夕焼けを探しに ◇11 | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 弊宅閲覧者数・延べ50万人様を記念して、clatas様からお与かりした記念リクエストの最終話をお届け致します。



 前話こちら↓

 110】



■ 夕焼けを探しに ◇11 ■





 羽田空港に到着し、空港駐車場に停めておいた車に3人で乗り込んだ。

 運転手はもちろん俺である。


 旅行の時と同じ様に蓮とキョーコちゃんが後部座席に収まり、俺が出発するよと告知をすると、キョーコちゃんがクスッと笑った。



「 じゃ、LMEに向けて出発するよ~ 」


「 はい、お願いします。ふふっ、なんか、勘違いしちゃいそう 」


「 なにを?キョーコちゃん 」


「 修学旅行ですよ。だって、車は確かに違いますけどまだ旅行の続きみたいな気分なんです。まだ私たちは修学旅行中で、これからまたどこかの施設に行くみたいって、そんな風に思っちゃったから 」


「 違いないよ、最上さん。何しろ俺たちはこれから社さんの運転でLMEに行くわけだし 」


「 おー、そうだな。じゃあ、LMEに着いたらマネージャーの俺がLMEビルの案内でもしてあげよう。どう?キョーコちゃん。修学旅行最後の締めに 」



 瞬間、車内に笑いが溢れた。



「 ところで、本当に二人とも家まで送らなくていいのか?特にキョーコちゃん、平気?結構お土産を買って荷物が増えているのに 」


「 いえ、大丈夫です。モー子さんのお土産はラブミー部室のロッカーに預けちゃいますし、他のお土産はLMEの事務所の皆さんの分ばかりで、手元に残るのはだるまやへの土産と泥中の蓮現場の分だけですから 」


「 その現場の分が結構あると思うんだけど。俺、LMEに行く前にキョーコちゃんを送って行ってもいいよ?それか、時間が許すならラブミー部室で蓮と待っていてくれるとか。そしたら後で俺が二人を送って行けるんだから 」



 そして、俺が用事を済ませている間に二人で修学旅行話に花を咲かせ、さらに少しだけでも仲を縮めてくれたらこれ幸いだと俺は思うし。



「 いえ、本当に大丈夫ですよぉ 」


「 最上さんは俺が送っていきますから、社さん 」


「 え? 」


「 実は俺の車、LMEに置きっぱなしだったんです。最近、社さんに送り迎えしてもらっているだけでしたからね。でもそろそろ自宅の駐車場に移動させたいと思っていた所なんですよ。だから今日は車で帰ろうと思って。そのとき最上さんを俺が送っていきますから 」



 ああ、なんだ、と思った。

 蓮は蓮でちゃんと考えていたんだ。キョーコちゃんとの時間をどう作ろうかと。



 それで、そうしてもらいな、とキョーコちゃんに押しまくった。

 もちろんキョーコちゃんはそれで素直に首を縦に振ってくれた。

 感謝しろよ、蓮!



「 キョーコちゃん、そうしてもらいな!蓮の運転技術衰退防止に協力するとでも思って! 」


「 ……は…い、それは…。でも、本当にいいんですか、敦賀さん? 」


「 もちろん。遠慮なんてしなくていいよ 」


「 ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えようと思います。よろしくお願いします 」


「 うん、決まり 」



 おおおっっ!!やった。

 なんかいい感じじゃないか?二人とも。

 もしかしたら、この修学旅行がキョーコちゃんの気持ちをいい方に転がしてくれたのかもだな!!やったな、蓮。



 俺の気分は上々だった。

 自分の言葉でキョーコちゃんは首を縦に振ってくれたのだと思っていたから。

 微力ながらも蓮の恋に協力できたと信じていたから。




「 おまたせ、LMEにご到着~。じゃあ、蓮。キョーコちゃんのこと、頼むな! 」


「 ええ、大丈夫です。お疲れ様でした 」


「 社さん!本当に、とても楽しい修学旅行をありがとうございました!楽しかったです 」



 そう言ってキョーコちゃんは、実にキョーコちゃんらしい90度のおじぎを俺にくれた。



「 なになに。俺も十分楽しめたよ。こっちこそ、ありがとうね、キョーコちゃん。じゃあね、気を付けて 」


「 はい 」


「 あ、社さん! 」


「 うん? 」


「 これから社長に報告しに行くわけですよね?お礼、言っておいてください。旅行を許可してくださってありがとうございました、と 」


「 おう!了解、蓮 」




 こんな伝言まで預かって

 正直、鼻歌を歌いたい気分だった。いや、実際は口ずさんでいたかも。

 もちろん、いい日、旅立ちを。



 これからキョーコちゃんはラブミー部室に行くだろ。

 それで琴南さんに渡すお土産を置いて、事務所の人たちにお土産を渡して、そのあと蓮の車で送ってもらう訳だろ。


 でもきっと蓮のことだから、キョーコちゃんをすんなり帰さないと思うんだよな。

 たとえば修学旅行気分で一緒に夕食どうかな?とか聞いて、キョーコちゃんもかなり楽しんでくれたみたいだから断る事はしないだろ。

 それで、いいですね・・とか言って、二人で飯を食いに行ったりするのかも♪


 よしよし、いい感じじゃないか。




 そんな想像を働かせながら、俺はルンルン気分で社長室の扉をノックした。

 驚愕の事実を知らされるとも知らず。



「 社長、社です。いま二人の修学旅行から戻ってきました 」


「 おう、入れ 」


「 失礼します 」


「 よく戻ったな。どうだった?旅行は 」


「 ええ、お陰様で。二人ともやっぱり持っていますよね。梅雨だというのに雨にも降られず、現地の人たちにも大歓迎してもらえて、とても楽しく過ごせましたし、二人もそうだったと思います。蓮も、キョーコちゃんも 」



 もっとも、蓮は後半、かなり苦しんだような気もするが。

 そこの所は伏せておこう。


 だって俺、旅行の間も給料が出ていたんだから。マネージャーとして手を抜いたと指摘されたら反論できない。



「 ほぉ、そうか。それで? 」



 そこで社長はニヤリと口元を歪めた。



「 それで、蓮から伝言を預かっています。許可してくださってありがとうございました…と言っていましたよ。俺も同じです。許可をいただきありがとうございました 」


「 んなことはどうでもいいわ。それより、二人の様子はどうだった。少しは進展したのか?あいつは我慢できたのか?最上くんとコネクティングルームで2泊したんだろ 」


「 ああ、そのことでしたら。普通に大丈夫だったみたいですよ 」



 だいたい、今までだって二人きりの時があったのに。

 そういうことはやろうと思えばいくらだって出来たはずなのに、今まで何もしなかったんだ。


 俺が一緒の時にあいつがそんなこと、出来るはずがない。



「 …っ…なんだ、つまらん。つまり、二人の仲は全く進展しておらんのか 」


「 いえ、進展はしたと思いますが。ずいぶん仲良くなった気がしますし 」


「 仲良くぅ?それはあくまでも表向きの話だろうが。そうじゃなく、俺が言ってんのは蓮と最上くんが男と女の仲として進展したのかという意味だ 」


「 いえ、社長。さすがにそれは…。そんなことが出来るぐらいなら… 」



 俺がこんなヤキモキするわけない…と続けようとしたとき、社長が眉をひそめた。



「 ・・・・・お前、社 」


「 はい? 」


「 お前、少しも気を利かさなかったのか?まさかお前、気づかなかったんじゃねぇだろうな? 」


「 はい?何をでしょうか 」


「 無論、蓮と最上くんの関係についてだ 」



 なんだ?それはどういう意味だ?



「 それは、どういう意味でしょう? 」


「 …と、俺に聞いて来るってことは、つまり気付かなかったんだな、お前は 」


「 ですから、何をですか? 」


「 お前も案外鈍いところがあるんだな、社 」


「 はぁ? 」


「 てっきり、そのことに気付いたから二人を修学旅行に連れて行きたいとお前が言い出したんだと考えていたんだがな 」


「 ですから、社長!! 」


「 あの日だ。覚えているか。お前が二人を修学旅行に連れて行きたいと言った日のことを 」


「 そりゃ、もちろんです 」


「 あの日、俺が蓮を呼びつけた。覚えているか? 」


「 ええ、もちろんです。蓮が社長と話している間、俺はキョーコちゃんと話をしていたんです。そのとき思いついたんですから。修学旅行が無いって落ち込んでいるキョーコちゃんを見て修学旅行に連れて行ってあげようと… 」


「 その時、俺は確認していたんだよ。蓮に 」



 だから、なにを?!!



「 睨んだ通りだった。蓮と最上くんは、両想いになっていた 」


「 …っっっはぁあぁあぁあっっ??!!どういうことですか、それ?! 」




 青天の霹靂とはまさにこのこと。




「 そういうことだ。つまりあの二人は今、付き合ってこそおらんが、立派な両想いになっているっつーこった 」


「 …っっっ?!?!…… 」


「 蓮に確認しただけだがな 」


「 …っっっ…… 」



 文字通り、俺は絶句してしまった。

 二の句が継げないとはまさにこのこと。


 だってそんなこと、微塵も気づかなかった。

 まさかそんなことになっていたなど、一切想像していなかった。



 ただひたすら俺は

 蓮の気持ちがキョーコちゃんに通じたらいいと願って


 いつか蓮を神と崇めるキョーコちゃんの気持ちが、恋に変わったらいいと願って



 なるべく二人を近くに寄せて

 早くそんな未来が来ればいいと

 色々、色々考えて…。




 ああ、そうだ。

 でもあのとき、おかしいと思ったんだ。


 蓮のきざなセリフを。

 それに返したキョーコちゃんセリフを。



『 一人が寂しい夜に、これを俺だと思って火を灯してみて 』


『 一人が寂しい夜に火を灯してみてくださいね。それを私だと思って 』




 つまり、あれはそういう意味だ。


 俺だけが何も気づいていなかったんだ。



 二人の仲を取り持つつもりで

 蓮とキョーコちゃんの修学旅行なんて、いいアイディアだと天狗になっていた俺が


 実は誰よりお邪魔虫だったって事じゃないか!!!!




「 ・・・・・ガーン・・・・・ 」




 ひょっとしたら

 二人はいま、やっと二人きりになれたねって

 安堵しているのかも・・・。



 そうか、そういうことだったのか。


 蓮がキョーコちゃんを送っていくって言ったのも、もしかしたらそういう約束だったのかも。



 なんだよ、なんだよ、なんなんだよ!!!




「 お前、本当に気づいていなかったのか 」


「 ・・・・気づいていたら、もっと違う方法を考えましたよ、俺は 」


「 なんだ。それじゃ旅行中の写真も期待できそうにないな 」


「 ・・・・・・ 」



 そのセリフに弾かれ、無言でスマホを操作した俺は、直近の写真を表示させてそれを社長に提示した。

 無言で受け取った社長が画面に視線を落とす。


 瞬間、社長が微笑ましそうに目を細めるのが見えた。



 画面には、薄暗い水族館の中で、青白い光に照らされながら手をつなぎ、お互いを見つめ合っている蓮とキョーコちゃんが映っている。

 ペアルックという出で立ちで…。いや、今は双子コーデって言うんだったっけ。

 服だけじゃなく、映ってないけど何ならサンダルもお揃いだ。もっとも、それは俺もお揃いなのだが・・・。



「 ・・・・・ほぉ。なかなかいい写真じゃねーか 」


「 こうなったら、それを初デート記念として、でっかいパネルにして贈ってやろうと思います。恨みがましいタイトル付きで。蓮に 」


「 はははははは 」



 社長は笑っただけだったけど、あるセリフを飲み込んだのが判った。


 きっと俺の顔を見て、言う必要はないと判断したのかも。




『 どうにも微笑ましい仕返しだな、それは 』





 俺もそう思うけど

 それ以外、蓮に何をしてやれば仕返しになるのか思いつかなかったんだ。


 悔しいけど、他にはなにも。






     E N D


後日、秘書さんを通じて社の元に届く社長の言葉。

「あの写真、週刊誌の記者にでもくれてやればいいんじゃねーか。そうなりゃ腹をくくるだろ」

これは社長の許可ってやつか??と、社の心が大いに揺さぶられたとき、沖縄でデートしていた二人を見た!という目撃証言がSNSをにぎわせ始めた事で、社はちょびっとだけ溜飲を下げたとか。

結局、敏腕マネージャーがその写真をどう扱ったかは、それぞれの妄想力で。



お付き合いくださりありがとうございました。


いただきましたリクエストは、キュララのCM撮影後に制服と名残惜し気に別れていたキョーコちゃんに、高校でしか出来ないことを経験して欲しい…というご依頼で、『修学旅行、文化祭、体育祭など、行事は何でもいい』…ということでお預かりしておりました。ただそこに蓮くんを絡めて欲しいという条件付きで。


現在、日本国内に芸能科がある高校は、東京、千葉、北海道といくつかあるのですが、そこでお話の参考になる行事はあるだろうかと資料を求めて検索してみた所、どの学校を調べても行事らしい行事が出て来ませんでした。

想像力を働かせたら、そりゃそうかと。社会で仕事をこなしている彼らは、校外学習を日々している事になる訳ですから、そもそもカリキュラムに組み込む意味がないのかも…と。


それで、学生時代に良い思い出がある修学旅行にしてみました。

ちなみにこのリクエストを成就するため、弊宅アメンバー様に向けて修学旅行あるあるを募集したのですが、貴重なお話を沢山お寄せ頂いたそこからいくつかお話に盛り込ませていただきました。


制服のまま海に飛び込んだ、とか、搭乗前に靴を脱がないと…と言い出した生徒さんのお話とか。楽しそうな旅行ですよねww

他にも盛り込みたいネタはあったのですが、構成の関係で漏れてしまったのがだいぶありました。それらはいつかどこかで活かせれば・・と思います。ご協力くださったお嬢様方、本当にありがとうございました。


そしてclatas様、リクエストありがとうございました。



⇒夕焼けを探しに◇11・拍手

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