古典的な西洋占星術と、17世紀以降のモダンな西洋占星術には、それほど多くはないのですが、少々異なる概念が存在しています。

モダンな占星術のサインとハウスは、ABCと並べるような関係があります。例えば、♈のサインをAにして1ハウスと同じ意味に、♉のサインをBとして2ハウスに準じさせ、♊のサインをCにして3番目のハウスの意味に揃えるといった、いわゆる、アルファベット的な関係が持たされています。

残念ながら、これは17世紀以降に発明された(捏造との言い方もありますが、あまりにも過激なので、あまり使われなくなりました)考え方であり、これによって西洋占星術はぐっと身近になりましたが、社会的な事柄や具体的なことに答えられなくなり、心理的な面に光を当てる、心理占星術にとっては申し分のないものができました。

サインとハウスは、別々の文化圏から出てきたもので、歴史的には全く別物ですから、アルファベットのようには揃いません。サインはメソポタミア文明から出てきています。ハウスは、エジプトの占星術から出てきたものです。ヘレニズム占星術と呼ばれる今日の西洋占星術に近いものは、紀元前10世紀ごろから徐々に交流は始まっていましたが、紀元前2~3世紀にこの2つがかなり密接に融合してできたものです。

文化的な背景も異なりますが、ハウスとサインの大きな違いは、ハウスはプライマリー・モーション、つまり右回りの概念が多く含まれていて、サインにはセカンダリー・モーションと呼ばれる左回りの概念が多く含まれていることです。もちろん、ハウスの中にもセカンダリーで考慮されるものもあり、サインの中にも惑星の逆行など右回りで考慮されるものがあります。

モダンな占星術は、古典的な占星術では背景となるサインにウェイトをかけています。太陽が××のサインにあるから、こうだとかああだとかになるわけです。古典的な西洋占星術がウェイトをかけているのは、惑星そのものです。惑星をどう評価するかが判断の初期の段階から大事になります。サインは単なる背景ですから、あまり重要視されないこともあります。ハウスにはかなりウェイトがかかってきます。つまり、同じトラインのアスペクトでも、どのハウスで起きたのか、どのサインで起きたのかが重要になります。トラインなのに、リセプションの関係から、効果がないと断定することさえもあります。逆に、スクエアなのに良いアスペクトであると評価を下すこともあります。

現在は、あまりウェイトの置かれないサインのお話をさせていただいております。でも、本当は、サインに置かれた惑星をリセプションから判断するので、とても注意深く観察する必要があります。

 


 ♏のサインは、コールドでドライな秋に置かれている、水(コールドでモイスト)のサインです。女性格であり、火星が支配星となっているサインです。秋のコールドと水のコールドが重なることから更に不活性化されます。フィクスト(固定宮)な水のサインであることから、停滞する水、よどみのある水、匂いを発してしまうような汚れた水が想定されます。あるいは、粘着性のある液体、リキッド状の液体を想像されるかもしれません。こういった粘着性のある液体も、世の中には必要なところがたくさんあります。グリス等の粘液状のものがあげられます。

解剖学的には、♈のサインを頭として、♉のサインを首、♊のサインを腕片手指としていくと、♏のサインには生殖器が当てはめられます。女性は、月に一度血を流すことになるので、女性格の惑星・月はここでフォールになります。別名、バイア・コンバスタと呼ばれる場所で、♎のサインの15度から♏のサインの15度まで広がると言われています。しかし、血を流す月だけが影響を受けると言われています。ネイタルでは読み取るのが難しく、最初はあまり重要視しなくてもいいでしょう。

コールドでドライな地のエレメントにある、コールドでモイストな水から連想されるものが、まさに♏のサインなのです。先にも述べた、粘着性のある土の混ぜられた水になります。砂に水を、逆ですね、水を含んだ砂、を使って浜辺で遊んだことはありませんか? ただ、西洋占星術で思い浮かべる水は、暴流のような水ですから、それに土が含まれていると土石流のようなものになってしまいます。だからこそ、♏のサインは暴れん坊の火星が支配星になっているわけです。

季節はコールドでドライ、サインはコールドでウェット、そしてフィクストです。

植物を観察すると、この時節は一年のなかで樹々の葉が裸にされていく時期です。ホット(活力)がなく、生命力が失われ、葉が枯れ、赤茶色になり、朽ちて腐り始めていきます。

夜が更に長くなっていきます。このようなコールドと定着するエネルギーが強調されるこのサインは、より内面的になり、外に向かっては出ていきません。

火星は、このサインに厳しさという評判を与えています - 水中で戦う戦士のようであると表現した占星家もいます。熱く、固定された埋もれた火とは、火山の溶岩のような火を思い浮かべるかもしれません。

金星がここでデトリメントです。コールドな金星がコールドのサインでデトリメントとは合点がいきませんか? これは、サインの固着性が、幾分ホットを好きな彼女に「動くな」という命令を下すことになり、彼女の持つ包容力を奪ってしまうのです。

火星の攻撃的なエネルギーが、内側に向かうサインです。火星がここにあるとディグニティーは得ますけれども、良いのか悪いのかは分かりません。内容次第といえるでしょう。

 

♈のサイン

♉のサイン

♊のサイン

♋のサイン

♌のサイン

♍のサイン
♎のサイン

♏のサイン

♐のサイン

♑のサイン
♒のサイン
♓のサイン