アカシと海の話⑤

アカシと海の話⑥

アカシと海の話⑦

 

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---アカシと海の話⑧---

 

またアカシの口から出た「国宝」の言葉。

 

 

珍しいものというイメージはつかめたが、アカシのにやけた顔が気にかかる。

 

 

そうこうしているうちにこてっちゃんとノブオが駅にやってきた。

 

 

単車は近くに止めてきたらしい。

 

 

まずはその恰好に俺は笑った。

 

 

こてっちゃんもノブオも似合わないアロハシャツに、似合わないサングラス。

 

 

ナンパをするために、この男たちなりにおしゃれをしてきたのだろう。

 

 

「その国宝ってのがアカシの親戚なん?」

 

 

俺がアカシにそう言うとアカシは「ああ」とだけ答えた。

 

 

「俺らもまだ会った事がねーんだよ」こてっちゃんが言った。

 

 

アカシはタバコの煙を空に一吹きさせ「さぁ、来たぞ」と言った。

 

 

すると下品な重低音がかすかにこだましてきたのだった。

 

 

井口達也

 

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