2ハウスは、歴史に基いた考え方と、新たに構築された考え方の間に、大きな違いが生じているハウスです。新たに構築された意義は2つあり、その1つ(A)は、ハウスの意味 = サインの意味とした、牡羊のサインを1番目のハウスとし、2番目の牡牛のサインを資産の2ハウスとする経緯に行き着きます。そのため、牡牛のサインのルーラーである金星が資産の意味を持つことになり、金星が財産を示すことになってしまったものです。
もう1つのモダンな占星術の考え方(B)は、ハワード・サスポータスに代表されるように、1ハウスが誕生した己の発生であるなら、2ハウスは自己の認識であり、3ハウスは自己の自我の発達といった順になっていき最終的に12ハウスに行き着くと、宇宙意識と同化することになるとします。最初の4つのハウス位まではうまく事が運ぶように思われますが、結婚の前に子供が来たり、仕事の前に死のハウスがあったりして、最終的にこれらを黙ったままやり過ごします。
歴史を辿ることができなかった時代(17世紀頃の不勉強な占星術師たち)によって、これら2つの代表的な考え方が草案・創造されました。既に、これら2つの考え方は、西洋占星術を学ぶ上で不必要な考え方として退けられつつあります。
古典的な考え方による金星は、財産を示すことはほぼなく、金星はあくまでも楽しみの惑星です。ときには、困窮している場合にも金星は、稼ぐこととは程遠く、楽しみを求めるように振る舞うことがあります。
古典的なハウスの考え方では、2ハウスに金星が当てはめられることは決してなく、イシュタルの神話に代表されるように「所有物のハウス」です。17世紀以前の占星術のテクスト類をひっくり返してみても、どこにも金星と2ハウスの関係は出てきません。むろん、2ハウスに金星が在った場合の解釈は出てきますが、それらの話は2ハウスに水星が在った場合、2ハウスに太陽が入っていた場合… の一環として描かれるものの中に見つかるだけです。
マーニーリウス(第II巻、871)は、2ハウスを「東の〔上昇点〕下にある」と述べるだけです。また、ヘレニズム占星術師のフィルミクス・マーテルナスは「冥界の門」とも呼びます。他のヘレニズム期の占星術の文献類は、生計、生活手段(つまり生計財産)、怠惰な場所(Ascとアスペクトを持てないから)、不活発とも述べます。アセンダントで示される肉体を支える場所として、良い意味を持つとする記述もあります。
2ハウスにはジョイとなる惑星はありません。多くの場合「木星」と密接に関係があり、カルディアン・オーダーで2番目の惑星、木星が司っているハウスとされています。
意味の1つには、太陽がアセンダントで生まれ、12ハウス、11ハウスと時を纏い(まとい)ながら歳を重ねると、10ハウスでは最も円熟し、9ハウス、8ハウスを通り過ぎて7ハウスでは老いて死を迎えることになります。太陽が地底を旅する様子を考えると、ギリシャ人たちが輪廻再生の信者であることとも一致してきます。太陽が黄泉の国を旅する間にエネルギーが満たされ、再び1ハウスで再生します。この過程で2ハウスは、お母さんのお腹の中でゆっくりと再生を待つ期間とも考えたのです。植物に比すると、滋養分のある種(たね)の栄養を自らが利用する期間ともなります(11世紀初頭の占星術師、アル・ビールーニがそう書きます)。また、この輪廻のプロセスでは、4ハウスが死の最終地点としての終わりであると共に、再生への転換点であることも分かります。
明らかに、ハウスは右回りの日周運動を辿る惑星たちの回転運動をその哲学の中に含ませています。後世付けられたハウスの番号は、アセンダントから上昇する順番を待つ番号だったのです。これを誤解した占星術師たちが、新しいハウスの考え方(AとB)を創案してしまったのです。
ハウスの意味を構築する(内側の)惑星と、ジョイとなる(外側の)惑星
これを知るには、右の本の紹介にある皆川剛志氏翻訳
デボラ・ホールディング著『ハウス 天空の神殿』を
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