アプリケーションの評価における課題 その1
今週は、IT関係費用の費用対効果(投資対効果)の把握に
ついて記載しています。一昨日が費用の把握の問題、昨日が
IT関係費用の中の保守・運用費用の費用対効果の評価に
ついて記載しました。
で、本日はといいますと・・・
アプリケーションの評価についてです。先週8月21日の記事で
JUASの調査結果を元に、日本の企業のアプリケーションの
評価の実施状況の概要について記載しました。
その中では、稟議決裁のための事前評価が中心であるが、
規模が大きな企業を中心に事後評価も増えてきている。
評価基準は、利用者の満足度が多くを占めており、KPIによる
評価などはまだまだ少ない。
といったことが特徴として読み取ることができました。
しかし、アプリケーションの評価において、課題だと感じている
ことがいくつかあります。
その内、特に重要と考えているのは次の3つです。
① 事前評価と事後評価の関係
② プロジェクトとアプリケーションの評価基準の関係
③ インタンジブルズとアプリケーションの切り分け
一つ目は、「事前評価と事後評価の関係」についてです。
評価には事前評価と事後評価がありますが、基本両者は
同じ評価基準を用いるべきです。事前評価の評価基準、
つまりそのアプリケーションを実現した場合に期待される
効果の見積もりを元に投資の意思決定を行います。で、
あれば事後評価では、その期待した効果が実現されているか
どうかが評価されるべきです。この事前評価と事後評価を
同じ評価基準で実施するということが出来ていない場合が
あるように感じます。
事前評価の基準がどうであれ、アプリケーションの完成後に
実現できた効果を並べ、「きちんと効果がでています」と胸を
張っている場合が見受けられます。しかし、評価の軸を事前
評価と事後評価のそれぞれで変えていると、ガバナンスの
意味がなくなってしまいます。投資意思決定の際に約した
効果が実現されているかどうかを事後評価の中できちんと
評価することが大切です。
二つ目は、「プロジェクトとアプリケーションの評価基準の
関係」についてです。
事前評価の際の評価基準、つまりそのアプリケーションを
実現した場合に期待される効果の見積もりは、そのアプリ
ケーションが生み出す効果だけでなく、業務改善やその他
システム以外の取り組みにより実現される効果が、入り混
じっていることが多いです。
アプリケーション構築、業務改善など複合的な取組がプロ
ジェクトとして組まれ、そのプロジェクト全体の評価を行う
場合は、先のような評価基準でも良いかも知れません。
しかし、もう一段掘り下げて、その中で構築するアプリケー
ションが期待した効果を上げているのかという評価を行う
ためには、そのアプリケーションが出すべき効果を明確に
しておく必要があります。
ビジネス上の効果は、情報システムや業務方法、人材など
多様な要素の組み合わせで決まります。しかし、その効果を
得るためには、取り組みの一つ一つが期待される効果を
出さなければ実現されません。このため、最終のビジネス
上の効果を得たいのであれば、それを実現するための
施策一つ一つについても、達成すべき効果、この場合評価
基準を定める必要があり、それが実現されているかどうかを
事後評価することが大切です。
私の問題意識は、この施策としてのアプリケーションが独自に
実現すべき効果(評価基準)の設定が、十分になされていない
場合が多いのではないかという点にあります。具体的なイメー
ジでいうと、拙書「経営戦略の実効性を高める情報システム計
画の立て方・活かし方」のP22~23の「KPIと目標値の論理展
開」のようなことが十分にできていないのではないかということ
です。結果アプリケーションがきちんと効果を実現できている
のかどうかがぼやけてしまい、実質評価を行えないといった
ことになっているのではないかと考えています。
続く
このブログの TOPへ
********************************************************
当ブログは、インタープレイコンサルティング株式会社 の柴崎知己が
主催する「経営に貢献するITのあり方」や「ITの戦略的活用」に関して
検討するブログです。
【過去記事の一覧はこちら】
当ブログのメインテーマである「経営に貢献するITのあり方」や
「ITの戦略的活用」に関する記事の一覧は、以下を参照ください。
『ITの戦略的活用についての検討の軌跡 (掲載記事一覧) 』
日々思うこと、旅行記、グッズ紹介など、その他の記事の一覧は、
以下を参照ください。
『その他記事 掲載記事一覧 』
********************************************************
当ブログの主テーマである「経営に貢献するITのあり方」や「ITの
戦略的活用」の実現方法、IT戦略の立案方法について記載した
書籍の紹介ページはこちら
。(目次を全文掲載しています)
********************************************************
Copyright(C) 2007 Tomomi Shibasaki. All Rights Reserved.
