「自分の色で」
過日、我が家に娘の友達がロンドンから来て、夕食を共にして、次のことを思った。
海外で育った人や外国人の人は、自分の意見をストレートに表現する方が多い。日本人は、子供の頃、感性があり、夢を語っていた子達が、何故か、大きくなると自分の思ったことをストレートに、言わなくなる人が多い。
人が本来持っている個性を失うことなく、大人になれないものなのだろうか?いつの間にか、日本は主体的に生きることがおさえられ、草食性社会になった気がする。自分の想いを、枠の中に押し込め、本人も最初は息苦しいと感じていたのに、時間が経つうちに感じなくなってしまう。
本来、人は、十人十色だから面白いし、自分の色が出せた時に輝く。そうした多色が合わさるからこそ化学反応が起き、強く独自の美しさになると思う。すべてが同質では、とても弱く輝かない。
成熟社会のヨーロッパの先進国の人達は、自分なりの感性で価値を持って、ライフスタイルを貫いている。
昨年、ヨーロッパにいた娘のところに訪れた際、そこでは人がそれぞれの座標軸を持って生きている姿に触れ、「他人との幸福比較対象」でない生き方を強く感じた。
日本では同じ座標軸の共有を求められるので、周囲の目を気にして、他人と自分を比べ、他人に嫉妬する、単色社会を感じる。ヨーロッパのようにそれぞれの座標軸同士が常にぶつかり合う社会は疲れるが、自分の色を失くしては、生きる意味や価値がなくなってしまう。
自分を硬くしがんじがらめにしていたのは周囲ではなく、本当は自分自身であることに一人でも多くの人が気付き、心を開放して、精神を質入れすることなく、人生のCEOとして、主体的に自分らしく生きる社会でありたいものだ。
第149回 「イントレプレナーの相関ネットワーク」
過日、マスコミによく登場する事業再生のプロの友人と会った。昨今の深刻な経済で、「歴史のある中堅企業や、国内に取引先の多い企業からの相談が多く、資金繰りを始め、困難なテーマが多く異常に忙しい」とのことだった。
これらの企業に共通していることは、「これまで順調にきていたが、売上げ拡大にこだわると必ず利益率が悪くなり、規模拡大に走ると必ず顧客志向が薄れ、利益確保に走ると、取引先や社員が離れ、窮地に追い込まれ、その結果資金援助をして欲しい」とのこと。
この話を聞いて、おかしいと思ったので、経営者の方々に、「今、私たちの存在している日本は、成長から成熟化社会に移行し、これまでの拡大路線や、本業回帰だけでは通じないことに気がついていないのではないか。また、本来リストラは「事業の再構築」という意味であるが、それを勘違いしているのではないか。ダーウィンの進化論が、強いものや強大なものが生き残るのではなく、変化に適応したものだけが生き残るように、企業経営も環境に適応した企業のみが生き残っていく。本業を見直し顧客を創造するイノベーションや、新たな収益を生みだす事業を創っていく会社でなければ、今後ますます淘汰されていく。だから、今、次世代に通じる収益エンジンを創らない延命処置では、また近い未来に危機を迎える!」と、申し上げた。
新たな事業収益モデルを創ることは簡単ではない。米櫃の中に、米と水がある間に、時代を洞察し、経営資源や事業シーズを棚卸しして有効活用し、概念を変え、ハイブリッドコンセプトでアジアマーケットを始め、新興国を包含した戦略を描くこと。そして、戦略を実行する起業家を発掘育成することで新たな収益モデルが創生される。いち早く手を打っていかなければ、企業の未来は見えない。
この10年で、500万社あった企業が400万社強になり、国の税収は激減し、支出は収入の倍を超え、国債の価値が先々見えない。未曾有の不況で、現状のままでは、さらに企業は淘汰され、今にも倒れそうな企業には、よほどのメリットがなければ救いの手を差し延べてくれる企業はない。
日本経済再生のシナリオは、「新しい産業、企業、ベンチャーを創生し雇用を創造してゆく以外に道はない」と、これまで申し上げてきた。早く手を打たないと間に合わない危機感が、日に日に増してくる。
グローバル社会に視野を持ち、気概を持ったアントレプレナーの勃興が、今の日本経済から脱皮する唯一最大の解答だと私は思っている。そして、日本スタイルのアントレプレナーの増大は、企業内の埋もれた事業シーズを活かした、イントレプレナーの発掘・育成にある。
そして、イントレプレナーが成功する新たな視点として、「相関ネットワーク」を持たなければならない。人も企業も、一人では生きてゆけない。分散型ネットワーク社会の中で勝ち残ってゆくには、「何処の誰と組むか」が、国も企業も人も、いつの時代にも共通する成功の条件ということを、歴史が証明している。
キーワードをたたいて、情報検索しただけのような、インターネット上の繋がりではなく、志を持って共感する生身の人間同士が、本気で議論を重ね、共創しながら世界に通じる本物の事業を創造してゆくことが、未来の扉を開くと思う。
小国と言われ資源の無いシンガポールが、今や世界に冠たる経済国家になった。シンガポールでは、志を持ったアントレプレナー達が知恵を絞り、情報や技術、システムといった、目に見えない資源によって、国や企業や人を豊かにしてきた。
こういった国の人々との「相関ネットワーク」が、これからの日本の豊かさをもたらしてくれると思う。
当社は、この4月から16期目を迎える。初心を持って思いを形にしてゆきたい。
第148回 「これからの日本の活力を生むには」
21世紀の幕開けの2001年、9年前の元旦のコラムに、以下のようなメッセージを書きました。
「「国」から「会社」、そして「個人」へと重心が移動している。
企業の寿命が確実に短くなった。
急激なイノベーションと技術変化により、国際競争優位は得られなくなった。
国際競争力を失った日本経済にとって、私は、活力を創生する期間が、2000~2005年にあったと思う。
21世紀の幕開けの5年間、インターネットの普及によって、ベンチャー市場の活況、規制緩和によって、ベンチャー企業を興し、IPO企業が数多く産まれました。
企業においても企業内起業やM&Aの勃興が起き、起業のウェーブができました。
この頃、新しい産業や企業を育成しないと日本の未来はないといった気運が高まり、企業内起業家やベンチャーにスポットが当たり注目を浴びていました。
嫉妬に満ちたマスコミや経済団体の年配経営者達が、ベンチャー企業を批判し、叩き、せっかくの芽を摘んでしまいました。
好感を持てない言動や行動をしていたベンチャー経営者や投資家がいたのも事実ですが、残念なことにベンチャー企業がすべて対象にされてしまいました。
罪人でもないのにマスコミがベンチャー経営者の金銭や恋人関係まで記事にし、ベンチャーの株価は一気に冷え込み、日本の未来の活力を失ってしまったように思います。
2006年以降、経済は後退し、日本は貴重な成長のチャンスを自ら潰してしまったのではないでしょうか。
昨今のJALのニュースを始め、国の支援という名のもとに桁外れの税金が使われ、富の創出に目を向けない政権による、国債を発行することによって財源を確保する国の経営は、40兆を切る収入で、92兆も支出するP/L B/S、の現況は、本当に「おかしい」。
このことに声を上げない静かな日本国民に危機を感じます。
見方によっては、第二のアルゼンチン化に、向かっているという見識者もいます。
私は、創業期から起業家の創生が日本の雇用を生む手段だと考え、起業支援を目標に活動しています。
企業経営者や、富を手にした方々が、一人でも多くの起業家を支援して欲しく思います。
「ノブレス・オブリージュ」の精神が、元気な日本を築く道の一つだと思います。
転職にあたり
過日、ブランド企業の40代半ばの方から、次のような相談をうけた。
「これまで順調に会社と共に自身も成長してきたが、昨今のパラダイムシフトによって、これからの自分自身の残された15年の仕事生活を考えると、果たして現状でいいのだろうか?と、疑問と不安を持ってしまった。日本の現状や業界や自身の企業の活力のなさの中で、コスト削減で、共にしてきた先輩や同僚が会社を退職していく姿をみていると、これからのキャリアイメージが湧いてこないこない。 業界以外で、いいところはないだろうか?年収は、できればこれからお金もかかるので今より上げたい」とのことであった。
「先々、あなたは、どんな目的を持って、何を実現したいのですか?」と、尋ねると言葉が返ってこなかった。今の職場にその辺が確認できるまで留まることを勧め、「年収を上げたいというのであれば、あなたの持っているすべての資源をアウトプットしてゆかないと難しい。また、業界を変えることは、もう一度様々なことを勉強しないといけない訳で、迎える企業はあなたに投資することになるのだから年収をダウンさせ入社に臨むスタンスが肝要だと理解した方がいい」とお話させていただいた。
仕事に対する目的をよく確認したうえで、迷いなく全力でその仕事に打ち込んでいかないと、結果的に転職を繰り返し、50代になっても自分の居場所探しをしてしまっているケースが多い。
目の前の山を登りきったら、360°周りが見える。皆、先々は不安を抱えている。先が見えないのは、自分自身が、先を見ようとする努力をしていないからであって、上司や会社のやり方が気に入らないとか、報酬が安いとか、仕事が向いていないとかなんだかんだと理由をつけて、今の職場から逃げ出して、楽な方へと転職しても、また次の職場でも同じことが起きる。
今の仕事に全力投球して、やり抜けばきっと新たな扉が開いてくると思う。
「19社」
この数字は、2009年にIPOした企業の社数です。
1980年以来の社数になってしまいました。私は、未来の日本の活力は、起業から企業にダーウィンの進化論のように、成長していくことにあると信じていますが、たいへん淋しい数値です。
しかし、そんな中にでも、医薬品、バイオ関連が最も多く6社、ITが3社となっているところに曙光を感じます。
IPOの最大のメリットは、市場から資金を調達し未来へのスピードを高め、古い産業から、未来の産業へと、人材も含めパワーシフトし雇用を創造していくことにあります。
閉塞感漂う現状の日本経済が活力を取り戻すためにも、一人でも多くの起業家の出現と、それを支援する関連企業が、地方を含め出現するように、国も企業も個人も、回復へ真剣に考え行動していかないと、本当に日本の未来はないことを、声を大にして言いたい思いです。
現政権に、本質的な富を創出する政策を期待したいが、それがムリだとしても、企業の成長の邪魔をするような税の負担や、規制をかけないで欲しいものです。
私は、起業家への投資やインキュベーション支援をすることは「信じる」ことだと思っています。
判断基準で大切なことは、自分で感じる未来のあり方に投資していくことにあると信じてこれまで、15年やってきました。
本当の意味で、パラダイムシフトが起こっている今、志を持った起業人が活躍できる時代を迎えたのではないでしょうか。ようやく、自立自律社会が到来し、一人ひとりが自分の信じる生き方と自己責任社会になり、競争と強調、そして、共創にそのキーがあるように感じてならない昨今です。