茶室拝見
ひょんなことで、よそ様のお宅の茶室を拝見する機会がありました。 陶芸家某氏(故人)の旧宅にぁる茶室が、荒廃して来て、いよいよ外壁を修理した方が良いだろうという話になり、ご遺族のお知り合いの表千家の先生が、我が家に話を持ち込んでこられたのです。先生は、我が家に度々お見えになって、我が家の茶室や塀を塗った左官屋さんの腕を評価されて、紹介して欲しいということなのです。前にこのブログでもちょっと触れましたが、研究熱心で、炉壇も塗ってくれるような、腕のいい職人さんなので、自信を持ってご紹介することにしました。左官屋さんが、とりあえず状態を見にゆくということになり、茶室を見るのは大好きな我々、くっついて見学に行こうと、表千家の先生のご案内で現地に向かいました。 多摩丘陵にあるお宅は、本宅は古民家風の広大なもの、本宅横に、雪隠付きの腰掛けがあり、整った露地はありませんが、石段伝いに崖下に別棟で小さく茶室が建っています。陶芸家が亡くなって15年、ご遺族で、陶芸、茶の湯に関わる方が誰もなく、茶室はほとんど使用しない状態が長かったようです。確かに、外壁は、蜂が巣を作ったりして、相当に荒れています。茶室は三畳台目、下座床(台目幅より少し狭く、奥行きは三尺近い畳床)、にじり口だけで、貴人口はありません。にじり口は、点前座の風炉先窓とカネ折の位置にあり、火燈形の茶道口と方立形の給仕口が並行についています。窓は八つと明るい作りで、にじり口の上に一つ、にじり口正面の壁の上段下段に連子窓と下地窓一つづつ、給仕口の正面、にじり口左横に、貴人口を作る代わりに大きな花頭窓を設けているのが特徴的です。床の間に墨跡窓。点前座に風炉先窓と勝手付きに色紙窓があります。これだけ窓があれば、突き上げ窓がないのは当然。点前座の中柱は直立の松。二重の仕付け棚がありますが、千家流ではなく、武家流儀の形式ですが、上下棚同面積で雲雀棚ではありませんが。床柱は材はよくわかりません。床は天井まで塗り回しの室床です。壁は、スサと錆が入った黒っぽい壁で、いい感じにみえます。天井は、点前座が片流れの化粧屋根裏天井以外、平天井で、高さが結構あります。竿縁がわりと太く、天井板の木目も綺麗で、小間としてはちょっと、ガッチリしすぎているような気も。ちなみに水屋は台目畳三枚と広く、使いやすそうです。 この茶室は建てられたのは平成元年だそうですから、まだ35年なのですが、結構古びて見えるのは、材が、法隆寺、二月堂、薬師寺などの古材を集めて建てたせいもあるでしょう。一部の材に、寺の焼き印があるのが見えたりします。しかし、古びて見えるのは、やはり、使用せず、放置していた時間が、かなりあったことも一因と思われます。やはり建物というものは、人気がなくなると、何故か自然と荒れてゆくものなのです。室床が、雨漏りのせいか、かなりシミが出ていたりするのも古びて見える要素かもしれませんが。 私の拙い説明で、茶室の全貌がわかるかどうか、心もとありませんが、よそ様のお茶室を写真などに写すわけにもいきませんので。 続きは次回に。 萍亭主