Sat 190119 里芋のセンター愛/地蔵院・浄住寺・松尾大社(京都すみずみ15)3788回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 190119 里芋のセンター愛/地蔵院・浄住寺・松尾大社(京都すみずみ15)3788回

 マコトに申し訳ないが、ワタクシはセンター試験を愛しているのである。国宝級とは言わないまでも、なんとか重要文化財に指定してほしいぐらいなのである。

 

 20世紀のラスト10年から、21世紀の序盤20年まで、日本国民の多くがこの試験を目標に幼少年期を過ごした。現在17歳の若者から、すでに50歳代が視野に入っている中年絶頂期のオカタまで、要するに日本の中枢にいる人間なら、センター試験の影響を受けていない人は多くない。

(おめでたい松尾大社の亀。センター試験の成功を祈りたまえ)

 

 そして間違いなく、称賛すべき試験だったのである。1990年代前半、この試験がスタートした頃の試験問題と、2019年、「いよいよ平成最後」「いよいよホントにオシマイ」という試験問題を、よく比較してみたまえ。1年1年、作成者がたゆまず良問づくりにかけてきた歴史を実感するはずだ。

 

 作成者である彼ら彼女らの努力には、ホントに頭が下がるのである。しかもその「彼ら彼女ら」には、高校教諭の皆様や、模試作成に尽力し、模試のたびに厳しい自己批判を続けてこられた予備校講師のヒトビトも含まれる。

 

 互いに切磋琢磨しあいながら、「もっと優れた問題を」「もっと良問を」「受験生の実力を高められる良問を」、すべての科目で、たくさんのセンセイたちが、たゆみない努力を続けてきた。

(京都、西芳寺そばの「地蔵院」。竹の寺としても知られる)

 

 ワタクシの守備範囲の「英語」に限定しても、守備範囲外の国語や地理歴史に目をやっても、この30年のたゆみのない歩みは歴然と分かる。

 

 Pretty塾(仮名)での1993年以来、「センター試験英語」を延々と解説してきた今井君だ。その問題が年々少しずつ改善されてきた歴史を振り返ると、ふと熱い涙が溢れるほどである。

        (京都・桂、地蔵院 1)

 

「今年もまた問題形式が少し変わりましたね」。試験が終わるたびに、予備校関係者どうしで軽くうなずきあうのである。95年も98年も、2002年もそうだった。2005年も、2008年も、2013年もそうだった。ワタクシの30年は常にセンター試験の分析とともにあった。

 

 だから諸君、あまり大雑把&軽率にセンター試験を否定してほしくない。制度を大きく変更してしまうのではなく、今あるものを少しずつ少しずつ改善する。今井君はそういうスモールステップが好きなのだ。

        (京都・桂、地蔵院 2)

 

 再来年から始まる新テストでは、いきなり

「知識重視ではいけません」

「テクニックは通用しません」

「ホンモノの論理的思考力を試します」

ということになるらしい。

 

 キレイゴトの大好きな新聞や雑誌が、それこそ論理も何も無視して「だから今までの勉強では通用しません」と断定し、煽り立て、若者やその周囲のオトナを不安に陥れる。それにつけこんで塾や予備校は、「新テスト特需」でオオモーケしようとする。

(京都・桂、浄住寺 1)

 

 しかし、それこそ朝日新聞の大好きな「でも、ちょっと待ってほしい」の出番だと、超ベテラン今井は信じるのである。論理があまりに乱暴で、スモールステップな進化を全く評価しない態度。イヤなものはドカンと破壊して「制度を変更しちゃえ」という幼い思考。うーん、ちょっと待ってほしい。

 

① 今の試験のどこが「知識偏重」なんだい?

② マスメディアが口にする「テクニック」って、具体的には何のことで、ホントにそんな夢のようなテクニックが存在したのかい?

③ たった1時間ちょいのペーパー試験で「ホンモノの思考力を試します」だなんて、試験する側の傲慢なんじゃないかい?

        (京都・桂、浄住寺 2)

 

 特に英語の試験でよく耳にする「重箱のスミ」とか「枝葉末節」であるが、もし今のセンター試験でそういう問題が存在するというなら、ぜひ具体的に「この問題は重箱のスミだ」「これは枝葉末節だ」と指摘してほしいのである。今井君が見る限り、この20年、そんな枝葉末節は目にしたことがない。

 

④「これからは読めるだけじゃダメなんだ」「話せなきゃいけないんだ」って、いくら何でも時代錯誤じゃないかい?「話せなきゃいけない」のは50年も100年も前からずっとその通りだったのであって、21世紀の中盤を支えるべき若者たちにそんなお説教をするのは、アナクロニズムじゃないの?

        (京都・桂、浄住寺 3)

 

⑤「日本人は、あんな難しい文章が読めるのに、ちっとも話せない」って、そりゃホントなの? 日本人で「読める」と自信をもって言える人が、実際どのぐらい存在するの?


 今井君としては、メディアの人々にもっとマジメに取材してほしいと願うのである。「読める」というのは、1時間で50ページとか、最低でも1時間で20ページ、それなら「読める」と表現してあげてもいい。

 

 しかし日本人の「読める」は、1時間で5ページがせいぜい。それは「読める」ではなくて、「辞書と首っぴきなら、何とか訳せます」というレベルでござんす。「読む」と「訳す」の区別すらつかない人が英語教育を論ずるのは、一般には「僭越」と形容されるしかないんじゃないか。

 

 そもそも、高校生・受験生・大学生に「英語で何が苦手なの?」とインタビューしたことがあるんだろうか? 若者の答えが「長文読解!!」であるのは、若者諸君のほぼ100%が認める事実であるはず。パパだってママだって、息子や娘が悩んでいるのが長文読解であるのは知っているはずだ。

   (松尾大社にて。「京造酒屋中」の奉献である)

 

 要するに「読めません」といって若者みんな&保護者みんなが悩んでいるのに、メディアの世界の認識は「読めるけど、話せない」。そこには決定的なズレが存在するのである。というか、マトモに取材をした形跡が感じられないのである。

 

 こうして、試験制度をどう変えるか、国民的な議論がまったくナシままに、センター試験は消滅してしまう。国民最大の関心事なら、与野党で熱くそれぞれの対案を出しあい、出来れば選挙戦最大の焦点として議論されるべきではなかったか。

 

 知らない所でいつの間にか議論が進み、少数の人たちだけで結論を出して、「こう変わります」といきなり報道される。30年にわたって営々とスモールステップな進化を遂げてきたものをいきなり全否定して、各科目1時間ちょいのペーパーテストで「ホンモノの思考力を試す」などと傲慢な発言をする。

(面白いお坊さんがいるらしい「鈴虫寺」。ワタクシは省略いたしました)

 

 さて、こうして呆気にとられたまま、「京都すみずみ」のサブタイトルは置いてけぼりにされる。それも読者の諸君としては呆気にとられるばかりだろうが、何しろセンター試験の当日だ、許してくれたまえ。

 

 ホントなら、今日はブログを更新しないで放置する方がよかったのかもしれない。しかし諸君、前回のタイトル「センター直前」のままで明日を迎えるわけにはいかないじゃないか。

 

 明後日はもう「センター自己採点」「センターリサーチ」の日。こういうお馴染み&恒例の試験行事も、まもなく終わりを告げることになる。いやはや、昭和&平成人間としては、何とも寂しい時代になりましたな。

 

 例年の恒例ではあるが、とりあえず「センター試験直後の人気記事」をここに列挙しておく。センター試験に関連して、1月下旬に一気にアクセス数の上昇する記事の数々。参考にしたい人は、ぜひクリックしてみてくれたまえ。

 

① Fri 081010 赤本には間違いが多いという噂で悩むな 過去問の正解で右往左往するな
② Tue 081118 入試直後に答え合わせをするな/試験後に群れて帰るな
③ Fri 081226 医師になりたくないなら、安易に医学部を志望するな(1/3)
④ Sat 081227 医師になりたくないなら、安易に医学部を志望するな(2/3)
⑤ Sun 081228 医師になりたくないなら、安易に医学部を志望するな(3/3)
⑥ Fri 090116 センター試験は大キライだ(1/3) 予備校の3学期と講師の悪夢
⑦ Thu 111215 センター試験で失敗した諸君へ 失敗した諸君の周囲の皆さんへ
⑧ Thu 090129 センターで失敗した人の1ヶ月計画 「ゴール」という言葉はマイナスに働く

 

 

(月読神社。2018年9月の台風で、大きな被害が出ていた)

 

 なお、今日の写真は出来るだけおめでたいものを並べておいた。京都・桂の西芳寺(苔寺)を訪問したら、その日のうちに是非とも訪ねてみてほしい付近の寺社の勇姿である。

 

 苔寺を出たら、まず昼食に「門前とろろそば」をどうぞ。ただし門前に2軒並んだお蕎麦屋さんは、お互いに微妙な関係にあるらしい。たいへん積極的に客引きに出るお店と、控えめにしていながら「客引きがうるさいですね」とギュッと眉をひそめるお店である。

(京都。西芳寺近くの「門前とろろそば」。おいしゅーございました)

 

 今井君はその両者を平等に試してみた。どちらが旨かったとも、どちらに好感が持てたとも、ここには書かないことにする。まず「控えめ」の蕎麦をすすり、周囲の寺社をめぐったあとで「積極的」の方を試した。優しい今井君は、こうしてますます体重が増えていく。

 

 お蕎麦屋2軒の前から坂を登っていくと、まず「地蔵院」がある。別名「竹の寺」。14世紀の禅寺で、竹の他にカエデも目立つ。一休さんが幼年期を過ごしたお寺であって、新緑・紅葉ともに絶品。美しい苔の庭園も有名だが、その庭園の写真撮影は禁止になっている。

 

 地蔵院のお隣が「浄住寺」。隠れた紅葉スポットであるらしいが、10月中旬の平日なら訪れる人もほとんど見かけない。石段を上がっていくとマコトに不思議な竹の林があって、その向こう側から美しい着物女子がいきなり姿を現した。例のレンタル着物ではない、真の京都女子との邂逅に胸が高鳴った。

(松尾大社の「樽うらない」。受験生諸君のために、樽の真ん中を見事に射抜いて差し上げた)

 

 鈴虫寺・月読神社・松尾大社と、さらに散策を続けるのもいい。1年中ずっと鈴虫の声を聞けるという鈴虫寺は、有名な「面白いお坊さま」がいらっしゃるらしいが、ちょっと面倒だからワタクシは省略。台風で荒れてしまった月読神社を経て、お酒の神様・松尾大社に向かった。

 

 何しろお酒の神様だから、ワタクシとしては京都に行くたびにここに寄って、深い感謝の気持ちを伝えたい。中でも外せないのが「樽うらない」。酒樽の中に弓矢を射て運勢をうらなう。

 

 ワタクシは、弓の名手♡でござる。弓矢による2019年の受験生諸君の運勢は、「華丸」ではなくて「大吉」。酒樽の真ん中を見事に射抜いて、滅多にもらえない豪華景品を戴いてきた。だから諸君、センター初日にちょっと失敗した人も、必ず大丈夫。今井の樽うらないを信じて、2日目もまた大奮闘をしてきたまえ。

 

1E(Cd) MenuhinSCHUBERTSYMPHONY No.3, No.5 & No.8 

2E(Cd) MenuhinSCHUBERTSYMPHONY No.9

3E(Cd) Gunner Klum & Stockholm Guitar TrioSCHUBERT LIEDER

4E(Cd) Wand & BerlinerBRUCKNERSYMPHONY No.4

5E(Cd) Blomstedt & Staatskapelle DresdenBRUCKNERSYMPHONY No.7

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