Netflix配信ドラマ「地面師たち」
2024年 Netflix 54分×全7話
<監督>
大根仁
<原作>
新庄耕:地面師たち
<キャスト>
▲辻本 拓海(つじもと たくみ)(演:綾野剛)
真面目なサラリーマン風の風貌で交渉役として活躍する地面師。
地面師をする以前は高級デリヘルの送迎ドライバーをしていたが、仕事中のトラブルをきっかけにハリソン山中と接触する。かつては横浜で父が経営している小さな不動産会社で営業として働いていたが、自身が成立させた取引で地面師詐欺に遭い、会社は倒産。父が辻本の留守中に放火による一家心中を図り、母親と妻と幼い息子を亡くす。
▲ハリソン 山中(はりそん やまなか)(演:豊川悦司)
地面師集団のリーダー。元暴力団元幹部。1980年代後半のバブルで地上げ屋として名を馳せ、地面師詐欺集団を束ねて大規模な不動産詐欺を複数仕掛けた。バブル崩壊後、一度は実刑判決を受けて出所後は鳴りを潜めていたが、ITバブルを機に再び動き出した。英語が堪能で趣味はハンティング。ワインやウイスキーなど高級酒にも精通している。誰に対しても敬語で話すという紳士的な性格だが、猟奇趣味を楽しむ一面もある。
▲後藤 義雄(ごとう よしお)(演:ピエール瀧)
元司法書士でそれ以外にも複数の不動産関係の資格を持つ法律屋。法律の知識を活かし、買い手との交渉や仲介を担当する。関西弁を話し、口が達者で高圧的な性格。妻子持ち。山下や陣内など複数の偽名を名乗る、
▲稲葉 麗子(いなば れいこ)(演:小池栄子)
手配師。地主などに成り済ます人物のキャスティングを担当。身寄りがなく、目先の金に困っている曰くつきの老人を常に数十人貯めている。地主の経歴などを覚えさせる教育担当でもある。、
▲竹下(たけした)(演:北村一輝)
土地や物件の情報を仕入れ、地主の情報のリサーチ・土地価格の評定などをする情報屋。重度の薬物中毒者。オロチを下っ端としてこき使っており、横柄な性格。分け前について不満を抱いている。
▲オロチ(演:アントニー(マテンロウ))
竹下のパシリ。口数が多く腕っぷしが強い。辻本には「地面師になりたい」と漏らしている。
▲長井(ながい)(演:染谷将太)
身分証や公的証書の偽造を手掛けるニンベン師。ハッキングのスキルにも長けている。猫好きで、ウーバーイーツも来ない様な工業地帯にある廃ビルを根城にしている。
▲辰(たつ)/下村 辰夫(しもむら たつお)(演:リリー・フランキー)
山中たちを追う警視庁捜査二課の刑事。階級は警部。定年が近く、持病を抱えている。
▲倉持 玲(くらもち れい)(演:池田エライザ)
辰と組む新人刑事。刑事ドラマが好きで捜査一課志望。
▲青柳 隆史(あおやぎ たかし)(演:山本耕史)
「石洋ハウス」開発事業部部長。大井町の開発プロジェクトが頓挫したことで、数十億円規模の案件のために代替となる土地を探すことに焦っていたので、港区高輪の土地にかかる不動産取引で地面師の標的となる。パワハラ気質で、土地を手に入れるためならコンプライアンスも気にかけない。ブローカーや地上げ屋にもコネがある。安倍川に育てられ、現在の開発本部長の地位まで昇り詰めた生粋の社長派。須永とは出世競争で対立している。
▲松岡 依都美、マキタスポーツ
地上げ屋。地面師に石洋ハウスへのコネを紹介する。青柳と組んだ事件で3年の懲役から出所している。
▲須永(すなが)(演:松尾論)
「石洋ハウス」商業事業部部長。高輪の不動産取引を当初から怪しんでおり、青柳に対して地面師詐欺ではないかと直接訴えている。コンプライアンスに反する青柳のやり方を古いと一蹴した。青柳とは出世競争のみならず、会長派として派閥争いでも対立している。
▲川井 菜摘(かわい なつみ)(演:松岡 依都美)
高輪の一等地に建つ光庵寺の住職、付近の土地の地主でもある。寺と切り離された部分の土地だけで市場価格は100億超に上る。一人娘で身寄りがなく、結婚していたが夫は駆け落ちして現在は独り身。ほぼ境内に引きこもりの生活を送っているが、歌舞伎町のホスト楓に入れ込んでいることが拓海による調査で判明しており、地面師たちによる100億の土地詐欺に付け込まれる一因となる
▲楓(かえで)(演:吉村界人)
川井が入れ込んでいる「CRAZY LOVE」のホストで、彼女が太客になったことでナンバーワンになった。児童買春をネタに拓海達に利用される。
<内容>
2017年再び土地価格が高騰し始めた東京。
伝説の大物地面師・ハリソン山中(豊川悦治)に誘われ地面師詐欺の道に踏み込んだ辻本拓海(綾野剛)。
それぞれにプロフェッショナルな犯罪者数名で構成された地面師グループの彼らは、緻密かつ周到な計画で大手デベロッパーに詐欺を仕掛け、巨額を巻き上げていた。
そんな彼らが次なるターゲットに選んだのは、時価100億円とも言われる土地。
前代未聞の詐欺に挑む一方で、かつてハリソンを逮捕寸前まで追い込みながら、結局逮捕することができなかった定年間近の刑事・辰は、新人刑事と共に独自の捜査を開始していた。
騙す側と騙される側、
そして刑事の三つ巴の争いは、次第に拓海の「過去」とハリソンの「因縁」を浮き彫りにしていく。
(シネマトディ)
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土地の所有者に成りすまして不動産を販売し、巨額の金を儲ける詐欺師たちを描いたクライムサスペンス。
この物語は2017年に実際に起きた被害額約55億円にのぼる「積水ハウス地面師詐欺事件」をモデルとしています。
けっこうアクの強い個性派ぞろいのキャストが揃っていますね。巷で話題にはなっていたのですが、観るのが少し遅くなり先月全7話ほどなく観終えました。
スリリングなストーリー展開、鬼気迫るそれぞれのキャストの演技、そして実際あった事件のタブーとするところをギリギリを攻めているなど、見どころ満載で流石ネットフリックスドラマという感じで面白かったですね。
ターゲットの会社は流石に名前を石洋ハウスと名前は変えられていますが、競合他社などはバンバン実名がでたりしています。
ですから監督が映画会社やテレビ局に持ちこむも
「会社的に絶対に通りません」
と不動産会社との関係性で断れたのもうなずける内容です。
Netflixだからこそ製作できた作品でしょうね。たぶん今後も、地上波で放映されることはないのではないかと思うくらい。
とにかく登場するキャラクターが超個性的、それを演じる俳優陣の演技が魅力的なのです。
すべてをかいているときりがないので、代表格を紹介です。
この集団のなかでも、リーダーのハリソン演じる豊川悦治がとにかく不気味でした。
目的遂行のためには誰でも殺してしまう。
自分達の計画のために利用した者まで、証拠を残さないために抹殺してしまうのです。
英語が堪能で趣味はハンティング。
ワインやウイスキーなど高級酒にも精通している。
誰に対しても敬語で話すという紳士的な性格なんですが、猟奇趣味を楽しむ一面もあるのです。
そのハリソンの印象に残っているフレーズ。
地面師の仲間として育てようとする辻本(綾野剛)に話します。
あの有名な映画「ダイハード」のセリフシーンを引用するのです。「ダイハード」の悪役ハンス・グルーパの落下シーンについて語ります。映画好きの方だったらだったそのダイハードのシーン思えている人もいるかもしれませんね。。
ダイハードという映画を覚えていますか?
映画の最後、強盗グループのリーダー「ハンス」がビルから落ちるシーン。
あれはもちろん合成ですが、実際に13メートルの高さから落とされていて、スタッフが「3…2…1…ゴー」
で手を離すと説明していたのに、
実際は「3…2…1」で手を離した。
だからあの驚嘆と恐怖がミックスしたリアルで素晴らしい表情が撮れたそうですよ。
淡々と敬語を使いながら話すハリソンの不気味さ。
最初、なんで唐突にこのような話をするのかわかりませんでしたが、物語が進行していくとこのセリフが、あるシーンでの伏線だった事がわかるのです。
そのシーンは、ここでは伏せておきましょう。
ハリソン中山の名言集
「最もフィジカルで、最もプリミティブで、そして最もフェテッシュなやり方でいかせていただきます」
「追い詰められた時の人間の表情は素晴らしいですね」
「目的まであと一歩という時に足を引っ張るのは、敵ではなく必ず味方です」
これらのセリフだけでも、不気味さを感じていただけるかと思うのですが・・・。
積水ハウス地面師詐欺事件
さて、このモデルとなった実際の事件を覚えている方もいるのではないでしょうか。
作品ではターゲットになる土地はお寺の駐車場。「時価100億円相当」の土地が舞台ですが、実際の事件は大手住宅メーカー積水ハウスがJR五反田駅にほど近い一等地にある約600坪の一等地、老舗旅館「海喜館」の跡地でした。
そこで地面師たちに約55億円の大金を騙しとられてしまう事件でした。
そしてドラマの集団それぞれは、巧みに用意周到に準備してその土地の代金をだまし取るのですが、実際の事件の地面師集団はけっこう大雑把だったらしいです。
冷静に考えればまずは騙されない事なのに、それでも騙されてしまうのは、どこか心に空きができてしまったり、この作品のように手柄を焦ってしまい、確認すべきところをしっかり確認せずに契約してしまうなど、初歩的なミスが重なってしまうことが原因でした。
そのような方向へ、人間心理をたくみに仕向けていく地面師たちも凄いのですけれどね。
如何にだまし、騙されていくさまが面白かった。
先程もお伝えしていますが、それぞれの役者さんの演技が見所です。
ネットフリックスドラマ今までにNetflixオリジナル日本のドラマは「全裸監督」
「サンクチュアリ聖域」
そして今作品どれも見応えある作品ばかりでした。
ちなみに「極悪女王」も観賞しました。
5点満点中4,0
(画像すべてお借りしました)