こんにちは。

 

いやあ、いよいよドバイワールドカップデーが近づいてまいりました。あまりに楽しみすぎる。楽しみすぎて、今月中旬まで高松宮記念の週に開催だと早とちりしておりました。ドバイワールドカップデーは原則3月の最終土曜に開催のため、高松宮記念と同週のことが多いのですが、開催日程によっては大阪杯と同週となることもあります(実際5年前はそうでした)。

 

UAE33頭、日本24頭、アメリカ16頭、イギリス15頭、アイルランド7頭、フランス7頭、サウジアラビア5頭、香港4頭、カタール2頭、ウルグアイ2頭、オマーン1頭、バーレーン1頭、チェコ1頭、ドイツ1頭。14か国から119頭がエントリーしています。

 

正直8レース(アラブ種のGⅠ含めれば9レースですが)もあると語れることが多すぎるので、できるだけ分量は抑えめにしつつ、前中後編の3部作で展望をお届けします。

 

前編はゴドルフィンマイル、ドバイゴールドカップ、アルクオーツスプリント、UAEダービーの4レース。

 

中編は出馬表付きでドバイゴールデンシャヒーンとドバイターフの2レース。

 

後編は出馬表付きでドバイシーマクラシックとドバイワールドカップの2レース。

 

書き終えられるかな…すこぶる不安。

 

とりあえず見切り発車。

 

2月に書いたドバイ関係の記事を貼付しておきます↓

 

※出走時間は日本時間で表記

 

3/30 21:05 GⅡゴドルフィンマイル(D1600)

近年のダート競馬においてますますその地位を高めつつあるマイル路線。

 

日本のダートマイル最強馬である「弾ける爽快感」レモンポップ、一昨年の覇者にして3年連続出走を狙っていた「神出鬼没の獅子」バスラットレオンが不出走となってしまったことが響き、日本馬の出走は残念ながらありません。

 

出走馬13頭の内訳は、地元UAEが7頭で最多勢力を形成しています。ダート王国アメリカは3頭、イギリス1頭、サウジアラビア1頭、そして珍しいことにウルグアイから1頭。南米競馬は話題になることこそ少ないものの、ある程度の盛り上がりはあり、生産国としても優秀です。アメリカ競馬にアルゼンチンやブラジルから移籍してきた馬がいることもざらにあります。それにしたってウルグアイ競馬はあまり聞きませんけれども。

 

 

でも詳しい人いるんですね。ニッチもニッチ、どニッチなんですけど、人間の知識欲って怖いです。

 

ということで少し気になるウルグアイ代表の牝馬パチョーリ(ジョゼ・ダ・シウヴァ騎手)については上の記事を見てもらうことにいたしまして、紹介するのは2強を形成する2頭です。

 

推定1番人気、アメリカ馬筆頭はオールウェイズドリーミング産駒の4歳牡馬、「白熱の王冠」サウジクラウン(フローレン・ジェルー騎手)。8戦4勝、GⅠ1勝と出走馬の中では随一の実績を誇り、前走サウジカップでは望外の3着健闘。その武器は、アメリカのダート勢の中でも群を抜く先行力にあります。サウジカップのレースレコードを作り出したのは紛れもなくこの芦毛の軽快な逃げであり、自らが作り出した激流に耐えきる勝負根性を有していることすら証明しました。10ハロンのワールドカップではなくマイル戦を選んだのも実に理にかなっており、距離短縮でよくなるイメージしかありません。

 

推定2番人気、地元UAEの大将格はマークヴァレスキ産駒の6歳牡馬、「孤独のパロディ」アイソレート(ルイス・サエス騎手)。17戦8勝、メイダンで重賞2勝の実績馬です。アメリカから移籍後、メイダンでは2-2-0-0で連対を外したことはなく、2着に敗れた2戦も6ハロン戦でスプリンターに敗れたもの。すなわちメイダンのダートマイル戦では負けなしを誇る、前回王者です。前走のサウジカップでは初の9ハロン戦にてサウジクラウンにペースを握られ、懸命に追走するも離された6着に終わりました。先行力の差から、今回もサウジクラウンを追走する形になるとは思われますが、前回と違うのは、舞台と距離がアイソレートの最適条件ということ。虎視眈々と逆転を狙います。

 

その他、有力馬としては

 

アメリカ代表/タマークズ産駒の4歳騙馬/14戦4勝のトゥーリヴァーズオーヴァー(エドウィン・マルドナード騎手)

 

イギリス代表/シャマーダル産駒の4歳騙馬/ジュベルアリ競馬場マイスターのスウィングヴォート(ウィリアム・ビュイック騎手)

 

UAE代表/ドバウィ産駒の5歳騙馬/前哨戦アルマクトゥームクラシック2着馬ウォークオブスターズ(タドホグ・オシェイ騎手)

 

が挙げられるでしょうか。

 

3/30 21:40 GⅡドバイゴールドカップ(T3200)

もはやクラシックディスタンスと交わることのない、スペシャリストなステイヤーが大集合するレースです。さすがに南半球からの参戦はありませんでしたが、先月のレッドシーターフハンデキャップと比べ、欧州勢の層がより厚くなっています。日本馬は挑戦者という構図です。

 

「破天の極光」ブレークアップはドバイに到着していたものの歩様の乱れで回避となりました。それによる出走馬の入れ替わりや増加もあり、結局フルゲート16頭立てとなっています。内訳はイギリスが最多6頭、UAEが4頭、フランスが3頭、日本が2頭、アイルランドが1頭です。

 

カルティエ賞最優秀ステイヤーに輝いた「晴天嫌い」トゥルーシャンこそ不在ですが、最優秀ステイヤーにノミネートされた10頭の内4頭が集結しています。また、サウジGⅢレッドシーターフハンデキャップの上位馬もそろって参戦。メンバー構成は混沌の一言。とりあえず有力2頭を紹介。

 

推定1番人気はアイルランドの名伯楽が送り出すガリレオ産駒の4歳牡馬、「恐怖の城塞」タワーオブロンドン(ライアン・ムーア騎手)。ムーア×エイダン×クールモア×ガリレオ産駒×カプリの弟という欧州のメインストリームを形成するそのパーソナリティは、4歳春のサウジアラビアにて凄まじさをまざまざと見せつけました。ハイペースを作り出した日本馬が沈んでいくのを尻目に、鋭くスパートをかけると最後にエネミーを際どく差し切り、GⅠ初制覇。サウジ振り返りの際にも少し書きましたが、イギリス代表の「エネミー」がアイルランドの「ロンドン塔」にぶちこまれる……みたいな(アイルランドがブリテン島を征服した世界線じゃん)ヤバいストーリー性を秘めたレースなのではと要らない妄想を膨らませてしまいました。サウジの馬場が良く分からないことになっていたとはいえ、勝ち時計3分04秒43がかなり優秀に思えます。4歳馬は5歳以上の馬より軽量の利があるレースのため、中東の地で連勝を飾れば、欧州上半期の長距離戦線にて主役へと躍り出るでしょう。

 

推定2番人気はイギリス代表/ゴールデンホーン産駒の6歳騙馬、「一網打尽」トローラーマン(キーラン・シューマーク騎手)。5歳春まではトップクラスに届かない戦いが続き、中東遠征でも完敗。しかし休養を挟んだ5歳秋に覚醒。条件戦、リステッドと楽勝の2連勝を飾り臨んだのは欧州ステイヤー王道路線のシーズン最終戦、GⅡ英チャンピオンズロングディスタンスカップ。立ちはだかる22年度最優秀ステイヤー、「錆びぬ青銅」キプリオス相手に直線一度交わされながらも、もう一度捲り返して壮絶なたたき合いをクビ差制しました。3着以下(スウィートウィリアム、トゥルーシャン、コルトレーンら掛け値なしにすごいメンバー)を13馬身引き離して、復活気配の最強馬とタイマンを張るまでに成長し、化け物級のステイヤーへと才能が開花しています。4連勝・GⅠ連勝を賭け、昨年の雪辱を果たさんと乗り込んできました。

 

その他、有力馬は

 

イギリス代表/ドバウィ産駒の5歳牡馬/GⅠ2勝の「総合格闘家」エルダーエルダロフ(ジェームズ・ドイル騎手)

 

UAE代表/ドバウィ産駒の6歳騙馬/メイダン14ハロンで連勝中の前年2着馬シスカニー(ウィリアム・ビュイック騎手)

 

イギリス代表/マスタークラフツマン産駒の7歳騙馬/GⅡで強くGⅠで届かない善戦マンの「約束のジャズサックス」コルトレーン(オイシン・マーフィー騎手)

 

イギリス代表/ムハーラー産駒の7歳騙馬/前走レッドシーターフHはアタマ差2着だったエネミー(リチャード・キングスコート騎手)

 

イギリス代表/マスタークラフツマン産駒の5歳牡馬/重賞1勝、前走レッドシーターフHはトップハンデ62キロで惜敗の3着だった「匠の名槍」ジャヴェロット(ベン・コーエン騎手)

 

フランス代表/キャメロット産駒の5歳騙馬/長距離重賞2勝の「酔醒」ソーバー(マキシム・ギュイヨン騎手)

 

サウジアラビアでの惨敗からか、はたまた欧州勢の強力さが影響しているのか、日本勢2頭、「宇宙発電機」リビアングラス(坂井瑠星騎手)および「鋼鉄の長距離砲」アイアンバローズクリスチャン・デムーロ騎手)の評価は低めです。レッドシーターフHにてリビアングラスは10着、アイアンバローズは12着と敗れ去り、そこからの一変があるかどうか。どちらもスタートが上手いためすんなりハナはとれるでしょう。ペース管理が難しかったであろうサウジの馬場と比べるとメイダンの方が楽だとは思うのですが。特にアイアンバローズには去年のステイヤーズステークスで度肝を抜かれた幻惑逃げを再び期待しています。なんかまた弟の付き添いみたいになっても困ります。過保護な兄キャラと思っていいものかどうか。

3/30 22:15 GⅠアルクオーツスプリント(T1200)

ドバイワールドカップデーの中で最も国際色が豊かなレースです。芝短距離はえてしてそうなりやすい傾向がありますが(去年の英GⅠクイーンエリザベス2世ジュビリーSは6か国決戦でしたし)、このレースは特に多士済々。去年の8か国には及ばずとも、今年は7か国から12頭が集結。内訳はUAE3頭、イギリス3頭、香港2頭、アメリカ1頭、フランス1頭、日本1頭、チェコ1頭。

 

チェコ?

 

競馬で聞いたことのない国名が出てきたな…と思いましたが、ミナリク騎手やムルザバエフ騎手が拠点としていたことがあるという蜘蛛の糸のような情報が引っかかりました。パートⅢ国かあ……

 

2000年代のサッカーチェコ代表好きだったなあ。チェフ、ネドヴェド、ロシツキー、コレル、バロシュ、ヤンクロフスキ……

 

正味チェコの競馬については何も知らないので色々調べてみたのですが、いやあ、なかなかに面白い。ここで紹介すると永遠にレースの話に戻ってこられないのでやめときますけど。

 

チェコ調教馬のパワー(!)産駒の6歳牡馬ポントス(アントニオ・フレス騎手)はチェコ、ドイツ、イタリア、フランス、スロバキア、イギリス、UAEの競馬場で出走歴がある愉快な馬です。フランスのGⅢ1勝してるの冷静に考えてすごいな。ブラチスラヴァに競馬場あるの初めて知ったし。

 

面白そうなトピックがあると脱線已む無しとなってしまいます。本線に戻りましょう。有力馬3頭、日本馬1頭、その他有力馬をふんわりと紹介します。

 

推定1番人気は地元の雄、コディアック産駒の3歳牝馬、「謎めいた星の少女」スターオブミステリー(ランフランコ・デットーリ騎手)。え!?3歳牝馬?ま、まあ3歳馬の参戦自体は何例かあるにしたって、1番人気にまで推されるとは。兄に加GⅠ馬ミステリアスナイト、姉に重賞馬アルシカがいるなど良血を誇るゴドルフィンの天才少女はデビュー8戦4勝2着3回。前々走、首GⅡブループリントスプリントはチェコの奴ことポントスを2着に退け、前走、首GⅢナドアルシバターフスプリントは同じく3歳牝馬のフロストアトドーンに不覚を取り2着。もうなんか、色々ツッコミどころ多いな。多分夏にはイギリスに戻すんでしょうけど、どこを走らせるのでしょうか。

 

推定2番人気は香港代表、スタースパングルドバナー産駒の6歳騙馬、「太陽の輝き」カリフォルニアスパングル(ブレントン・アヴドゥラ騎手)。前走クイーンズシルバージュビリーカップは大復活のGⅠ2勝目を飾りました。好発からの逃げを得意としており、重賞舞台では初の6ハロン挑戦でもそのスピード能力は疑いようがありません。海外遠征は初めて、それどころかシャティンしか走っていなかったので左回りが初めてですが、正味香港馬については高松宮でもそうだったように走ってみないと分からない。馬生が非常にドラマチックで私の好みなので、個人的な応援の感情が強いです。

 

推定3番人気はアメリカ代表、ジミークリード産駒の8歳牡馬、「ターフの大黒柱」カサクリード(ルイス・サエス騎手)。34戦9勝、GⅠ4勝と積み重ねてきた実績は他の追随を許しません。7歳シーズンは複勝圏を外さない大活躍で衰えの言葉が彼の辞書にはありません。昨年最終戦はハイレベルなBCマイル3着。悲願の1351スプリント制覇を目指すも出走すら叶わなかった今年はここが初戦となります。

 

日本からただ1頭挑むは「碧玉の王冠」ジャスパークローネ(団野大成騎手)。海外遠征が続いており、国外4連戦目。前走は初ダートだったにもかかわらず4着に健闘しました。まあ、1351の方は彼にとっては少し長かったでしょうからね、ダートだろうが距離適性の方を優先させたんでしょう。その結果別ベクトルに才能が開花したかもしれません。とはいえ、やることがただ一つ、先頭で走ってそのままゴールするだけとシンプルなので迷いもないはず。無欲の逃げで一発を狙え。

 

その他、GⅠ馬・GⅠ連対馬の注目馬を紹介いたしますと、

 

フランス代表/アノダン産駒の7歳牡馬/去年にモーリスドゲスト賞を制した「針穴縫う偏諱」キングゴールド(ステファン・パスキエ騎手)

 

イギリス代表/シャマーダル産駒の8歳騙馬/3年前に英GⅠスプリントカップを制したエマラーティアナ(サフィー・オズボーン騎手)

 

香港代表/マグナス産駒の7歳騙馬/2年前に香港スプリント2着の重賞2勝馬「鋭い眼光」サイトサクセス(ライアン・ムーア騎手)

 

以上のようになります。

 

そういえば、高松宮を冷やかしで登録していたアナフは結局ドバイ輸送中に呼吸器疾患を発症してしまいこのレースにすら出られません。輸送そんなに好きじゃないんでしょうね。安易に極東来いなんて言ってすいません。ご自愛ください。

3/30 22:50 GⅡUAEダービー(D1900)

日本馬が2連覇中の3歳戦。勝利すればケンタッキーダービー出走権をほぼほぼ手に入れることが出来ます。昨年のデルマソトガケの挑戦は記憶に新しいですね!2着にいた誰かさんの挑戦?も記憶に新しいですね()

 

出走は12頭、内訳はUAE5頭、日本3頭、アイルランド2頭、アメリカ1頭、ウルグアイ1頭。ダートの本場アメリカからの参戦が少ないですが、言うてそこまで珍しいことでもないです。わざわざ海外遠征せずとも、国内レースでケンタッキーダービー出走を目指せば問題ないわけですからね。

 

「不撓不屈の炎」サトノフェニックスの回避は残念無念。きっとセガサミーフェニックスがレギュラーシーズン敗退濃厚(書いている間に敗退が決まりそうです)なのでショックだったんでしょうね。ABEMASはセミファイナル行けそうなので、藤田さんの馬は好調なんでしょうね(適当)

 

それはともかく、全てのダート競馬ファンの視線を集めているのが4戦4勝、重賞3連勝中の「はじまりの日」フォーエバーヤング(坂井瑠星騎手)。国内での三連勝で見せつけた世界レベルの可能性、そしてサウジダービーで見せつけた怪物級の才能。アメリカ競馬界は侵略の可能性に打ち震えているに違いありません。リアルスティール産駒の大物がこんなところに生まれるとは、生産とは本当にブラックボックスがすぎる。ストームキャットの血が出たりしてるのかな?ダービーサイアー争いでドゥラとキタサンを出し抜いたクラウンみたいな感じで、ケンタッキーダービーサイアーとなったら私的には面白すぎておかしくなりそう。

 

ジョージテソーロ(川田将雅騎手)は原騎手じゃないのか…カトレアS2着で実はケンタッキーダービー出走のためのポイントを5ポイント稼いでおり、この馬も目標はアメリカでしょう。了徳寺健二ホールディングスはダートに強いのなんでなん。サッカー好きとしては大層な名前をつけたなと慄くしかないバロンドール(横山典弘騎手)。ノリさんとユタカさんがドバイ行くんだからなあ。この馬もヒヤシンスS使ってる当たりアメリカ行きたいんでしょうね。実際ヒヤシンスSを勝利したラムジェットはアメリカ遠征を明言しましたし。

 

その他、有力馬を簡単に紹介。

 

アメリカから唯一の参戦となったアロゲート産駒のパンダゲート(ディラン・デイヴィス騎手)。3戦2勝で勝利した2戦はどちらも完勝です。

 

アイルランド代表/ノーネイネヴァー産駒のヘンリーアダムズ(ライアンムーア騎手)。4戦2勝で2歳芝GⅠ戦線にのってましたが、ダート初挑戦を敢行します。

 

UAE代表/メンデルスゾーン産駒のメンデルスゾーンベイ(パット・コスグレーヴ騎手)。3戦2勝で前走首GⅢUAE2000ギニーを制しています。父メンデルスゾーンも2018年にこのレースを制しており、親子制覇を狙います。

 

 

OUTRO

 

中編、後編と続けて書きます。多分金曜~土曜午前にかけて2本投稿すると思いますので、よろしくお願いいたします。

 

それではまた。