破壊神がやって来た ◇2 | 有限実践組-skipbeat-

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 いつもありがとうございます、一葉です。(。-人-。)

 そして毎度お付き合い下さるお嬢様たち、本当にありがとうございます。


 弊宅500記事を記念して、ゆきひめ様からお与かり致しましたリクエスト・原作沿い両片想い蓮キョをお届け致します。

 一話からだいぶ間が開いてしまって本当に情けない…。懲りずにお付き合い頂けたら嬉しいです。よろしくお願いします。


 前のお話はこちらデス⇒破壊神がやって来た◇1


■ 破壊神がやって来た ◇2 ■





 そもそもなぜ蓮がキョーコを追い、キョーコが蓮から逃げようとしているのか…だが。

 ことの発端は昨日、仕事で某テレビ局に足を運んだ蓮が、そこで偶然古賀弘宗氏とばったり顔を合わせたことから始まる。



「 ……っ…! 」


「 あ…… 」


 一瞬、古賀は眉をひそめたが、蓮は目を瞠っただけだった。


 ともに俳優をやっている者同士。当然、互いの顔も名前も一致している。

 特に蓮からすれば、自分が断ったがために自分にオファーがあった坂上志津摩役を彼が演じることになったという経緯がある。


 今度はいつ自分と彼の立場が入れ替わるかも判らない。ここで会ったのも何かの縁。



 それに、今回、自分は機会を逃してしまったが、偶然にもその作品には自分が秘かに想いを寄せている後輩キョーコも出演する。


 彼女と同じ事務所に所属している先輩として、また彼と同じ俳優として、蓮が古賀に対して礼儀を通しておこうと思ったのはいささかの不思議も無かった。



「 やぁ、古賀くん!久しぶりだね 」


「 どうも、敦賀くん。本当に久しぶり 」


 古賀に向かってごく自然に右手を差し出した蓮はまんま温厚紳士な笑顔を浮かべた。

 しかし古賀は蓮の握手には応じず、深謀めいた笑みを作った。


 なぜなら、蓮を前にした古賀の心情は決して穏やかではなかったのである。



「 敦賀くんは毎日忙しそうだよね。羨ましいよ 」


「 そんなことはないだろう?古賀くんだって、この前から映画の撮影が始まったって聞いたよ。実は俺の後輩が泥中の蓮に出演することになったんだ。だからよろしくお願いしたいなと思う 」


「 ああ…!知ってるよ。それって京子…ちゃんのことだろ?あの子、ずいぶん面白い子だよね。役の練り込みにも余念がないし、手を抜くことを知らない良い役者だ。所属はタレントみたいだけど 」


「 ……うん。ありがとう。そう言ってもらえると先輩として鼻が高いよ 」



 何のてらいも無く心から嬉しそうに笑った蓮を前にして、古賀の気持ちは簡単にささくれだった。



「 あーあ、いいよなー、敦賀くんは~ 」


「 ん? 」


「 世間的にも抱かれたい男№1なんて言われちゃって注目を集めちゃっているのにさ~、更にあーんな可愛い後輩にまで熱烈に愛されちゃっているんだもんな。ハッキリ言って羨ましいよ~ 」



 実際、キョーコが紅葉役のオーディションに来る前から古賀はキョーコに興味があった。

 その本人に会うずっと前から彼は秘かな期待を含んだ関心をキョーコに抱いていたのだ。


 ダークムーンの美緒とBOX”R”のナツが同一人物だと知ったときの、あの新鮮で鮮烈な驚き。こんなカメレオンみたいな変身をする役者が実際にいるのかとすら思った。


 だから、紅葉役のオーディションでキョーコの履歴書を見たときは本当に浮き立った。




 ところが、だ。奇遇にも彼はそのオーディションの最中に偶然気付いてしまった。


 そのキョーコが、男として俳優として、日頃から自分がただでさえ目の上のたんこぶよろしくライバル認定していた蓮に、強く惹かれているということに。


 可愛さ余って憎さ百倍とは少しニュアンスが違うかもしれないが、それが本当に面白くなかったのは事実である。



「 え?それを言うなら古賀くんだって№2… 」


「 敦賀くん。こう言っちゃなんだけど、一位と二位にはものすごい開きがあると思わない? 」


「 いや、そんな事ないと俺は思うけど……。それより、熱烈ってなに?それってもしかしなくても最上さんのことを言ってる? 」


「 なに?敦賀くんって京子ちゃんのことを最上さん…って呼んでんの?芸名じゃない呼び方をするなんて、もしかしたら敦賀くんにとってあの子は特別扱いってことなのかな。それとも……どうでもいい扱い? 」


「 どう受け取って貰っても構わないよ 」


「 ふぅん。構わないんだ。可哀想にな、あの子。あんなに敦賀くん大好き光線を出しまくっているのに…。いくら興味ないにしてもひどくない? 」


 そこで蓮は苦笑を浮かべた。


「 それって、あの子が俺を神様と崇めていることを言っているのかな。君もそれをあの子から聞いたんだろう? 」




 蓮はこう思ったのだ。


 恐らくオーディションの最中にでも、あの子が敦賀蓮に関する熱弁をふるったに違いないと。

 それを古賀が聞き及んだ上での今の発言が出たのだろうと。



 しかし、対した古賀は蓮の苦笑を見てちょっと意外に思った。



「 …っていうかさ、優秀だと名高い自分のマネージャーを京子ちゃんに貸し出したり、こうして俺とばったり会って後輩をよろしくなんて挨拶したりするぐらいなんだから、敦賀くんの中でも京子ちゃんをある程度は意識しているってことだろ? 」


「 古賀くん。マネージャーは俺のものじゃないよ?社さんが最上さんのマネージャーをやったのは彼の意思であって… 」


「 だったら尚更じゃん。敦賀くんはマネージャーがそうしたいって言ったそれをすんなり受け入れたってことだろ? 」


「 ……まぁ、ね 」


「 なぁんか面白くないな。それってナンバーワンの余裕?それとも、後輩に好かれるのは当たり前ぐらいに敦賀くんは思ってんのかな?だとしたらお門違いだよ、敦賀くん。胡坐をかいていられるのも今の内かも知れないよ? 」


「 え? 」


「 敦賀くんの目から見た京子ちゃんの、君に向ける熱烈な愛の眼差しが尊敬のそれにしか見えないって言うのなら、俺、この映画撮影中に頑張ってみちゃおうかなと思うから 」


「 え?? 」


「 あの年頃の子なんて、恋愛対象が変わればおのずとそうなるだろうって判るだろ?そのうち京子ちゃんに崇められるのは俺になるかもしれないよ 」


「 …恋愛対象? 」


「 あっ?!でもちょっと待てよ。考えてみたらあの子は紅葉を演るんだから、いっそ敦賀くんに冷たくあしらわれた方がリアルに成就されない恋の演技をしてくれるかもしれないよな 」


「 成就されない恋の演技? 」


「 ふっふっふ…。敦賀くん、いまちょっと惜しいって思った?でも遅いよ。

 明後日から俺はほぼ毎日のようにあの子と顔を合わせるからね。ふっ…楽しみ。一気に仕事の楽しみが増えた気がするな。あ、じゃあ俺はこれで失礼するから。君に会えて良かったよ! 」


「 ちょっ……古賀くん、それってどういう?まさか、最上さんが………俺を恋愛対象に?……いや、まさかな



 そのまま去ってしまった古賀は、蓮の問い掛けに答えを残しはしなかった。



 もちろん、この会話だけで終わったのなら或る意味なにごともなく済んだのである。…が、古賀の一言が蓮の脳裏にバッチリ焼き付いていたのは言うまでもない。



 そもそも人の恋愛ごとなどある程度の確信がなければあんなにハッキリと口にすることはないだろう。

 つまり、きっぱりと言い放った古賀には、キョーコのそれに対してちゃんとした裏付けを持っているのではないか…と蓮は考えた。




 一度気になってしまえば一晩経っても益々気になって仕方がない。



 手っ取り早くキョーコに探りを入れてみる気になった蓮は、優秀な自分のマネージャーである社が入手してくれた本日のキョーコの仕事先であるTBMに赴いた。

 …と言ってももちろんその用事で訪れたのではなく、本当は偶然ここに仕事が入っていただけなのだが、少なからず自分の努力によって少々の自由時間を得ていた蓮は、TBMに着いた途端キョーコ探索を開始した。


 そして間もなく、蓮と坊は再会を果たす。



 きょろきょろと辺りを見回しながら歩いている蓮のそれを見れば、坊もといキョーコの目でも蓮が誰かを探している雰囲気なのがひと目で判る。

 そこでつい声をかけてしまったのが運の尽き。


 蓮が探していたのが自分だったことをキョーコはこのとき知ったのである。



「 えっと……なんで?その後輩がどうかしたの? 」


 急いでいるなら電話をすればいいような気もするし、会わなきゃ済まないような用事など一つとしてないはずだとキョーコはすぐさま考えた。


 ではなぜこの大先輩は自分を探しているのだろう。

 その理由にさっぱり見当をつけられなかったキョーコが躊躇いがちに蓮へ問いかけると、蓮は素直に理由を吐露した。



「 実は、彼女が今度やる映画の役で成就されない恋の演技があるらしいって話を、昨日、主演を務める古賀くんから聞いてね。…で、それをどんな風に演じるつもりなのかがちょっと気になって、直に話を聞こうかなと思って 」



 無論、蓮が本気で気になったのはそんなコトでは決してない。

 古賀の発言がキョーコの何を見て発せられたものなのかをひどく知りたくなったのだ。


 そのヒントが、古賀のセリフからもキョーコが演じる紅葉の中にあるような気がした。


 自分と言葉を交わしながら周囲に視線を配り続けている蓮を前に、キョーコは坊の中で青ざめた。



 過去、確かに恋をした経験はある。それはあのバカな幼馴染に対してのそれだ。

 アイツに対して抱いていた思いも確かに叶わない恋ではあったけど、しかしあのクソみたいな経験を、まさか紅葉に取り入れようと思っている…など、心にも思わない嘘を吐く気には到底なれない。



 だが!!!だからと言って素直な告白がキョーコに出来るはずも無かった。



 坊に守られながらキョーコは確かに背筋を震わせた。



 捕まる訳にはいかない。少なくともこの大先輩を納得させられるような理由を見つけられるまでは…。



「 ……っ……そう……なんだ…… 」


「 彼女、今日はTBMで仕事をしているはずなんだけど…見かけたりしなかった? 」


「 し……知らない。あた…僕は京子ちゃんを見てないよ!!そうだ!きっともう今日は仕事が終わっちゃって帰っちゃったんじゃないかな?だって敦賀くんが探してるって聞けば後輩なら誰だって飛んでくると思うし。だから敦賀くんがここで京子ちゃんを探しても意味ないと思う!! 」


「 そんな無…… 」


「 坊~!!こんな所にいたぁっ!!! 」


 そのとき、運良く坊を呼びに来たスタッフに声をかけられ、キョーコは九死に一生気分でそそくさと蓮から離れた。


「 あ、敦賀くん、ごめん。僕もう行かなきゃ!力になれなくてごめんね!じゃあねっ 」


 そう言ってキョーコは蓮から遠ざかりつつ坊の中で安堵の溜息をついたのだが、その後ろ姿を見守った蓮は少々の不満を感じていた。



「 ……あの子の姿を見かけてもいないのに帰ったって言うのは……さすがにちょっと無責任すぎないか? 」



 少々どころか本当はかなりの不満が積もったが、丁度そのタイミングで蓮の携帯にも戻れのメールが舞い降りた。

 相手はもちろんキョーコ情報をもたらしてくれたマネージャーの社である。



「 タイムリミットじゃ仕方ない。じゃ、確実性の高い手を打っておくか…… 」



 社の元へ戻りつつ、蓮はLMEに電話をかけた。

 もちろんそれはキョーコを捉えておくべく巧妙な罠を仕掛けるために。

 


 






 ⇒◇3に続く


ぶふっ( ´艸`)

ちなみに、古賀君の性格設定に関しては一葉独特な感性が含まれておりますが、コミックス派のお嬢様は42巻に収録されるそれをお読みになったあと、またこのお話にお付き合い頂いてお愉しみ頂ければと思います。



⇒破壊神がやって来た・2◇拍手

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