アカシと海の話⑤

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アカシと海の話⑩

 

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「よぉ、ひさしぶりだなぁ」アカシが言った。
 
 
車から下りてきた二人は拳でアカシとハイタッチをした。
 
 
アカシと似た男は金髪でアカシと同じようなリーゼントだ。
 
 
色が赤ならアカシと見間違うほどだ。
 
 
小さい方の剃り込み坊主は見るからに生意気だ。
 
 
二人とも気だるそうな表情をしているが、いとこに会えてうれしいのだろう。口元は緩んでいる。
 
 
アカシと似た男は俺たちを端から端まで一回見渡すと、アカシに向かって「友達?」と聞いた。
 
 
「ああ。俺のダチだ。ジン、お前相変わらずパチンコかよ。弟まで連れてくんじゃねーよ」
 
 
「連れてったんじゃねーって。こいつがハマってんだよ。なぁフウキ」
 
 
ジンはそう言って剃り込み坊主のフウキに目をやった。
 
 
顔がアカシ似で金髪リーゼントの男が兄のジン。
 
 
剃り込み坊主が弟のフウキ。
 
 
フウキはサングラスを少し手でずらし、上目遣いで俺たちを見回した。
 
 
「ジンは俺と同い年でよ、フウキは達也、お前とワンコウと一緒だぜ」アカシが言った。
 
 
どうりで小さいわけだ。
 
 
俺となんら背は変わらない。
 
 
というか、小学生かよ!と思った。
 
 
誰にどう憧れたら三日月みたいな剃り込みを入れられるんだよ。
 
 
小学生にして気持ちは高校レベルの不良。パチンコ屋に入り浸る小学生。
 
 
親子兄弟そろってこんな生物達はまず居ない。
 
 
確かにアカシが天然記念物というだけある。
 
 
「へぇ、お前俺と同じ年なんだ?」
 
 
弟のフウキがサングラスを外して俺に話しかけてきた。
 
 
目は完全に殺気立っていた。
 
 
井口達也

 

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