episode13:神さまお願いします
1ヶ月振りの再会を迎える前の日の夜恐らく別れかけの彼、Y氏から衝撃のLINEを受ける「明日は20時に◯◯で待ち合わせねところでさ、mimiに△△保険勧めたらキレる?笑」そう、彼は保険屋だ保険屋なことが悪いのではない急に「キモチがプツ−ンってなってるんだ」と言い出して1ヶ月丸々放置した彼女に久々に会うタイミングで保険加入を勧めてきたのだもうこれは彼としてとか、男性としてとか、社会人としてとかをぐうんと通り越して人として終わっているなんて、なんて、デリカシーのない人なんだ人としての品位はないのかとにかくLINEを読んだ一瞬で心臓から冷たいものが体中にじわぁっと広がっていくのを感じた「返答に困る」そう一言返信するとすぐに「やめとこう」「とりあえず焼肉食べよ」と返ってくるもはやそれには何も返せなかったその時仕事中で近くにいた最強オンナトモダチYKチャンは醒めきった目で携帯を見るワタシに異変を感じたらしく「なんかあった・・?」と聞くワタシは一言「超えてきた・・・・・・」と言って思わずそのまま画面を見せるYKチャンもさすがに目を見開く「マジか!すげえなコイツ!!!!」ありがとう、潔い一言ホント、それに尽きる同じ画面を共有したもう一人の最強オンナトモダチKJも同じ反応「なに?彼、サイコパスなの?マジこわいんだけど」もはや普通の人間として捉えて貰えないレベルに達するようだった幼少期から熱心に神社に通う神の子YKチャンにワタシは2週間連続でゆかりの神社に連れて行ってもらっていた何を隠そうワタシはクリスチャンだが「神さまは宇宙で1番寛大だ」と信じてやまない私達はYKチャンに言われるがままYKチャンの神さまの元へ通っていた真っ暗な中にぼんやりと浮かび上がる境内広い広い畳のお部屋の真ん中で正座をしてYKチャンは祝詞を唱えてくれるしきたりも何もかも分からないが「ただそこに居なさい」と言われ見よう見まねで「無」になってそこにいる明日、ようやくY氏に会う前日そんな「厳かな祈り」の夜も3度目を迎えていたいつもと同じようにYKチャンは祝詞を唱えてくれる磨き上げられた木の廊下に正座して神さまにお願い事をする1度目と2度目にここに来てお願い事をしたときは「Y氏がしっかりワタシと向き合ってくれますようにまた一緒に生きるチャンスを下さい」といったお願いをしたけれどこの日は違ったあのLINEをもらった後ワタシはどこかで醒めていた「どうかワタシが正しい判断が出来る人間でありますように」今日も神社に連れて行って欲しいとYKチャンに頼んだ時まさか自分がこんな事を願うだなんて思ってもみなかったでもワタシはそう願ったどうかワタシが正しい判断を出来ますように・・・再会して嬉しくなって何もかも忘れて流されたりしませんようにこの1ヶ月、何度も死にたいって本気で自分を責め続けていることそれを乗り越えかけて でも壁が大きすぎて高すぎてまだよじ登っている最中なことそれを必死で手伝い続けてくれている大事な友人たちや先生がいること新しい自分の在り方をつかみに行こうとしている自分食べれなくなって小さくなったワタシを見て友人が流した涙話を聴きながら震える手をぎゅっと握ってくれる想い何とか生きさせよう、生きるチカラをつけさせようとワタシよりもワタシに必死になってくれた大切な存在お願いだからお願いだからワタシは明日正しい判断が出来るワタシでありますように神社を後に砂利道を歩きながらYKチャンに「何を願ったの?」と聞かれた「明日、正しい判断が出来るワタシで居させて下さい、みたいなことかな」とつぶやくとワタシも似たようなことを願ったとYKチャンは言うえ?ワタシのことお願いしてくれてたの?驚いて横を向いてそう言うとYKチャンはこう言った「え?毎回mimiのことお願いしてるよー」うそ・・・なんてことだ「Y氏がアンタにとって相応しい人ならそのとおりにでも違うのなら、もうmimiにかかわらないで下さいってお願いしたw」神さまお願いだけして、感謝をするのを忘れていたかもしれません神さまワタシの人生に素晴らしい人達を贈ってくださり本当にありがとうございます本当に、本当にありがとうございます