純情乙女の危険なあしらい ◇5 | 有限実践組-skipbeat-

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 こちらはリク魔人の妄想宝物庫を運営されているセーちゃんとのお遊びコラボ連載作です。

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 スタート話はこちら↓

 破壊神がやって来た【1 9】


 前のお話はこちら↓※セはセーちゃんちに飛びます

 純情乙女の危険なあしらい【セ1セ2セ3リ4


■ 純情乙女の危険なあしらい ◇5 ■





 まさか自分にそういう性癖があるとは思いもしなかった。

 それが初めて顔を出したのはまさしくあの時だった。



「 ……さて、最上さん 」


「 っっっ!!!! 」



 LMEだけじゃなく、各テレビ局はもちろん同業者にまで協力を要請して得ていたあの子のリアル・スケジュール。


 予定外の行動を起こしてLMEに現れたキョーコを捕まえようと蓮も即座に足を運んだ。

 結果、キョーコを壁ドンで追い詰める事に成功し、この時点で蓮の頭には間違いなく追い詰めた…という充実感がみなぎっていた。



 余談になるが、この時のキョーコほど愛らしいと思った事が蓮にはなかったかも知れない。


 全身を震わせて、どこもかしこもおびえていて、蒼白な顔で自分を見上げて自分を見つめるキョーコの瞳には涙がたっぷりと浮いていて、それがとにかく愛しくて可愛くて蓮の口元は自然と緩んだ。


 そのときだったのだ。

 愛おしむべき追い詰めたウサギから思わぬ一撃を食らったのは。



「 つ……敦賀さん… 」


「 なに?ようやく観念する気になった? 」


「 敦賀さん。……こ……こんなに激しく求愛されちゃったら、キョーコ、身体が壊れちゃう…… 」



 真っ赤な顔で吐露されたセリフは思いがけない威力があった。


 フルフル震えるウサギを前に、蓮の脳内で激烈なスパークが発生し、数多の動きがシャットダウンされるという事態に陥った。

 そのときの蓮はまるで電池が切れた人形のようだったに違いない。


 だが本当は違うのだ。

 そのときの蓮の状態はあり得ないほど思考のみが闊達に活動していて、蓮は腕の中に追い詰めたキョーコと頻繁に言葉を交わしていたのだ。


 そう

 もちろん脳内で…の話である。



 人はそれを妄想と呼ぶ。




「 ……壊れる?壊れるって、どんな風に? 」


「 や……キョーコ、そんなこと恥ずかしくて言えませんっ!! 」


「 恥ずかしい?そう…人には言えない恥ずかしい壊れ方なんだ。だったら余計に聞かずにはいられないな。それとも……いっそ俺に壊される姿を晒しちゃう? 」


「 …っ…や…いや!こんなところでなんて…恥ずかしいっ… 」


「 恥ずかしい?なにが恥ずかしいの?今ここには君と俺しかいないじゃないか 」


「 なに…言ってるんですか、敦賀さん。みなさんが遠巻きに私たちを見ているじゃないですか。ほら、あっちにも、こっちにも。……まさか、敦賀さんには見えていないんですか? 」


「 見えないな。なぜならいま俺の瞳に映っているのは君だけだから。

 ほら、君も俺だけを見つめてごらん。そうしたら周りなんて気にならなくなる。そして俺に全てを見せてしまえばいいよ。そうしたらもう恥ずかしさなんて吹っ飛ぶから。……さ、俺に君の全てを見せてごらん? 」


「 やんっ…そんな恥ずかしいです、やめて下さい!恥ずかし過ぎてキョーコ、心臓が破裂しちゃう… 」


「 それはいけないな!じゃあ、君の可愛い心臓が破裂しないように俺がこの手で守ってあげる 」


「 あっ…敦賀さん、ダメです。心臓の上には小さいけど私の胸があっ… 」


「 胸?うん、確かにここに君の膨らみがあるね。……あれ?ここ、気のせいかな?ツンってしているみたいだけど…。もしかして、感じちゃった? 」


「 …っ…そんなこと、言わないで下さい!…だって、そうなっちゃうのはこの手が敦賀さんのものだからなのに……それを、そんな風に言われちゃったらキョーコ…キョーコ……恥ずかし… 」


「 そう?そんな君も可愛いよ…? 」



 おそらく蓮は、心のどこかでキョーコの想い人は自分ではないだろうか、という期待を抱いていたのだ。


 そんな心理状態で追いかけ追い詰めたキョーコがやっと自分に堕ちてこようか…という事態を前にし、破壊神自身が少々ぶっ壊れた妄想を展開させてしまった次第。



 しかしそれも致し方あるまい。

 好きな相手とはラブラブムードを満喫したい…と考えるのは男でも女でも変わりないはず。


 ちなみにそんな君も可愛いよ…というセリフに至るまで約5秒。蓮は幸せの中にいた。



 妄想が終了し、金縛りのごとく身動きが取れなかった蓮の身体が現実的にキョーコを捕まえようと動き出す。もちろん蓮の思考もリアルに還り、意識と目の焦点が現実を見据えた。…が、時すでに遅し。


 その時キョーコはとっくにいなくなっていた。



「 ………なんだそれ、あり得ない。なんたる失態… 」


 先日の出来事をリフレインした蓮は再び後部座席で頭を抱えた。

 自分にそういう妄想癖があったことを蓮自身が知らなかったのだ。





 ――――――― まさか…ツルガサンったら…





 先ほどのキョーコとのやり取りを思い出し、蓮は小さく頭を振った。

 もしかしたらあの子はそんな自分の性癖に気づいてしまったのだろうか。



「 こんな誰もいない部屋に引っ張り込むなんて…もしかして…まさか…ツルガサンったら、私と…………シタい…んですか? 」


「 …し…シタっ?… 」


 思わず耳を疑った。

 そして目を見開いた。


 腕に捕らえたはずのキョーコは可憐に身を翻し、それは愛らしい笑顔を浮かべた。まるで自分を誘うように……。


「 敦賀さんの…エッチ… 」



 あの流し目だ、と蓮は思った。

 あのとき自分の妄想スイッチが再びオンになってしまったのだ。



「 ……エッチ?それは君の方だろう? 」


「 あら、どうして私が…? 」


「 どうしてって、俺はただ単に君を捕まえようとして会議室に入っただけなのに、君はそうだと思ったってことだろう?…ということは、君こそ俺とシタいって心のどこかで思っているってことだろう 」


「 私が?それ、本気で仰っているんですか?だって私、そういう経験とか全くないんですよ。そんなこと……敦賀さんはとっくにご存じでしょう? 」


「 知ってるよ。前に君、キスしたことも無いって言っていたから…。だからこそ興味があるんだろう?…だから……いいよ?俺が君を大人にしてあげる。君がどんな風に乱れるのか大いに興味もあるしね 」


「 大人に?……ほぅら、やっぱり 」


「 なに? 」


「 やっぱり敦賀さん、私とシタいだけでしょう?…敦賀さんの…エッチ… 」


「 ……エッチ?それは君の方だろう? 」


「 あら、どうして私が…? 」



 少々粘着性のある妄想だったせいか、最初に戻って繰り返してしまうというエンドレス妄想にふけってしまった。


 それでも蓮が10秒で戻ってこられたのは、一定時間が来るとフリーズが自動解除されるゲームのように金縛りが解かれたから。

 開きっぱなしだった蓮の両目が現実を映したそのとき、またもやキョーコの姿は影も形もなくなっていた。



「 最上さん!どこだ!くそっ!!! 」



 一度ならず二度までも…の失態で蓮が気づけたことは、もしかしたら自分は無意識のうちにあの子に対してそういうアピールをしていたのかも知れない…という危機感。


 純情乙女のあの子が自分から必死に逃げているのは、それをどこかで感じ取ってしまったからかも知れないと思った。



「 ……確かに。触るのを我慢しまくっている自覚はある…… 」


 なにしろ日本に来てからずっと禁欲生活を己に課していたのだ。

 それでもキョーコが現れるまでは良かった。普通に我慢が出来ていた。


 いや、けれど本当は違うのかも知れない。

 よく考えればあの子が自分の初恋なのだ。


 そんな自分がキョーコという恋しい存在を認め、彼女を強く欲するが故に今まで知らずに過ごせていた己の妄想癖が顔を出した、という事だとしたら……。



「 ……だとしたら危険だ。この先どんな本性が出てくるか俺ですら分からない



 たとえあの子にその自覚が無くとも。

 もしかしたらそのテのことをあの子から言われたら勝手に妄想力を高めてしまう恐れが少なくとも十二分。


 だとしたらそれを回避する策を練らなければ…と眉をしかめたときに蓮はハタと気づいた。



「 ……ん?けど、ちょっと待てよ?いくら何でも純情乙女のあの子のこと、さすがにあれ以上のことは言わないだろうし、そもそも出来ないんじゃないか?なにしろあの子は究極の純情乙女なのだから



 あの子からすればきっとあれだっていっぱい、いっぱいだったはず。


 それに、負けん気の強い彼女がもし自分のそういう部分を見抜いていたとしたら、動きが止まった隙をついて逃げるだけ…で済ますのはあり得ない気がした。


 それこそそれをネタにして、こちらが不利になるよう、あの子が有利になるよう交渉してきてもおかしくないだろう…と思える。つまり……。



「 ……つまり、それをしてこないって事は、あの子は気づいていないんだ。絶対そうだ。うん、そうだろう


 なんだかようやく安心できた気がする。

 姿勢を正して座り直した車の中で、自然と蓮から怒気がふうっと抜けてゆく。

 同時に心がパアッと開けて何もかもが軽くなった。



「 蓮。着いたぞ 」


「 あ、はい、すみません。ありがとうございました 」


「 …っ?! 」



 乗り込んだときとは打って変わって爽やかな笑顔を浮かべた蓮のそれは、敦賀蓮が日頃持ち得る従来の紳士スマイル。



 後部座席で黙り込んでしまったときはどうなることかと心配したが、どうやら蓮はその間に自身の怒りを鎮めたらしい…と、社は安堵のため息をついた。





 ⇒6話(セ作) に続く


自己解決はどれだけリアルを踏まえているだろう(笑)



⇒純情乙女の危険なあしらい◇5・拍手

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