「湘南だな」
アカシが言った。
ノブオたちにとっては行先はどこでもよかった。
「どうせだから泊りで行こうぜ。あっちに親戚住んでるからさ」アカシはそう続けた。
泊りと聞いてまたノブオとこてっちゃんは話に花が咲いた。
筋肉硬派キャラのこてっちゃんも、すっかりまだ見ぬ海ギャルの妄想に飲み込まれていた。
「俺らも行っていいんだよな?」俺がアカシに向かっ言った。
するとアカシは驚いた顔をした。
「え、達也も行くの?」という目をしていた。
ノブオは面白がって「お前らにゃまだナンパははえーよ」と言ってケラケラと笑った。
俺はナンパに興味はない。
ただ単にいつものようにアカシたちとつるみたかっただけだ。
そして当然のように行けるものだと思っていた。
俺はすぐにふてくされて、「勝手にやってろよエロザル」とノブオに向かって言い放ち、家を出た。
~つづく~
井口達也
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