第140回 「パートナーと共に」
時代によって美術館の運営会社の職種が、変わっている。
ある時代は造船会社、その次の時代は鉄道関連会社、そして次は自動車関係会社といったその時代を象徴した企業が運営している。
未来は、新たな移動手段を開発したハイブリットから、燃料電池モーターカーなどを始めとしたCO2を出さない機能を持った移動手段を主流に商品化した会社が次世代の運営をしているのかもしれない。
「人の移動屋さん」で共通し、時代をリードする企業に職種がバトンタッチしてゆく歴史だ。
当時の船会社の中でも、鉄道が誕生しても船のことだけを考えていて、「次の時代の人の移動手段は何か」とは、発想も危機感も感じなかった企業は淘汰された。
そして、新たな振興企業が誕生し、美術館のオーナーになっている。
最近、不況という言葉のもとで、新商品開発よりもまずは目先の利益確保が大優先となっている。
業績を伸ばしている企業は、世間や業界の常識にとらわれることなく、「こだわり」を持ったビジネスモデルで、愚直に努力している。
そして、収益を出している企業は、自社だけの仕組みではなく他社と組み、化学反応を起こし、利益を出している。
東レの存在がなければユニクロのヒートテックは生まれなく、大ヒット商品には育っていない。
限られた経営資源で、戦い生き残るには、自社の強みを生かし、足りないところは他社の強みを生かしたことによる同盟戦略が競争優位を発揮する。
パートナー戦略が大きなテーマとなった。
ベンチャーキャピタルの原点
過日、ボストンを訪ねた際、ベンチャーキャピタルを生み出したのは、第二次世界大戦後のボストンが発祥の地であることを知った。
米国の産業革命発祥の地として、繊維・機械産業が衰退し、デトロイトで自動車産業が発展し、新たな雇用を創造する為にボストンにあるMIT大学の中にある知識や研究成果の商業化に向けての金融支援策として、生まれたのがベンチャーキャピタルとのことであった。
VCの原点を、今こそ再確認し、日本の産業創造の勃興させるには、バイオを始めとする技術開発型企業内ベンチャー支援策をそれぞれのスキームで実施することが、今こそ求められる気がした。
天地人
相変わらず、NHKの「天地人」の視聴率が高いとの評価をよく聞く。原作者の火坂さんとは、県人会の関係で何度かお会いしている。以前、お会いした際に、誰が戦国時代の武将で好きですか?と聞かれたことがある。幕末には、好きな人物が何人かいる、しかし、戦国時代の武将たちは、戦に勝った後の国のビジョンを掲げている武将は見当たらなかったので、「好きか嫌いかでなく、あえて言うなら、徳川家康は、ゴーイングコンサ―ンの組織を作った経営者だからすごい人物だと思う。」と答えたら、深くうなずきながら、様々な質問攻めにあった。
直江兼続なる人物は子供の頃から名前は知っていたが、今回のドラマを通じて理解が深まり、雪深い越後にこんな人物がいたのかと、改めて感心した。そして、同時代に生きた武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉、はじめ多くの武将がいたが、家康という人物を経営者とみると現代にも通じる感覚の持ち主のように思う。
第139回 「リーダー」
「リーダーシップとは」について語られることは多いが、ミッションを、あまり聞かない。
戦略性、胆力、人望、企画力、推進力、は大切な要素だが、トップリーダーとは、その時、どういう対応策をとるべきかを決める人だ。
企業を率いる組織のリーダーは、現実に適応する為に「企業組織として、誰に何を提供し、何を目指すのか!」「そのために、具体的に何をやるのか」ということを決定し実現できなかったら、戦国時代であれば死を意味する。
「今、何をすればいいのか」解らないリーダーは、会社を危うくする。
常に時代を洞察し、「そこに存在する人や組織が、何処に導き、何を求めているのか」「今、成果を上げるには、組織のどこに問題があり」「何をソリューションすればいいのか」を決断し、実行する人でなければならない。
「何をすればいいか」を把握した後は、戦略、戦術の優先順位を考え、それを具現化する為に、組織を率いて、愚直にゴールを目指す。
これまでリーダーの要素や資質が、かくあるべしと語られてきたのは、市場が拡大し前年対比や他社との比較対照で評価される時代だったからであり、何をすればいいかが、どこの企業でも同じだったから、同じような議論や書籍が販売され、それで罷り通っていた様に思う。
具体的に、何処をどう変え、そのために、誰が何をするのか、優先順位はどうなっているのか、結果が出なければどう責任をとるのか、そういった具体的なことを言わず覚悟のないリーダーは、市場から排除される。
会社を崩してしまうリーダーは、発する言葉に、主語も具体的行動も時間も刻まれてなく、「何としても、頑張る。」的な表現が多い。
ファーストリテイリングの柳井さんにお会いした際、大言壮語を言うことなく、世界を制する目標に向けて、方向を定め具体的な数値と時間を取り入れ、真剣に徹底的に追及していくことを静かに説いて語っていた。
おもしろおかしく
過日、世界の分析機器のトップメーカーを築いた日本初の学生起業家といわれる京都の堀場製作所の創業者の堀場さんから、お昼を御馳走になり様々な話をうかがった。
堀場さんは、日本経済の活力を創造するには、多くのベンチャー企業を創生することにあるとの思いから、起業家育成に永年取り組んでおられ1924年生まれの大先輩である。堀場さんは、冷えたシャンパンを飲みながら、これまでの経験を通じて、シリコンバレー型でのVCを絡めたベンチャー育成ではなくて、大企業から新規事業を、外に出して分離独立させることが日本の育成させるあり方だ。そして、京都では、他人の真似をすることは、馬鹿にされるので、この地の文化や技術を生かし、独自の競争力のあるものを造らないと、生き残っていけない。だから、人生一回きりなのだから、楽しむことを忘れずに、おもしろくおかしくやればいいんや。と笑顔で語られた。そして、あんたに、聞きたいのだけど、といくつかの質問をしてこられ、目を閉じながら、聞いておられ、「アグリーや!」と、親父のような世代の堀場さんから、申し訳ないほどエールと元気をもらった。
帰りに維新の幕開けの舞台になったといわれる、坂本竜馬がよく常宿にしていたといわれる寺田屋を訪ね、その夜、銀座で会社のメンバーと飲み、その後、六本木で親しい経営者仲間とはしゃぎながら、翌日を迎え何とも濃い一日を終えた。



