?

今、演技をすることが怖かったり、読解ができないといった悩みを抱いている方は、ここまでお伝えしてきたことに少なからず心当たりがあるのではないでしょうか?

 

実際、日本では。

このキホン構造を学ぶ前に芸能プロダクションへの所属が決まり、そのまま現場に出てしまう。

そのまんま、なんとなく現場にも慣れて、結局キホンを知らないまま仕事を続けている。

こうした俳優の方は、かなり多いです。

(実は、僕もそのタイプでした……)

 

事務所所属や仕事が決まるのは、素晴らしいことです。

ですが、俳優である以上、大切なことを忘れてはいけません。

 

 

こうした背景には、専門学校や養成所でこうしたキホンをきちんと教えていないという事情もあります。

これは本当に、日本の俳優トレーニングの現場が抱える深刻な問題です。

 

 

また、監督や演出家のワークショップでは、こうしたキホンはなかなか学べません。

これについても、注意が必要です。

 

 

 

 キホンの構造は、こんなにも簡単!!

 

さて、あらためて。

まず演技をするにあたって押さえておきたいキホン。

 

「達成したい目的と、そこにぶつかってくる問題」

 

この構造。

 

これ自体は、なにもスタニスラフスキー・システムやメソッド演技だけの話ではなく。

言うなれば、もう、すべての演技に共通する土台なんですね。

 

 

たとえば、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』だって、『マクベス』だって、『夏の夜の夢』だって、『ヴェニスの商人』だって……すべて、この基本構造の上にドラマが進行しますよね。

 

 

もっと身近なところで言えば、日本のドリフターズのコントだってそうですし、僕の好きな日本のお笑い芸人「サンドイッチマン」のお二人のコントも同じですね。

「志村、うしろ〜!!」という掛け声や、「何言ってるか分からない」と富澤さんにツッコまれる伊達さん。

この背景には、役が達成したい「目的」と、そこに起きている「問題」という構造があります。

 

 

それから、イギリス出身の喜劇王チャールズ・チャップリン

同じくイギリスから登場した、Mr.ビーン

彼らの演技も、そのルーツとなっている "クラウン" も、み〜んな「目的」と「問題」がぶつかり合い、その時のキャラクターの反応や行動に観客は笑ったり、泣いたりしているんですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 まとめ

 

さぁ、いかがでしたでしょうか。

 

ざざっと、上のような例を挙げても。

歴史上の演劇作品からお茶の間のコントまで、すべての演技の土台が共通していることが理解できると思います。

 

なぜなら、役には「達成したい目的」があり、しかしそこに次々と「問題」が発生することで、ドラマ(劇)は進んでいくからです。

この構造が崩れてしまったら、そこには何の物語も生まれないのです。

 

 

こうやってお伝えしてみると、当たり前すぎることかもしれません。

でも、だからこそ、意外と知らない、忘れていることだったりします。

 

この機会に、もう一度、キホン構造からきちんとおさらいしておきましょう!!

 

 

 

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