【技術士対策3】ハイブリッド式貯留管 | 技術士を目指す人の会

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勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

新聞や雑誌で取り上げられた水循環、水道、下水道に関する記事のうち、技術士試験で出題される可能性があるテーマや継続研鑚の一環として勉強するべきテーマについて解説します。

今日は1月6日付けの『水道産業新聞』からです。テーマは、「ハイブリッド式貯留管」です。

記事の概要は以下のとおりです。 

 

名古屋市上下水道局はさきごろ、市内河川の堀川・新堀川の抜本的な浄化対策を推進するため、新たに大規模な貯留管等を整備することで堀川上中流部及び新堀川上流部の水質浄化に向けた取り組みを強化する方針を打ち出した。これは、堀川上中流部および新堀川上流部の沿川に貯留管を整備するとともに河川への合流式の放流口を廃止することで、水質浄化を図るもの。さらに、将来的にはこの地区の完全分流化を目指すことも明らかにした。

http://www.suidou.co.jp/200106.htm

 

 

●ハイブリッドとは

そもそもハイブリッドとは、どんな意味か。

 

複数の方式を組み合わせた製品

 

例えば、ハイブリッド車は、ガソリンと電気、二種類を使って走行します。

最近では、いわゆるハイブリッド車は、ガソリンエンジンで走行しながら発電を行い、それをバッテリーに充電します。あくまでもガソリンで走行するのがメインで、電気を使うことで燃費を高めるものです。

ちなみに、PHV車は、外部(プラグ)から電気を供給して、それをバッテリーに充電します。基本的には電気のみで走行して、ガソリンは電気がなくなった場合のバックアップです。

 

●雨水貯留管とは

雨水貯留管は、大雨が降った際、雨水を蓄えるための貯留管です。

通常であれば、水路や小さな川に流れる水は、河川に流入します。

しかし、大雨が降ると、河川の水位が上昇し、水路などの水量も増加します。

河川で飲み込めなくなった雨水が、河川付近であふれ出します。これが内水氾濫です。

河川の水位の上昇を回避するためには、河川の幅を拡げる必要がありますが、これは極めて困難です。

そこで、雨を一時的に貯水して、雨水があふれ出すのを防止することが有効になってきます。

これが雨水貯留管です。

ただし、雨水貯留管は雨水を貯めるので目的は1つです。

複数ではないのでハイブリッドではありません。

それでは、貯留管をハイブリッドと呼ぶには何を貯めれることになるのか?

説明の前に、まずは、合流式について説明します。

 

●合流式とは

下水の送水システムには、分流式と合流式があります。

分流式は、「雨水」と家庭から排出される「汚水」を別の管渠で送水するものです。

「雨水」は河川に放流し、「汚水」は終末処分場に送水します。終末処分場は汚水分のみを処理すればいいわけです。

一方、合流式は、「雨水」と「汚水」を1つの管渠で送水します。

「雨水」と「汚水」がミックスしたものが終末処分場に送水されます。

終末処分場は雨水と汚水の両方を処理することになります。相応の能力が必要になります。

さらに、合流式は、大雨が降り、管渠の送水能力を超過した際は、超過分を河川に放流することになります。

これを「越流水」といいます。

越流水には、「汚水」が含まれていますから、これが河川に流入することで水質汚染を招くわけです。

 

●ハイブリッド貯留管とは

通常の貯留管は雨水を貯留します。

ハイブリッド式貯留管は、大雨が発生した際、合流管からオーバーフローした水を貯留するのだと思われます。

これにより、雨水による内水氾濫を防止するとともに、「越流水」の発生を防止して河川の水質汚染を防止することができます。

つまり、1つの貯留管で、2つの目的を達成できるため、ハイブリッドになるわけです。

名古屋市では分流式の普及を推進しているようですが、分流式の整備が完了した際は、管渠を使ったハイブリッドが可能になります。

豪雨により雨水管の送水能力を超過する事態が発生した際、雨水管から汚水管に雨水を流入させます。

これにより内水氾濫を回避するものです。

つまり、1つの汚水管で、2つの目的を達成できるため、ハイブリッドになるわけです。

今後、下水道分野では、いろいろなところでハイブリッドの考え方を取り入れていくのかもしれませんね。

 

 

※ 前回の【技術士試験対策】を読みたい方は こちら をどうぞ。

 

 

●必須科目対策に必要な下水道の基礎

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※「持続と進化」については こちら をどうぞ。

※「資源の循環」については こちら をどうぞ。

※「水の循環」については こちら をどうぞ。

※「下水道による排除・処理」については こちら をどうぞ。

※「新下水道ビジョン加速戦略」については こちら をどうぞ。

 

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