---アカシと海の話⑩---
サングラスハスキーおじさんの豹変ぶりに息をのんだ。
「オルァ！」
サングラスハスキーおじさんは更にもう一度自らの車のホイールを蹴飛ばした。
「おじさん、あいつらも来てくれたんだ？」アカシが言った。
サングラスハスキーおじさんは「今日はアカシが来るぞって言ってんのによぉ、こいつら朝からパチンコに行きやがってよ。無理やり連れてきたわ」と言った。
すると車のドアが気だるそうにゆっくりと開いた。
そして中から男が二人出てきた。
驚いた。
全てに驚いた。
一人はアカシと顔も背格好もそっくりな男。
そしてもう一人は、俺と背格好は近いが、サングラスに坊主頭で、見たことがないほどに剃り込みの入った少年だった。
井口達也
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