前回のブログでは、碧の森の未来の構図について書きました。
自分で書いたものを改めて読み返しました。職親プロジェクト参加や保護司になりたいなど、随分デカく出たなぁ…と思いました。
言葉にして、目標実現のために動く。自分が吐いた言葉に責任を持ち、最後までやり遂げる。
刑務所へ行く前の依存症子は、「有言不実行」でした。これからの人生は「有言実行」を目指します。
今日は栃木刑務所での出来事に話を戻します。私が大変お世話になった、内掃工場の先生について書いて行きます。
笑顔が素敵な先生でした。
以前もこの先生の事を書いたことがあります。ちょうど1年前です。読み返すと、今と想いが変わっていないことに自分でも驚きます。5Wが私の中に、ちゃんと根付いているからでしょう。
内掃工場へ転業直後に運動会があったのですが、経理係を大声で応援する先生を見て、何だか嬉しくなりました。
刑務官も人なんだ。受刑者と一体となって大声で応援する姿に、とても好感が持てたのです。
立川拘置所で累犯の人たちに、「栃木の先生は性格悪い」と聞いていたので、ちょっと身構えていたのです。でも実際はそんなことはありませんでした。
たまたまいい先生に出会えたというのはあるでしょう。それと、「必ず更生してみせる」という思いが強かったので、刑務官の言葉を素直に受け入れることができたのだと思います。
内掃の先生とは、本当にたくさんの言葉を交わしました。
刑務官と余計な話はできません
これは私が受刑していた6年前の話です。今は変わっているかも知れません。刑務所では作業中の私語は禁止なので、ひたすら、黙々と作業をします。
特に作業机で何かを作る工場は、刑務官と必要以上の会話は出来ません。
栃木刑務所では子供服や達磨、ボールペンなどを作っていました。静寂の中、下を向いて黙々と作り続けます。
刑務官と唯一会話をするのは、朝の願いごとくらいです。
願いごととは、担当の刑務官にお願いをする時間のことです。刑務所によって呼び方は違うようです。栃木刑務所では「申し出」と呼びました。
決まった曜日に手紙を出したり、新しい官物を(使い終わった石鹸や歯磨き粉など)貰えるようにお願いしたり、医務診察をお願いしたり、願箋を貰ったり、提出したりします。
一般工場では、刑務官と話をする時間がないのです。話ができたとしても、運動の時間くらいでしょうか。
内掃工場では、先生と色々な話ができました
たくさんの工場がある中で、刑務官と話をしないと、作業が上手く回らない工場があります。それが内掃工場です。あと炊場、洗濯もそうですね。
曜日によってどこを掃除するかは決まっています。どこを掃除するか書いたノートがこちらです。
表の下には認知行動療法について書かれていますね。あのころの私は、依存症の勉強に真剣に取り組んでいました。(刑務所はノートの使い方が厳しく、行を空けてはいけません。)

晴れの日にしか出来ない作業もあります。この中で言うとマンホール掃除です。
ここには書かれていませんが、グラウンドの草むしり、植物に虫がつかないように消毒、刈払い機を使った除草作業も、晴れの日しか出来ません。
先生から指示を受け、効率良く片っ端から掃除をしていきます。
バケツに水を入れ雑巾を洗いますが、その水場まで行くのに、もちろん先生の許可と同行が必要です。「講談お願いします。先生、バケツの水が汚くなったので交換したいです。」
先生「分かったー。ついでにこのバケツにも水入れて来てもらっていい?」
私「分かりました。ついでにみんなが使っている汚れた雑巾洗いますか?」
先生「ありがとう。みんなー!汚れた雑巾があったら依存さんに渡してね!」
こんな感じの会話が飛び交うのが、内掃工場でした。
真夏の外作業は灼熱地獄
ほぼ外作業なので、夫に手紙で許可を貰い、物品購入で日焼け止めを購入します。朝の出房前に塗って、休憩中に塗って、お昼休みにも塗って、それでも日焼けは防げません。
内掃工場になってから気付いたのですが、私は紫外線アレルギーのようです。作業が終わると頭がガンガンして、肌は痒く小さな水ぶくれになり、目も真っ赤になりました。
高校のころは安室ちゃん全盛期で、毎日のように日焼けサロンへ行きました。かつてガン黒だったのが信じられないほど、肌が弱くなりました。

↑これが女子受刑者の作業服ですが、内掃工場は割烹着のような作業着を着ます。
内掃や炊場は特殊な器具や調理用品を扱いますので、怪我をしないように作業着も厚手で丈夫なものが貸与されます。これが超暑いです。
内掃工場の夏季処遇の時期は、スポーツドリンクを水筒に入れて持ち歩き、好きなときに水分補給ができました。首にアイスベルトを巻くこともできました。
アイソトニックの粉を水筒に入れて、水で薄めます。先生はとても優しかったので、炊場へ氷を貰いに行き、水筒の中に入れることを許してくれました。
内掃工場はいつもリヤカーに掃除用具を積んでいます。真夏はそこに大きな水筒を入れて、喉が渇く度に「水飲みます」と言って飲んでいました。
このアイソトニックは、ポカリと比べるととても薄いんです。白い帽子を被ってアイシールドを装着し、アームカバーに軍手とゴム手袋、厚手の作業着に長靴で汗だくになる私には、薄いアイソトニック飲料でも、まるでオアシスの水のように感じられました。
お食事中の方はすみません。1.3ℓの水筒に、午前と午後でアイソトニックを補給し、1日2.6ℓもの水分を摂っています。汗でほとんどの水分が出てしまい、トイレに行っても少ししか尿が出ないという現象が起きました。
私は超暑がりで汗っかきなので、夏は大っ嫌いです。真夏はエアコンの効いた所に引きこもる。そんな生活を送ってきたので、汗で尿量が減ることに、とても驚きました。汗で全部出るもんなんだ…スポーツもやってこなかった私には、初めての体験でした。
作業を手伝ってくれる先生でした
内掃工場は超肉体労働です。なのに工場の人数は5人と少ない。2人と3人に分かれて作業をすることが多かったです。そして日本人は私1人。少ししか言葉が話せない外国人と作業をするのは、楽しくもありイライラもします。
栃木刑務所は細長い建物が並んでいます。高齢者が生活する単独室の前に、なが~いマットが敷いてありました。お年寄りが転ばないように、滑り止めだと思うんですが。

↑こんな感じのマットです。元受刑者の方は「あったあった!」と思われるかもしれません。(笑)
これ、すごく重たいんです。舎房の長さにもよりますが、これが3枚繋がっていたりするんですよね。ずっと洗っていないから、こんな鮮やかな緑じゃなくて、汚れと埃で白っぽくなっています。
私、「このマット相当汚いですけど、洗ったりしないんですか?」
先生、「やってみる?大変かもよ~」
まず簀巻き状にしてリヤカーに積みます。水場のある所へ運び、下ろして広げて、水をかけて洗剤を撒いて、デッキブラシでひたすら洗う。これを私と外国人受刑者の2人でやっていたんです。
刑務官は作業に一切手出しはしません。でもこの先生は、マットを運ぶのも、下ろすのも、手伝ってくれました。受刑者の作業の手伝いをすることが、もしかしたら規則違反かも知れないのにです。
この先生から、色々な作業を教わりました。除草剤を撒いたり、ヒマワリの種やヒヤシンスの球根を選別したり、バラの剪定をしたり、腐葉土を作ったり。
私はこの先生のことが、大好きでした。人として大好きでした。
大好きな先生が、突然いなくなりました
先生がお休みを取ると、内掃工場の作業の流れを知っている先生が、代わりに担当になります。大好きな先生がなかなか出勤してきません。
3日休むと心配になってきます。もしかして体調崩したのかな?
そんなことを色々考えていた週、2016年(H28年)9月1日㈭。私は3種から2種となりました。
2種になれたことは素直に嬉しかったです。他の受刑者が扱えないような器具を扱える、それは刑務所側に信用され、認められたということですから。
そして同日、初めて見る先生が、内掃工場の受刑者を工場まで引率します。そこに安達祐実似の、若い金線の先生も付いてきます。何だか嫌な予感がしました。
金線の先生、「今日から内掃工場の担当が変わります。」
私、「…………(呆然)……」
言葉になりませんでした。先生どこ行っちゃったの!?
この日は大浴場掃除の日でした。先生が居なくなってしまったことが悲しくて悲しくて、私は泣きながら掃除をしました。それほどショックだったのです。
失意のどん底。これから先生には二度と会えないのか。そんなことを考えながら、炊場に氷を貰いに行きます。
9月とはいえ残暑が厳しいです。この日はなぜか、アイスベルトも氷もいつもより大量に渡され、何でこんなにいっぱいくれるんだろう?と思いました。
炊場の受刑者から嬉しい知らせ
栃木刑務所の経理工場の受刑者は、比較的自由のきく開放舎房に収容されていました。トイレは舎房の端にあるので、そこまで歩いて行く。居室に鍵が掛かっていないんです。
私の斜め前の居室には、炊場の受刑者が収容されていました。彼女のことも過去ブログで書いたことがあります。その彼女が作業後に口パクで、私に何かを一生懸命伝えようとしていました。
刑務官がいない隙に聞くと、内掃の担当が炊場の担当になったよ!という嬉しい知らせでした。良かった!栃木刑務所にまだ居てくれた!!
あぁ、だから今日の氷とアイスベルト、いつもより量が多かったんだ……と、また涙が出ました。これは嬉し涙です。
先生が炊場へ移動になっても、内掃の受刑者のことを思いやってくれる優しさが、とてもとても嬉しかったのです。
内掃工場の担当の先生 #3 へ続きます。
11月21日㈰ 15:30から、進藤龍也牧師の罪友教会へ、待ち人さんのにゃん吉さんと一緒に伺うことになっています。
進藤牧師の教会は埼玉県川口市南鳩ヶ谷にあります。グーグルマップはこちらから。
私とにゃん吉さんと一緒に行きます!と言う方、コメント欄でもメッセージでも、TwitterのDМでも構いませんので、ご連絡をお待ちしております。
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