乾燥日記 -5ページ目

船頭多くして船山へ登る。そんでもって、空を飛ぶ。

船頭が10人いる船に乗った。

とてもじゃないが、まるで統制がとれない。

とにかく、みんな、考えが違う。

これでは、何が正解なのかも分からない。

誰が誰の言う事に従うべきかも分からない。

船員は混乱した。

あるものは右に舵を取り、

あるものは帆を張り、

あるものは食事の支度をし、

あるものは逃げ出した。


みんなバラバラに動くものだから、

船はふらふらと旋回し、陸に接岸。

マッドサイエンティストに勝手に改造され、

水陸両用となってしまった。

気がつくと公道を走る船。

でも船頭は10人。

指示もバラバラ、海に戻りたいのに

3人から右へ曲がれと言われるとUターンしてしまう。

気がつくと、山。

マッドサイエンティストに改造され、

気がつくと飛行機能もついていて飛行。

これなら船頭が多くても海に戻れると思ったら

マッドサイエンティストが改造していて、時空を超えて・・・。

編集&編集&編集

編集っていう字はどう書くの?

こうしてこうして、こう書くの。

編んで、集める。

編む事で、縦糸と横糸が重なり、新しい何かが浮かび上がる。

アイデアは組み合わせ。

つまり、編集っていう行為が、この情報の肥大化した現状において、

最も創造的な行為であるっていうわけ。

ねえ、聞いてるの?

編集長の言う事は聞きなさい。

いい?

日々あなた達が取材してくるメモや写真、そのひとつひとつの材料が
編集される事で意味を持ち、文脈を持ち、物語が生まれるの。
それが編集なのよ。












ふう、自分一人の会社だと、妄想くらいしか編集するものがないわ。

「やる気」の主原料を米大学が発見

アメリカのマサチューセッチュ大、ヤンデル教授の発表により、
「やる気」の主成分を分析することに成功したという。

同教授の発表によると、
「やる気の主成分は、非常にシンプルな形をしていて
 顕微鏡で覗くとはっきり見る事ができました。
 それは、いわゆる、女性の乳房のような形をしており、
 我々はそれを『おっぱい成分』と名付けました。」

これは驚きである。

男性のやる気は「おっぱい」だったのだ。
そう考えると、映画「おっぱいバレー」のように
おっぱい見たさにバレーを頑張る姿はあながち間違いではないことになる。

これを受けて米グーグル社やアップル社、マイクロソフトなどの
人的リソースが商売の正否を分ける業種で
おっぱい採用が強化された。


ちなみに同教授の研究は進んでおり、女性のやる気についても現在実験中だ。
『紙幣のような金貨のような成分』が、主成分である可能性が高いようだ。

10倍

ある日、10倍の神様が力を与えてくれて、
俺は全部10倍になった。

まずは、力が10倍。
握力も300キロ以上ある。
握手の時は気をつけてる。
相手の骨にひびが入らないように。

スピードが10倍。
早く走りすぎて、新幹線を抜かさないようにしている。
ぶつかったら相手が死んでしまう。

頭の良さが10倍。
東大生がバカに見える。
解けない問題はないし、
現実的な問題だって、一瞬のうちに5つほど解決方法を提示できる。

もっと物理的な話でいうと
身長が10倍。
あきらかにはみだしてる。
でかすぎる。

食費も10倍。
いくら食べても足りません。

家賃も10倍。
広くないと住めません。

衣服も、なんでもかんでも特注で、高くつく。


なんだか、悩みも10倍になった気がするなあ。



そっち方面ではイケてる

食堂の見習いコックは、
フードコーディネーターとしては一流。

売れないフードコーディネーターの副業は、
サックスの奏者で、結構儲かってる。

貧乏カルテットのサックス奏者は
CM音楽のプロデュースで引っ張りだこ。

仕事のこないCM音楽のプロデューサーは、
アプリを開発して、一山当てた。

アプリを開発しても全く利益の出ないプログラマーは、
企業のホームページ作りについては一流。

食品関係のホームページ制作が仕事の編集者。
趣味で始めた料理が大ヒット。
食堂を開くまでになりました。

いまやってることがだめでも、
ちょっとずらせばいけるかも。

という話。

恐怖ブーム

恐怖ブームがきたせいで、おちおち眠ってやいられない。

今日も朝から恐怖占いだ。

恐怖でやせる!恐怖スイーツ。

恐怖女子会で絶叫しよう。

恐怖、恐怖、で、もううんざりだ。

でも、彼女が、寝て起きたら隣にいる。

恐怖だらけの世の中で、唯一の癒しだ。

ねえ、こっちむいてよ。

「なあに?」

「うわあああああああああ!ゾンビ!!!!!!!」


「びっくりした?昨日ビンゴで貰ったの~、今流行ってるんだよ。」

「別れよう。」

必殺技

人は皆、必殺技を持っている。

しかし、殆どの場合、人はそのことに気づいていない。

必殺技はあるジェスチャーにより、あるタイミングで発動する。

例えば3分間だけ戦える彼なんかは、手を十字形に交差させると必殺の光線が出るのだ。

人は誰もがヒーローになれる。

ただ、そのことを知っている人は、少ない。



「ねえねえ、今日のランチ何にする?」
「うーん、パスタかなあ、中華かなあ。」
「あれ?お局さま、誘った?」
「ううん、トイレに行った隙に出て来ちゃった。」
「うふふ、うまくやったわね。」
「あなただって、資料室に財布もっていくなんて、ずる賢いわ。」
「お互い様ね、うふふふふ。」

「ちょっと、貴方達。」

「はっ、お、いや、田中さん!!」

「お昼休みは12時15分からでしょ。今はまだ10分よ。」

「ええと、もう午前の仕事も終わったので。」

「ルールはルール、小さな事でも守らないと、大きな事故に発展するの。
 わたしだって、こんなこと言いたくないのよ。
 ただ、貴方達のためを思って言ってるの。」

「はあ。」

「ところで、貴方達、何を食べるのかしら?」

二人はアイコンタクトを交わし、咄嗟に判断した。

「これです。」

とんこつラーメンの専門店が会社のすぐそばにあり、
お局・田中がそこのとんこつが大嫌いということを二人は知っていたのだ。
だが、そんな小細工をする必要はなかった。

メンをすするジェスチャーは、このOLにとって必殺技のポーズだったのだ。

手から出た怪光線は、お局・田中の体を一瞬の内に超高熱化し、
溶けてなくなってしまった。


「・・・じゃあ、ランチいこっか。」

飛び級

僕は新入社員。
すごろくをふって、出世する。
おっと6が出た。
一気に課長だぜ。

あれ、3マス戻るだ。

そうすると、係長だな。

よしじゃあ次。

お、5だ。
やった、部長。

ありゃまた6、社長を飛び越えて、会長だ。
よっし、ゴールか?
いや、まだ株主になって売り抜けるってのが残ってるな。
よし、次だ。

「おい!さぼってないで仕事しろ!馬鹿野郎!」


やべ、課長に怒られた。
38にもなって怒られるのはきついなあ。
課長25だしなあ。

絶対に笑えない話

「いいかお前ら、ちょっとでも笑ってみろ、
 この銃で頭を撃ち抜いてやるからな。」

テロリストはそう言って、
サングラスをとった。

目はとてもつぶらで、
かわいかった。
まるで、
少女マンガのようだった。

つい吹き出しそうになる人もいたが、
なんとか我慢した。

何しろ笑ったら撃たれてしまうのだから。
だが、人間とは不思議な生き物で、
笑うな、と言われると、笑いたくなってしまう。

ちょっとテロリストがつぶらな瞳だからって、普段だったら、笑うこともないかもしれない。

でも、この極限状態の中、
極度の緊張状態と、
かわいい瞳、凶暴なテロリスト、かわいい瞳。
どうしたってギャップに笑えてくる。
緊張と緩和。笑いの基本だ。

しかし、全員が耐えていた。
命がかかってる。

しかし、次の瞬間、予想外の登場人物が現れる。

「おう、遅かったじゃねえか。」

身長が2メートル近くある大男。
目は険しく、顔は傷だらけ。
この威圧感はただ者ではない。
少なくとも2、3人は殺して来ている顔だ。
恐ろしい。

「ちょっと混んでて遅れた。」

次の瞬間、人質の中の5人が吹き出してしまった。

「笑うな。」

パーン
パーン
パーン
パパーン

背の高い男が発砲し、5人が絶命した。
人質は、全員震え上がっているが、顔がまだ笑っている者もいる。


「まあまあ、しょうがねえじゃねえか。お前は目は怖いけど、
 声がかわいいんだよ。」

げへぺろ

「ちょっと!何撮ってるの!?」
「げへぺろ。」

「ちょっとあんた!どこ触ってんの!?」
「げへぺろ。」

「え?それインサイダー取引じゃないの?」
「げへぺろ。」

「もう、遅れちゃうよ。」
「てへぺろ。」

「おいおい、それ横領でしょ?」
「げへぺろ。」

「ねえ、ほんとにこれ合法なの?」
「げへぺろ。」

「何もしないって言ったじゃない!」
「てへぺろ。」

「え?じゃあ出来レースなの?」
「げへぺろ。」

「お布施って無税なの?」
「げへぺろ。」