「信」
子供の頃から今日まで、この「信」という字が自分の名前の中に使われ書き続けてきているせいか、この字を使った名前に目がいく。特に戦国時代の武将に多い。
中でも織田信長は、その代表的な世の中を変えた武将だ。「人間50年、下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり。一度生を得て滅せぬ者のあるべきか」信長が好んだ「敦盛」中の一節だが、一度きりの人生、命ある限りこの肉体と精神のすべてを、「いま ここ」に集中して行動する生き様や気性が伝わってくる様に思う。
また、「this is it」とは、マイケルジャクソンのロンドン公演のタイトルであったが、残念ながら公演することなく、彼はこの世を去った。今「this is it」の事前練習や過去のコンテンツ編集DVDが爆発的に売れている。私も観てみたが、世界の人々を魅了し続けたマイケルジャクソンの心に触れた気がした。
事を成した人達に、今も昔も通じるのは、「限られたかけがえのない人生をどう生きるか。その為には、いまここJust do it で、集中し、明日は無い」スタンスで完全燃焼して、時を過ごしたのだと思う。
論語で孔子は国家安定するには「食・学・信」だと言っている。今、日本に足りないものは「信」なのだと思う。その「信」を持ったリーダーが出現してくることを願 ってやまない。
第147回 「下村澄さん」
「人間学」を追求し、多くの人々に分かり易く様々な形で、「人間とは何か?」を伝えてこられた尊敬する生き方の師だった下村澄さんが、昨年の11月19日亡くなられた。
お会いしたのはニュービジネス協議会の専務理事の頃で26年前になるが、以来論語を始め多くの事を教えていただいた。
12月21日、日本記者クラブプレスセンターホールにて、お別れの会に参会した際、改めて下村さんの「人生こそが最大の作品」と言っていた言葉が、目の前に広がった。
いつも笑みを絶やすことなく人を思いやり、心穏やかに、師と仰いだ安岡正篤先生の教えを実践しながら伝達する活動をしておられた。下村さんから、人の出逢いや人脈がいかに人生を豊かにも、淋しくもすることなのかを身をもって教わった気がする。
様々な言葉の力によって、生き方が変わり、人としてのいかに生きるべきかを幾度も聞かせていただいた。
会魔といわれる程、様々な会に参加され、私の顔を見つけると声を掛けていただき、今の時代観や、日本の未来や人々の心が荒れていることを、特に最近は憂いておられた。
そして、出版された書を何冊もお送りいただき、最近まで79歳とは思えないほど積極的に活動しておられた。
永い間、利害を超えたお付合いをさせていただき、私にとっては勿論のことだが、混迷を極めている日本にとっても、陽明学を説いた大きな星が亡くなってしまったことが残念でならない。
「渋沢栄一氏のようなスタンスの人の出現が求められ、インキュベーションは大変重要な役割であり、雇用を創っていかないと日本は駄目になる」と今年の年頭に下村さんが語りかけてきた言葉が残っている。
フラッシュ教授
過日、私が客員教授を務めさせていただいている事業創造大学院大学にて、ベンチャー育成の分野では世界№1である米国バブソン大学のフラッシュ教授による講演があった。
フラッシュ教授は、講演の中で、「バブソン大学は、アントレプレナーシップ教育のパイオニアとして、新たなことにチャレンジする大学機関として存在し、現在、学部数は10、学生数は1,800人を超え、大学院生数が1,600人超。学生の出身地は57各国に及んでいる。学部の中の、アントレプレナーシップ学部には、多彩な経歴を持つ教員の半数は創業者や起業家、ベンチャーキャピタリストであり、バブソン大学の成功は、全ての行動にアントレナーシップを織り込み、優れた人材やプログラムを得ることに務めたことに成功要因がある。
プログラム面では、ビジネスモデル開発機会への参画、創業資金の貸与、起業を目指す学生への専用スペースの提供やメンターの支援などが用意されている」との、内容であった。
インキュベーションを事業とし、アントレプレナーを一人でも多く見出し支援し、雇用拡大を志してきた私にとってとても興味深いものであり、当社内に出島インキュベーションスペースや独自のメンターを擁し、機会の提供や、資金の支援を含め、共通したもの多くがあった。
混迷を極めている今、一人でも多くの起業家を志す方が、事業創造大学院大学に参加して欲しく思う。
第146回 「起業~企業は、ダーウィンの進化論」
昨年の11月にスタートした、イントレプレナー講座参加者の事業計画が、2月中旬に向けまとまる。「起業から企業に」現所属企業の経営資源を活用し、一人でも多くのメンバーがイノベーションを起こしてくれることを願っている。
起業とはダーウィンの進化論のように、連続的ではなく、非連続的に進化していく。
突然変異の生物の多くはすぐに死んでしまう。環境に、より適応した数少ない種の生物が、その後永く生存している。非連続の進化がなければ、マンモスの様にその種の生物は存在しなくなる。企業も同じで、起業の多くは10年も経つと無くなってしまっている。市場環境が激変している今日、企業が生き永らえていくには、この進化への挑戦、イノベーションがなければ、国も地域も企業も個人も存続発展していかない。
企業の組織は作ったときから古くなり始める。組織を陳腐化させない為の対応策を常に打っていかないと、必ず衰退していく生き物だ。
企業は環境適応しなければ、とのことを多くの経営者が言っている。お客様や株主、社員、社会、すべてのステークホルダーの利益が大切だが、平時ではない今の時代、私は日本の企業経営者が自らの利益を優先している姿を見ると、その企業には未来がないように視える。企業は顧客の為に存在し、社員が成り立ち、株主や社会に貢献できる、というプライオリティだと考えておかないと、経営者も社員も正しい判断ができなくなってしまう。
そして、会社で最も大切な土台にあたるものは理念であり、理念は自分たちの既得権益でなく、高い志を持たないと組織が対立し合うものとなる。
理念を実現する為に、今の自分たちだけでなく、自分たちより優秀な人材を迎え入れていくことが、起業から企業へと成長していくことを、これまでの15年間のインキュベーション経験で学んだ。
雇用環境が厳しい今こそ、ジャストフィットする人材を迎える絶好のチャンスを迎えている。
『自修自得』
最近、松下政経塾の卒業生が話題になっているが、これまで多くの卒業生から、松下幸之助さんがこの政経塾かける思いを聞いたことがある。
「この塾は何も教えない。何も教えてくれないけれど、何かよそと違うんやというものを意味出さないといかん。諸君は自分の力で機会を生み出すのや」と、生前松下幸之助さんが語っていたとのこと。
機会を自ら創り出し、機会によって自らを変えよ! と、いったリクルートの江副さんが、社訓として語った言葉と通じる。
そして、私は、塾の外へ飛び出し、自修自得に取り組む「実践」に、この塾の本質があると理解して、「イントレプレナー講座」のコンセプトの参考にさせていただいた。
「現場に身を置き、自分を自ら本気で切り開いていく過程」に、起業の本質があると考え、自分を律し、現場に神の宿る計画を立て、実行しないと、結果は出ない。
肉食系の若者を一人でも多く、発掘支援してゆきたい。
