医学ニュースの深層 -82ページ目

メタボの基準

まずは、Newsから。


 「高血圧などのメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の関連要因を複数持つ男性が

循環器病(心臓・脳疾患)で死亡するリスクは、要因を持たない男性の約2倍になることが

16日、厚生労働省研究班の大規模疫学調査で分かった。

肥満があってもなくても傾向はほぼ同じだった。


 日本では、内臓脂肪型肥満(男性が腹囲85センチ以上、女性が同90センチ以上)に加え、

高血圧、高血糖、脂質異常の3つのうち2つ以上を併せ持つ状態をメタボとしている。

研究班は「現行の診断基準は肥満でない高リスク者を見落とすおそれがある」と指摘している。

 研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の斉藤功・愛媛大学准教授が

全国の40―69歳の男女約3万4000人を13年間にわたり追跡調査した。

肥満かどうかの指標には、腹囲の代わりに体格指数(BMI)を使い、BMI25以上を肥満とした。 」

(日本経済新聞)




 まあ、ウエストの基準のおかしさは、去年あたりから、散々言われてるので書かなかった。

 やっぱり肥満度は、ウエストよりはBMIで、判定したほうがいいんだけどな・・・。

この研究でもBMIでの肥満度判定だ。


 「見た目」のウエストのほうが、一般の方々には、わかりやすく、危機意識を持たせやすいという「利点」はあるけれども・・・。


内食の時代

 日本の家庭の食形態は「ちゃぶ台文化」から「テーブル文化」を経て「個食(孤食)文化」に至ったように思う。


 景気のよいときは、個食といっても、いろんなお店で外食する人も多かっただろう。

外食産業は、儲けた。


 しかし、この不景気で、「外食よりは内食へ」という変化がみられるように思う。


 ただ、そうはいっても、たまには「プチ贅沢」をしたいもんだ。それで、ちょっと力を入れて、お店を選ぶ。この場合は、ほんの少々値が張っても、旨くて安全でサービスも、まあまあ良さげなところを選びたい。


 ちなみに、ワインがでてくるようなフレンチやイタリアンの店の場合。

できれば、ボトル売りの最低価格のものを、店のHPなどで調べて、ネット検索して、どんなものか簡単に調べて、いくといい。

 経験上、最低価格のものが、その店の、ほぼすべてを表現してくれる。

最低価格のものがダメなら、他も(料理も含めて)ダメだから。


 それから、ボトルで頼むなら、ワインのことが、あまりわからない人は、値段が真ん中のものは選ばないほうがいい。たとえ、ソムリエに言われようが(笑)。

 なるべく安くて美味いのをと、いっとけばいい。何か、どうしてもこだわりをお持ちの場合は別だけど・・・。


 

女性のメタボ改善は体重8―13%減を目標に!

筑波大の研究グループが、以下のようなデータを示した。

 軽度から中程度の肥満の女性は3カ月で体重を8―13%減らすとメタボリック症候群を改善しやすい――。

こんな調査結果を筑波大学が15日発表した。

 日本人がメタボ関連の指標を改善するための具体的な減量目標はこれまではっきりしていなかったが、

その目安になると説明している。


 中田由夫助教、田中喜代次教授の研究グループが7年間にわたり減量教室を通じ調査した

茨城県や千葉県の20―60歳代の女性約300人のデータを解析した。

体格指数(BMI)が25以上40未満で、メタボ関連指標の腹部肥満、脂質異常、高血圧、高血糖

の少なくとも1つが該当するメタボかその手前の人が対象。(日本経済新聞)



 彼らの減量教室は、以下のHPへ。


http://www.taiiku.tsukuba.ac.jp/~tanaka/projobese.html



 まあ、減量のプロたちのご意見ですから、ご参考に。



 



私流のワインの飲み方

いつ頃からになるのだろうか・・・?


 仕事が成功したり、とっても嬉しいことがあったりした時に、ワインを1本、1人であけるようになったのは。


 もう、13年ほど前になるけれど、私は、政府の研究機関で働いていた。

そのときの上司が、ワイン好きで「高いのではなく、美味しくてなるべく安いのを掘り起こすのが、本当のワイン通」という方だった。

 彼は、しばしば、仕事が終わった後にワイン会を開いていたが、私は「飲めるものならなんでもいい」こともあり、仲良く参加していた。まみは、いつも、近所のイタリアンに配達してもらった美味いピッツアだった。(ちなみに、そのお店は、もう無い。あれだけ、価格も手ごろで、美味いピッツアは、いろいろ探したけれど、まだ都内でお目にかかったことがないんだが・・・。)


 へえ~、案外、美味いものなんだなワインって・・・。難しい知識は、あまり覚える気にはならないけれど・・・。でも、この1本には、生産者の苦労や工夫、知恵などが詰まってるんだろうな・・・。さしずめ、ワインとは「伝統を飲む」ものと言えようか・・・などと想いながら飲んでいたのを、この季節になると思い出す。


 その後、私は、ハーバード大学医学部の研究員として赴任するために職場を離れたが、ちょうど、私が渡米中に、その元 上司は、脳腫瘍のため、奥様と1歳のお子様を残されて、旅立たれた・・・。今の技術なら、もう少し、どうにかなったな。。。


 私は、帰国後、今のT大学の助教授として赴任したわけだが、それ以降、今までで、そのワイン会の仲間や友人が、ワインとは無関係なのだが、癌(非小細胞肺癌、肝癌、膵臓癌)で亡くなっている。奇しくも、すべて、5月ごろだ。。。


 なぜ、私のような「いきあたりばったりの」人間が、医学研究に執念を燃やすようになったか、おわかりいただけるかと思う。


 それで最近は、自分が手がけた研究で、良いデータが出揃ってまとめた論文が一流誌に掲載されそうなときとか、出版されたときなどに、上述のように、ワインを1本、ワインバーで、あけることにしている。


 先日、想いを込めて、あけたのは、下記のワイン。


Morey Saint Denis Christophe Bryczek 2005である。

  

人生…いきあたり、ばったり!



次回、私の論文が世に出たときには、恐らく一騒ぎになるだろう。


そのときには、何を飲むか・・・?


ソムリエールさん、ご協力を御願いしますね('-^*)/

iPS細胞研究・・・国賊と堕すのか?日本のマスコミよ

 まず、2007年の12月12日に、日本経済新聞社が、以下のiPS細胞研究記事を載せた。この記事は、ほとんど日経のみの「スクープ」だったと思う。


新型万能細胞iPS、作製効率4倍に・京大の山中教授ら

 京都大学の山中伸弥教授らの研究チームは11日、神経や臓器など体の様々な組織や細胞に
成長する能力を持つ新型万能細胞(iPS細胞)の作製効率を4倍改善する手法を見つけたことを
明らかにした。従来の万能細胞に比べるとまだ効率は低いが、実用化へ向けて前進した。
 山中教授らは人の皮膚からiPS細胞を作ることに世界で初めて成功したが、当初は細胞に
組み込む4つの遺伝子のうち1つはがんを起こす可能性があった。その後、このがん遺伝子を
除いた3つで作製する手法を開発。ただ、作製効率は従来の100分の1に落ちるのが難点だった。

 今回、これを改善するマイクロRNA(リボ核酸)という分子を見つけた。作製効率は4倍高まり、
従来の25分の1にできるという。 (日本経済新聞)


 そして、時は流れて・・・今年の4月12日に米国のUCSFの研究者から、

Nature Biotechnologyに以下の論文が発表された。


 ES細胞特異的なmicroRNA(miRNA)によるマウスiPS細胞の樹立効率の改善という内容である。


 Embryonic stem cell–specific microRNAs promote induced pluripotency

Robert L Judson, Joshua E Babiarz, Monica Venere & Robert Blelloch


Nature Biotechnology Published online: 12 April 2009 | doi:10.1038/nbt.1535


 山中先生の「発表」から、その後、山中教室を含めて、どこからも論文は出てなかったので、まだ実際には、うまくいかなかったのかな?と思っていた。

 

 そしたら、なんと、米国に先を越された状況になっている。しかも、この手法・・・確か、いろいろ聞いたところによれば、山中先生が、2007年の12月に見つけたという方法とほぼ同じようだ。論文からは、山中先生らが共同研究をしてるわけでもないが・・・。


 あれっ? 山中先生は、確か、UCSFの客員教授だったな・・・。

それで彼は、この研究ネタの「続きと完成」を、そこに任せたのか?

 いや、それならば論文は「共著」だろうしな。。。


じゃ、やっぱり、アイデアだけを、パクラレたのかな?・・・。


 日経さんよ(まあ、他のマスコミもそうだが)・・・各先生への取材を記事にするのは、これからは、論文発表以降にしたほうがいい。何度も言ってるのだが・・・。

 ちょっと研究者が、ボソッといったりした「アイデア段階のレベル」を記事になんてしたら、わかる人間には、すぐわかるし、タナぼたのヒントになるんだよ・・・。


 こういう科学記事に、スクープなんて、いらない。

誤報の元にもなるし、ましてや、今回の場合は、国益を損ねるレベルだと思う。

 日本は、アイデアのみが勝負なんだぞ・・・特に、この分野は。


御一考を!



運動によるダイエットの無謀さ

 運動によるダイエットを試みる人が、後をたたない。

まあ、余剰カロリーを身につけない方法は、余分な運動をして、無理やり、余剰カロリーを燃やしてしまうことだけどね。


 でも、500キロカロリーを燃焼しつくすのに、ジョギングならば、10km走る必要があります。


 ちょうど、イチゴショート1つが、500キロカロリーだから、食べたら10km走りますか?(*^▽^*)


 まあ、困難でしょ?


じゃ、食べながら、太らない方法は?

 同じものを、ドカっと、いっきに食べるのと、ゆっくりチビチビと食べるのと、どちらが、太りやすいと思います?


  答えは、前者。


できるだけ、ゆっくりと時間をかけて、食べてくださいな。

特に、オーバーカロリーになりそうな、お食事のときには。





 



物凄いデータ

 先ほど、ハーバード大学医学部との共同でやっている研究について、物凄いデータ出た。(注:シャレでは、ありません。)


 どうやら本物だわ・・・。ここですら、書けない(*^▽^*)


これは、ある難病患者にとって、非常に有意義なものになろう。

論文を書き始める前に、とりあえず、気持ちを落ち着かせています。

コラーゲン添加食品のHype

 なぜか最近は、某 各業界に喧嘩を売ってるようなタイトルしか頭に浮かばないんだよ(*^▽^*)


 さて、コラーゲンについてだが、これは細胞間の隙間を満たすクッションの役割を果たす重要なタンパク質なんです。


 肌の張りは、これが支えている。・・・が、ただし、前の記事では、コラーゲン配合化粧品なんかでは、残念ながら、張りは取り戻せないよと書いた。


 じゃ~、コラーゲン含有食物を、多く食べれば、いいのか?、すなわち肌の張りは取り戻せるのか?という問いに対する答えは、NOである(´・ω・`)


 食品として摂取されたコラーゲンは消化管内で消化酵素によって、ばらばらのアミノ酸に消化吸収される。消化されなかったコラーゲンは排泄されるだけ。一方、吸収されたアミノ酸は血液によって全身に運ばれる。そこで、新しいたんぱく質の合成材料となる。


 しかし、コラーゲン由来のアミノ酸は、必ずしも体内のコラーゲンの原料とはならないのである。むしろ、ほとんどならないといっていい。なぜならば、コラーゲンを構成するアミノ酸は、グリシン、プロリン、アラニンといった、どこにでもあるアミノ酸であって、これらは、あらゆる食品たんぱく質から補給される。また、他のアミノ酸を創りかえることで体内でも合成できる、つまり非・必須アミノ酸なのである。


 もし、皮膚がコラーゲンを作り出したいときは、皮膚細胞が血中のアミノ酸を取り込んで必要量を合成するだけのこと・・・。コラーゲンをいくら外部から摂取しようがどうしようが、それはコラーゲンを補給することには、なりません。


 この話・・・世の中の女性陣にとっては、ショックなのかな?


 



コラーゲン配合化粧品のHype

 このブログの読者は、女性が多いようなので、たまには化粧品の話でも、しようかなっと・・・(^∇^)


 まっ、このネタは、大学の看護学科の授業ネタで使うからということもありますが。


 さて、よく目に付くのは、「コラーゲン配合」という名の化粧品。

しかし、コラーゲンって皮膚から吸収されることはないのになあ・・・。


 もし、それの配合化粧品で肌が、「スベスベ」とか「ツルツル」になるとしたら・・・

それは、単に肌の皺をヒアルロン酸や尿素、グリセリンなどの「保湿剤」で埋めただけのことですので、ご注意を≧(´▽`)≦











京大iPS細胞特許、2社に供与。これで「実用化に弾み」というのは、まだHype(笑)

京都大学の山中伸弥教授が開発した新型万能細胞(iPS細胞)関連の

知的財産を管理するiPSアカデミアジャパン(京都市、吉田修社長)は8日、

バイオベンチャーのリプロセル(東京・港、横山周史社長)と

タカラバイオの2社に特許をライセンス供与したと発表した。

両社はiPS細胞を使う事業に乗り出しており、創薬や再生医療への応用に弾みがつく。

 京大がiPS細胞の特許を供与するのは初めて。

同細胞はあらゆる細胞や組織に成長する能力を持ち、

山中教授が2006年に世界に先駆けてマウスの皮膚細胞から作製。

翌年にはヒトでも成功し、京大が08年9月に基本製法の特許を取得した。


 ライセンス供与を受けリプロセルは今月から、

製薬企業向けにヒトiPS細胞を使って新薬の副作用を判定する受託事業を始めた。

iPS細胞から心臓を動かす心筋細胞を作り、これに新薬候補物質を投与。

細胞に異常が起これば副作用の可能性があると判定できる。 (19:54):日経新聞



 特に、タカラバイオなあ・・・

ほんの少し前のゲノム狂乱(ゲノム解析研究バブル)のときの

「製品」は、どうなったの?なんにも、ものになってないし・・・(笑)。

ここ、株価対策は、うまいかもな。


 なお、今後の米国の出方次第で、ひょっとしたら、この2社は、大きな損を抱えるかもよ。