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---アカシと海の話⑦---
「ヒョー!」
ワンコウは改札を出るなり奇声をあげた。
狛江から湘南へ。
つまり東京から神奈川へ。
それなのに、なぜか俺たちはとても田舎臭く、きょろきょろとあたりを見回す様子は完全に観光客だった。
周囲の視線が気になる。
誰も俺たちの事なんて見ていないのに、妙に周りが気になる。
実は俺もワンコウに負けずにそわそわした感覚だった。
俺たちは引率のアカシ先生に連れられて駅の外に出た。
別動隊のこてっちゃんとノブオは単車で湘南に向かっている。
駅の外で待つことにした。
「お前らさ、目立つからいらねー事に巻き込まれるんじゃねーぞ」
アカシが俺とワンコウに向かって言った。
真っ赤な頭の男に言われたくはない。
「こっからアカシの親戚の家までどうやって行くんだよ」俺が言った。
「あー、国宝が迎えに来るわ」アカシはそう言うと鼻の穴を膨らませた。
井口達也
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