こんにちは。

 

昨日の記事で書き残したスイートピーステークスと香港国際競走について少しだけ。結局香港の出馬表はチェアマンズスプリントプライズを作るのが精いっぱい。残っている2つのGⅠの出馬表は出せそうにない(追加するにしてもレース後になりそう)ので、ご了承ください。なんとか勝負服と馬主を割愛した出馬表は作成できました。ご査収ください。

 

L スイートピーステークス

1着馬にオークスの優先出走権が付与されます。カレンブーケドールの勝鞍が結局ずっとこのレースだったのも趣深い。青葉賞でシュガークンがダービーへの切符をつかんだように、1頭でも多くのドゥラっ子をクラシックの舞台で見られることを期待せずにはいられない。

 

出走するドゥラっ子は2頭。

 

不調と言われた現3歳ドゥラっ子において、11月に貴重な1勝を挙げてくれて重賞にも早々と挑戦したニシノティアモ(田辺裕信騎手)、「マイルの巨匠」シュネルマイスターの半妹としての素質は間違いないながらもデビューが遅れに遅れてようやくクラシックの舞台へと手をかけたシュネルラウフェン(津村明秀騎手)。

 

 

GⅠチェアマンズスプリントプライズ(1200)

唯一香港開催で間に合いそうな出馬表はこれだけです。本当にごめんなさい。
 
香港短距離シリーズ第3戦。第1戦センテナリースプリント覇者「征服王」ヴィクターザウィナー【維港智能】(カーチュン・リョン騎手)、第2戦クイーンズシルバージュビリーカップ覇者「太陽の輝き」カリフォルニアスパングル【加州星球】(ブレントン・アブドゥラ騎手)、そして高松宮記念覇者「熱狂のさなか」マッドクール【消暑樂祭】(坂井瑠星騎手)。日本競馬と香港競馬における短距離界の頂点がきまるレースです。異国でも強さを見せた香港馬2頭はホームに戻って改めての激突。そこに日本の短距離王が割って入れるか。
 
欲を言えばラッキースワイネスもいてほしかったなあ。阪急杯3着のサンライズロナウド【旭日朗途】(ダミアン・レーン騎手)は一気の相手強化にどこまでやれるか。

GⅠチャンピオンズマイル(1600)

(勝負服・馬主は割愛)
 
GⅠ10勝、世界の賞金王、「現在進行形の伝説」ゴールデンシックスティ【金鎗六十】(チャクイウ・ホー騎手)は同レース4連覇をかけた引退レースとなります。スチュワーズカップは残念ながら回避となってしまったので、23-24シーズンを3戦して終えるという当初のプランに立ち返るのであれば、安田記念で引退してもいいのでは?と何回でも言っておきます。
 
絶対王者に唯一食らいつけるであろう実力馬は、「逆さ船の航海士」ヴォイッジバブル【遨遊氣泡】(ジェームズ・マクドナルド騎手)。二強が不在の香港三冠第1戦、香港スチュワーズカップを勝利してGⅠ初制覇を達成。そして二強の一角が舞い戻った第2戦、香港ゴールドカップでは「浪漫の闘士」ロマンチックウォリアー相手にクビ差の大健闘。二強が不在だから勝利できたという言われなき汚名を自ら払拭する素晴らしい走りを見せています。そして今回はあの時不在だった二強のもう1頭と雌雄を決します。ここで勝たなければリベンジの機会はおそらく一生訪れません。
 
日本馬の出走はシャンパンカラー【鑽彩】(坂井瑠星騎手)、オオバンブルマイ【大宴重酬】(ダミアン・レーン騎手)、エルトンバローズ【傲蹄巴魯】(西村淳也騎手)の3頭。相手はとてつもなく強力ですが、健闘を期待します。シャンパンカラーの単勝には勿論100円をいれてますよ。

GⅠクイーンエリザベス2世カップ(2000)

シャティン10ハロンの絶対王者、GⅠ6勝「浪漫の闘士」ロマンチックウォリアー【浪漫勇士】(ジェームズ・マクドナルド騎手)を倒す馬が表れるのか、というレースになります。10ハロンでもこの馬に負けることがなかったゴールデンシックスティって本当になんなん。
 
対抗馬の筆頭は前年2着の雪辱を期す「大成の予知」プログノーシス【先見】(川田将雅騎手)。去年は若干追い出しが遅れた感じもあり、100点の競馬ではないような印象です。あの時から馬体の充実も著しく、前走金鯱賞はドゥラファンの期待を粉々に打ち砕く完璧な騎乗での圧勝劇。香港の魔王を打ち倒す準備はこれ以上ないほどに整っています。
 
香港カップにて「不屈の愛国王」ルクセンブルクとともに魔王に肉薄した「悠久の瀑布」ヒシイグアス【滂薄無比(ダミアン・レーン騎手)、遠征好きな「橋上の月見」ノースブリッジ【北橋】(岩田康誠騎手)にももちろん注目です。馬場があまり良くならないようなら、重馬場の鬼である香港馬ストレートアロン【直線力山】(チャクイウ・ホー騎手)にも魅力を感じます。
 
未作成の出馬表は出来上がり次第貼りますが、レース後になることが濃厚です。最早何のために作っているのか分かりません。レースの振り返りはしっかり描きたいな。ゴールデンウィーク中にでも。
 
それではまた。

こんにちは。

 

今週も多忙で疲労困憊です。本来であれば香港競馬の出馬表まで作るのですが、とても間に合いそうにありません。何とかスーパーパワーで作成できた時は記事に付け加えますが、とりあえず今週添付できるのは天皇賞春の出馬表だけとなります。

 

とりあえず土曜競馬で語りたいことがあります。

 

GⅡ青葉賞 振り返り

シュガークン本当におめでとう!

 

 

馬名入りの的中馬券画像がレース後1時間くらいしか保存できないのどうにかしてほしいな。

 

それはともかく、名手武豊の手腕が存分に見られた見事なレースでした。最後の直線はトロヴァトーレを押し出すような形で少し強引に進路をとったようにも見えましたが、それは武豊騎手がこの馬をダービーに是が非でも連れていきたいという気持ちの強さが垣間見えたシーンなのかなと。父の偉業を継ぎ、兄の無念を晴らさんがために、青葉賞の呪いを打ち破るのはこの馬に違いありません。

 

GⅠ天皇賞(春) 展望

現役最強馬決定戦だったのも今は昔。最近の煽り文句はもっぱら「長距離王決定戦」か「伝統の一戦」。メンバーレベルの低下について色々言われたりはするものの、他のGⅠにはない魅力をたくさんもっていることには変わりありません。なんだかんだ毎年楽しみですし。

 

本命は説明不要。遅れてやってきた主役こと、ドゥレッツァ(戸崎圭太騎手)。菊花賞の成績がとにかく直結する春の天皇賞で父ドゥラメンテの長距離適性を、幻の三冠達成の裏付けをさらに明確なものにしてくれるに違いありません。ここ3戦の競馬は距離もレベルも展開もすべて異なっていて、今回はどんなレースをするやら見当もつきません。

 

12ハロンのニュージーランドオークス勝ち馬とはいえ、母モアザンセイクリッドタイトルホルダーの母メーヴェよりスタミナに寄っているわけではないことを考えると、導き出される答えは一つなわけで……とぶつぶつ言っている毎日。タラレバは勝負事に禁物と分かっていながらいつもこんなこと思ってるんですよね。

 

ディープ、ひいてはサンデー系があまりに強い舞台であり、父系がキンカメ系だと京都の天皇賞で勝利しているイメージがないですが、それすらも払いのけてほしいな。凱旋門賞に予備登録したという非常にわくわくするニュースも飛び込んできましたし、その底なしの可能性により一層の期待をかけて見ないわけにはいきません。

 

固く決まるとは見ています。長距離の帝王テーオーロイヤル(菱田裕二騎手)はあまりに状態が良すぎるとのこと。最後まで決してあきらめない勝負根性は現役屈指であり、強力なライバルとなることは重々承知なのですが、二強に割り込むと予想し対抗に推すのは71年ぶりに夢の扉を開くかもしれない良血の牝馬サリエラ(武豊騎手)。淀の長距離が庭であるディープ産駒、力強いデータの後押しを受ける最内枠、距離は伸びるほど良いという国枝師のコメント、そして平成元年からずっと盾男と呼ばれ続けているレジェンド武豊騎手。牝馬であるということ以外、勝利する要素しかない。みんなのアイドルメロディーレーンが出走できなかった悔しさを同じ牝馬として晴らしてほしい気持ちもあります。もしここでサリエラが勝ってしまったら兄サリオスについてはいろんなことが言われそう。サリオスの本質はマイラーとか(爆)みたいなことが。私は常々古馬のサリオスに向けて12ハロンでもう一回見たいなと言い続けて(以下略

 

話がいろんなところにすっ飛んでいきますが、脳破壊の本命と人馬一体の単穴以外は騎手で選ぼうと思います。長距離戦こそ騎手の差が出る。散々学んだことです。

 

GⅠで完璧な騎乗しかできないモレイラ騎手(タスティエーラ)、前走で大笑いをさせてもらった横山典弘騎手(マテンロウレオ)、推し騎手のミルコ・デムーロ騎手(シルヴァーソニック)。応援枠に4年連続2着の偉業(違)がかかるディープボンド(幸英明騎手)。このままGⅠ未勝利馬で終わるにはあまりに勿体ない愛されホースに勝ってほしい気持ちももちろんあります。みんなを応援したいレース、それはつまり見るのが怖いレース、でも覚悟を決めてみると面白いレースに違いありません。

 

香港の展望記事は明日の午前中に覚醒できれば投稿します。投稿しないのだとすればそれはレースの注目度が低いとかそんなことでは決してなく、ただただ私のキャパが溢れてしまったのだと思ってください。語りたいことは頭の中にたくさんあるんです。

 

それではまた。

こんにちは。

 

ウイポ10の2024を買いました。エディットを1週間かけてチマチマと終え、ようやくスタートを切れそうです。ウイポでカレンダーを覚えると今年はどうにも1週ずれている感覚になってしまいます。

 

ウイポ購入もそうですが、4月は何かと物入りで、無計画に過ごしていたらクレカが上限となりました。今後は少しつつましやかに生活する必要がありそうです。ドゥラっ子の単勝100円を買うだけの余裕は残しておかねば。

 

F1では角田君とRBのピットクルーが素晴らしいパフォーマンスだった鈴鹿がやはり目を引きます。現在は絶賛中国グランプリの真っただ中ですが、スプリントと予選の温度差が半端なかった。フェルスタッペン以外は、ですけど。

 

神域もそろそろ始まるしなあ。開幕年のAクラス3人が不在ということで、さらに新時代に突入した感もありつつ、昨年のメンバーもかなりの人数が残留しています。同選手の指名が一度しか許されないルールのおかげでメンバーの組み合わせの妙が見られそうなのが楽しみです。ヘラクレス同窓会とか見られそうだし。

 

GW明けは少し残業が減る(社会保険料とか色々考えても減ってくれないと困る)はずなので、趣味に回せる時間は増やせると思うのですが。まあ、何とかなるさ。

 

プレミアの三つ巴の決戦も面白い。やはり日本人所属チームを応援したいので、リバプールとアーセナルをひいき目に見てしまっていますが、先週はパレスとヴィラに食われてしまいました。流石魔境。そんな魔境でもあまりに盤石なシティに漂うラスボス感が半端ない。

 

さて、そんなところで簡単に競馬の話も。GⅠある時は特に気合が入り、ない時は少しお休みモードに入るごく一般的な競馬ファンなもので、あまり語りはしません。もう眠いですし。

 

土曜のドゥラっ子は京都3R、グローブアマランス(武豊騎手)が未勝利を突破しました。18頭の最内枠から先団を見る形で他の馬と絡まない位置での追走。3コーナー~4コーナーでスムーズに進路を確保すると、直線は大外から気持ちいい末脚を繰り出しました。京都におけるお手本のような勝ち方はさすが名手といったところ。母父メイショウサムソンの面白さからも今後に期待です。皐月・ダービーの二冠馬が父と母父にいるこの子が菊花賞出走したりしたらそのドラマ性には注目せざるをえない。今1400走ってるので可能性は薄いですけどね。

 

明日は京都1Rがいきなり注目です。半兄にステファノス、祖母にゴールドティアラがいるフェロニエール(ミルコ・デムーロ騎手)、惜しい競馬が続くノットゥルノの半妹マックスセレナーデ(武豊騎手)が初勝利を狙います。

 

GⅡフローラステークスにはマルコタージュ(菅原明良騎手)、サンセットビュー(三浦皇成騎手)が同じ枠から仲良く参戦。

2着以内に飛び込めばオークス出走を決めることが出来ます。牝馬のドゥラっ子でオークス出走を決めているのはフラワーカップ覇者のミアネーロ、オークス出走の見込みがあるのはスイートピーステークスに出走するニシノティアモ、そしてシュネルマイスターの半妹シュネルラウフェン。1頭でも多く権利をつかみとってほしい。フローラ出走馬の中ではスワ―ヴリチャード産駒のアドマイヤベルとキタサンブラック産駒のクリスマスパレードもPOG指名の際にチェックをつけておいた思い入れある2頭です。アドマイヤベルは指名してますしね。

 

少し紹介したいのが、マルコタージュのお母さんであるプロヴィナージュ。ちなみに馬名由来はフランス語。マルコタージュプロヴィナージュもボルドー地方で良く行われていた葡萄の植樹法(幹から伸びている枝を地中にくぐらせて根を張らせて新しい木を作る)から来ています。

 

プロヴィナージュは2008年の秋華賞3着馬(勝ち馬ブラックエンブレム)。16番人気から大荒れを演出しました。エアグルーヴの息子であり、エリ女で空馬ながら先頭でゴールして待ったことで有名なポルトフィーノという馬との絡みが面白いのです。情報源はすべてニコニコ大百科なんですけど、すごく読みごたえがあり考えさせられる記事でした。ブログの件とか本当にあったのかは知りませんけど、2001年の秋天みたいな雰囲気だったのだろうなと想像はつきます。

 

 

ニコニコ大百科の記事って主観的なユーモアが前面に出ていて酒のつまみにするには最適ですよね。

 

さて、明日時間があれば海外のクラシック戦線について記事を書こうかとおもっております。ケンタッキーダービーが面白くなりそうな記事を4月中には投稿できると思うのですが、まあ、追々ということで。くれぐれもレース終わった後に展望を投稿したりしないようにしなければ。

 

それではまた。

こんにちは。

 

今月は残業続きで身体は疲弊しきっています。来週は更新をお休みするかもしれません。桜花賞展望は尻切れトンボで終わって申し訳ありませんでした。体調の方は無事戻ったのでとりあえずよかったです。雪辱をはたし桜の女王に輝いた「魔酒の工房」ステレンボッシュ、そして完璧な騎乗を披露した「マジックマン」モレイラ騎手、ならびに陣営の方々おめでとうございます。

 

今週は悲しいニュースがありました。土曜の競馬はどこかもの悲しい雰囲気に包まれていましたが、中山グランドジャンプをイロゴトシで制した黒岩騎手が叫んだように藤岡康太騎手の想いを継いでよりいっそう競馬を盛り上げること、藤岡佑介騎手がおっしゃったように前を向いて再び進みだすことが肝要でしょう。改めてご冥福をお祈りします。合掌。

 

さて、土曜のドゥラは散々でしたが、今日はオープンワンセルフがしっかり勝利してくれていました。皐月に向けもう何頭か勝利して勢いをつけたい。

 

  皐月賞展望

 

そんな皐月賞展望ですが、非常に難しいです。牝馬が1番人気であること、凱旋門賞馬の弟がいること、毎日杯から東上最終便に乗り込んだ馬がいる事など、例年では起こりえないことが数多く起きています。

 

しかしながら、難しさの根底にあるのは皐月賞へとつながるレースが軒並み異様なスローペースだったこと。弥生賞、スプリングステークス、若葉ステークスのみならず、共同通信杯や毎日杯まで展開が異様すぎます。勝ったからと言って必ずしも強かったとは言えず、負けたからと言って必ずしも弱かったとは言えない。展開の有利に笑った馬、展開の不利に泣いた馬もはっきりしすぎていて、皐月賞本番でも同じようになるかどうかという精査も必要です。

 

とりあえず有力馬を簡単に紹介。

 

中心となるのは「長者の宮殿」レガレイラ(北村宏司騎手)。新種牡馬スワ―ヴリチャード躍進の象徴的存在は、牝馬ながら牡馬混合戦しか走っておらず、しかも制しているのは2歳中距離王決定戦のGⅠホープフルステークス。牝馬クラシックに我関せず、2歳~3歳馬の常識を破壊する新時代の女傑です。北村宏司騎手は桜花賞に引き続き1番人気馬の騎乗となるでしょう。「古戦場の静寂」アスコリピチェーノでの惜敗を振り払う勝利を見せてほしいものです。不安要素は後ろからの競馬になるため進路取りには細心の注意を払わないといけないこと。ホープフルで見せた鋭い決め手が炸裂すれば、その躍進は牝馬によるクラシック三冠制覇すら夢想できるものになるでしょう。

 

牡馬のプライドを背負う17頭も負けてはいられません。

 

現状2番人気は「ファッションの都」ジャスティンミラノ(戸崎圭太騎手)。出世レースである共同通信杯にて2歳王者ジャンタルマンタルを下して2戦2勝。無敗皐月賞馬誕生の可能性を残しています。安心安定のキズナ産駒は、入りの4ハロン50秒という稀に見るスーパースローペースで進んだ共同通信杯にて有力馬が軒並みかかりまくるなか、折り合いをしっかりとつけ直線では余裕たっぷりの完勝。その気性の良さは若さが滲み出る若駒たちの中で異彩を放っています。しかし皐月賞がおなじようにスローペースになるかは別問題。もし経験したことのないミドル以上のペースに身を置いたならば、そのときのパフォーマンスはいかほどなのか。未知な部分も多いです。

 

現状3番人気は「激戦の豪傑」メイショウタバル(浜中俊騎手)。周りのキャラの濃さで打ち消されている感がありますけど、シロイアレ産駒なところ、毎日杯→皐月賞という古風なローテ、その毎日杯の圧勝劇などよくわからないパーソナリティをもっています。毎日杯で2着に知りぞけたのがシンザン記念勝者のノーブルロジャー(クラシック登録ないためNHKマイルカップへと向かうらしいです)だったことを考えると強いのかなと思いますが、正味毎日杯もおかしいレース。内ラチぎりぎりの1頭分だけ馬場が良かったのがあまりに明白なバイアスとして浮き出てきている以上、着差を素直に受け取ることもできない。それでも、メイショウの松本オーナーがいかにも個人馬主特有のロマンある選択をしていることを踏まえると、応援の感情は湧いてきてしまいます。

 

現状4番人気は「新たなる皇帝」シンエンペラー(坂井瑠星騎手)。凱旋門賞馬の弟として名前がつく前から注目されてきた世界的良血馬は、日本の馬場への適応などの疑問をすべてはねのけ、その注目を無碍にしない活躍を見せ、堂々クラシックの主役候補として参戦してきています。京都2歳ステークスが珍しく高いレベルに見えるのは、勝利したこの馬の活躍あればこそ。京都2歳S組は比較的早いペースを経験していることもプラス材料です。先行しての粘り込みが身上ですが、直近の2着2回を見ると最高速は少したりない印象です。引き締まったペースで他馬を消耗させる展開になったならば、この馬の独擅場となることもありえます。延期が続く皇帝の戴冠式を本日執り行うことができるかどうか。

 

現状5番人気は「星見博士」ジャンタルマンタル(川田将雅騎手)。朝日杯フューチュリティステークスを盤石の競馬で制して2歳王者に輝くも、あまりに流れが違いすぎた共同通信杯はやっとのことで2着を確保。非常に難しいのは距離不安が付きまとっていることです。実は、私は共同通信杯を見た感想として距離不安を感じたことはなかったのですが、友人から残り200で脚が止まったからマイラーに見えたと言われ、川田騎手も会見で「2000メートルは挑戦になる」という趣旨のことを言われていました。正味距離適性が長そうなエコロヴァルツミスタージーティーでもかかるくらいだから共同通信杯で最後のびきれなかった馬は距離不安というより折り合いの問題に見えたのですが……。まあ前向きな気性の馬だから距離がもたないという見方もできるし……。安定感を獲れば外せない、でも不安要素は付きまとう。2歳王者なのにこの人気なのはそういった要素が大きいのでしょう。

 

一桁オッズは以上の5頭。でもこの5頭だけで決着するようなレースではないでしょう。魅力的な中穴、大穴は数多くいます。

 

鋭い末脚を約束してくれる3戦2勝の「洗練のスタイリスト」アーバンシック(横山武史騎手)は従姉のレガレイラと同枠に入り、共にスワ―ヴリチャード産駒としての威信を担います。

 

ロマンあふれる大外強襲策で追い込み好きを魅了するのは2戦2勝のきさらぎ賞覇者、「永久の君府」ビザンチンドリーム(バウイルジャン・ムルザバエフ騎手)。ピンク帽だろうが全く意に介すことなく後ろで我慢して直線で爆発させる、新馬戦から続けてきた自分の競馬をつらぬきます。

 

弥生賞覇者、産駒初の重賞制覇を父アルアインにプレゼントした「森の雫」コスモキュランダ(ジョアン・モレイラ騎手)は捲りを打てる自在性が持ち味です。桜花賞で完璧な騎乗を見せた魔法使いとぴたりと手が合えば、魔法のような勝利を見せてくれる期待感は天井知らず。

 

京成杯覇者「緻密なタクティシャン」ダノンデサイル(横山典弘騎手)、同馬主2頭出し、2戦2勝のレイデオロ産駒「日出ずる星」サンライズアース(ミルコ・デムーロ騎手)とダート帰りでたくましくなったキズナ産駒「日出ずる国」サンライズジパング(菅原明良騎手)、朝日杯FSで驚きの追い込みを披露し共同通信杯ではスローペースに潰れた「鍛冶研磨」エコロヴァルツ(武豊騎手)……だめだ、なんもわからん。逃げるのはたぶん「純血の鳳」ホウオウプロサンゲ(菱田裕二騎手)かな……と思っているのですが、そうなったとしてペースがそこまで上がるか?また前哨戦みたいにスローペースになるのでは?という不安も……

 

さて、それは置いておいて、分かり切った本命の発表です。

 

私の本命は「高揚の響き」ミスタージーティー(藤岡佑介騎手)です。桜花賞に間に合わず、ドゥラのクラシック開幕は1周遅れになってしまいましたが、皐月賞に間に合ってくれただけでも嬉しいです。オークスはミアネーロが出走できますし、ここからドゥラ3歳馬の快進撃が始まります。そもそも、5大競走のなかでドゥラっ子がとっていないのは当のドゥラメンテがとっている皐月賞と日本ダービーのみ。どちらもチャンスはあと2回ずつしか残されていません。

 

新馬戦でしっかりと素質を確認し、ホープフルではあまりの歯がゆさにもんどりうち、共同通信杯は異様なペースに全てを崩され、そして最後に若葉ステークスで一発回答。末脚のキレは世代上位で、そのポテンシャルを最大に発揮したレースもいまだないでしょう。後ろからの競馬が多いにもかかわらずなぜか直線で内を突きたがる癖があるのかもわかりませんが、若葉ステークスでは藤岡佑介騎手の思い切ったイン突きが見事にはまりました。このタイミングで佑介騎手が勝ったなら、それはいろいろなものを感じずにはいられない。こんなに勝たせたいと思う馬が、こんなに勝たせたいと思う騎手がいてくれるレースもそうそうありません。全力で応援します。

 

 

頑張れ!

 

冒頭にも書いたように、もしかしたら2週間くらい更新期間が空くかもしれません。しれっと海外競馬記事とうこうしたりするかもしれません。ゆるりとお待ちください。

 

それではまた。

こんにちは。

 

少し4月5月と忙しくなりそうなので、更新頻度が落ちそうです。ウマ娘のライブ感想も結局投稿できなかった……。希水さんのQueenBeeが私的MVPでした。メインストーリー第2部最高!

 

語りたいことはたくさんあります。競馬以外でもJリーグ、海外サッカー、神域リーグなどなど…最近F1見られてないなあ。どうしても何か趣味を削らないといけないのが悲しい。

 

大阪杯、ベラジオオペラ(横山和生騎手)がただただお見事でした。大阪杯は舞台を存分に生かして馬の最大値を引き出したものが制する印象がいよいよ強まってきました。要するに長距離レースではないけれども騎手の腕が特に問われるレースだと思っておきます。1年後忘れてそう。

 

忘れてるでいえば、私、今年始まったばかりの時に大阪杯はベラジオが獲るんじゃないかと友人に話していたんですよ。初志貫徹していれば……と後悔するのがいかにも競馬といったところ。

 

大阪杯は古馬中長距離王道路線の第1戦ともあって、世代間抗争や時代に焦点があてられることも多いです。GⅠ昇格後すぐには「新たな歴史にキタサン祭り!」「新たな歴史に刻まれるのはこの馬です!」(吉原アナ、17大阪杯)や、「世代が変わった!」(吉原アナ、18大阪杯)、「4歳世代を抑えて、アルアインだ!」(吉原アナ、19大阪杯)など。いや、ほとんど吉原アナやないですか。

 

 

今年のカンテレ実況は石田一洋アナウンサー。ドバイの結果いかんによっては雰囲気が違うことになると悩まれていましたが、去年に続いて素晴らしい実況でした。「4歳世代の逆襲か、強い5歳世代か、それとも実績豊富なベテランか」との前口上、「混戦断ったのは4歳のベラジオオペラ!4歳世代、逆襲の幕開け!」との勝ち名乗り。4歳世代の評価の低さについてはどう入れ込もうかとウマアナトークでフィーチャーされていたので、私は実況聞きながら少し裏事情知ってるんだぞ面をしてしまいました。全く、嫌なオタクです。

 

さて、振り返りはこのくらいにしつつ、桜花賞を展望します。土曜競馬は……まあ、ブレイブロッカーよく頑張ったし、悪くはなかったです。

 

桜花賞展望

大阪杯とは様相違えど、非常に難解です。主役不在というよりは主役がいすぎて難しい。

 

1分32秒6のレースレコードをたたき出した2歳女王、無敗桜花賞馬を狙える唯一の牝馬、「古戦場の静寂」アスコリピチェーノ(北村宏司騎手)を暫定的な主役に置いてよいと思います。新潟2歳ステークスは遊びながら1馬身差の勝利。続く2歳女王決定戦阪JFは衝撃的な勝ち方ではなかったにしても、コラソンビートに並ばれても抜かせず、ステレンボッシュに並ばれても抜かせず、堂々と駆け抜けた横綱競馬を披露しています。北村宏司騎手のGⅠ1番人気騎乗なんていつ以来のことなんでしょうか。5年重賞勝利がなかったベテラン騎手と、GⅠ勝利がなかった中堅調教師を輝かしい表舞台へと連れていく才女は、汚れなき桜の女王への道のりを着実に進んでいます。武器は直線たっぷりと使える息の長い末脚、そして相手の加速に乗じるかのように自身も加速する根性、そして底の見えない不気味な大器の予感。牝馬・牡馬の2歳GⅠ+三冠ロードを2頭で蹂躙してしまうことだって夢想できるほどです。

 

個人的には半兄アスコルターレに思い入れがあるので、結構好きな1頭です。

 

続くのは2歳女王の喉元まで迫った「クラシックなワイナリー」ステレンボッシュ(ジョアン・モレイラ騎手)。

 

すいません、ここまで書いておいて意識が朦朧としてきたので熱を測ったら39度ありました。おとなしく寝ます。皆さんも季節の変わり目にはご自愛ください。

 

語りたいことはたくさんあったのですが、有力馬のオリジナル異名だけおいときます。

 

「古戦場の静寂」アスコリピチェーノ

「クラシックなワイナリー」ステレンボッシュ

「情熱の鼓動」コラソンビート

「女王の歩み」クイーンズウォーク

「来光招福」チェルヴィニア

「魅了の魔女」スウィープフィート

「偶像の光背」ライトバック

「予言の星花」イフェイオン

「翠電一閃」エトヴプレ

「東国の赤兎」セキトバイースト

「滾る牙」キャットファイト

 

しっかり治して来週は土曜に投稿できるよう頑張ります。

 

それではまた。

こんにちは。

 

ドバイで意気消沈し、夜更かしのツケを払っている日曜日です。

 

GⅠをスルーするわけにはいかないのでごく簡単に大阪杯の予想だけ。

 

 

難しすぎないですか?

 

ドゥラっ子がいないので盲信できるものもなく、何を基準に考えて良いやらよくわかりません。逃げるのが誰かも分からない。

 

阪神の内回りコースとなると、ある程度の操縦性と好位を確保する巡航力は必要です。後方勢が届くにはよほどの切れ味がないと難しい。

 

色々考えてはみたのですがどうにも分からない。何かしらの指針がないとどうしようもないということで、今回の予想テーマは「復活と同期」です。

 

本命は「薔薇一族の末裔」スタニングローズ(西村淳也騎手)。牝馬は一度崩れるとメンタル的にも立て直しが難しい印象があるものの、同期のナミュールが堂々たる逆襲をみせているなか、一族の悲願を叶えスターズを阻んだ秋華賞馬に頑張ってほしい。大負けの2戦は馬場の悪さ及び距離不足と原因がはっきりしており、中山記念はタイム差がそこまであるわけではありません。西村騎手、今度こそGⅠ初制覇を達成してほしい。思えば坂井瑠星騎手が初GⅠをとったのもこの馬でしたね。

 

対抗は「漆黒のキラー」キラーアビリティ(北村友一騎手)。2年前のホープフルS以来、1年4か月振りのGⅠ制覇を狙います。出遅れ癖も段々と解消しつつあり、同期のジャスティンパレスともども、少しずつ大人になっていっている印象です。出遅れさえしなければ好位に取り付くことができますし、切れ味があるというよりは末脚の持続力を生かすタイプなので、この舞台はなかなかいいのではないでしょうか。前走のパフォーマンスが望外に良かったため、評価を挙げた一頭です。北村友一騎手も復活のGⅠ制覇を遂げてほしい。初GⅠの舞台である大阪杯で復活ならドラマ性もある。

 

単穴は「二色の地上絵」ジオグリフ(北村宏司騎手)。迷走した昨季から一転、芝の王道戦線に舞い戻った皐月賞馬は、中山記念3着と復帰戦は上々といった感じ。元々操縦性は抜群に高い(と思う)馬ですし、コーナーが忙しい中山コースもぴったりでした。となると阪神内回りも合うのでは…という目算です。なにより、イクイノックスに勝利した経験のある馬がこのままで終わっていいはずがないでしょう。

 

連下はあまり奇抜なことはせずに、先行力と器用さのある実力馬を指名します。「ファーストクラウン」タスティエーラ(松山弘平騎手)、「緑色の夏風」プラダリア(池添謙一騎手)、「渦巻くゴシック」ローシャムパーク(戸崎圭太騎手)。

 

そして応援枠の大穴は「再生の物語」ステラヴェローチェ(酒井学騎手)。10年ぶりのGⅠを狙うベテランジョッキーと行方不明だった怪我に苦しんだ実力馬のタッグで復活の道のりを歩むのを応援せずにはいられない。やっぱり6歳世代は華があって好きですし。

 

ソールオリエンスとかルージュエヴァイユとかは明らかに舞台適性が疑問です。それでも好走するようならやっぱり怪物だったとなるわけで、それならそれで面白い。

 

ミルコのミッキーゴージャスもロマンの塊みたいな血統だし、ベラジオオペラもYouTubeのベラジオチャンネル面白いから応援したくなるし、ハーパーも安定感あるし。いや、やっぱり難しい。なんだかんだ、流石GⅠです。

 

そんなところです。ドバイの振り返りはしばらくたたないと投稿する気になれません。ウマ娘のライブも何とか合間縫ってみたんですけど、感想を書く暇があるかどうか。

 

まあ、ぼちぼち更新していきます。

 

それではまた。

こんにちは。

 

ドバイワールドカップデー展望、最後の2レースとなります。前編と中編は下のリンクからどうぞ。

 

 

 

 

残すは芝の頂上決戦とダートの頂上決戦。それではスタート。

 

3/30 25:00 GⅠドバイシーマクラシック(T2400)

日本4頭、イギリス2頭、アイルランド2頭、フランス1頭、ドイツ1頭、カタール1頭、UAE1頭、12頭立てのレースです。

 

1「装苑のトップランナー」ジュンコ
2「万里の宮殿」ジャスティンパレス
3「ヴァイオレットボクサー」ポイントロンズデール
4「叛徒の純愛」レベルスロマンス
5「偉大なる王」シャフリヤール
6「パリカタールラリー」シムカミル
7「ドイツの真珠」シスファハン
8「赤い悪魔の魂」スピリットダンサー
9「衝撃の彫刻家」オーギュストロダン
10「薄幸の佳人」エミリーアップジョン
11「星継ぐ血筋」スターズオンアース
12「自由の令嬢」リバティアイランド
 

※人気は英ブックメーカーBEST ODDSを参考にしています。

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推定1番人気はイギリスダービー馬、「衝撃の彫刻家」オーギュストロダン(ライアン・ムーア騎手)。英愛米でGⅠ5勝の圧倒的実績を誇っています。欧州の名門クールモアが送り出したディープインパクトのラストクロップは、父の名をより輝かしいものとするクラシック制覇を成し遂げました。3歳以降に負けた2戦(英2000ギニー・キングジョージ)はいずれも二けた着順の大敗で、それが不安要素として挙げられます。陣営が言うには飛行機輸送が嫌いみたいで、実際船で輸送したフューチュリティトロフィーとエプソムダービーは勝利しています。とはいえ前走BCターフは飛行機輸送だったので克服してるとみてもいいのですが……今回も当然飛行機輸送です。4頭の激戦を制した愛チャンピオンS、米日のトップホースを退けたBCターフと直近の2連勝は圧巻の一言で、能力的には疑いの余地がありません。

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推定2番人気は日本が誇る三冠牝馬、「自由の令嬢」リバティアイランド(川田将雅騎手)。豪脚一閃、ライバルをねじ伏せた桜舞台、格の違いを見せつけた樫の舞台、三冠すら人馬が見据える夢の途中(以上、川島アナの口上を引用)とした天才少女が海外初お披露目となります。前走のジャパンカップは世界最強馬イクイノックスに4馬身差の完敗を喫し、勝ち逃げを許してしまいました。道中はスターズオンアースとバチバチにやりあったり、やはり12ハロンだと若干折り合いに不安があったりと敗因はいくつか挙げられますが、心配なのは全力を出して尚届かなかったことで気持ちが切れていないかということ。やはり牝馬の心は秋の空、一度気持ちが途切れると途端に走らなくなる名牝というのは珍しくないわけで、川田騎手がインタビューにて精神面に言及していたのはそういう背景があるのだと思います。それでも、川田騎手は「リバティなら大丈夫」とおっしゃられていましたし、私もそう思います。今年は去年が霞むほどの大活躍を見せ、「4歳の時にイクイノックスと当たっていたら勝てたかもしれない」という世論を形成してほしい。

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推定3番人気はイギリスのGⅠ2勝馬「薄幸の佳人」エミリーアップジョン(キーラン・シューマーク騎手)。昨年の世界ランキングにて、リバティアイランドと同値のレーティング121をたたき出し、牝馬最高値を記録しました。英オークスはゲートをうまく出ることが出来ず最後は大外を回す形になってしまい、チューズデーに届かず無敗が途切れてしまい、捲土重来を期した愛ダービーはバードストライクのせいで飛行機が飛ばず無念の出走取消、その後初の古馬・牡馬混合戦となったキングジョージはアスコットを攻略できずに最下位と、22年の3歳春シーズンは踏んだり蹴ったり。しかしながら立て直しに成功した秋シーズン以降は英チャンピオンズフィリーズ&メアズSでアスコット攻略に成功し、4歳緒戦のコロネーションカップはウエストオーヴァーを上り33秒台の豪脚で打ち破り、牡馬混合すら克服。後方からの競馬にこだわるため多頭数がそこまで得意なわけではないですが、日本の馬場でも通用するほどの豪脚が炸裂すれば、様々な壁を易々と乗り越えていくであろうことは想像に難くありません。

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推定4番人気は日本が誇る二冠牝馬「星継ぐ血筋」スターズオンアース(クリストフ・ルメール騎手)。エミリーアップジョン以上に不運ともいえるゴタゴタがずーっと続いていますが、昨シーズンの裏MVPはこの子で間違いないでしょう。昨年GⅠを獲れていないことが本当に信じられない。ローテーションに一切の妥協がなく、その路線の最強馬に堂々と挑み追い詰める姿は牝馬なのにもかかわらず実に漢らしい。前走では最恐と名高い大外枠のジンクスを粉々に破壊し複勝10割をキープしました。前例を鑑みるともはやルメール騎手が逃がしにかかるのではと疑わざるをえないのですが、彼女がGⅠを獲る姿が久しぶりに見られるのであれば、いくら私の心臓がもたない騎乗だろうとかまいません。やはり日本人気質な私は完璧な馬よりもどこか欠点がありつつそれを乗り越えようと思考錯誤する馬に惹かれてしまう。タイトルホルダーはお父さんの忘れ物を国内で回収し終えました。あと一つ、ドゥラメンテの忘れ物としてのこされているのは、まさにドバイシーマクラシックのタイトル。スターズオンアースリバティアイランド、どちらかが獲らないわけがない。くれぐれもお父さんみたいに調教師の眼鏡吹っ飛ばして裸足で走ったりはしないように。

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推定5番人気は天皇賞馬「万里の宮殿」ジャスティンパレス(ジョアン・モレイラ騎手)。私にとっては苦々しい現地観戦となったとはいえ、天皇賞春でのパフォーマンスは素晴らしかった。その実力を裏付けるかのように、その後の3戦も勝利にこそ手が届かなかったものの立派な走りを見せてくれました。遊びが多い悪癖がだんだんと解消されてきたのは良いものの、競馬スタイルはすっかり追込み馬に。その代償か、春秋グランプリはどちらも消化不良感がありましたが、直線が長いコースであればそれも問題ないため、今回のレースは大丈夫であるはずです。それにしても、この舞台に3頭も産駒を送り出すディープインパクトというのは本当にすごいなとしみじみ感じ居る次第です(2頭送り出している去年のリーディングサイアーも十分凄いですけどね!)。

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推定6番人気は国外でGⅠを2勝したフランスの国際派「装苑のトップランナー」ジュンコ(マキシム・ギュイヨン騎手)。重馬場とはいえペースも時計もあまりに遅すぎで、序盤なんかお散歩みたいだったバイエルン大賞を勝利し、私はレースレベルの低さを理由に香港ヴァーズでは思いっきり軽視していました。しかしながら手痛いしっぺ返しを食らい、彼はGⅠ2勝目を達成。しかしやっぱり香港ヴァーズにしては時計が遅め…。時計がかかる展開にならないと今回の舞台ではさすがに難しいのではと思うんですけども。これで上位に食い込んで来たら私は何も学んでいない。

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推定7番人気はGⅠ3勝、5か国の重賞を制覇している地元の雄「叛徒の純愛」レベルスロマンス(ウィリアム・ビュイック騎手)。ドバイターフに出走する半弟メジャードタイムと同じく、ゴドルフィン×アップルビー×ビュイックの鉄板コネクションです。独米GⅠ3連勝で挑んだ去年は手も足も出ず7着敗戦。その後アメリカ遠征も落馬アクシデントなどで不完全燃焼に終わり、ジュンコが勝利したバイエルン大賞も直前で回避。12月にイギリスで一叩きし、2月にカタールのGⅢアミールトロフィーにて日本馬3頭を抑えきって逃げ切り勝利を収めました。満足な状態で走っていないことも多いですが、幾たびの遠征にも耐えうる強靭なメンタルがあり、脚質も自在。3年前のUAEダービー以来となるメイダン競馬場での勝利を期しています。

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推定8番人気は中東が水に合っているイギリス馬「赤い悪魔の魂」スピリットダンサー(オイシン・オーア騎手)。共同馬主の一人である、マンチェスター・ユナイテッドのレジェンド監督、サー・アレックス・ファーガソンがカメラに抜かれることが今から楽しみです。82歳のヘアドライヤーがサウジアラビアで飛び跳ねながら喜んでいるのをみてニヤニヤしないサッカーファンはいない。あれほどの熱量がないと、トップオブトップで28年も監督できないんでしょうね。この馬の話となるとどうしてもサッカーの話の方が多くなってしまいますが、この馬自体は11月から中東遠征を敢行し、バーレーンGⅡとサウジGⅡネオムターフカップを勝利しています。前々走ジェベルハッタ4着はいかにも距離が不足している印象です。12ハロンの適性自体はあるでしょうが、メンバーレベルが一気に強化されすぎているのが不安です。

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推定9番人気は誇り高き日本ダービー馬「偉大なる王」シャフリヤール(クリスチャン・デムーロ騎手)。一昨年のイギリス遠征以降全ての歯車が狂ってしまった印象ですが、ここ2戦は復活気配を漂わせています。前々走BCターフは「衝撃の彫刻家」オーギュストロダンとの位置取りの違い、そしてアメリカ総大将「気分上々」アップトゥザマークに終始外から被せられる形で苦しかったにもかかわらず3着に好走。香港で門前払いを食らって決して万全の状態とは言えなかった前走有馬記念は2世代下の後輩ダービー馬「ファーストクラウン」タスティエーラを退けての掲示板確保に成功しています。なにより出走馬の中で2回目のドバイシーマクラシック制覇が狙えるのは当然この馬だけです。「時代の継承」エフフォーリアと「その名は」タイトルホルダーが引退して尚走り続ける6歳世代の大将として、立派な走りをしてくれるものと思います。出来れば国内で「再生の物語」ステラヴェローチェが好走してくれるとドラマ性がより上がるのですが。

ーーー

その他、

前走は失敗してしまった逃げをとにかく打ちたいクールモアの重賞5勝馬「ヴァイオレットボクサー」ポイントロンズデール(ウェイン・ローダン騎手)、

フランスからカタールに移籍したGⅠ馬「パリカタールラリー」シムカミル(ジェームズ・ドイル騎手)、

前哨戦3着の叩き良化型にしてみれば上々、3年前のドイツダービー馬「ドイツの真珠」シスファハン(ルーカス・ディロジール騎手)、

 

以上12頭の紹介でした。

3/30 25:35 GⅠドバイワールドカップ(D2000)

※日本馬の重賞勝利数は交流重賞含む

 

日本4頭、アメリカ4頭、UAE3頭、サウジアラビア1頭の12頭立てのレースです。日本vs米国vs中東の三つ巴で総省金16億9200万円、1着賞金10億円のビリオンロードで覇を競います。

 

1「ロックギターの神様」クラプトン
2「BMXレーサー」クルッピ
3「不破の金庫番」ディファンデッド
4「驚愕の決まり手」デルマソトガケ
5「破天荒な後継者」ドゥラエレーデ
6「名作映画監督」カビールカーン
7「冠下の鏡水」ローレルリヴァー
8「海の法務官」ミリタリーロー
9「新時代の扉」ニューゲート
10「夢追うスペイン男」セニョールブスカドール
11「金鉱眠る鋭鋒」ウシュバテソーロ
12「大統領は外交へ」ウィルソンテソーロ
 

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推定1番人気は連覇を狙う日本の大将格「金鉱眠る鋭鋒」ウシュバテソーロ(川田将雅騎手)。今回はまともな追切をしているようで、むしろ競馬ファンがざわつくという強烈な個性を有しています。不真面目だけど決めるところはバシッと決める、とても魅力的な馬としか言いようがありません。ダート転向で才能が開花したあとは11戦8勝、GⅠ3勝(川崎記念含む)と最強馬に覚醒し、ドバイワールドカップではダート開催の下で日本馬初の勝利をつかみ取りました。日本テレビ盃は他馬を子ども扱いし、BCクラシックは狭いゲートが気に入らなかったのもあり(?)5着に敗退、圧巻だったのは1頭だけ大外を悠々と差し切った東京大賞典。日本の最強は誰か、改めて思い知らされました。そして前走のサウジカップは良くも悪くもオルフェーヴルの息子なのだということを再認識させられるような2着惜敗。調教に行きたくないと駄々をこねていたのを川田騎手に半笑いで暴露された馬とは思えない立派な走りでした。サウジの雪辱を、そして連覇の栄光を掴むために、後方待機から最後に襲い掛かる自分の競馬を披露してきてくれることでしょう。

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推定2番人気はいまだかつて類を見ないほど海外経験豊富な4歳馬「驚愕の決め手」デルマソトガケ(クリストフ・ルメール騎手)。結局3歳で走った4戦はすべて海外で、かつてここまで海外に特化した馬がいたかと思考を巡らせてしまうほどです。UAEダービーを制したのち、ケンタッキーダービーでは痛恨の出遅れが響いて6着。日本テレビ盃を挟む予定でしたが状態整わずBCクラシックに直行し、完璧な競馬で2着に入る大偉業(あまりフィーチャーされないのが不満なのですが)を成し遂げました。前走サウジカップは5着でしたが、昨年の成績を見るにサウジよりドバイの方が水に合っていそう(適当)なので、今回の方がいい走りを見せてくれるはずです。よくよく考えると、ウシュバテソーロとガチンコ勝負を繰り広げているのもなかなかすごい実績です。

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推定3番人気は「名作映画監督」カビールカーン(ダグ・ワトソン騎手)。前走のパフォーマンスとその特異すぎる経歴については前に記事でも触れました。

どうやら馬名は人名由来じゃないとの記事をどこかで見たのですが、おさまりがいいし二つ名はこのままにしておきます。前哨戦ながら初GⅠ制覇となった前走アルマクトゥームチャレンジでは、2着以下を4 3/4馬身引き離す完勝劇。破った相手もクラプトンミリタリーロー(ドバイWCに出走)、デザートウィズダムウォークオブスターズ(ゴドルフィンMに出走)とドバイの一流どころばかりでした。カザフスタンの威信を世界最高峰の舞台で見せつける、そんなシンデレラストーリーを私たちの目に映し出してくれるかもしれません。

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推定4番人気はアメリカのサンタアニタマスター、「新時代の扉」ニューゲート(ランフランコ・デットーリ騎手)。ウマ娘サイン馬券を狙っている人には注目の1頭なんじゃないでしょうか。5年連続リーディングサイアーのイントゥミスチーフ産駒、西海岸の名門バファート厩舎、三冠馬ジャスティファイや2020年のエクリプス賞年度代表馬オーセンティックの共同オーナーとして名高いスターライトレーシング(勝負服がカッコいい)とアメリカの威信を背負うにふさわしい。前走初GⅠ挑戦ながらサンタアニタハンデキャップをクビ差差し切り勝ち。ドバイへと来ることが出来なかったニューグランジの思いも胸に、ダート新時代の開拓者として西海岸からドバイへと飛び立ちました。

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推定5番人気はサウジで夢をつかみ取ったアメリカ馬「夢追うスペイン男」セニョールブスカドール(フニオール・アルバラード騎手)。表記揺れの問題なので聞き流してほしいのですが、スペイン語の発音準拠で表記しています。大外ぶん回しの豪快な競馬でペガサスワールドカップ2着、サウジカップ1着と大出世。「白き豊穣」ホワイトアバリオ及び「米国の至宝」ナショナルトレジャーが帰国してしまったことで少し層が薄くなってしまったアメリカ勢の大将格としてドバイに挑みますが、心配なのは10ハロンという距離。前走9ハロンの勝利ですら生涯最長距離での勝利で、10ハロン戦に至っては5着、4着、7着と3戦全敗。もちろんすべてGⅠでメンバーレベルが高かったというのはあるでしょうが、ウシュバテソーロに逆転される要素は非常に多くあり、それどころか着の確保すら危ぶまれるがためにこの人気になっているといえます。成長力で距離の壁を打ち破れるか、それとも跳ね返されるか、その見極めが重要となります。

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推定6番人気はジャドモントファームが送り出す地元UAEの快速馬「冠下の鏡水」ローレルリヴァー(タドホグ・オシェイ騎手)。前哨戦である首GⅢバージナハールを6 3/4馬身差で圧勝しています。しかしこの馬に関しても距離不安が大いにあります。そもそもバージナハールはゴドルフィンマイルの前哨戦であるはずで、10ハロンへの挑戦自体が驚きです。これまでの勝鞍はマイルまで。2ハロンの距離延長などお構いなしに逃げるとは思うのですが、大外枠に放り込まれてさてどうするか。マイル戦と同じように逃げてしまうとなると、去年同じように大外枠に放り込まれたパンサラッサのようにハイペースを作り出す要因となることも考えられますが……

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推定7番人気は「大統領は外交へ」ウィルソンテソーロ(原優介騎手)。フェブラリーを負傷で騎乗できなかった原騎手を乗せてくれるのも非常に嬉しい。小手川調教師、了徳寺オーナー、そしてドバイレーシングにお礼を言いたい。チャンピオンズカップと東京大賞典で正反対の競馬を見せた自在性を武器に、初の海外遠征へと挑みます。正直ウシュバテソーロという規格外の化け物を逆転するにはいくつかの要素が必要ではあるのでしょうが、レース展開に合わせてスタイルを変えられるのは自分だけの武器に違いありません。23歳の若武者のGⅠ初制覇が賞金10億円の世界一決定戦だったならば、競馬の常識をすべて破壊するような大偉業となるでしょう。

ーーー

推定8番人気は別に父の忘れ物を取りに来たわけではなさそうな「破天荒な後継者」ドゥラエレーデ(バウイルジャン・ムルザバエフ騎手)。正直ドゥラ産駒だからどうこうというよりネタ要素があまりに強すぎて、最近の私は馬名を聞いただけで笑いが止まらなくなってしまうようになってしまった馬です。この馬にかける期待値が一番高かったのはデビュー前だったかもしれない。そろそろ賞金やレーティングを稼いでおかないと今後のレース選択で好き放題出来なくなってしまいます。実際川崎記念を除外されそうでしたし。それで大阪杯と両にらみした挙句にドバイへと飛んでくるのがいかにもこの馬らしくて大爆笑しました。もうなんか、実戦でどんな走りするかというより、レース間の情報の方が注目されるなんともいえない話題性を持つようになってしまいましたが、昨年の秋を見てもわかるように、一線級に通用する実力は十分あります。前走フェブラリーステークスは明らかに距離が忙しすぎますし、メイダンではUAEダービー2着の実績もあります。あそこで別れたデルマソトガケと1年ぶりに感動の再会を果たし、どちらのローテーションがより挑戦的か競う決戦をするとなると盛り上がらずにはいられません(違

 

多分本命にしないといけないんだろうな……ここで勝ったら(それこそパンサラッサのサウジカップ制覇級に)めちゃくちゃ面白いのですけども。ここ走ったら次は春天出てみてほしいなあ。

ーーー

以上に加えて、

前走ペガサスワールドカップ3着馬の「BMXレーサー」クルッピ(ルイス・サエス騎手)、

前哨戦アルマクトゥームクラシックを制した地元のたたき上げ「海の法務官」ミリタリーロー(オスカル・チャベス騎手)、

メイダン1900メートルの重賞で2戦連続3着に入りじっくり調整を重ねた「ロックギターの神様」クラプトン(ディラン・デイヴィス騎手)、

サウジに引き続き参戦のGⅠ2勝馬「不破の金庫番」ディファンデッド(アデル・アルフライディ騎手)、

以上16頭となります。

 

OUTRO

何とか書き上げました!私のブログは書きたいことをとにかくダラダラ書くので、どうにも書くのに時間はかかってしまいます。書きながら自分なりに楽しめるポイントを見つけられてるからいいんですけれども。ドバイシーマクラシックでドゥラメンテの娘たちが勝たないなんてことがあったならば(万が一にも信じたくはないですが)、ただでさえドゥレッツァルガルで傷心なのにあまりのショックに襲われた私は寝込むかもしれません。そうなったらお察しください。

 

去年のドバイ然り、ジャパンカップのレーティング然り、日本競馬こそが世界の頂点に君臨しているのだ、と豪語できるようなレースを期待しましょう。夜更かしの準備は万全です。

 

それではまた。

こんにちは。

 

ドバイワールドカップデー展望の中編をお送りします。前編はこちらから↓

 

 

それではスタート。

 

3/30 23:25 GⅠドバイゴールデンシャヒーン(D1200)

※日本馬の重賞勝利数は交流重賞を含んでいます。

 

上半期のダートスプリント頂上決戦です。国際色豊かな他レースと対照的に、三か国の英傑たちが激突します。地元UAEから5頭、ダートでは負けられないアメリカから5頭、そして日本から4頭の、14頭立てです。

 

UAE調教馬は実績的に一枚劣る印象ですので、日米の争いになのではと思います。

 

日本の大将格は「温故知新」リメイク(川田将雅騎手)でしょう。中央・地方・韓国・サウジで重賞4勝と馬場不問で遠征も全く問題なし。前年の中東遠征では昨年のエクリプス賞最優秀短距離馬である「強大な権力者」エリートパワーをはじめとした強力なアメリカ勢の前に膝をつきましたが、それでも健闘をみせました。今年初戦のGⅢリヤドダートスプリントは余力すら感じるほどの快勝を収め、いよいよ馬体は完成の域に近づいてきています。サウジより層を厚くしたアメリカ勢すら横綱相撲で打破できる期待感をもてます。

 

そんなリメイクを昨年のJBCスプリントで封じたのが2年連続でNAR年度代表馬に輝いている「園田の英雄」イグナイター(笹川翼騎手)。好位追走から先行勢を競り落とし、後方勢の末脚を完封する綺麗な競馬で、中央馬の壁すら打ち破りました。今回は最内枠に入り、迷いなく自分の得意な競馬ができるでしょう。「大井の無敗三冠馬」ミックファイアともども、ダート新時代の第零章はあまりに鮮烈で、このタイミングでこういった馬が出てくるのは、競馬の神様も面白いことをするなあと思わざるを得ない。前走の敗因は距離で片付けられます。園田から中央へ、そして一足跳びに世界へ。しかも笹川騎手で。こんな挑戦ワクワクせずにはいられない。

 

日本から参戦する個性派はまだまだいます。「巨躯の首領」ドンフランキー(クリスチャン・デムーロ騎手)。最高体重は598キロを記録する巨体が目を引きますが、それでいて強い。先頭に躍りだしたかと思うと大迫力で粘り込む競馬で15戦7勝、重賞2勝。惜しむらくは昨年のJBCスプリント回避でしょう。なまじ大きいだけに脚への負担も大きいのだろうなと思うのですが、今年はフェブラリー9着から大きな問題なくドバイ遠征へとこぎつけることが出来ました。世界中にあの巨体が逃げる様子を見せつけることができるなんて、これまたワクワクせずにはいられない。……なんで池添騎手じゃないん?

 

日本馬ラストの紹介は「長閑な釣り人」ケイアイドリー(クリストフ・ルメール騎手)。門別で重賞1勝で、GⅠ初挑戦となった昨年のJBCスプリントは9着。前走は海外に初挑戦してリヤドダートスプリント6着でした。スプリント能力は水準以上のものを有していますが、正直この舞台は格上ばかり。どこまで通用するかという見立てとなります。

 

推定1番人気はリメイクでしょうが、サウジにいなかったアメリカ勢2頭がとりあえずの対抗馬。

 

ノットディスタイム産駒の6歳騙馬、「湖沼の音楽家」シベリウス(ライアン・ムーア騎手)。前年の覇者です。前年のドバイゴールデンシャヒーンは非常に熱いレースで、エクリプス賞短距離部門2位のガナイトホプキンスの競り合いを最内からシベリウス、大外から22年の覇者スイッツァランドが強襲し、決着はハナ差でした。シベリウスはその後3連敗を喫してダートスプリント王争いからは脱落しましたが、12月から去年と全く同じローテーションで2連勝と復調。去年は最内枠の妙もありましたが、今年は6番枠。先行する位置取りにつけたいところです。

 

続いて、ファイアリングライン産駒の5歳牡馬、「望月の始祖」ナカトミ(ジェイミー・スペンサー騎手)。エリートパワーガナイトという23年のダートスプリント2強に食い下がったBCスプリント3着が評価できますが、叩き仕上げとはいえ前走のリステッドでシベリウスに敗れていることと、初の海外遠征であることが気になります。なんでこの名前になったのかはよく分かりません。

 

その他、

 

アメリカ代表/クオリティロード産駒の6歳牡馬/昨年は僅差の4着、ドンフランキーとハナ争いをするであろうホプキンス(ルイス・サエス騎手)

 

アメリカ代表/ハードスパン産駒の5歳牡馬/前年エクリプス賞最優秀調教師に輝いたモット師が送り出す前走リヤドDS3着馬ボールドジャーニー(ランフランコ・デットーリ騎手)。

 

UAE代表/オックスボウ産駒の7歳騙馬/ロシアでデビューしドバイWCデー4年連続出走の重賞3勝馬タズ(タドホグ・オシェイ騎手)。

 

UAE代表/フラッター産駒の6歳牡馬/長期休養明けの前走首GⅢアルシンダガスプリントを6 3/4馬身差で圧勝した重賞2勝馬ムーヒーブ(ベン・コーエン騎手)。

 

こんなところです。

3/30 24:10 GⅠドバイターフ(T1800)

 

日本4頭、UAE3頭、イギリス3頭、アイルランド2頭、香港2頭、フランス1頭、アメリカ1頭、以上16頭立てのレースです。一度出走メンバーをオリジナル二つ名と共にさらってみます。

 

1「巨河の盟主」カイロ
2「桜の果」カリフ

3「鼠神の牙」キャットニップ
4「遠洋の光」ダノンベルーガ
5「日本総大将」ドウデュース
6「勝利の郵便」ファクトゥールシュヴァル
7「不屈の愛国王」ルクセンブルク
8「北の旅人」ロードノース
9「大都会の眼差し」マテンロウスカイ
10「堅物な弟」メジャードタイム
11「群青の顕界」リアルワールド
12「砲塔の冠」サンドナート
13「望夜の帝」ストレートアロン
14「逆さ船の航海士」ヴォイッジバブル
15「真珠の鐘楼」ナミュール
16「陶酔の香」ナシュワ
 

ーーー

推定1番人気は「日本総大将」ドウデュース武豊騎手)。GⅠ3勝、昨年は有馬記念を勝利し、イクイノックス後の日本競馬において、牡馬の横綱に君臨しています。その視線はすでに10月のフランスへと向けられているはずで、調教でもハーパーを子ども扱いしながら猛時計を記録しました。レジェンドの精神的支えでもあったという特別な馬が、昨年は出走する事さえ叶わなかった舞台へと歩を進めます。獣医師検査も一発クリアでひとまずは安心です。改めて、武豊騎手の勝利というのは、全ての競馬ファンの活力になるということを感じます。日本競馬の希望となるような走りを期待しましょう。

ーーー

推定2番人気は地元UAEの最有力「堅物な弟」メジャードタイム(ウィリアム・ビュイック騎手)。ゴドルフィン×アップルビー師が兄レベルスロマンス(ドバイシーマクラシックに出走)とともに自信をもって送り出す、6戦5勝2着1回の天才ホースです。勝利したレースではすべて1 3/4馬身差以上の差をつけています。

 

 

ジェベルハッタの振り返り記事で書いたように、日本馬の壁となって立ちはだかってきました。競馬スタイルは好位抜出しの横綱競馬。真横の枠のドウデュースよりは前にいると思われます。

ーーー

推定3番人気はイギリス馬最有力の「北の旅人」ロードノース(ランフランコ・デットーリ騎手)。前人未到のドバイターフ四連覇がかかっています(二回目の優勝は誰かさんのおかげで同着でしたが)。去年にダノンベルーガを封じて三連覇を達成してからは長期休養を取り、復帰は11か月後。地元英国のGⅢで2着でしたが、勝利した馬はアダイヤーの半弟というんだからかなりの素質馬なんでしょう。それまでの臨戦過程がどんなものであってもドバイターフの1着だけは譲らない、そんな馬なので日本にとってはかなり厄介な相手です。

ーーー

推定4番人気は日本馬の副将といっていいでしょう。「遠洋の光」ダノンベルーガ(ジョアン・モレイラ騎手)。モレイラ騎手は継続騎乗5戦目となります。去年の2着馬はGⅠタイトルに手が届かないもどかしさを抱えたまま再びドバイの舞台に帰ってきました。瞬間的な加速は現役場の中でも随一とは思うのですが、反応が若干悪かったり、馬体が理想的な状態でなかったりと、能力とパフォーマンスがなかなかかみ合わないなという印象です。ジャパンカップ6着も、掲示板組の豪華さを考えると健闘と思っていいのですが、どうにも惜しい印象がつきまといます。2年前の共同通信杯以来の勝利は一体いつになるのか。あるいはここか。

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推定5番人気はアイルランド馬の最有力、「不屈の愛国王」ルクセンブルク(ライアン・ムーア騎手)。12ハロンもこなせる馬だと思うので、邪推ですがなんとなくオーギュストロダンとの使い分けといった感じもあります。GⅠ3勝ながら、去年はタタソールズ金杯制覇以降にGⅠ2着3回。大崩れもしなければ突き抜けもしない競馬が続いています。昨年における名レースの一つ、アイリッシュチャンピオンステークスでの4頭大激戦や香港カップで「浪漫の闘士」ロマンチックウォリアーに肉薄するなど、自分の力をレースですべて出し切るすべは心得ているように思います。前走は大外枠+サウジの気分屋な芝に足を取られた感もあり、むしろ良い叩きになっているかもしれません。叩き2戦目で無敗を誇っているという実績もあります。

ーーー

推定6番人気は香港馬の最有力、「逆さ船の航海士」ヴォイッジバブル(ミカエル・バルザローナ騎手)。最内枠に入りました。香港競馬の二強と言えば「現在進行形の伝説」ゴールデンシックスティと「浪漫の闘士」ロマンチックウォリアーですが、その二強に次ぐ位置にいます。12月の香港マイルでゴールデンシックスティの2着、1月のスチュワーズカップでは二強不在の中完勝でGⅠ初制覇を達成し、2月の香港ゴールドカップではロマンチックウォリアーにただ1頭追いすがり2着。イウ調教師は海外遠征にかなり積極的な姿勢をみせており、将来的には日本遠征も視野に入るのではないでしょうか。香港の新時代を担う馬として注目です。

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推定7番人気は欧州牝馬の代表、「陶酔の香」ナシュワ(ホリー・ドイル騎手)。カルティエ賞最優秀古馬にもノミネートされた名牝は、僚馬ロードノースとともに初の中東遠征へと挑みます。GⅠ3勝はいずれも牝馬限定戦ですが、昨年の下半期には積極的に牡馬混合戦にも挑んで、インターナショナルSは「シャドウェルのスナイパー」モスターダフに真っ向勝負を挑んで2着、愛チャンピオンSは大外強襲で4頭大激戦を演出し微差の3着、クイーンエリザベス2世Sは重馬場と状態の悪さに苦しみ6着敗戦。後方待機からの豪脚は牡馬に少しも見劣りしません。フランスクラシックを女性騎手として初めて制するという偉業を共に成し遂げた心の相棒ホリー・ドイル騎手とともに、大外枠という不運を乗り越えて牡馬を蹴散らす用意は整っています。

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推定8番人気はフランスからただ1頭の参戦となる「勝利の郵便」ファクトゥールシュヴァル(マキシム・ギュイヨン騎手)。成績見たら面白すぎて笑えて来るのですが、去年の6戦は3着2着3着2着3着2着。マイルのGⅠ戦線に初めて乗ったにもかかわらずこんな調子なので、強いのは間違いないのですが重賞1勝馬に甘んじています。「紳士な主人公」パディントンや「テンからかませ」ビッグロックの被害者ポジションとして定着してしまいましたが、地味にGⅠ初挑戦でもイギリスへの初遠征でも崩れないあたり、本当に堅実という表現があてはまる。善戦マンはドバイの地で父リブチェスターに産駒初のGⅠを届けることができるか。

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推定9番人気は日本のマイル女王、「真珠の鐘楼」ナミュール(クリスチャン・デムーロ騎手)。上半期はフォームを崩しましたが、下半期はマイル界を見事統一。香港マイルでも日本馬最先着の3着で、「府中の歌姫」ソングライン以後のマイル戦線において女王として君臨しています。1ハロンの距離延長ではありますが、オークス3着・秋華賞2着の実績が非常に心強い。外枠に入れられてしまいましたが、この馬が逆境になるほど強いのはマイルCSで思い知りました。初の海外遠征となりますが、馬群を叩き割る末脚を見せてくれることを期待しましょう。

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推定10番人気は日本馬最後の紹介となる「大都会の眼差し」マテンロウスカイ(横山典弘騎手)。マテンロウ冠で有名に寺田千代乃さんはアート引越センターの創業者です。魑魅魍魎が跋扈した中山記念において、好位追走からただ1頭ドーブネを捉え切り突き放す完勝を収めました。3着「二色の地上絵」ジオグリフ、4着「朝日は昇る」ソールオリエンス、その他エルトンバローズヒシイグアス、ソーヴァリアントという相手関係を考えてもとても価値ある1勝でした。そもそも中山記念自体が海外の前哨戦としては非常にちょうどいい1戦(近年だけ見てもウインブライトパンサラッサがいますし)なので、重賞実績のなさでいくら軽視されてようと侮ることはできません。しかしまあ、ユタカさんとノリさんがそろってドバイ行くとは。ノリさんなんか今年は息子たちより重賞勝ってるし。

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以上有力10頭をグダグダと紹介しました。

香港の王道路線を歩んできた「望之夜の帝」ストレートアロン(ブレントン・アヴドゥラ騎手)、

アメリカ芝路線を歩んできたペガサスWCT3着馬「鼠神の牙」キャットニップ(クリストフ・ルメール騎手)、

ドバイに移籍したのち8~9ハロンで安定した成績を見せる「砲塔の冠」サンドナート(パット・ドッブス騎手)、

中東を渡り歩いているゴドルフィンのベテランホース「群青の顕界」リアルワールド(ケヴィン・ストット騎手)、

愛2000ギニー2着馬「巨河の盟主」カイロ(ウェイン・ローダン騎手)、

ドイツからバーレーンに移籍して前走ネオムターフカップ3着の「桜の果」カリフ(アドリー・デフリース騎手)、

以上16頭となります。

 

 

OUTRO

 

後編(ドバイシーマクラシック・ドバイワールドカップ)も続けて書きます。ギリギリでの投稿になったらごめんなさい。

 

それではまた。

こんにちは。

 

いやあ、いよいよドバイワールドカップデーが近づいてまいりました。あまりに楽しみすぎる。楽しみすぎて、今月中旬まで高松宮記念の週に開催だと早とちりしておりました。ドバイワールドカップデーは原則3月の最終土曜に開催のため、高松宮記念と同週のことが多いのですが、開催日程によっては大阪杯と同週となることもあります(実際5年前はそうでした)。

 

UAE33頭、日本24頭、アメリカ16頭、イギリス15頭、アイルランド7頭、フランス7頭、サウジアラビア5頭、香港4頭、カタール2頭、ウルグアイ2頭、オマーン1頭、バーレーン1頭、チェコ1頭、ドイツ1頭。14か国から119頭がエントリーしています。

 

正直8レース(アラブ種のGⅠ含めれば9レースですが)もあると語れることが多すぎるので、できるだけ分量は抑えめにしつつ、前中後編の3部作で展望をお届けします。

 

前編はゴドルフィンマイル、ドバイゴールドカップ、アルクオーツスプリント、UAEダービーの4レース。

 

中編は出馬表付きでドバイゴールデンシャヒーンとドバイターフの2レース。

 

後編は出馬表付きでドバイシーマクラシックとドバイワールドカップの2レース。

 

書き終えられるかな…すこぶる不安。

 

とりあえず見切り発車。

 

2月に書いたドバイ関係の記事を貼付しておきます↓

 

※出走時間は日本時間で表記

 

3/30 21:05 GⅡゴドルフィンマイル(D1600)

近年のダート競馬においてますますその地位を高めつつあるマイル路線。

 

日本のダートマイル最強馬である「弾ける爽快感」レモンポップ、一昨年の覇者にして3年連続出走を狙っていた「神出鬼没の獅子」バスラットレオンが不出走となってしまったことが響き、日本馬の出走は残念ながらありません。

 

出走馬13頭の内訳は、地元UAEが7頭で最多勢力を形成しています。ダート王国アメリカは3頭、イギリス1頭、サウジアラビア1頭、そして珍しいことにウルグアイから1頭。南米競馬は話題になることこそ少ないものの、ある程度の盛り上がりはあり、生産国としても優秀です。アメリカ競馬にアルゼンチンやブラジルから移籍してきた馬がいることもざらにあります。それにしたってウルグアイ競馬はあまり聞きませんけれども。

 

 

でも詳しい人いるんですね。ニッチもニッチ、どニッチなんですけど、人間の知識欲って怖いです。

 

ということで少し気になるウルグアイ代表の牝馬パチョーリ(ジョゼ・ダ・シウヴァ騎手)については上の記事を見てもらうことにいたしまして、紹介するのは2強を形成する2頭です。

 

推定1番人気、アメリカ馬筆頭はオールウェイズドリーミング産駒の4歳牡馬、「白熱の王冠」サウジクラウン(フローレン・ジェルー騎手)。8戦4勝、GⅠ1勝と出走馬の中では随一の実績を誇り、前走サウジカップでは望外の3着健闘。その武器は、アメリカのダート勢の中でも群を抜く先行力にあります。サウジカップのレースレコードを作り出したのは紛れもなくこの芦毛の軽快な逃げであり、自らが作り出した激流に耐えきる勝負根性を有していることすら証明しました。10ハロンのワールドカップではなくマイル戦を選んだのも実に理にかなっており、距離短縮でよくなるイメージしかありません。

 

推定2番人気、地元UAEの大将格はマークヴァレスキ産駒の6歳牡馬、「孤独のパロディ」アイソレート(ルイス・サエス騎手)。17戦8勝、メイダンで重賞2勝の実績馬です。アメリカから移籍後、メイダンでは2-2-0-0で連対を外したことはなく、2着に敗れた2戦も6ハロン戦でスプリンターに敗れたもの。すなわちメイダンのダートマイル戦では負けなしを誇る、前回王者です。前走のサウジカップでは初の9ハロン戦にてサウジクラウンにペースを握られ、懸命に追走するも離された6着に終わりました。先行力の差から、今回もサウジクラウンを追走する形になるとは思われますが、前回と違うのは、舞台と距離がアイソレートの最適条件ということ。虎視眈々と逆転を狙います。

 

その他、有力馬としては

 

アメリカ代表/タマークズ産駒の4歳騙馬/14戦4勝のトゥーリヴァーズオーヴァー(エドウィン・マルドナード騎手)

 

イギリス代表/シャマーダル産駒の4歳騙馬/ジュベルアリ競馬場マイスターのスウィングヴォート(ウィリアム・ビュイック騎手)

 

UAE代表/ドバウィ産駒の5歳騙馬/前哨戦アルマクトゥームクラシック2着馬ウォークオブスターズ(タドホグ・オシェイ騎手)

 

が挙げられるでしょうか。

 

3/30 21:40 GⅡドバイゴールドカップ(T3200)

もはやクラシックディスタンスと交わることのない、スペシャリストなステイヤーが大集合するレースです。さすがに南半球からの参戦はありませんでしたが、先月のレッドシーターフハンデキャップと比べ、欧州勢の層がより厚くなっています。日本馬は挑戦者という構図です。

 

「破天の極光」ブレークアップはドバイに到着していたものの歩様の乱れで回避となりました。それによる出走馬の入れ替わりや増加もあり、結局フルゲート16頭立てとなっています。内訳はイギリスが最多6頭、UAEが4頭、フランスが3頭、日本が2頭、アイルランドが1頭です。

 

カルティエ賞最優秀ステイヤーに輝いた「晴天嫌い」トゥルーシャンこそ不在ですが、最優秀ステイヤーにノミネートされた10頭の内4頭が集結しています。また、サウジGⅢレッドシーターフハンデキャップの上位馬もそろって参戦。メンバー構成は混沌の一言。とりあえず有力2頭を紹介。

 

推定1番人気はアイルランドの名伯楽が送り出すガリレオ産駒の4歳牡馬、「恐怖の城塞」タワーオブロンドン(ライアン・ムーア騎手)。ムーア×エイダン×クールモア×ガリレオ産駒×カプリの弟という欧州のメインストリームを形成するそのパーソナリティは、4歳春のサウジアラビアにて凄まじさをまざまざと見せつけました。ハイペースを作り出した日本馬が沈んでいくのを尻目に、鋭くスパートをかけると最後にエネミーを際どく差し切り、GⅠ初制覇。サウジ振り返りの際にも少し書きましたが、イギリス代表の「エネミー」がアイルランドの「ロンドン塔」にぶちこまれる……みたいな(アイルランドがブリテン島を征服した世界線じゃん)ヤバいストーリー性を秘めたレースなのではと要らない妄想を膨らませてしまいました。サウジの馬場が良く分からないことになっていたとはいえ、勝ち時計3分04秒43がかなり優秀に思えます。4歳馬は5歳以上の馬より軽量の利があるレースのため、中東の地で連勝を飾れば、欧州上半期の長距離戦線にて主役へと躍り出るでしょう。

 

推定2番人気はイギリス代表/ゴールデンホーン産駒の6歳騙馬、「一網打尽」トローラーマン(キーラン・シューマーク騎手)。5歳春まではトップクラスに届かない戦いが続き、中東遠征でも完敗。しかし休養を挟んだ5歳秋に覚醒。条件戦、リステッドと楽勝の2連勝を飾り臨んだのは欧州ステイヤー王道路線のシーズン最終戦、GⅡ英チャンピオンズロングディスタンスカップ。立ちはだかる22年度最優秀ステイヤー、「錆びぬ青銅」キプリオス相手に直線一度交わされながらも、もう一度捲り返して壮絶なたたき合いをクビ差制しました。3着以下(スウィートウィリアム、トゥルーシャン、コルトレーンら掛け値なしにすごいメンバー)を13馬身引き離して、復活気配の最強馬とタイマンを張るまでに成長し、化け物級のステイヤーへと才能が開花しています。4連勝・GⅠ連勝を賭け、昨年の雪辱を果たさんと乗り込んできました。

 

その他、有力馬は

 

イギリス代表/ドバウィ産駒の5歳牡馬/GⅠ2勝の「総合格闘家」エルダーエルダロフ(ジェームズ・ドイル騎手)

 

UAE代表/ドバウィ産駒の6歳騙馬/メイダン14ハロンで連勝中の前年2着馬シスカニー(ウィリアム・ビュイック騎手)

 

イギリス代表/マスタークラフツマン産駒の7歳騙馬/GⅡで強くGⅠで届かない善戦マンの「約束のジャズサックス」コルトレーン(オイシン・マーフィー騎手)

 

イギリス代表/ムハーラー産駒の7歳騙馬/前走レッドシーターフHはアタマ差2着だったエネミー(リチャード・キングスコート騎手)

 

イギリス代表/マスタークラフツマン産駒の5歳牡馬/重賞1勝、前走レッドシーターフHはトップハンデ62キロで惜敗の3着だった「匠の名槍」ジャヴェロット(ベン・コーエン騎手)

 

フランス代表/キャメロット産駒の5歳騙馬/長距離重賞2勝の「酔醒」ソーバー(マキシム・ギュイヨン騎手)

 

サウジアラビアでの惨敗からか、はたまた欧州勢の強力さが影響しているのか、日本勢2頭、「宇宙発電機」リビアングラス(坂井瑠星騎手)および「鋼鉄の長距離砲」アイアンバローズクリスチャン・デムーロ騎手)の評価は低めです。レッドシーターフHにてリビアングラスは10着、アイアンバローズは12着と敗れ去り、そこからの一変があるかどうか。どちらもスタートが上手いためすんなりハナはとれるでしょう。ペース管理が難しかったであろうサウジの馬場と比べるとメイダンの方が楽だとは思うのですが。特にアイアンバローズには去年のステイヤーズステークスで度肝を抜かれた幻惑逃げを再び期待しています。なんかまた弟の付き添いみたいになっても困ります。過保護な兄キャラと思っていいものかどうか。

3/30 22:15 GⅠアルクオーツスプリント(T1200)

ドバイワールドカップデーの中で最も国際色が豊かなレースです。芝短距離はえてしてそうなりやすい傾向がありますが(去年の英GⅠクイーンエリザベス2世ジュビリーSは6か国決戦でしたし)、このレースは特に多士済々。去年の8か国には及ばずとも、今年は7か国から12頭が集結。内訳はUAE3頭、イギリス3頭、香港2頭、アメリカ1頭、フランス1頭、日本1頭、チェコ1頭。

 

チェコ?

 

競馬で聞いたことのない国名が出てきたな…と思いましたが、ミナリク騎手やムルザバエフ騎手が拠点としていたことがあるという蜘蛛の糸のような情報が引っかかりました。パートⅢ国かあ……

 

2000年代のサッカーチェコ代表好きだったなあ。チェフ、ネドヴェド、ロシツキー、コレル、バロシュ、ヤンクロフスキ……

 

正味チェコの競馬については何も知らないので色々調べてみたのですが、いやあ、なかなかに面白い。ここで紹介すると永遠にレースの話に戻ってこられないのでやめときますけど。

 

チェコ調教馬のパワー(!)産駒の6歳牡馬ポントス(アントニオ・フレス騎手)はチェコ、ドイツ、イタリア、フランス、スロバキア、イギリス、UAEの競馬場で出走歴がある愉快な馬です。フランスのGⅢ1勝してるの冷静に考えてすごいな。ブラチスラヴァに競馬場あるの初めて知ったし。

 

面白そうなトピックがあると脱線已む無しとなってしまいます。本線に戻りましょう。有力馬3頭、日本馬1頭、その他有力馬をふんわりと紹介します。

 

推定1番人気は地元の雄、コディアック産駒の3歳牝馬、「謎めいた星の少女」スターオブミステリー(ランフランコ・デットーリ騎手)。え!?3歳牝馬?ま、まあ3歳馬の参戦自体は何例かあるにしたって、1番人気にまで推されるとは。兄に加GⅠ馬ミステリアスナイト、姉に重賞馬アルシカがいるなど良血を誇るゴドルフィンの天才少女はデビュー8戦4勝2着3回。前々走、首GⅡブループリントスプリントはチェコの奴ことポントスを2着に退け、前走、首GⅢナドアルシバターフスプリントは同じく3歳牝馬のフロストアトドーンに不覚を取り2着。もうなんか、色々ツッコミどころ多いな。多分夏にはイギリスに戻すんでしょうけど、どこを走らせるのでしょうか。

 

推定2番人気は香港代表、スタースパングルドバナー産駒の6歳騙馬、「太陽の輝き」カリフォルニアスパングル(ブレントン・アヴドゥラ騎手)。前走クイーンズシルバージュビリーカップは大復活のGⅠ2勝目を飾りました。好発からの逃げを得意としており、重賞舞台では初の6ハロン挑戦でもそのスピード能力は疑いようがありません。海外遠征は初めて、それどころかシャティンしか走っていなかったので左回りが初めてですが、正味香港馬については高松宮でもそうだったように走ってみないと分からない。馬生が非常にドラマチックで私の好みなので、個人的な応援の感情が強いです。

 

推定3番人気はアメリカ代表、ジミークリード産駒の8歳牡馬、「ターフの大黒柱」カサクリード(ルイス・サエス騎手)。34戦9勝、GⅠ4勝と積み重ねてきた実績は他の追随を許しません。7歳シーズンは複勝圏を外さない大活躍で衰えの言葉が彼の辞書にはありません。昨年最終戦はハイレベルなBCマイル3着。悲願の1351スプリント制覇を目指すも出走すら叶わなかった今年はここが初戦となります。

 

日本からただ1頭挑むは「碧玉の王冠」ジャスパークローネ(団野大成騎手)。海外遠征が続いており、国外4連戦目。前走は初ダートだったにもかかわらず4着に健闘しました。まあ、1351の方は彼にとっては少し長かったでしょうからね、ダートだろうが距離適性の方を優先させたんでしょう。その結果別ベクトルに才能が開花したかもしれません。とはいえ、やることがただ一つ、先頭で走ってそのままゴールするだけとシンプルなので迷いもないはず。無欲の逃げで一発を狙え。

 

その他、GⅠ馬・GⅠ連対馬の注目馬を紹介いたしますと、

 

フランス代表/アノダン産駒の7歳牡馬/去年にモーリスドゲスト賞を制した「針穴縫う偏諱」キングゴールド(ステファン・パスキエ騎手)

 

イギリス代表/シャマーダル産駒の8歳騙馬/3年前に英GⅠスプリントカップを制したエマラーティアナ(サフィー・オズボーン騎手)

 

香港代表/マグナス産駒の7歳騙馬/2年前に香港スプリント2着の重賞2勝馬「鋭い眼光」サイトサクセス(ライアン・ムーア騎手)

 

以上のようになります。

 

そういえば、高松宮を冷やかしで登録していたアナフは結局ドバイ輸送中に呼吸器疾患を発症してしまいこのレースにすら出られません。輸送そんなに好きじゃないんでしょうね。安易に極東来いなんて言ってすいません。ご自愛ください。

3/30 22:50 GⅡUAEダービー(D1900)

日本馬が2連覇中の3歳戦。勝利すればケンタッキーダービー出走権をほぼほぼ手に入れることが出来ます。昨年のデルマソトガケの挑戦は記憶に新しいですね!2着にいた誰かさんの挑戦?も記憶に新しいですね()

 

出走は12頭、内訳はUAE5頭、日本3頭、アイルランド2頭、アメリカ1頭、ウルグアイ1頭。ダートの本場アメリカからの参戦が少ないですが、言うてそこまで珍しいことでもないです。わざわざ海外遠征せずとも、国内レースでケンタッキーダービー出走を目指せば問題ないわけですからね。

 

「不撓不屈の炎」サトノフェニックスの回避は残念無念。きっとセガサミーフェニックスがレギュラーシーズン敗退濃厚(書いている間に敗退が決まりそうです)なのでショックだったんでしょうね。ABEMASはセミファイナル行けそうなので、藤田さんの馬は好調なんでしょうね(適当)

 

それはともかく、全てのダート競馬ファンの視線を集めているのが4戦4勝、重賞3連勝中の「はじまりの日」フォーエバーヤング(坂井瑠星騎手)。国内での三連勝で見せつけた世界レベルの可能性、そしてサウジダービーで見せつけた怪物級の才能。アメリカ競馬界は侵略の可能性に打ち震えているに違いありません。リアルスティール産駒の大物がこんなところに生まれるとは、生産とは本当にブラックボックスがすぎる。ストームキャットの血が出たりしてるのかな?ダービーサイアー争いでドゥラとキタサンを出し抜いたクラウンみたいな感じで、ケンタッキーダービーサイアーとなったら私的には面白すぎておかしくなりそう。

 

ジョージテソーロ(川田将雅騎手)は原騎手じゃないのか…カトレアS2着で実はケンタッキーダービー出走のためのポイントを5ポイント稼いでおり、この馬も目標はアメリカでしょう。了徳寺健二ホールディングスはダートに強いのなんでなん。サッカー好きとしては大層な名前をつけたなと慄くしかないバロンドール(横山典弘騎手)。ノリさんとユタカさんがドバイ行くんだからなあ。この馬もヒヤシンスS使ってる当たりアメリカ行きたいんでしょうね。実際ヒヤシンスSを勝利したラムジェットはアメリカ遠征を明言しましたし。

 

その他、有力馬を簡単に紹介。

 

アメリカから唯一の参戦となったアロゲート産駒のパンダゲート(ディラン・デイヴィス騎手)。3戦2勝で勝利した2戦はどちらも完勝です。

 

アイルランド代表/ノーネイネヴァー産駒のヘンリーアダムズ(ライアンムーア騎手)。4戦2勝で2歳芝GⅠ戦線にのってましたが、ダート初挑戦を敢行します。

 

UAE代表/メンデルスゾーン産駒のメンデルスゾーンベイ(パット・コスグレーヴ騎手)。3戦2勝で前走首GⅢUAE2000ギニーを制しています。父メンデルスゾーンも2018年にこのレースを制しており、親子制覇を狙います。

 

 

OUTRO

 

中編、後編と続けて書きます。多分金曜~土曜午前にかけて2本投稿すると思いますので、よろしくお願いいたします。

 

それではまた。

 

こんにちは。

 

 

  高松宮記念振り返り

 

私の春競馬は傷心の高松宮からはじまりました。ルガルがどう考えても届かないとみた私は残り300はナムラクレアに目をむけて声援を送っていました。しかしながら、無冠の女王という称号を返上することはまたも叶わず。「頑張れ」という気持ちと同時に、「あ、これまた届かないパターンじゃ…」という感情も生まれてしまっていたことが、なんともいえない。マッドクールと坂井瑠星騎手、おめでとうございます。完璧な競馬でした。

 

ルガルが来ないなんてつゆほども考えていなかった私の馬券は全滅でした。来ない要素ないと思ったのになあ。1番人気の呪いが強すぎたかな?

 

メイケイエール、ディヴィーナ、ロータスランドもお疲れさまでした。

 

 

メイケイエールの限界ファンもとい岡安譲アナウンサーがこんなことを申しております。

 

 

この動画でもそうですが、本当に楽しそうに馬のことを語ってくれています。レース中の競馬BEATのスタジオの様子が映されていましたが、めちゃくちゃ楽しそうに競馬観戦していて、本当に好きを仕事に出来ているんだなあ、と。

 

 

  2023年の世界ランキングをダラダラ書くだけ

※数字はレーティング、英字はSMILE区分、Dはダート、レースはレーティング参考レース

 

1位:「完成されし天才」イクイノックス(L135・日本)

ジャパンカップ1着

→引退、社台SSで種牡馬入り

 

2位:「欧州のエース」エースインパクト(L128・フランス)

凱旋門賞1着

→引退、アラスデボーモンで種牡馬入り

 

2位:「シャドウェルのスナイパー」モスターダフ(I128・イギリス)

プリンスオブウェールズS1着

→引退、ビーチハウススタッドで種牡馬入り

 

4位:「テンからかませ」ビッグロック(M127・フランス)

クイーンエリザベス2世S1着

→現役続行を明言

 

4位:「殿下の遺志継ぐ兄君」フクム(L127・イギリス)

キングジョージ1着

→引退、ダーレージャパンスタリオンで種牡馬入り

 

6位:「現在進行形の伝説」ゴールデンシックスティ(M126・香港)

香港マイル1着

→5月のチャンピオンズマイルで引退予定

 

6位:「伝説の立会人」ウエストオーヴァ―(L126・イギリス)

キングジョージ2着

→引退、優駿SSで種牡馬入り

 

8位:「衝撃の彫刻家」オーギュストロダン(L125・アイルランド)

BCターフ1着

ドバイシーマクラシック出走

 

8位:「香港短距離三冠馬」ラッキースワイネス(S125・香港)

チェアマンズスプリントプライズ1着ほか

→現役、次走予定はチェアマンズスプリントプライズ

 

10位:「コディーの願い」コディーズウィッシュ(DM124・アメリカ)

メトロポリタンH1着

→引退、ジョベナルファームで種牡馬入り

 

10位:「伝説の帰還」ドウデュース(L124・日本)

有馬記念1着

ドバイターフ出走

 

10位:「紳士な主人公」パディントン(I124・アイルランド)

エクリプス賞1着

→引退、クールモアSで種牡馬入り(シャトル種牡馬としてNZでも供用)

 

10位:「その名は」タイトルホルダー(L124・日本)

GⅡ日経賞1着

→引退、レックススタッドで種牡馬入り

 

10位:「白き豊穣」ホワイトアバリオ(DM124・アメリカ)

ホイットニーS1着

→現役、サウジカップ10着後に帰国、大目標はGⅠホイットニーSか

 

15位:「太陽の輝き」カリフォルニアスパングル(M123・香港)

GⅡシャティントロフィー1着

アルクオーツスプリント出走

 

15位:「不屈の愛国王」ルクセンブルク(I123・アイルランド)

愛チャンピオンS2着

ドバイターフ出走

 

15位:「気高く実直に」オネスト(L123・フランス)

凱旋門賞3着

→引退、アラス・エトレアムで種牡馬入り

 

15位:「浪漫の闘士」ロマンチックウォリアー(MI123・香港)

スチュワーズカップ2着・クイーンエリザベス2世C1着

→現役、次走予定はクイーンエリザベス2世C、安田記念も視野に

 

19位:「強大な権力者」エリートパワー(DS122・アメリカ)

GⅢリヤドダートスプリント1着

→引退、ジュドモントファームで種牡馬入り

 

19位:「鋼鉄王」キングオブスティール(I122・イギリス)

愛チャンピオンS4着・英チャンピオンS1着

→現役、上半期の大目標はプリンスオブウェールズS

 

19位:「瞬間の思考」シンクアバウトイット(S122・オーストラリア)

ジエベレスト1着

→現役、前走ジョージライダーS5着

 

19位:「気分上々」アップトゥザマーク(L122・アメリカ)

BCターフ2着

→引退、レーンズエンドファームで種牡馬入り

 

19位:「金鉱眠る鋭鋒」ウシュバテソーロ(DI122・日本)

ドバイワールドカップ1着

ドバイワールドカップ出走

 

24位:「白銀の聖夜」アルカンジェロ(DI121・アメリカ)

トラヴァーズS1着

→引退、レーンズエンドファームで種牡馬入り

 

24位:「名レース収集家」アートコレクター(DM121・アメリカ)

ペガサスワールドカップ1着

→8月17日に蹄葉炎で安楽死処置

 

24位:「ジーニアスキラー」ベイブリッジ(I121・イギリス)

タタソールズゴールドC2着

→引退、アラスドゥメスニルで種牡馬入り

 

24位:「フライト好き」ドバイオナー(I121・イギリス)

ランヴェットS1着・豪クイーンエリザベスS1着

→現役、豪州遠征を断念も、香港のクイーンエリザベス2世Cを視野に

 

24位:「薄幸の佳人」エミリーアップジョン(L121・イギリス・牝馬)

コロネーションC1着

ドバイシーマクラシック出走

 

24位:「勝利の渇望」アイウィッシュアイウィン(S121・オーストラリア)

T.J.スミスS1着・ジエベレスト2着

→現役、3月のウィリアムリードSは回避

 

24位:「万里の宮殿」ジャスティンパレス(IL121・日本)

天皇賞秋2着・有馬記念4着

ドバイシーマクラシック出走

 

24位:「自由の令嬢」リバティアイランド(L121・日本・牝馬)

優駿牝馬1着・ジャパンカップ2着

ドバイシーマクラシック出走

 

24位:「海洋の主」マスターオブザシーズ(M121・イギリス)

ウッドバインマイル1着・GⅡサマーマイル2着

→現役、ペガサスWCTやドバイターフは回避

 

24位:「米国の至宝」ナショナルトレジャー(DM121・アメリカ)

BCダートマイル2着

→現役、サウジカップ4着後に帰国

 

24位:「偉大なる王」シャフリヤール(L121・日本)

BCターフ3着

ドバイシーマクラシック出走

 

24位:「魅惑の三拍子」トリプルタイム(M121・イギリス)

クイーンアンS1着

→引退、ダルハムホールスタッドで種牡馬入り

 

24位:「不戦而勝」ウィズアウトアファイト(E121・オーストラリア)

メルボルンカップ1着

→現役、腱を負傷して休養中

 

OUTRO

海外競馬にて、一つ悲しいニュースがありました。

 

驚愕の中三日ローテや積極的な海外遠征などで世界中のスプリント戦線を盛り上げた名牝、「駆け抜けた王女様」ハイフィールドプリンセスが亡くなりました。7歳になった今季も現役続行を表明していましたが、3月12日に厩舎で手術が不可能なほどの骨折をしてしまい、懸命な治療もむなしく24日に天へと駆けていきました。欧州短距離界では随一に好きな馬だったのでただひたすらに悲しいです。合掌。

 

ドバイ展望もそろそろ投稿していきます。お楽しみに。

 

それではまた。