ノブオがどこからか仕入れてきた大量のカップヌードルをみんなで食べながらお湯を沸かし、沸かしながらまた食べる。

 

 

アカシから始まったこの恒例の大食いイベントは「海に行くぞ」の合図のようなものだった。

 

 

戦の前の腹ごしらえ。

 

 

恒例のこの行事が始まった事でノブオは上機嫌になり、さらに饒舌に海の良さを猛烈にアピールし続けた。

 

 

何も語らずに黙々と固ゆでのカップヌードルをすすり続けるアカシ。

 

 

アカシの金魚の糞だった俺はアカシが行くなら行く。行かないなら行かない、そういうシンプルな思考回路だった。

 

 

それでも硬派のアカシがナンパ目的で海に行こうとしているとは考えにくかった。

 

 

 

「どこの海に行くんだよ」

 

 

アカシが言った。

 

 

アカシが前向きなことを言うのでこてっちゃんも耳をそばだてて聞いている。

 

 

筋肉スケベ男だ。

 

 

ノブオの下調べによってどこの海はナンパスポットだとか、あそこの海は穴場だとか、いろんな案が出た。

 

 

「決めきれねーな。俺が決めちまっていいか」

 

 

アカシが言った。

 

 

素っ気ないような言い方だった。

 

 

こういう時のアカシは何か裏がある。

 

 

俺が何か企んでいるんだろうという怪しんだ目でアカシを見ると、アカシと目が合った。

 

 

そしてアカシは周りに気づかれないようにさりげなく口元だけ笑った。

 

 

~つづく~

 

井口達也

 

 

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