SS 目的の本命 | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 いつもありがとうございます。一葉です。

 こちらのお話は2018年キョコ誕から2019年蓮誕までを結ぶ原作沿いSS連載の4話目です。お楽しみ頂けたら嬉しいです。


前のお話はこちら↓

お城はもちろん

お城の外で

真の目的


 ちなみに、キョコ誕と蓮誕を結ぶお話のはずなのに、なぜか1~4話目まですべてヤッシーsideで統一されています。…が、これはただの偶然ですので。おそらく全てヤッシーにはならないと思います。…たぶんね。



2018年キョコ誕SS~2019年蓮誕・VDまでの4話目

■ 目的の本命 ■





 大手芸能プロダクションLMEでも元旦ならそれなりに正月気分を味わえる。


 だがそれも三が日を過ぎてしまえば平常運転と変わりなく。


 さらに5日を過ぎ、自分が担当している芸能人、敦賀蓮の仕事が始まってしまえば必然的に俺の正月気分はどこにも残っていなかった。



 運転席で気を引き締め、同乗者ゼロのまま蓮がいるはずの現場に向かう。

 本来ならマネージャーの俺が蓮を現場に連れて行く予定だったのだが、本日、蓮は急遽用事が出来たとかで少し早めに現場に入ることになったらしい。


 それ自体は特に珍しいことではなかった。だから俺はただ一言、分かった…とだけ答え、蓮がいないことを除いたほかは予定通りの行動をしていた。



「 ……やっぱり、もう正月っぽい感じはどこにもないな。成人式が来ればまた少し気分が戻るかもだけど 」



 ちなみに、だが。

 今年のお正月に蓮の仕事をセーブし、逆にキョーコちゃんの方に仕事を入れていたのはキョーコちゃんが学生だからだ。


 お正月明けには学校が始まってしまうから、だから学業に影響が出ないようにと配慮をしたのだ。


 もちろん俺はそれを始めから考えていたから、キョーコちゃんにもそうするよと伝えていて、キョーコちゃんから同意を得ていた。

 ただ、これに関しては面白いことに蓮も俺と同じ考えだったようで、実は俺がキョーコちゃんにそれを伝えるより前に蓮からそういう提案をもらっていた。



「 社さん。今度のお正月は最上さんにとっては始めてマネージャーがついた年明けじゃないですか。ですから社さんがいることでこんなにも違うんだって事をあの子に実感して欲しいと俺は思っているんです。だからお正月は最上さんのこと優先で構いませんから 」


「 判った、サンキュ。じゃあ、お前は少しゆったり目にするか 」


「 ええ、是非。それで、俺も二人と一緒について回ろうと思うんです。俺がいることで最上さんの役に立てることがあるかも知れませんから 」


「 ああ、そうだな。監督とか助監とか、ADとかプロデューサーとか、とにかくお前と顔見知りの人間は多いから… 」


「 どこまで役に立てるかは判りませんけどね 」



 まぁ、そんな訳で、キョーコちゃんがお正月特番に出演すると決まった時も蓮は最初からついてくる気でいたんだろうな、と俺は思っていたけど、でもさすがにスポンサーとは顔見知りではなかったので当日に双方を取り持ったのは俺だった。



 ……と、それはいいけど。あれ?

 そう言えば結局のところ蓮は何が目的でキョーコちゃんのスポンサーと話をしたんだ?その理由が判明していなかった気がする。


 まさかあの番組に出演してキョーコちゃんのグリグリぎゅ♡…をゲットするためだったとか?


 いや、違う。

 そんなはずはない。


 蓮がスポンサーと話がしたいと言い出したのはキョーコちゃんの新CMを見た直後だ。

 結果としてその特番に蓮も出演したわけだけど、それは棚ぼた的ラッキーに相当する出来事だっただけで、蓮が目的としていた正真正銘の本命は絶対別にあったはず。


 なぜなら蓮があの番組に出演したところで、それはキョーコちゃんの新CMの内容とは結びつかないのだ。



 つまり蓮としてはあれが結果ではなかったってことだ。

 でも、じゃあそれは一体なんだ?



 あれこれ考えている間に目的地の駐車場に到着した。

 空いているスペースを見つけて車を停めるとそこは偶然にも蓮の車の隣だった。


 運転席を降りて何気に蓮の車の後部座席に視線を配る。いや、何気にとか言ったけど本当はなんとなくではなかった。


 おそらく俺は目の端にそれをバッチリ捉えていたのだ。

 だからこそ3秒の間に二度見をして、蓮の車の後部座席に積まれているトリラーメンを凝視した。



「 なんだ?!蓮のやつ、あまりに買いすぎて自分では処理しきれなくなったから色んな人に配ってしまおう作戦でも発動したのか?いや、それにしては残り方が半端な気がする…。それに、それじゃあ蓮の本命の目的は果たせないはず 」



 早めに蓮を捕まえようと考え、早急にスタジオへ向かうべく俺は鋭く踵を返した。

 受付に向かおうとした俺を途中で釘付けにしたのは目を疑うような光景が飛び込んだから。


 なんとスタジオ前のスペースにはどこぞの屋台村か…と突っ込みたくなるほどの移動式屋台が軒を連ねていた。



「 今日さぶいからあったかくて凄く美味しい~ 」


「 あっちのも美味しかったよ~!!あ、こっちのも食べてみようかな 」


「 どうぞ、どうぞ。風が冷たい日ほど温かい食べ物が美味しいですから 」


「 敦賀くん!君は神だ!正月早々、嬉しいよ。ありがとう! 」


「 そう言って頂けると俺としても嬉しいですよ。どんどん食べて温まって下さいね 」


「 ありがとう~!!! 」


「 あー敦賀くん 」


「 はい? 」


「 ラーメンってまだ在庫あるのかな? 」


「 もちろん、まだありますよ。持ってきましょうか? 」


「 本当に?!じゃあお願いしてもいいかな 」


「 ええ、すぐに持ってきますよ 」



 屋台の人に声をかけられ、その会話を経て駐車場に向かおうとしている蓮は満面の笑顔。

 その蓮めがけて歩き出した俺に気づいた当人はマネージャーの俺に向かって爽やかに右手を掲げた。



「 あ、社さん、おはようございます。スケジュール通り、予定より少し早めに到着するなんて流石ですね 」


「 そんなのはいつもの事だから流石でも何でもない。それより、何だこれ? 」


「 え?社さん、見て判らないんですか?ラーメン屋台ですよ 」


「 それぐらいは判るわ!!じゃなくて、なんでこんなに屋台があるんだって話だ。…ひーふーみー…って、5つもある?! 」


「 なんでって、俺が呼んだから? 」


「 はい? 」


「 ああ、大丈夫ですよ。LMEに請求書を回したりしませんから。すでに支払いは済ませてあります 」


「 支払い?…はともかく、何だ?なんで? 」



 蓮と一緒に逆戻りした駐車場にたどり着くと、蓮は自分の車のドアを開けた。

 後ろに積まれている袋麺タイプのトリラーメンを段ボールごと取り出し、ご丁寧にも一つずつの袋を開けて中身と袋を別々にしてゆく。


 俺が呆然と立ち尽くしていると、蓮が俺に声をかけた。



「 社さん。突っ立っているだけなら手伝って貰えませんか?屋台の人が使いやすいように中身だけを向こうに持って行きますから 」


「 え?あ、うん…… 」



 蓮に乞われたのでとりあえず俺も手伝ったのだが…。



「 ……蓮。俺、思うんだけど、普通の屋台なら少なくとも市販の袋麺を使ってラーメンを作ったりしないんじゃないか? 」


「 普通ならそうでしょうね。でもいま来てくれている屋台の人は、トリラーメンのメーカーさんが手配をしてくださった屋台ですので… 」


「 え?なんで? 」


「 なんでって…だから俺が依頼をしたからです 」


「 あっ!それってあれだ!キョーコちゃんと二人で出演した特番前のことだろう?俺がメーカーのお偉いさんにお前を紹介したあと、二人で話したいからって俺を遠ざけたやつ! 」


「 別に遠ざけた訳では…。あのとき、クリスマスに最上さんと三人でトリパーティをしたんですよって話をしたんですよ。色々アレンジしたものを作ってもらって、それが凄く美味しかったからそれを多くの皆さんにも味わってもらいたいなと思って、屋台で再現していただけませんかってお願いしたら、メーカーさん、とても喜んで二つ返事をくれましてね 」


「 そりゃそうだろう…。あれ?待てよ。ってことは、いま屋台に並んでいるのは… 」


「 そうです。お察しの通り、全て先日のトリパーティで最上さんが作ってくれたアレンジレシピですよ 」


「 なっ…!お前!まさかいまキョーコちゃんを巻き込んでいるのか?!もうすぐ学校が始まるから俺はわざと今日キョーコちゃんを休みにしたっていうのに! 」


「 社さん、違います。俺がそんなことするはずがないでしょう。あの子には何の迷惑もかけていませんよ。いま屋台の人が作ってくれているそれは、この前あの子が作ってくれた手順を俺が説明して…、それを屋台の人が再現してくれただけです 」


「 ……手順をお前が…? 」


「 ええ。分量は分からなくても手順ぐらいは覚えていますよ。あの子、全部俺の目の前で作ってくれましたからね 」


「 ……て……あ……っ!! 」



 そうだ。

 蓮の記憶力はバケモノ級なのだ。



 かつて嘉月を演じたとき、楽譜が読めないからという理由で講師の手の動きを丸暗記してピアノを弾きこなしたような奴なのだ。

 それこそインスタントラーメンのレシピぐらい、一回見ただけで覚えられたに違いない。


 しかも作ってくれたのは他ならぬキョーコちゃんなのだ。



「 ……で?どうしていま俺たちは袋と中身を分けているんだ? 」


「 ですから、屋台の人が必要としているのは中身の麺と粉末スープだけだからですよ。外袋は食べられませんから持って行っても邪魔になるだけでしょう?だから外しているんです。その方が向こうも手間が減って作りやすいでしょう? 」


「 そりゃまぁ… 」



 とか言いながら、蓮は外袋を一つずつ丁寧に、丁寧に紙袋に収めていて、その仕草を見てなるほど…と俺は思った。


 これで全て繋がった気がした。

 これが蓮が欲した本命の目的だったのだ。





 そう。キョーコちゃんの誕生日であるクリスマス当日、キョーコちゃんはトリラーメンの新CM撮影に挑んだ。それが年明けと共にオンエアとなったのだ。


 俺はキョーコちゃんのマネージャーでもあるからCM内容についての概要を事前に知っていて、だけど蓮は知らなかった。


 きっとあのコマーシャルを見た瞬間に蓮の頭の中で色々なものが一気にスパークしたに違いない。

 それこそ一挙両得ならぬ一挙複得とばかりに閃光が瞬いたことだろう。



「 明けましておめでとうございます!お正月はおせちもいいけどラーメンも美味しいよねぇ♡ はー、しあわせっ 」


 CMの中でキョーコちゃんはトリラーメンのキャラクターである鶏と一緒にコタツでトリラーメンを食べていた。

 そして家の中をイメージしたセット内にはすでに様々なグッズがあちこちに配置されていた。



「 あ、ねぇ、ちょっと聞いてくれる?一月中に袋麺の外袋を30枚集めて応募してくれた人には、もれなく一個、京子グッズをプレゼント♡

 あー、ちょっと待って!えーそんなに食べられな~い、と諦めないで。そういう人のために別のを用意してあるから。

 これ!カップラーメンの上蓋5枚を集めて送って下さった方の中から毎週抽選で100名様に同じく京子グッズをプレゼントしちゃいまーす! 」



 目覚まし、スマホケース、手鏡、マグカップとスプーンのセット、ラーメン丼とお箸のセット、保温弁当箱、ミニ湯沸かしポットなどなどエトセトラ。


 画面で披露されているトリラーメンとコラボした京子グッズは全部で10アイテムほどだったと記憶しているが、実際には15種類のアイテムが作られる事になっている。

 そのテレビで披露されていない5種類のアイテムは、10種類をコンプリートした人だけが応募可能となるシークレット・グッズなのである。



 おそらく蓮はその情報をメーカーから聞き出しているに違いない。ちなみにそれに応募するにはさらに150枚程度が必要となるはずだと記憶している。



「 よし、全部終わりました。社さん、ありがとうございました。じゃあ持って行きましょう 」


「 ……ん 」



 そうなんだ。俺に言えばもしかしたら全種類を手に入れることが出来るかも知れないのに、蓮は敢えてその道を避けたんだ。



 理由は明白。その方が堅実な上、色々と都合がいいからだ。


 まず敦賀蓮としての体面を保てる。

 屋台に使うトリラーメンを蓮が用意すれば、現在、蓮宅キッチンを占領しているあの大量のトリラーメンは一気に消費できるし、また中身だけを屋台の人に渡すことで外袋は全部自分で確保できるというおまけ付き。


 加えて全てを自力でコンプリートしたとなれば先輩としての株も上がり、ひいてはキョーコちゃんも喜ぶ……だろう。たぶん。



「 蓮。もしかしたらあの屋台、今日だけじゃなくしばらく色んな所に出没するのか?たとえば明日のお前のモデルの仕事現場にも来るとか… 」


「 凄いですね、社さん。実はそういう約束をしています。みなさんにも是非、あの最上さんレシピの美味しさを味わってもらいたいですから。あ、社さんもどうぞ。お好きなだけ 」


「 ……っ……へー。あ…っそ……ごちそうさん(笑) 」



 すごいな、こいつ。

 もしかしたらあのキョーコちゃんグッズを全部自力で揃える気でいるとか?


 …いや、もしかしたらじゃない。


 絶対それが蓮にとって、本命の目的だったに違いない。



「 蓮。それ、一箱よこせ。俺も持つから 」


「 え?俺一人でも平気ですけど……でも、ありがとうございます 」


「 ん。俺、キョーコちゃんとお前のマネージャーだから 」



 蓮と二人で一箱ずつ、袋から取り出されたトリラーメンを運びながら、まぁ、いいんじゃ無いか、と考えて微笑した。



 お前がまず幸せで、お前の周りに居る人たちもラッキーを味わえて。


 加えてメーカーさんも嬉しくて、結果としてそれがキョーコちゃんの仕事のプラスになるのなら、二人のマネージャーである俺に不満はない。








     E N D


蓮くんが全てのグッズをゲットできたとして、それをどうするのだろう(笑)…という疑問。



⇒目的の本命・拍手

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※5話目こちら⇒「その時、ふと」



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