サンゴの新種、日南大島で相次ぎ発見 宮崎大教授「研究の発信地に」
<写真>、、、宮崎県日南市の大島周辺海域で見つかった新種の造礁サンゴ「ヘンゲカメノコキクメイシ」
深見裕伸・宮崎大教授提供
宮崎県日南市の大島の周辺海域で、サンゴの新種発見が相次いでいる。
研究者は「宮崎がサンゴ研究の新しい発信地になる」と期待。
日本の環境保全を考える上での重要性を強調している。
宮崎大の深見裕伸教授(海洋生物環境学)のグループは、サンゴ礁を形成する能力がある「造礁サンゴ」に属する新種を発見し、茶色や緑色などさまざまな色があることから「ヘンゲカメノコキクメイシ」と命名したと、7月に発表した。
深見教授らは4月にも大島周辺で、ソフトコーラルと呼ばれるグループの新種を発見したと発表している。
ソフトコーラルは、大きさが1ミリにも満たない細かい石灰質の骨片を体内にバラバラな状態で保持しているサンゴだ。
ソフトコーラルの新種は、同じ大島周辺で深見教授らが見つけ、2年前にも発表している。
この時の新種はウミアザミ属に含まれるが、ほかのウミアザミ属に見られる扁平(へんぺい)で楕円(だえん)状の骨片だけでなく、紡錘(ぼうすい)形をした特殊な骨片を持つのが特徴で、世界で初めての例だったという。
7月に確認された造礁サンゴの新種は、こうしたソフトコーラルとは異なり、しっかりした石灰質の骨格を持つ。
この骨格が長い年月をかけて積み重なり、地形を形成するまでに成長したものがサンゴ礁と呼ばれる。
「サンゴは日本各地に生息するが、サンゴ礁ができるのは基本的に鹿児島県の種子島より南の暖かい亜熱帯の海域。
今回は、非サンゴ礁域にあたる温帯気候の九州以北で、貴重で珍しい造礁サンゴの生息を証明できた」と深見教授は意義を語る。
造礁サンゴが必ずしもサンゴ礁をつくるとは限らない。
カギは寒い冬季の海水温で、一般には18度以上が条件とされる。いま、地球温暖化による海水温上昇が各地で観測されている。
県沖でのサンゴ研究が地球環境の変化についての貴重なデータになると、深見教授らは注目している。
研究論文は国際学術雑誌「ZooKeys」のオンライン版で公開された。(伊藤隆太郎)
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