アプリケーションの評価における課題 その2
昨日の続きです。
アプリケーションの評価おける課題として次の3つがあるのでは
ないかと考えており、そのうち①、②については昨日記載しました。
① 事前評価と事後評価の関係
② プロジェクトとアプリケーションの評価基準の関係
③ インタンジブルズとアプリケーションの切り分け
本日はその続きで、③からです。
3つ目は「インタンジブルズとアプリケーションの切り分け」に
ついてです。
インタンジブルズとは、「見えない資本」のことで、人材、各種
ノウハウや技術、ブランドなど、ビジネスを行うに当たっての
基礎(資本)のことです。情報システムで言えば、ネットワークや
データベース、PC環境などアプリケーションを活用するための
環境のようなものが該当します。
アプリケーションを構築する場合に、先のインタンジブルズに
該当するような環境から構築しなければならない場合と、既存の
環境が活用でき、アプリケーションのみ構築すればよい場合が
あります。インタンジブルズに構築にかかる費用は結構馬鹿に
ならず、大きな額になる場合も多々あります。
アプリケーションに対する投資とインタンジブルズの対する投資
を明確に切り分けて評価を行わないと、費用対効果の見え方が
大きく変わってしまう可能性があります。先の事前評価における
評価基準(稟議決裁上の効果の説明)は、アプリケーションにより
生み出されるものが中心となります。インタンジブルズに対する
投資額の割合が大きければ大きいほど、費用対効果が悪く見え
ることになり、意思決定をゆがめてしまう可能性があります。
このため、インタンジブルズという考え方を明確にし(意思決定者
である経営者に理解いただくということ)、インタンジブルズに
対する投資ととアプリケーションに対する投資を切り分けて評価
するということが必要です。
ITガバナンスやシステム投資(費用)の評価の目的は、管理にあ
るのではなく、ITの積極的活用にあると考えています。そのため、
とにかく評価すればよいのではなく、その投資や費用の意味を
正しく捉え、ビジネスにおける投資や支出の効果が明らかになる
ような評価の仕方をしなければ意味がありません。
その意味から考えて、上記の3つについて仕組みを整備する
ことが大切であるように思います。
このブログの TOPへ
********************************************************
当ブログは、インタープレイコンサルティング株式会社 の柴崎知己が
主催する「経営に貢献するITのあり方」や「ITの戦略的活用」に関して
検討するブログです。
【過去記事の一覧はこちら】
当ブログのメインテーマである「経営に貢献するITのあり方」や
「ITの戦略的活用」に関する記事の一覧は、以下を参照ください。
『ITの戦略的活用についての検討の軌跡 (掲載記事一覧) 』
日々思うこと、旅行記、グッズ紹介など、その他の記事の一覧は、
以下を参照ください。
『その他記事 掲載記事一覧 』
********************************************************
当ブログの主テーマである「経営に貢献するITのあり方」や「ITの
戦略的活用」の実現方法、IT戦略の立案方法について記載した
書籍の紹介ページはこちら
。(目次を全文掲載しています)
********************************************************
Copyright(C) 2007 Tomomi Shibasaki. All Rights Reserved.
アプリケーションの評価における課題 その1
今週は、IT関係費用の費用対効果(投資対効果)の把握に
ついて記載しています。一昨日が費用の把握の問題、昨日が
IT関係費用の中の保守・運用費用の費用対効果の評価に
ついて記載しました。
で、本日はといいますと・・・
アプリケーションの評価についてです。先週8月21日の記事で
JUASの調査結果を元に、日本の企業のアプリケーションの
評価の実施状況の概要について記載しました。
その中では、稟議決裁のための事前評価が中心であるが、
規模が大きな企業を中心に事後評価も増えてきている。
評価基準は、利用者の満足度が多くを占めており、KPIによる
評価などはまだまだ少ない。
といったことが特徴として読み取ることができました。
しかし、アプリケーションの評価において、課題だと感じている
ことがいくつかあります。
その内、特に重要と考えているのは次の3つです。
① 事前評価と事後評価の関係
② プロジェクトとアプリケーションの評価基準の関係
③ インタンジブルズとアプリケーションの切り分け
一つ目は、「事前評価と事後評価の関係」についてです。
評価には事前評価と事後評価がありますが、基本両者は
同じ評価基準を用いるべきです。事前評価の評価基準、
つまりそのアプリケーションを実現した場合に期待される
効果の見積もりを元に投資の意思決定を行います。で、
あれば事後評価では、その期待した効果が実現されているか
どうかが評価されるべきです。この事前評価と事後評価を
同じ評価基準で実施するということが出来ていない場合が
あるように感じます。
事前評価の基準がどうであれ、アプリケーションの完成後に
実現できた効果を並べ、「きちんと効果がでています」と胸を
張っている場合が見受けられます。しかし、評価の軸を事前
評価と事後評価のそれぞれで変えていると、ガバナンスの
意味がなくなってしまいます。投資意思決定の際に約した
効果が実現されているかどうかを事後評価の中できちんと
評価することが大切です。
二つ目は、「プロジェクトとアプリケーションの評価基準の
関係」についてです。
事前評価の際の評価基準、つまりそのアプリケーションを
実現した場合に期待される効果の見積もりは、そのアプリ
ケーションが生み出す効果だけでなく、業務改善やその他
システム以外の取り組みにより実現される効果が、入り混
じっていることが多いです。
アプリケーション構築、業務改善など複合的な取組がプロ
ジェクトとして組まれ、そのプロジェクト全体の評価を行う
場合は、先のような評価基準でも良いかも知れません。
しかし、もう一段掘り下げて、その中で構築するアプリケー
ションが期待した効果を上げているのかという評価を行う
ためには、そのアプリケーションが出すべき効果を明確に
しておく必要があります。
ビジネス上の効果は、情報システムや業務方法、人材など
多様な要素の組み合わせで決まります。しかし、その効果を
得るためには、取り組みの一つ一つが期待される効果を
出さなければ実現されません。このため、最終のビジネス
上の効果を得たいのであれば、それを実現するための
施策一つ一つについても、達成すべき効果、この場合評価
基準を定める必要があり、それが実現されているかどうかを
事後評価することが大切です。
私の問題意識は、この施策としてのアプリケーションが独自に
実現すべき効果(評価基準)の設定が、十分になされていない
場合が多いのではないかという点にあります。具体的なイメー
ジでいうと、拙書「経営戦略の実効性を高める情報システム計
画の立て方・活かし方」のP22~23の「KPIと目標値の論理展
開」のようなことが十分にできていないのではないかということ
です。結果アプリケーションがきちんと効果を実現できている
のかどうかがぼやけてしまい、実質評価を行えないといった
ことになっているのではないかと考えています。
続く
このブログの TOPへ
********************************************************
当ブログは、インタープレイコンサルティング株式会社 の柴崎知己が
主催する「経営に貢献するITのあり方」や「ITの戦略的活用」に関して
検討するブログです。
【過去記事の一覧はこちら】
当ブログのメインテーマである「経営に貢献するITのあり方」や
「ITの戦略的活用」に関する記事の一覧は、以下を参照ください。
『ITの戦略的活用についての検討の軌跡 (掲載記事一覧) 』
日々思うこと、旅行記、グッズ紹介など、その他の記事の一覧は、
以下を参照ください。
『その他記事 掲載記事一覧 』
********************************************************
当ブログの主テーマである「経営に貢献するITのあり方」や「ITの
戦略的活用」の実現方法、IT戦略の立案方法について記載した
書籍の紹介ページはこちら
。(目次を全文掲載しています)
********************************************************
Copyright(C) 2007 Tomomi Shibasaki. All Rights Reserved.
運用・保守の費用対効果の把握の重要性
昨日は、IT関連費用の調査について記載し、意外と多くの企業で
IT関連費用の実績額を把握できていないのではないかということ
について記載しました。
この調査の目的は、経費の削減ポイントを整理することにあった
ため、費用額の正確な把握と、その費用の妥当性を評価する
必要がありました。IT関連費用についても、把握した費用に対して
その費用支出目的と照らし合わせた場合に、その額が妥当で
あるのか、削減可能なのかを見極めることが必要です。
これは、結局IT関連費用の投資(費用)対効果を整理する作業に
ほかなりません。
ITの投資対効果というと、新規開発するシステムの投資是非の
評価のために行うという印象が強いかもしれません。しかし、
年間のIT投資(費用)の半分以上は既存システムの運用、保守に
あてられていることを考えると、これら保守・運用面での費用対
効果の評価は重要です。
また、経営者から見ても、新規開発システムの投資対効果につ
いては、稟議決裁の過程において説明を受けるため、IT投資
(費用)の中でも、見えている部分に相当します。しかし、その後の
運用・保守の部分については、その費用の内容、効果、必要性等
含め十分に説明されているとは言えず、『見えない』部分であると
思われます。この部分をいかに可視化するかが、重要です。
先の調査では、調査の結果費用支出に問題があると思われる
部分があり、詳細な調査を実施の上、費用の妥当性について
コメントを行いました。
例えば、PCの購入費用について、その企業では年間1800万円
程度をPC購入費用に当てていました。企業規模、社員数、事業
内容によって金額の妥当性は異なりますが、調査対象企業で
この金額は小さくありません。そこでPCの利用状況調査を実施し
たところ、ネットワークに接続されているPC1800台の内、ここ半
年間で一度も起動されていないPCが250台ほどあることが判明し
ました。PCの老朽化などで廃棄する分は別途あるわけなので、
使用可能なPCで、使用されていないPCが250台程度社内放置
されていることになります。その一方で、年間1800万円もかけて、
約100台以上のPCを新規で購入しており、その新規購入の妥当
性が問題点として抽出されました。
資産管理の一環として、機器そのものの存在確認(棚卸し)は、
なされているかも知れませんが、その活用状況の把握まで行っ
ているところはすくないのではないかと思います。ITは保有する
だけでは効果は生まれず、使用・活用して初めて効果が生まれ
るものであることを考えると、使用・活用状況の評価が必要に
なります。
先の例では、PCの購入費を使用状況で評価しましたが、それ
ぞれの費用項目に合った評価項目を設定することが必要です。
先の調査では、他に通信ネットワークの評価を帯域の使用状
況と他社サービスとの価格比較にて現状コストの妥当性を
評価しました。費用と効果の実績を把握する仕組みが整備され
ていない状況でこのような調査を行うのは結構大変ですが、
このような取り組みは、ITガバナンスの実現にむけて大切な
ことです。
経営者から見てこういう事実は、なかなか見えてきません。感覚と
して、PC購入費用として毎年1800万円も支出しているのは多すぎ
ないかという疑問は持ったとしても、「業務上必要です」と言われれ
ば「そうか」といわざるを得ません。「そうか」と言いつつ、釈然とし
ない思いが残り、それがIT投資(費用)に関する不信感を募らす
原因になっていると思います。
このような調査は、情報システム部門から見ると、自らの部門の
問題を洗い出すことにつながり、気乗りがしないものかもしれま
せん。しかし、ITガバナンスの構築を実現するためには、現状を
正しく把握し、その内容をガラス張りにすることが必要です。
問題は問題として明らかにし、それを改善していくことが、
経営者のIT不信を取り除くことにもつながると思います。
このブログの TOPへ
********************************************************
当ブログは、インタープレイコンサルティング株式会社 の柴崎知己が
主催する「経営に貢献するITのあり方」や「ITの戦略的活用」に関して
検討するブログです。
【過去記事の一覧はこちら】
当ブログのメインテーマである「経営に貢献するITのあり方」や
「ITの戦略的活用」に関する記事の一覧は、以下を参照ください。
『ITの戦略的活用についての検討の軌跡 (掲載記事一覧) 』
日々思うこと、旅行記、グッズ紹介など、その他の記事の一覧は、
以下を参照ください。
『その他記事 掲載記事一覧 』
********************************************************
当ブログの主テーマである「経営に貢献するITのあり方」や「ITの
戦略的活用」の実現方法、IT戦略の立案方法について記載した
書籍の紹介ページはこちら 。(目次を全文掲載しています)
********************************************************
Copyright(C) 2007 Tomomi Shibasaki. All Rights Reserved.
経営者からみてIT関係費用が見えにくい理由
IT投資対効果が見えにくいという意見は、よく聞きます。
多くの関連雑誌や書籍、ネット上での記事などでは、
投じた費用に対して、それに見合う効果が得られている
のかどうか把握できないことが、原因として指摘されて
います。
投資対効果が可視化できていないという問題は、確かに
あると思います。しかし、その一歩手前のIT関連費用の
総額そのものを把握できておらず、どれだけITに費用を
投じているのかすらわからないという場合も多々ある
ように見受けられます。
IT・情報システムという言葉の範疇は、年とともに拡大
しているように感じます。情報システム部門の予算や
実績支出額を見ればIT関連費用が把握できるという
時代は当の昔に過ぎ去ってしまいました。ITの活用
範囲、利用形態の拡大に沿って、その費用支出も
社内の様々な場所に分散しています。現在では
IT関係費用を捉えようとすると、それら分散した費用を
ITという観点で集計しなおすことが必要です。また、
投資(費用)対効果を把握するためには、さらに、投資
目的別に費用を再集計するということが必要となります。
以前にある企業で、一般管理費の調査分析を行い
コスト削減ポイントの整理を行うということを実施した
ことがあります。その際にも、IT関係の費用対効果の
妥当性の評価が大きな課題となりました。そのために
IT関係費用の把握が必要でしたが、それが非常に
面倒な作業になった記憶があります。
その企業でIT関係費用の把握が面倒であったのは、
次のような理由によります。
① 計上科目の問題
同一科目の中に、IT関連費用とそれ以外の
費用が一緒に計上されていたこと。(例えば、
減価償却費として、什器備品とコンピュータの
両方の償却費が同一部署で計上されていた等)
② 計上部署の問題
IT関連費用に仕分けすべき費用が、多くの
部署に分散して計上されていたこと。
③ 配賦の問題
一方で、全社の共通費用として計上されている
IT関連費用があり、事業毎に配賦されていない
ものがあったこと。(効果の対比のためには、
投資目的(費用支出目的)に応じて、費用を
配賦する必要があるが、その基準がなく配賦
されていなかった等)
この企業の年間の一般管理費は、約22億円ほど
だったのですが、情報システム部門で計上されて
いる費用は、約3億円でした。しかし、全社での共
通費用として計上されている費用を精査したところ
IT関係費用に分類される費用が約1億円、さらに
②にあるような情報システム部門以外に計上され
ている費用の内、IT関連費用に含めるべき費用が
約2.7億円ありました。結果、IT関連費用の合計は
約6.7億円になりました。
この企業では、全社の共通費用や各部署でIT関連
費用が計上されていることは分かっていましたが、
その額がどれほどになるのかが把握されていませ
んでした。調査の結果、見えていた額と同等の隠れ
た費用が、発生していたことが明らかになりました。
この全社の共通費用や各部署で計上されている
IT関連費用の見極めのためには、PLや予算書を
見ても把握できません。償却費であれば固定資産
台帳を整理するなど、計上データにさかのぼって
確認し、IT関連費用かどうかの振り分けを行う必要
がありました。
IT関連費用を絶えず把握し、統制をかけるために、
IT関連費用を集計する仕組みがあれば、計上データ
にさかのぼって手作業で集計するようなことは不要
です。しかし、多くの企業では、この企業同様、IT関
連費用の把握のための仕組みを整備していません。
この結果、この企業と同様に、隠れたIT関連費用が
発生し、うすうす分かっているが額が分からないという
事態になってしまっています。このことが、経営者から
みてITにどれだけの費用がかかっているのかが見え
なくなっている原因の一つだと思います。
このブログの TOPへ
********************************************************
当ブログは、インタープレイコンサルティング株式会社 の柴崎知己が
主催する「経営に貢献するITのあり方」や「ITの戦略的活用」に関して
検討するブログです。
【過去記事の一覧はこちら】
当ブログのメインテーマである「経営に貢献するITのあり方」や
「ITの戦略的活用」に関する記事の一覧は、以下を参照ください。
『ITの戦略的活用についての検討の軌跡 (掲載記事一覧) 』
日々思うこと、旅行記、グッズ紹介など、その他の記事の一覧は、
以下を参照ください。
『その他記事 掲載記事一覧 』
********************************************************
当ブログの主テーマである「経営に貢献するITのあり方」や「ITの
戦略的活用」の実現方法、IT戦略の立案方法について記載した
書籍の紹介ページはこちら 。(目次を全文掲載しています)
********************************************************
Copyright(C) 2007 Tomomi Shibasaki. All Rights Reserved.
IT経営を成功させる17の「法則」
ちょっとどたばたしておりまして。まとまったことが書けないので
今読んでいる書籍の紹介です。
- ディーン レーン, Dean Lane, 飯田 雅美, 高野 恵里, 日経情報ストラテジー
- IT経営を成功させる17の「法則」―米先進企業CIOが明かす
この本、値段が6,500円高いのですが、なかなかです。
CIOが職責を果たすために留意すべきことが、筆者の経験をもとに
ポイントがまとめられています。
取り上げられているテーマは、
○ リーダーシップ
○ 非IT部門とのコミュニケーション
○ IT部門の組織
○ ガバナンス
○ アーキテクチャー
○ 戦略的アウトソーシング
○ 人材マネジメント
○ 戦略計画の立案
○ ITインフラの管理
○ IT予算編成
○ ITの社内マーケティング
○ IT部門の評価 ・・・ 等々
その執筆陣ですが、学者やコンサルタントなどではなく、米国の企業で
CIOを担ってきた人材が担っています。
私もまだ読み始めたところですが、「そうそう」「なるほど」と思う
ところがあります。私の感想やお勧めポイントなどは、読み終わって
からあらためて記載いたします。
このブログの TOPへ
********************************************************
当ブログは、インタープレイコンサルティング株式会社 の柴崎知己が
主催する「経営に貢献するITのあり方」や「ITの戦略的活用」に関して
検討するブログです。
【過去記事の一覧はこちら】
当ブログのメインテーマである「経営に貢献するITのあり方」や
「ITの戦略的活用」に関する記事の一覧は、以下を参照ください。
『ITの戦略的活用についての検討の軌跡 (掲載記事一覧) 』
日々思うこと、旅行記、グッズ紹介など、その他の記事の一覧は、
以下を参照ください。
『その他記事 掲載記事一覧 』
********************************************************
当ブログの主テーマである「経営に貢献するITのあり方」や「ITの
戦略的活用」の実現方法、IT戦略の立案方法について記載した
書籍の紹介ページはこちら 。(目次を全文掲載しています)
********************************************************
Copyright(C) 2007 Tomomi Shibasaki. All Rights Reserved.
