こんにちは。

 

海外競馬についてグダグダ語る回となります。ドバイで1月に開催された2つのGⅠレースを振り返り、続いて日本馬が出走するアミールトロフィーを展望します。

 

メイダンでは他にも有力馬が集まるGⅡ・GⅢが行われていますが、全部振り返ってるととても終わらないので、ドバイワールドカップデイの主要競走の前哨戦は少しだけ言及しようと思います。アルマクトゥームチャレンジとジェベルハッタをとりあえず振り返り。

 

1/26 GⅠアルマクトゥームチャレンジ(メイダンD1900)

ドバイの諸競走は前年からかなり変わりました。これまでドバイワールドカップの前哨戦といえばアルマクトゥームチャレンジラウンド1~3の3レースが有名でした。施行時期はラウンド1(GⅡ、D1600)が1月、ラウンド2(GⅡ、D1900)が2月、ラウンド3(GⅠ、D2000)が3月でなおかつジェベルハッタと同日開催でした。

 

しかしながら、レース名と施行時期が今年から大きく変わっています。ラウンド1はアルマクトゥームマイルと改称し12月開催に。ラウンド2はアルマクトゥームクラシックと改称し3月開催(元々ラウンド3が行われていた日に移動)、そしてアルマクトゥームチャレンジラウンド3はアルマクトゥームチャレンジと無印になり距離が2000から1900に短縮。さらに1月開催に移動。もれなくジェベルハッタも一緒についてきました。

 

GⅠアルマクトゥームチャレンジおよびGⅡアルマクトゥームクラシックは3月の大一番ドバイワールドカップの前哨戦に位置付けられています。前哨戦勝者はドバイワールドカップに必ず招待され、前哨戦と本番どちらも制すると優勝賞金にボーナス120万ドルが加算されます。

 

そんな大改革が行われたレースの勝者は1番人気の地元馬、カリフォルニアクローム産駒のカビールカーン(パット・ドッブス騎手)。スタートはそこまで良いわけではなかったのですが、すぐにカーブがあるコースだったため内枠を生かしつつ4番手追走。第3コーナーから進出しロングスパート勝負となりましたが、逃げるウォークオブスターズを捉え切ってからはフランツシュトラウスなど外から追い込んでくる馬と関せずの独り舞台。後続を4 3/4馬身離しての圧倒的勝利を収めました。

 

そんな「名作映画監督」ビールカーンの経歴は聞いたこともないものになっています。アメリカ生産ながら、デビューはカザフスタンのアルマトゥイ競馬場(アルマトゥイは日本だと「アルマトイ」と表記することが多いカザフスタンの最大都市)。そこからピャチゴルスク、ナリチク、クラスノダール競馬場といったロシアの競馬場で活躍。ここまで出てきた競馬場、全部知らない……。クラスノダールはサッカークラブあるしワールドカップ開催もあったから都市の名前は分かるんですけど、競馬場があるなんて思いもしなかった……

 

クラスノダールのダート2400戦(なにそれ?)2着を最後に、9戦8勝の圧倒的実績をもって1月にUAE移籍。現オーナーはカリフォルニアの方みたいなんですが、カザフ・ロシアの時から変わったのか変わってないのかも分からない。レーポスには全然情報乗ってないんですが、JRA-VANの方はカザフ・ロシア時代のレースまでしっかり記載されています。すごい情報網です。

 

ドバイのダグ・ワトソン厩舎に転厩後、ハンデ戦を4馬身差圧勝し初重賞となるアルマクトゥームチャレンジに挑んでいました。カザフ・ロシアで培った(?)タフさはレベルの高い舞台でも十分に通用することが証明され、次はいよいよ世界最高峰の舞台がまっています。

 

1/26 GⅠジェベルハッタ(メイダンT1800)

アルマクトゥームチャレンジの次に開催されたレースで、ドバイターフのトライアル兼前哨戦(1着馬は必ず招待、且つターフ勝利でボーナス50万ドル)となります。

 

目立ったのは9頭中4頭に該当したドバイを青く染め上げるゴドルフィンブルーの勝負服。ゴドルフィンのお抱え調教師、チャーリー・アップルビー師とサイード・ビン・スルール師はドバイとイギリスどちらにも厩舎を有しており、ドバイ国際競走の芝レースに出ないことはほとんどありえません。

 

1着2着はアップルビー厩舎のメジャードタイム(ウィリアム・ビュイック騎手)とオスマンフリート。レースを大逃げで作った馬もアップルビー厩舎のハイランドアヴェニュー(7着)。そしてビンスルール厩舎のエース、「理想の波乗り」モージ(当ブログにおける旧表記モージュ)は手応え無く最下位9着に沈みました。

 

ドバイターフで日本馬に立ちはだかるであろう優勝馬、フランケル産駒の「堅物な弟」メジャードタイムは2歳上の半兄にBCターフ馬レベルスロマンス(アミールトロフィーに出走)がいます。3歳2月デビューでイギリスでは3-1-0-0。10月にはアメリカ遠征のキャンセルなどもありましたが、12月からはドバイに在厩しGⅡアルラシディヤで重賞初制覇を達成しての参戦でした。1番人気に応える先行抜け出しの横綱競馬で快勝。6戦5勝の遅れてきた大器はドバイターフでより大きなタイトル奪取に挑みます。

 

残念だったのは去年の英1000ギニー馬、「理想の波乗り」モージ。最後はマーフィー騎手も追わず入線し、レース後の診断では問題が見つからず。とはいえ英米で築き上げた輝かしいキャリアと、モダンゲームズの半妹という血統価値の高さからして、先日引退が発表されました。

 

去年の英1000ギニーでワンツーを飾った良血馬2頭、「理想の波乗り」モージ(英米でGⅠ2勝、BCマイルハナ差2着)と「ショート・シスター」タヒーラ(英愛でGⅠ3勝、カルティエ賞最優秀3歳牝馬)はその後も大活躍を見せながらもどこか不完全燃焼で引退となってしまいました。2頭の再戦も見たかったんですが、それは産駒に夢を託すことにしましょう。

 

2/17 GⅢアミールトロフィー(アルライヤンT2400)

まさかカタールのレースを調べる日が来るとは想像もしていませんでした。このレースの名前自体、ロシアンエンペラーの戦績見てる時にはじめて認識しました。サッカーとかF1とか見てると、カタールにしろサウジにしろスポーツウォッシングってやはり効果的なんだなと思わざるをえません。そういう堅苦しい話題は一旦置いておきますが。

 

中東といえばドバイかサウジかというイメージからして、最初はダートのレースかと思っていたのですが、カタールの主流はむしろ芝レースでした。もちろんアミールトロフィーも芝レースであり、しかもクラシックディスタンスの12ハロンとなります。

 

カタール国内の格付けはGⅠ、国際格付けはGⅢです。登録は78頭、フルゲートは16頭。日本馬は18頭が登録しており、その内3頭がカタールに渡っています。

 

【登録した日本馬↓()内はQRECが与えたレーティング、太字は出走馬、非出走馬については想定される次走も併記】

 

プラダリア(116):GⅡ京都記念1着→GⅠ大阪杯

ゼッフィーロ(115)

サトノグランツ(114)

ブレークアップ(113):サウジGⅢレッドシーターフH?

ノースブリッジ(113)

リビアングラス(113):サウジGⅢレッドシーターフH?

エヒト(111):サウジGⅢネオムターフC

ヒンドゥタイムズ(110):未定

サリエラ(110):GⅢダイヤモンドS

テーオーロイヤル(109):GⅢダイヤモンドS

ラヴェル(109):GⅡ京都記念5着→GⅢ中山牝馬S?

シンリョクカ(108):GⅢ中山牝馬S

シルブロン(104):未定

スタッドリー(104):サウジGⅢネオムターフC

セファーラジエル(103):仁川S

ヤマニンサンパ(103):未定

サンセットクラウド(101):未定

グランスラムアスク(91):GⅢダイヤモンドS

 

なんか登録していた馬がカタールかサウジかダイヤモンドSかに分かれているのが面白い。ダイヤモンドSがいかに特殊なレースなのか間接的に証明されている気がします。ていうか、サリエラはダイヤモンド行くんか……

 

さて、前段が長くなりましたが出馬表を作ってみました。11頭立て、GⅠ馬は3頭、日本馬は3頭です。

 

ゲート番は白いほど内枠、黒いほど外枠。馬番は帽子の色と似るようにしています。また、勝負服画像は公式サイト(下に貼付)から引用しています。重賞成績はリステッド含んでいたりいなかったりするかもですが、ご了承ください。

 

 

ブックメーカー(コーラル)のオッズが一応出ていましたので現時点のものを乗せておきます。

 

ゼッフィーロ     5.5倍

レベルスロマンス   5.5倍

 

シムカミル      5.5倍

イスラー       5.5倍

ポイントロンズデール 6.0倍

ロシアンエンペラー  11倍

サトノグランツ    11倍

ノースブリッジ    13倍

パッションアンドグローリー

           21倍

ホーンテッドドリーム 26倍

ジェフクーンズ    41倍

 

注目度低い分オッズが適当につけられてる感ありますけど、まあ気のせいでしょう。

 

それでは出走馬を簡単に紹介。海外馬を紹介し終えたあとに日本馬3頭を紹介します。

 

まずはGⅠ3勝、UAE代表の国際派、「叛徒の純愛」レベルスロマンス(ウィリアム・ビュイック騎手)。2022年に独米でGⅠ3連勝を飾るも、BCターフ(キーンランド12F)勝利後の1年は不運に見舞われ続けました。ドバイでの前哨戦には故障で出走できず、ドバイシーマ(メイダン12F)では怪物大戦争に巻き込まれ7着。米GⅡボウリンググリーンS(サラトガ11F)は競争中止、荒天で2回延期された米GⅠジョーハーシュターフクラシック(アケダクト12F)は重馬場に苦しみ4着。バイエルン大賞(ミュンヘン12F)は直前でスクラッチ(出走回避)。昨季の1勝は12月の英LワイルドフラワーS(ケンプトンPT12F)のみに甘んじることになりました。遠征は実に6か国目となりますが、中東遠征は3歳時に経験しており、ドバイGⅡUAEダービー(メイダンD1900)では勝利を収めています。出走馬では最上位の実績を有しており、フォームを戻しつつあるならば本命候補で間違いないでしょう。またゴドルフィンかよ…またアップルビーかよ…またビュイックかよ…状態になるかもしれませんが、彼は騙馬なのでキャリアはめちゃくちゃ長くなりそう。一体引退までに何か国に遠征することになるやら。日本来ないか?

 

同じくGⅠ3勝、香港の12ハロン最強馬、「將王」ロシアンエンペラー(アルバート・サナ騎手)。2年前のGⅠ香港ゴールドカップ(シャティン10F)で「現在進行形の伝説」ゴールデンシックスティを撃破し、GⅠ香港チャンピオンズアンドチャターカップ(シャティン12F)は2連覇中。特に去年は10ハロン最強馬「浪漫の闘士」ロマンチックウォリアーが乗り込んできましたが、得意舞台では負けられないとばかりにクビ差の勝利を収めました。香港の12ハロン最強馬なのになぜか香港ヴァーズに出ていない。2年連続で香港カップに挑戦してみたり、去年は満を持してヴァーズに登録したのに獣医学上の問題で直前回避になったり。去年のアミールトロフィー覇者でもあるため、今回は連覇がかかりますが、今季の香港開催では3戦続けていいところなく惨敗しています。そのため人気を落とすでしょうが、そもそも去年も同じような体たらくで参戦していたのでどう判断するかは微妙なところです。

 

あと1頭のGⅠ馬はカタール代表、「ロンシャンラリー」シムカミル(ミカエル・バルザローナ騎手)。昨年のベルリン大賞覇者で、大目標の凱旋門賞は10着。今年からはフランスを離れてカタールに移籍。移籍後条件戦を一叩きし、勝利の勢いでもってここに参戦してきました。脚質は比較的自由が利き、最内枠からどう競馬を組み立てるかに注目です。カタール移籍後はオーナーがワスナンレーシングとなっていますが、ワスナンレーシングはほtんどカタール国家と思ってもらって差し支えありません。青地、金袖、赤帽の勝負服が競馬においてはカタールを表す色になります。もちろんカタールで行われるレースには力を入れており、今回もワスナンレーシングからは3頭が出走しています。その3頭の中でエース格なのは誰がどう見てもこの馬です。欧州ではイレジンとのライバル関係が面白かったんですけど、これから先2頭の対決は見られるんでしょうか。ワスナンレーシングは欧州のレースにも馬をたくさん送り込んでいる(ステイヤー路線を進んだ「友情と勇気」クラージュモナミとか)ため、期待はできそうですけれども。

 

ワスナンレーシングの他2頭はホーンテッドドリーム(オイシン・マーフィー騎手)とジェフクーンズ(ファラー・ブガナイム騎手)は実力的に厳しい戦いとなりそうです。気になるのは帽子の色がワスナンレーシングの3頭とも同じであること。普通、海外競馬で同じ馬主の馬が出走する際には帽子の色が異なる(今回であれば、ゴドルフィン2頭は帽子の色が青と白に分けられている)のが普通なんですが、ワスナンの3頭はすべて赤帽。勿論勝負服は同じなので、実況が3頭を見分ける指標がゼッケン番号しかないような。これは実況泣かせなレースになりそうです。

 

GⅡ1勝、イギリス代表のイスラー(ジム・クローリー騎手)はオーナーがシャドウェル、トレーナーがゴスデンと主要どころの馬です。また、去年の仏2000ギニー馬「挨拶代わりの激走」マルハバヤサナフィを輩出したことで名が売れたムハーラーの産駒です。名前が紛らわしくて仕方がないレースとして有名なGⅡプリンセスオブウェールズS(ニューマーケット12F)で天才ダービー馬アダイヤーを倒してしまったことで一躍名をはせ、11月にはバーレーン遠征を敢行(2着)。戦績の見た目よりは実力がある馬だと言えそうです。

 

重賞4勝、アイルランド代表のポイントロンズデール(ライアン・ムーア騎手)はクールモア×オブライエン×ムーアのいつものやつ。どこにでもいるなあ、本当。欧州の主要GⅠレースでは序盤でカメラに映り、そして終盤に消えていくという馬なので、正直強い印象はないのですが、重賞4勝もしてたんですね。お見逸れしました。11月のバーレーン遠征ではイスラー(2着)と同じレースを走って2着と短アタマ差の3着。馬自体に推し要素があるかと言われればそこまでない。

 

メンバー最年長の8歳馬はUAE代表のパッションアンドグローリー(トム・マーカンド騎手)。ゴドルフィン2頭出しのもう1頭の方です。最近はいまいちピリッとしない戦績で、人気薄なのも致し方なし。

 

さて、いよいよ日本馬3頭の紹介に移りましょう。

 

レーティング順に、まずは「騙された西風」ゼッフィーロ(ジョアン・モレイラ騎手)。異様な展開となったGⅠ香港ヴァーズ(シャティン12F)でもしっかり2着に入り、重賞での安定感を堅持しています。2 1/4馬身引き離した3着のアイルランド調教の牝馬ウォームハートが今年のGⅠペガサスワールドカップターフ(ガルフストリームパーク9F)にてレコード走破で有終の美を飾っており、香港ヴァーズの再評価が行われるとするならば、抜きんでた能力を有している可能性も十分にあります。大外枠に吹っ飛んだのはさすがに嫌でしょうけれども、ゴドルフィンブルーが2頭出しの舞台は、社台の勝負服が暴れまわるには絶好でしょう。別にステゴと血統的なかかわりがあるわけではないですけれども。

 

続いて追加登録で出走となった「金剛石の輝き」サトノグランツ(川田将雅騎手)。サトノダイヤモンド産駒唯一の重賞馬として奮闘するトライアルゲッターは、大外枠にぶち込まれた今年初戦のGⅡ日経新春杯で3着と健闘。菊花賞でも大負けが適性的にも謎に過ぎる(川田騎手長距離来ない理論の補強になってしまっている)ため心配していましたが、まだまだやれると分かって一安心でした。もしかしたら2200~2400がぴったりな馬かもしれないです。じゃあダービーは何で(ry 4歳馬なので斤量が他より有利(4歳牡馬は57キロ、5歳以上牡馬は58キロ)になっています。川田騎手は佐賀→カタール→サウジという世にも奇妙な遠征過程になってます?

 

最後に「橋上の月見」ノースブリッジ(岩田康誠騎手)。GⅠでも見劣りしない先行力と、岩田康誠騎手との信頼の手綱は説明不要です。想定できるのは、ポイントロンズデールに続く2番手追走の競馬。枠もちょうどいいところに入っていますし、岩田父の騎乗はいつでも期待感をもたせてくれます。戦績見返してたら、本馬が勝利した去年のAJCCのメンバーが魑魅魍魎で面白いなと思いました。2着エヒトは小倉記念勝ち、3着ユーバーレーベンは中山コースで復活の兆しを見せたかと思ったとたんに引退、5着ガイアフォースは来週フェブラリー出るし、6着にジャパンカップ出て来週はサウジに出るスタッドリー、7着に重賞を久々に遠慮しようとしているアリストテレス、8着に先週やたら目立ったバビット。渋い。ノースブリッジ自体も大概渋い馬ではありますが。

 

  OUTRO

あーあ。結局ダラダラ書いてしまいました。最後にサウジ出走馬をざっと見。

 

1351ターフスプリントで連覇を狙うバスラットレオン、レッドシーターフHに出る「鋼鉄の長距離砲」アイアンバローズはじめステイヤーのみなさんになぜか混じるエヒト、ダート三冠路線とかケンタッキーダービー登録とかどうなるのか想像がつかないサウジダービー出走組、それからフェブラリーが貶される原因となっているサウジカップ出走馬のあまりに濃い面々。フェブラリーはフェブラリーで実績馬はちゃんとそろうし面白くなりそうだから、これはこれでありなのではと思うのですが。いまさらレモンポップがフェブラリー出たら、イグナイターが泣くかもしれない。

 

明日には土曜競馬振り返り・日曜競馬展望を投稿します。今年初GⅠをスルーするわけにはいかない。競馬ブログとして。

 

香港とアメリカのGⅠ振り返りも来週中に終わらせます。サウジの時にできるだけ余裕をもって記事を落としたい。今年のペガサスワールドカップはサウジカップを見る上ではしっかり振り返らないといけないレースですから!

 

それではまた。