前回のブログでは、向精神薬を服用している受刑者がとても多いことを書きました。
内掃工場で一緒に作業をする日本人のEさんは、ひき逃げで服役していました。
Eさんと同室だった期間が1ヶ月ほどあったので、どうしてひき逃げをしてしまったのか、逮捕される前は何の仕事をしていたとか、色々話を聞かせてもらいました。
(事件の詳細は伏せますが、相手の方は亡くなっています。)
Eさんが真実を話してくれているかは分かりません。
今後も他の受刑者の話が出てくることもあるかと思いますが、本当のことを話してくれているという前提で書いていきます。
Eさんは立川拘置所に居て、私の居室が南棟だったときに彼女は北棟にいました。このときにちょっとした騒ぎがあります。
刑務所や拘置所では祝日にお菓子が出ます。食事もお菓子も指定された時間内、あるいはその日のうちに食べなくてはいけません。
食べきれなかったものを居室に取っておいたり、隠し持っていると懲罰になります。
お菓子が出た翌日も免業日(休日)でした。食事を配膳してくれる衛生係が、お菓子のゴミを回収します。
夕方になって男性刑務官の怒鳴り声が聞こえます。北棟で誰かが何かをやらかしたようでした。
立川拘置所は長細い建物なので、刑務官の声がとても良く響くのです。
誰かが怒られていることは分かっても、棟が違うので何を話しているかまでは分かりませんでした。
翌日運動に出ると、麦飯をおにぎりにして隠し持っていた人がいて、男性刑務官が怒ったという話を聞きます。
このおにぎりを隠し持っていたのがEさんです。受刑者の中で彼女のあだ名はおにぎりになりました。
初犯だと何をすることで懲罰になってしまうのか分かりません。例えば物の貸し借りは外では普通のことですが、拘置所や刑務所では、貸した方も借りた方も懲罰になります。
具体的には文房具や切手、本や雑誌などの貸し借りは、刑務官に見つかれば懲罰です。
私も初犯ですが、さすがにお菓子やご飯を隠し持って後で食べようとは思いません。
Eさんの食べ物を隠し持つ行為は本来懲罰ですが、立川拘置所では大目に見てもらえたようです。
そんなEさんと同じ居室で生活しますが、彼女には手紙が週に2回は届いていたと記憶しています。面会も月3回、母親が必ず来ていました。
私の罪名は窃盗でEさんはひき逃げ、刑期が全く違います。
仮に満期だとしても、私の方が早く出所することをいつも「いいな…いいな…」と言って泣いていました。
Eさんは居室の本棚も汚かったり、バッグの中もぐちゃぐちゃで、そのだらしなさは体型にも現れていました。
ブログの始めに書いたように、彼女の罪名はひき逃げですが、私が話を聞いた限りでは、一切反省をしていませんでした。
・私は悪くない
・他の加害者は服役しなかったのに、私だけ懲役なんておかしい
・早く出たい
事件のことを聞くと、いつもこんなようなことを言って泣いていました。
そんな話を聞いているうちに、私はだんだん腹が立つようになり、彼女とは必要最低限の話しかしないようになりました。
Eさんのように面会も手紙も頻繁な受刑者は、あまり反省をしていない人が多いと感じます。
待ってくれる人がいることで、受刑者の更生を助けることもあれば、Eさんのように反省と自立をする機会を奪って、甘えさせてしまうこともあります。
受刑者の家族や友人の接し方が、受刑者に大きな影響を与えると思います。
それは受刑者の“出所後の生き方”に大きな影響を与えるということです。
優しい言葉をかけ続けることが、本当に出所後の受刑者のためになるでしょうか……?
これも以前のブログに書きましたが、仮に夫が「症子の帰りを待っているよ、愛しているよ、早く帰ってきてね」と甘やかしていたら、私は一切反省などしなかったと思います。
離婚されるかもしれない、母親に捨てられ孤独に生きることになるかもしれないという恐れが、私を「自立と言う更生」に向かわせたのは、間違いありません。
1週間後に資格試験があり、勉強のため来週のブログはお休みさせていただきます。
次回は12月28日㈪に更新します。