一葉です。お付き合い頂き光栄です!
こちらはリク魔人の妄想宝物庫を運営されているセーちゃんとのお遊びコラボ連載作です。
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破壊神がやって来た【1 ・2 ・3 ・4 ・5 ・6 ・7 ・8 ・9完結】
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■ 純情乙女の危険なあしらい ◇4 ■
一方の蓮は、同乗者のいないエレベーターに乗り込む前から溢れる怒気とともにいた。
「 …っっ!! 」
到着したハコに乗り込み、駐車場がある地下階を選択。その直後に行き先表示灯横の壁を思い切り殴りつけ、勢いよく額で壁を小突く。
脳裏に浮かぶのは手の内からすり抜けていった愛しき君。
まるで羽衣を取り戻した天女のように飛び去って行ったキョーコだった。
「 …くそ!くそっ!!くそっっっ!!!なんでだよ!なんで君はっ… 」
椹との打ち合わせを終えた直後に捕らえた小さな身。自分を見上げたあの子の目。
何か御用ですか?と、冷静な態度で問われた刹那に思わず蓮はカッとした。
許さない!!今さら俺を抹消なんて絶対にさせない!!
瞬時に怒りが沸き上がり、感情通りの負のオーラを纏ってそれを隠しもしなかった。
こうなればあの子は蛇に睨まれた蛙のごとく身をすくませるに違いない。
ならば全身で恐怖を覚え、動きを止めたあの子を簡単に捕まえられるだろう。
なのにその予想に反し、キョーコはビクともしなかった。
「 …………っ… 」
一体どうしたというのか。
負の波動を見せても怯みもせず
脅しをかけてもたじろぎもしない。
ハッと我に返った時にはもう遅くて
自分の腕に閉じ込めたはずのキョーコはどこにもいなくなっていた。
「 …く……そ……なんでだよ 」
キョーコを捕まえることが出来なければ真相にはたどり着けない。
あの子が口を割らなければ自分には何も判らない。
あの子が誰かに恋をしているのは確定的で、その相手が誰なのかを聞き出せなければ話にならないのだ。
「 最上さん……そんなに嫌なのか?俺に打ち明けるのが… 」
そもそも数日前、自分は一度あの子を捕まえたはずだった。
あの時、あの時点で彼女はたしかに戦意を喪失していた。
しかし自分に対して降参の意を見せたはずのキョーコが急に反旗を翻した。その理由はなんなのか。何故あの子はこれほどまで逃げ続けようとするのか。
その背景を想像した蓮は腹立たしいと思った。
もしかしたらあの子が恋心を抱いた相手は自分には告白しにくい男なのかも知れない。そういう答えしか蓮には見えなかった。
「 ……だとしたら、相手はやっぱり不破…… 」
そう考えただけで再び怒気が浮上した。乗車客は自分一人しかいないというのにハコいっぱいに不穏の渦がとぐろを巻く。
「 いや、そんなはずは……っ…!! 」
ブン、ブン、ブン、と勢いよく頭を振ったところで正答は何処にも見えなかった。
目的階に到着し、エレベーターの扉が開く。
約束した時間より遅い戻りとなったからだろう。マネージャー社の額には自分とは種類の違う怒りマークが浮いていた。
「 蓮、遅い!!時間厳守だと言っておいただろう!! 」
「 判っていますよ!だけど俺だって色々…っ 」
「 問答無用!!行くぞ、乗り込め!! 」
「 …はい 」
蓮の怒りは少しも収まってなどいなかったが、その感情をマネージャーにぶつけようとはしなかった。
それは常に紳士を意識している敦賀蓮のスタンスからは外れるし、そうでなくても先日、泥中の蓮の現場にキョーコを迎えに行ったとき、自分がしでかしてしまった古賀とのやり取りが社の耳に入ってしまったのだ。
その件で蓮はマネージャーから厳重注意を受けたばかりだった。
「 ……俺だって色々あるんですよ… 」
敦賀蓮として
京子の事務所の先輩として、あるまじき振る舞いだったことは蓮にも多少の自覚がある。
だけどあの時はそうするしか無かったのだ。
焦っていた、といえばそうだと言えるし
テンパっていた、といえばそうだと言える。
マネージャーの社が運転している後部座席で、蓮は海底に届くのでないかと思えるほど深いため息を吐き出した。
先ほどのキョーコとのやり取りを思い出し、思わず両手で顔を覆う。
縮こまるように背を丸めると、運転席にいるマネージャーの視界から蓮が消えた。
担当俳優の様子を静かに伺っていた、若葉マーク必携初心者運転の社は、ハンドルを握りながら冷静に唇を結んだ。
……なんか、まだ不機嫌満載って感じだな。
ま、仕方ないか。
なにしろキョーコちゃんを捕まえられる気で行ったのに不発に終わって戻ってきたんだから。
社としては、蓮がどれほど不機嫌であろうと一向に構わなかった。だが仕事の時まで不穏な空気を垂れ流しでは流石に困る。
そういう意味でいえば、自分に逆らわずに蓮が乗車してくれたこと自体はまずまずの及第点と言えた。
意外にも早々に馴染みつつある車を操りながら、それにしても…と社は思った。
まさかキョーコがこれほど粘るとは正直予想していなかった。
連日に渡る執拗な追い詰めと、蟻の子一匹通す気など無いだろう蓮の策の練り方は端から見ていても少々常軌を逸していた。
だからてっきり蓮はすぐキョーコを捕まえてくるだろう…と社は予想していたのだ。
それだけに意外だった。蓮が手ぶらで戻ってきたのが。
「 もしかして……何か特別な理由でもあるのか?蓮 」
「 ……っ……なにがですか… 」
「 こうまでお前がキョーコちゃんを捕まえられない理由だよ。あ、まさかお前、もしかしたらわざとキョーコちゃんを泳がせて…… 」
狩りを楽しんでいるんじゃないだろうな?…と続けようとしたが、社は即座にそのセリフを飲み込んだ。
そんなはずがない。
意識的にそうしているのなら蓮がこんなにも不機嫌になるはずがないのだから。
後部座席で頭を上げた蓮は、バックミラー越しに社と目線を合わせた。
理由……と小声で呟くなり蓮は再び後部座席で背中を丸め、先ほどのキョーコとのやり取りを思い出して腹の中で思い切り叫んだ。
……あぁぁぁあっ、俺って奴はっっ!!!!
キョーコに逃げられてしまった理由。
そんなものは改めて考えるまでもなく原因は分かっていた。
だがそれはたとえ社であっても決して告白したくはなかった。
⇒5話(リ作) に続く
これだけを読むとシリアスどっぷりって感じ。悩める破壊神。ともすれば自分自身を破壊(笑)
⇒純情乙女の危険なあしらい◇4・拍手
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