一葉です。お付き合い頂き光栄です!
こちらはリク魔人の妄想宝物庫を運営されているセーちゃんとのお遊びコラボ連載作です。
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スタート話は完結済みのこちらから↓
破壊神がやって来た【1 ・2 ・3 ・4 ・5 ・6 ・7 ・8 ・9】
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純情乙女の危険なあしらい【セ1 ・セ2 ・セ3 ・リ4 ・リ5 ・セ6 】
■ 純情乙女の危険なあしらい ◇7 ■
さて、ここまで事態が進んだところでナンだが、少々時を遡ろう。
既にお察しだと想像するが、キョーコが逃げ方を変えたのは救いの神・古賀弘宗からのアドバイスを得てのことである。
蓮の手から逃れ、必死に古賀の腕を掴んだキョーコが避難した先は言わずと知れた古賀の部屋…ではなく楽屋。
20分の休憩を少々引き延ばしてもらい、すっかり不元気になっていたキョーコをイスに座らせた古賀は、そこから4~50センチほど離れた場所にイスを運び、同じように自分も腰を下ろした。
「 ……で?君は敦賀くんの何に引っかかっちゃったわけ? 」
「 …っ…敦賀さん、ひどいんです!紅葉を演るにあたり、私がどんな役作りをしたのかその元を話せ…なんて言って散々私のことを追いかけ回したくせに、もういいとか言ったんです!縁を切るみたいなことを言って、私に背中を見せて歩き出したんです!!……で、急に怖くなっちゃって、つい縋ってしまって…… 」
「 そもそも隠さずに本当のことを言えばいいじゃん。その役作りの元を 」
「 言えるわけ無いです!!そんなことを口走ろうものなら敦賀さんは絶対こう返してくるに決まっています! 」
君が俺に対してそんな感情を抱いていたなんて知らなかった。でも確かにそれは報われない想いって事だよな。
「 そう言って地獄に蹴落とす勢いの蔑んだ目で私を見下ろして、失望したよ…って深いため息を吐きだしてから冷めた笑いを浮かべて、じゃあねって背中を見せるに決まっているんですっ!! 」
「 ……決まってるって…。あれ?そう言えば俺、前にそんなようなことを敦賀くんに言ったことがあったな。
京子ちゃんが紅葉を演るにあたり、いっそ敦賀くんから冷たくあしらわれた方がリアルに成就されない恋の演技をしてくれるかもなって… 」
「 こっ…古賀さん!!なんてことをぉぉぉぉぉ……っっっ!!判った!それで敦賀さん急に… 」
「 いやいや。こんなに敦賀くん大好き光線出しまくっておきながら敦賀くんが君の気持ちに気づいてないってのがそもそも無理あるって言うか…。そっちの方が奇跡だと俺は思うけど 」
「 奇跡じゃありませんから!それこそ私は必死になって隠して、隠して、いままで頑張って逃げてきたんですから!! 」
「 だからさ~、そもそも必死で逃げるから舐められるんだよ。ちょっと脅せば簡単に言うことを聞く子だっていう風にさ。大体、京子の秘密……隠している恋がどんなものか吐かないなら縁を切るぞって何?自分を崇めろ、全てを隠さず報告しろ、逆らうなら存在抹消ってこと?彼、中2病? 」
「 中2病?いや、そ、そんなことは!あの、つ、敦賀さんは秘密が特に嫌いみたいで… 」
「 ふ~~ん、私達親友でしょ?お互いに秘密はなしよ!って感じ? 」
「 いえ、私如きが敦賀さんの秘密を教えていただくなんて滅相もありません 」
「 だから、その奴隷根性をなんとかしなよ。口では尊敬する先輩みたいな役者になりたいって言ってるけど、俺には敦賀くんに媚び諂うだけの奴隷を目指しているようにしか見えないよ。うわ~~、情けな~~~い、格好悪~~、最低~! 」
「 うぐっ! 」
「 ……だから、そんな自分とはおさらばしちゃいな。この機会に 」
からかい口調だった古賀の雰囲気が和らいだのを、このときキョーコは確かに感じた。
「 …そうですね。でもどっちにしろもうダメな気がします 」
「 何がダメ 」
「 もうきっと敦賀さん、私に愛想尽かして追いかけてこないと思うから…。あんなこと、言っちゃいましたしね 」
「 ああ~、ねー。私は金輪際貴方に近づきませんし、話しかけません…ってやつね。敦賀くん、超ショック受けていたみたいだから君のこと許せなくなっているだろうなー 」
「 ですよね…… 」
「 うん。地の果てまで追いかけてくるだろうね、あれは(笑) 」
実際その通りだった。
延長した20分余りの休憩時間を終わらせ、キョーコと共に現場へと戻った古賀は、駐車場で待機しているかも知れない蓮の姿を想像。そこで、一時間ごとに巡回している警備員へ声をかけ、敦賀くんを見つけたら摘まみ出しておいて、と依頼。
一時間後、その警備員から蓮を追い払った旨の報告を受けたとき、古賀は大いに笑った。
そうなれば想像は容易い。たったこれだけで蓮があっさり引き下がるとは到底思えず、古賀は警備員に追加発注。
もし撮影所付近の道路で待機している蓮を見つけた場合は同じように対処して欲しいと依頼。
するとやはり一時間後、目が合った途端、敏速に走り去って行った敦賀蓮の報告を当の警備員から受けた古賀は大いに笑い転げ、そしてスタジオに残っていたキョーコに向かって自信満々なウインクを投げた。
「 ね、分かったでしょ、京子ちゃん。敦賀くんは地の果てまで君を追い掛けてきてくれるよ。だから今度は脅されても簡単に屈しちゃダメだよん 」
「 了解しました! 」
救いの神の言葉があったからこそ、キョーコはこの夜、蓮から吹き込まれた留守電メッセージを聞いても屈することなくやり過ごせたのだ。
さてこの翌日のこと。
古賀が蓮に言った通り、泥中の蓮の現場は朝っぱらからビッシビシにスケジュールが詰まっていた。
しかしいくら古賀が主演とは言えどもたった一人を休み無く演技させるほど監督達も鬼じゃ無く、また時代劇はシーンごとに準備時間を多めに要するために待機時間もそれなりにあった。
ゆえに古賀は休憩ごとにキョーコと言葉を交わすことが出来、昼食時にはすっかり打ち解けた様子で二人は顔をつきあわせていた。
「 やっと昼メシ、いただきまーす。……っ…!!あー、旨いわ、このロケ弁。どう?京子ちゃん 」
「 本当ですね。美味しいです 」
「 ね!仕事合間のご飯は大いなる活力源だよね。ところで京子ちゃんは、現状、紅葉役で発揮しているその素早さと持ち前の根性だけで今まで敦賀くんから逃げおおせていたわけ?ヤバメなことは何もナシ? 」
「 それが、何度か捕まったことはあったんですけど、その時は今ほど敦賀さんも怖くなくて…。なので逃げるのはそれほど難しくなかったんです。あ!でも一度だけ絶体絶命を味わった事はありました。その時は親友のアドバイスを実践したら何故か逃げることが出来たんですけど…。その一回だけですかね 」
「 えっ?!なに、それ?興味深い。一体どうやって逃げたの? 」
「 えっと…… 」
――――――― いい?キョーコ
もし敦賀さんに追い詰められて絶体絶命に陥ったときは、この奥の手を使えばいいわ。
まずね、出来るだけ大きく目を見開いて、瞬きを我慢するの。
そうすると段々と目が痛くなってきて涙が出てくるでしょ。それを更に我慢して、涙をにじませながら上目遣いでこう言うのよ。
「 敦賀さん。……こ……こんなに激しく求愛されちゃったら、キョーコ、身体が壊れちゃう……って言ったんです 」
実践で見せた方が早いだろうとキョーコは古賀の前でそれを再現。
そしてあの時の蓮の様子を思い出して右へ、左へと頭を捻った。
「 そうしたら親友が教えてくれた通り、敦賀さん、本当に私の目の前で固まってしまって難なく逃げることが出来たんですけど…。いま思えばあれ、なんだったんだろ? 」
「 …っっっ……ぶわははははははっっっ!!!そ…っ……そんな手を使った、んだ……っ…っ……う…ウケル…… 」
「 そんなに面白いですか? 」
「 面白いよ、京子ちゃん!なに、その君の親友って学校の友達? 」
「 いえ、琴南さんです 」
「 こ…琴南さんだったのかー!!あはははは!!いいっ!最高に面白いよ!あのさ、京子ちゃん 」
「 はい 」
「 琴南さんに電話してみてよ。君にどうしてそういうアドバイスをしたのか是非知りたい! 」
「 ……かけてみます 」
古賀に乞われるままキョーコは奏江にコールした。
するとキョーコの話を聞いた奏江が意外なことを提案してきた。
実はこの日、奏江は泥中の蓮の撮影現場にほど近い場所でロケをしていた。そしてキョーコが電話をかけた時はちょうどその仕事を終えたところだったのだ。
通話後さほどの間をおかずにわざわざキョーコ達の元に足を運んでくれた奏江は、なぜそんなアドバイスをキョーコにしたのかを二人に語った。
「 ……それは、敦賀さんにそのテの噂話が無かったからです 」
「 その手とは? 」
「 色恋の類いです。これは事務所で聞いた話ですけど、デビューしてから一度も浮いた話が無いらしいです 」
「 ああ、そうだったかな。確かに 」
「 だから、もしかしたらあの人、今まで社さんに守られすぎたせいでむしろ免疫無いんじゃ…と考えて… 」
「 えぇ?抱かれたい男ナンバーワンが? 」
「 ……真偽の程はさておき、少なくともキョーコはそれで逃げることが出来ましたよね 」
「 ふっ、確かに。……OK、じゃ、その系統で策を練ろうか。琴南さん、わざわざありがとう!実に興味深くタメになったよ 」
「 いえ、この子が助かるなら私はそれで… 」
「 モー子さん!本当にありがとう!! 」
そう。ここからである。
純情乙女の反撃が本格的にスタートしたのは。
⇒8話(リ作) に続く
古賀くんとの会話はまだ続くよんw
※知らない方のために:中2病(ネットスラング)
中学2年生頃の思春期に見られる、背伸びしがちな言動を自虐する語。転じて思春期にありがちな自己愛に満ちた空想や思考などを揶揄。
「病」という表現を含んでいるが実際に治療が必要とされる医学的な意味での病気、または精神疾患とは無関係。
⇒純情乙女の危険なあしらい◇7・拍手
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