声優のためのオンライン演技研究所
〜基礎トレーニング編〜
1/24(水)、募集開始!!
※詳細はまもなくアップいたします。
……昨年10月〜12月に開催した「声優のためのオンライン演技研究所」を経て。
声優の皆さんに、演技者(actor)としてのさらなる「基礎の基礎」を身につけていただけたらと思い、第2弾の開催を決定いたしました!!
演技は、アタマで分かっているだけではモノにできません。
今回は実際にエクササイズを行なって、それをカラダで手に入れていただこうと計画しています。
エクササイズの大切さについては、前回記事でお話ししています👇
さて、そんなわけで今日の記事では。
声優の演技に必要なことについて、あらためてお話ししてみようと思います。
心・身体・音声・言語の "筋道"
人間は「心」と「身体」を持っています。
そして、口から「音声」を発し「言語」を喋ります。
誰かとコミュニケーションを取ったり、何かを伝えたりしようとする時、僕らは「身体、音声、言葉」を使ってそれを行います。
「心」は、「身体、音声、言葉」によって "表現" され、他者へと伝わっていくのです。
俳優もまた、「身体、音声、言葉」を使って舞台上やカメラの前で "表現" をします。
一方、声優は「音声・言語」のみでそれを行います。
まずここからは、人間が持つ「心・身体・音声・言語」という要素を、それぞれの関連性を整理しながら "筋道" を立てて辿ってみたいと思います。
そこから、「音声・言語」の表現に大切なことが見えてくるかもしれません……。
心・身体・音声・言語
最初に、忘れてはならないのは「心と身体は繋がっている」ということです。
かのスタニスラフスキーも、
「あらゆる身体的行動には、何か心理的なものが存在するし、心理的な行動には何か身体的なものが存在する」
と説き、その片方が欠如することはあり得ないと言っています。
人間の心理や行動を分析する際、あるいは演技をする際も、この大原則を崩すことはできません。
そして今回、特に注目していただきたいのは「身体、音声、言語」の関係です。
先述した通り、舞台や映画、テレビドラマに出演する俳優は、この3つの要素を使って表現をします。
一方、声優は「音声、言語」という2つの要素を使います。
ちなみに。
演劇における "表現" とは、観客が五感を使って感じとることができるもの、つまり「観客の目に見えるもの、聞こえるもの=身体・音声・言語」(声優の場合は「音声・言語」)を使って実行されます。
演技者は、いくら「心」が動いていても、「身体・音声・言語」が使えていなくては、表現は達成されません。
端的に言えば、演技とは「身体・音声・言語」を使って「心」を表現するのです。
「心」は表現したいもの、「身体・音声・言語」はそのためのツールということになりますね。
「演技」というものを考える時、まずはこのことを押さえておかなくてはなりません。
人間がそれらを手に入れる「順番」
身体と心が「繋がっている」ということは、先ほどお伝えした通りです。
では「身体・音声・言語」とは、どんな関係を持つのでしょう?
その3つの関係を明らかにした時、どんな "筋道" が見えてくるのでしょう?
実は、この "筋道" こそが、演技を学ぶ上で非常に重要になってくる。
そして、声優の演技を考える際にも、とても役に立つことなのです。
……赤ちゃんは、お腹の中にいる時は声を出すことができません。
当然、言葉もしゃべれません。
「身体・音声・言語」のうち「身体」でしか、何かを "表現" することはできないのです。
(お腹の中の赤ちゃんの動きを "表現" というのは少しおかしいかもしれませんが)
その赤ちゃんがこの世界に生まれ出て、お母さんとの関係が「他人同士」として結ばれると、いよいよ "表現" が始まります。
お腹が空いた時、暑い時、オムツを変えて欲しい時……「他人」であるお母さんにその意思を何とかして伝えようと、大きな声で泣きます。
こうして、これまでの「身体」の動きに加えて、オギャー、オギャーという「音声」が発生します。
つまり人間は、最初に「身体」を獲得し、次に「音声」を獲得するという筋道を辿るのです。
そんな赤ちゃんも、少し経つと「言語」を習得します。
これまでは「身体」と「音声」だけでお母さんに意思を伝えようとしていたのが、いよいよ「コトバ」を使って、より的確に自分の考えを "表現" するようになるのです。
さぁ、これで筋道が見えてきましたね。
人間は、自己の表現能力を、
身体 → 音声 → 言語
の順番で獲得するのです。
言い換えれば。
「言語」は必ず「音声」という土台の上に立ち、その「音声」は「身体」という土台の上に立っているのです。
演技における「心・身体・音声・言語」
声優も舞台演技を学ぶべき理由
演技において「セリフ(言語)」を喋るということには、必ず「音声」という土台があります。
そのさらに土台には「身体」があります。
つまり、「音声」なくして「セリフ」は喋れませんし、「身体」なくして「音声」も「セリフ」も発することはできない。
この3要素が互いに繋がり合い、こうした筋道(順序)で積み重なっている以上、セリフを喋るためには自ずと「身体」という土台が必要になってくるのです。
もし、身体表現が "死んで" いたら、それに乗っかっている音声もセリフも、死んだものになります。
生き生きとした素晴らしいセリフは、優れた身体感覚から生まれるものです。
これが「声優も舞台演技を学ぶべき」と言われる決定的かつ基礎的な部分での理由です。
心から、セリフへ……
そして「心」と「身体」も繋がっています。
心に何らかの「衝動」が生まれれば、それに伴って身体にも「衝動」が生じます。
「明日、ディズニーランドに行くのが楽しみでワクワクする。早く行きたい!!」
その心の衝動は、ソワソワしたりムズムズしたりする「身体の衝動」を生じさせます。
「この先輩と話すの、怖いなぁ……嫌だなぁ……」
そう心が感じたら、身体は「早くこの場を立ち去りたい」という身体的な衝動を生むでしょう。
そして、それらの衝動がそのまま身体の行動として "表現" されたり、それを我慢しようとして身体を固めるといった状態として "表現" されるのです。
「音声」の表現は、必ず「身体」の行動や状態が土台となり、さらにその「身体」は「心」と繋がっています。
心がワクワクして、身体もそれに合わせて動いていたら、そこから発せられる声も自然と明るくなりますよね?
そして、その「音声」が「言語」の表現へと繋がっています。
これ。
逆を言えば、心や身体が動いていないのに、音声や言葉だけ明るく振る舞おうとしても、それは非常に不自然で困難だということです。
▲人は、楽しければ自然と身体が楽しそうに動き、明るい声で笑います。それが自然なことだからです。
マイクの前でも「身体の動き」が必要なの?
ここまでの話で、声優の「音声表現」のトレーニングについて大切なことが、少し見えてきたかもしれませんね。
身体や心が伴わず、声だけ、セリフだけで何かをしようとしても、それは人間の道理、生理として非常に不自然なことなのです。
身体が "死んでいる" 状態で、セリフだけで頑張ろうとしている声優さんを見ると「なんて難しいことをしようとしているんだろう……」と思ってしまいます。
そうした声優さんにとっては、身体を使うことの方が難しく感じているのでしょうけれど、それはまったくの思い込み。
身体を伴わせてしまった方が、よほど楽に音声やセリフの表現が達成されるのです。
ただ、ここで誤解しないでいただきたいのは、必ずしも「身体を激しく動かさないと、激しい音声表現はできない」というわけではないってこと。
そんなことを言い出したら、到底、マイク前で演技なんかできませんよね。
実は、身体的な行動というのは、その本質的な衝動や動きをちゃんと残したまま、物理的な動きを「ミニマム」に抑えていくことが可能なんです。
身体が「動いている」という感覚を残しながら、身体が静止している状態にまで抑え込むことができるのです。
ひとつ、実験してみてください。
あなたは今、誰かとキャッチボールをしていて、手に持っているボールを投げようとしています。
もしスペースがあれば、実際に「投げる」動作をしてみてください。
その身体の行動を繰り返しながら、その動きをどんどん小さくしていってみましょう。
ただし、ボールを投げている「感覚」だけはキープしながら。
コツは、筋肉を硬直させて止めていくのではなく、リラックスした中で、感覚をしっかり維持しながら身体の動きをやめていくイメージです。
……いかがでしょうか?
身体はリラックスして全く動いていないのに、身体の中に「ボールを投げている感覚、衝動」が残存していませんか?
この感覚、衝動は、そこから生まれる音声の源となり、言語(セリフ)の表現へと繋がっていくのです。
実際、プロの声優さんが、こんなことを言っていました。
「アフレコをしている時も、役が『今、身体がこっち向いて、こっちに向き直って……』と動いているのをちゃんと分かっているし、その身体の動きの感覚は自分の中にあるように思う」
これが、声優の演技を上達させるための大きなヒントです。
心・身体・音声・言語の、双方向の繋がり
ここまでの話を整理すると、「身体、音声、言語は繋がって」いて、なおかつ「身体」と「心」が繋がっています。
すなわち、
心 ー 身体 ー 音声 ー 言語
という、大きな繋がりが見えてきます。
これらは「繋がって」いるものですから、心が動いたら身体も動き、音声や声も動くのと同様、実は「その逆」も成立します。
つまり、セリフの言い方を変えれば、それに伴って身体の動きも変わり、心も変化するのです。
実際、こちらの「身体(言語、音声)→心」という順序は、俳優や声優にとって非常に重要な考え方になってきますし、とても頻繁にそのアプローチを使用します。
ただし、この双方向の関係を演技で使いこなすためには、それら(心・身体・音声・言語)がしっかり「繋がっている」ことが絶対条件です。
そのために、演技の基礎トレーニングが必要になるのです。
というのも、実人生ではそれらは常に繋がっていますが、演技ではバラバラに分離してしまうからなんですね。
つまり。
演技をする時でも、実人生のようにそれらが常に "繋がる" ように訓練することが、俳優トレーニングの大切な「基礎」部分なんです。
この基礎ができていなくては、心も、身体も、音声も、言語も、みんなバラバラのまま。
いくらその先で役を演じようとしても、その「心」を "表現" することはできません。
バラバラのものを繋ぐ、基礎トレーニング
2月〜3月に開催する「声優のためのオンライン演技研究所」第2弾では、この「基礎」部分にフォーカスし、声優として "表現する楽器" をトレーニングしていただこうと思っています。
ここで言う「声優の楽器」とは、一般的な発声・滑舌の話ではありません。
いくら良い発声・滑舌を持っていても、役を「演じる」ためには不十分です。
発声・滑舌の訓練で手に入れた「音声」「言語」のスキルを、「身体」、そして「心」まですべてコネクトさせて、初めて「役を演じる」ことができる。
これが今回、僕が声優の皆さんにお伝えしたいことです。
前回の声優クラスでは、皆さんがとても熱心に取り組んでくださっていて、本当に感激しました。
僕の知識や指導で皆さんのお役に立てるなら、最後まで精一杯の力を尽くさせていただこうと思っています。
なお、今回はエクササイズ中心なので、前回受講された方々にも新しい内容となっています。
ぜひ、またご参加くださいね。
現在、詳細記事を準備中です。
楽しみに待っていてください!!
1/24(水)、募集開始!!
声優のためのオンライン演技研究所
〜基礎トレーニング編〜
▶︎実施は2月〜3月、水曜日13時から。
▶︎オンライン "Zoom" にて。全8〜10回予定。
▶︎エクササイズやシーンワークが中心。
▶︎アーカイブ予定あり。
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