働く女性たち…「京都タクシードライバー・さくら」 さくら個人タクシー 駆け込み寺居酒屋ポン吉 43話
元看護師で今はタクシードライバーをしている「さくら」が個人タクシーの事業免許を取得してそのお披露目にJR西大路駅近くの「居酒屋ポン吉」に来た。さくら個人タクシーは小型で少し濃いピンクの車体が可愛い。マスターの音吉はさくらに、
「もう、さくらと知り合ってから15年にはなるがもう何歳になった?」
「はい、25歳でタクシーに乗って丁度10年目の35歳で個人タクシーになりました」
「そか、さくらは財界や一流企業の会長や社長のお年寄りのアイドルなのになぜ中型や大型のハイヤーにしなかったの?」
「でも、さくらのファンはお金持ちだけではなく年金暮らしの独居老人の方々もおられますからなるべく安い小型でそれも認可運賃の下限で申請しました」
「そういえばその昔、さくらの客だったアメリカのGMモーターズの当時副社長で現社長夫婦とその家族も京都に来れば必ず「さくら」の小型タクシーをチャーターしていた」
「そう、どんな偉い人もこの京都の文化でもある小型タクシーに乗ってもらいます。少し外人には狭いが、それが夫婦や家族の絆になるといっている人もいます」
そんな会話をしているとさくらのケータイが鳴った。なんでもさくらの個人タクシーの記念すべき最初の客になりたいと駅前の一流ランジェリーメーカーの「フラワー」の社長からでこの社長の自宅がある下鴨までの予約が入った。その社長はさくらがこの店にいることを知ってフラワー本社からここまで歩いて来るという。それから10分もしないうちにその社長が来たが、そのお供には社長秘書など10名がぞろぞろ付いてきた。社長はさくらのタクシーに一人で乗るが、その後ろには社長専用車の国産高級車など3台がさくらの小型タクシーを先頭にさくら個人タクシー開業記念の祝賀パレードをしているように音吉には見えた。
★~このさくらと音吉の最初の出会いを書いた小説がある。(再掲載)、これとは別に「京都タクシードライバー・さくら」で検索すれば13話ほどある。
★~「さくらの看護師時代」~楊貴妃観音の微笑み
やがて人は死ぬ。突然の事故や脳溢血のような即死状態以外のほとんどの人達の臨終の場所は病院と相場が決まっている。その病院でたいがいの人は妻や家族に「おじいちゃん、ガンバッテ!」と声をかけられながら死んで逝くものと思っていました。
京都の東山に御寺(みてら)泉涌寺がある。御寺と呼ばれるのはこの寺が天皇家の菩提寺だということからきている。この境内に中国から渡って来た仏像で「楊貴妃観音」が祀られている。その楊貴妃にあやかってか、この近くにある病院の名前が「医療法人陽気日会観音病院」と付けられている。この地域の人達からはすこぶる評判の良い病院で、診察に行く場合でも「楊貴妃さん」にお参りに行くと言うほど親しまれている。
この病院を知ったのは、私の友人で趣味の写真の師匠でもあった80歳の市川さんからで、市川さんは口グセのように「私が死ぬ場所は楊貴妃観音病院しかない、ところがあの病院はもう2年先まで予約でいっぱい、あと2年間は健康でいかなあかん」と、足腰を鍛えるために歩こう会、ボケ防止に老人大学に参加している。ある日、市川さんにどうしてあの病院で死にたいかと聞くと、「そらあ~楊貴妃が~いや、それは秘密にしとく」と笑ってはぐらかしていた。
その2年後、市川さんは予定通りに願望の楊貴妃観音病院に入院していた。私は2,3回は見舞いに訪れているが、病院そのものは普通で変わっている点と言えば、入院しているお年寄りが看護婦さんを呼ぶ時に「さくら」と呼び、看護婦も患者を「市じぃ~!」と呼び捨てにしているぐらいでこの病院の「秘密」は解けなかった。
入院して1年後の春。危篤の知らせがあり病院に駆けつけて見ると市川さんは、妻と子供たち、それに孫から「おじいちゃん、ガンバッテ!」と励ましの言葉を掛けられているが、市川さんは何の反応も示さない、そこで医師がさくらに目で合図をした。さくらは、
「市じぃ~、市じぃ、さ・く・ら、さくらょ~ほら目を覚まして市じぃ!」
と大きな声で叫びながら、市川の左の掌を両手で広げて、その掌をしっかり握り前ボタンを外した白衣の中に入れ、さくらの豊満な白い胸に押し当てている。
「ほら、市じぃ~、さくらのオッパイよ、ほらもう一度触ってもいいよ!」
「市じぃ、ほらさくらと約束したじゃない!今日はお風呂の日だからさくらと一緒に遊ぼうって、ほら、市じぃ~目を覚まして、お願い!もう一回さくらと一緒にお風呂に入ろう~」
医師はもう2分近く止まっている心電図を見ている。そこに心電図の針がピクッと反応すると同時に市川の左手がさくらのオッパイを弱々しくまさぐっている。医師は心臓マッサージをせわしく始める。市川の青白い顔が薄いピンクになるとさくらら数名の看護婦の歓声と拍手が一斉沸き起こった。医師の「もうだいじょうぶです」の声を聞いた家族ら7~8名は、さくらに挨拶どころか軽蔑の眼差しで我先へと帰っていった。
私は、さくらさんにお礼の言葉と、私も最後はこの病院に入院して死にたいと言うと、さくらは「もしその時、伊奈利さんが不幸せだったら」と楊貴妃観音の微笑みを私にもくれた。
★~私はこうして「さくら」と知り合ったが、それから数年後にさくらが偶然に私のデビュー小説「タクシードライバージョッキーの竜」を読んでくれて私にすれば最初のファンレターというものがきた。
★~その手紙には看護師で病院で働いていたが色々あって…、もっとお年寄りのお世話をするためにさくらもタクシードライバーになったと書かれていた。そして作家にもなりたいというので私の弟子となりました。
★~私はそのころ産経新聞系の「大阪新聞」に800字程度のコラムを約2年間連載をしていました。このコラムのネタの多くはさくらからのものでした。タクシーの中というのは、あらゆる階層の人たちが気をゆるす空間でもあり、もっとも人間らしさがでるものですからネタには困らない商売どす。
「特集…幸せを呼ぶ紅白のつつじ 1号~8号・ロームのつつじ」
★…これは去年のものです。今年も私と一緒に「幸せを呼ぶ紅白のつつじ」を探しませんか?。街中を歩いていると結構あるものです。
5/6 伏見稲荷大社奉納演奏決定!! 凛ひとえ
GW期間中の5/6、神賑奉納を拝命し伏見稲荷大社外拝殿にて凜ひとえ奉納演奏させて頂きます。
ゲストメンバーに尺八:大山貴善氏、津軽三味線:寂空氏、剣舞:今野氷華氏を迎えた編成です。
※観覧無料 ※時間 13:00~14:00
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