アレもコレもソレも、何でもかんでも病気・疾患に分類し、名前をつけて絶対悪指定。その上で、早期発見・早期治療のためと称して個人を監視し、管理し、たまに隔離し、薬漬けにする・・・厚生労働省、医療・医薬品業界は、その先に(金儲け以外の)何を見ているのだろう。
- (7月26日、厚生労働大臣記者会見より。太字は引用者)
- 記者:
- 国民に意見募集を求めているわけなので、そこは明確に今回の改正によって従来の風邪が5類に入ることになるのか入らないことになるのか、そこを明確にご説明いただけますか。意見募集をされている意図がわからなくなってしまいます。
- 大臣:
- 急性呼吸器感染症とは、急性の上気道炎(鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎、咽頭炎、喉頭炎)あるいは下気道炎(気管支炎、細気管支炎、肺炎)を指す病原体による症候群を総称して急性呼吸器感染症と言います。新型コロナウイルス感染症とは異なる「かぜ」の原因となるコロナウイルスもここに含まれます。
●「新型」格下げの代わりに「旧型」を格上げ?
政治家(というか官僚)の文章は、分かり難いを旨とするのかい? と皮肉のひとつも言いたくなりますが・・・
上の遣り取りを素直に読めば、
「従来の風邪」=「急性呼吸器感染症」=「急性の上気道炎・下気道炎」。
〈新型コロナウイルス感染症とは異なる「かぜ」の原因となるコロナウイルス〉=「従来の風邪」ウイルスも含まれる。
という意味になるわけで。
つまり、厚生労働省は「普通の風邪」をインフルエンザと同じ「5類」にしますよ、と言っているのです。
正直、
一体、何をしたいんですか?
と言うしかありません。
じゃあ「5類」にすると、何が変わるかっていうと、まあ、とにかく(検査とか報告とか自宅待機とか、患者にとっても医療機関にとっても)色々面倒くさいことが増えるのだけれども。
それは、視点を変えると、誰か(検査機器、医療・医薬品メーカーとか役人とか)にとっての儲け話にもなるというわけで。
「新型コロナは特別」論が横行した時、そうでない「普通の風邪」にしてもほとんどはウイルスが原因なのに、というのは知る人ぞ知る話だったのですが・・・
要は、これらを、全て「5類」にして、医療機関には検査・報告、感染者には自宅待機を義務付けよう、という話です。
あわよくば、従来型コロナを含め極々ありふれたウイルス群を新型コロナウイルスばりに「怖い」と植え付け、人々をワクチン漬けにしてしまおう、みたいな?
そういうね、庶民生活に直結する話を、何故かこっそり進めようとする政府、知ってか知らずかほとんど報道しないマスメディア、一体どうなっているんでしょうか?
●「法律施行規則」を改正する「省令」で
政府もね、一応、パブリックコメント募集というアリバイ工作(!)はしているのですが・・・これまた、一読、何を言っているのか分からないという。
そんなこんなで、冒頭、記者会見の遣り取りにつながったのですね。
ちなみに、パブリックコメント募集は、2024年8月17日0時0分まで、だそうです。
そうそう、パブリックコメントといえば「新型インフルエンザ等対策政府行動計画(案)について」というのがありましたが、あれも、まさに「一応意見は聞いた」くらいのものだったようで。
案の公示日: | 2024年4月24日 |
---|---|
受付締切日時: | 2024年5月7日18時0分 |
結果の公示日: | 2024年7月2日 |
対象が定められた日: | 2024年7月2日 |
提出意見数: | 194832 |
提出意見を踏まえた案の修正の有無: | 有 |
新型インフルエンザ等対策政府行動計画(案)についての意見募集の結果概要
49ページに及ぶ「結果」が公表されてはいますが、どんな意見が修正に反映され、あるいは黙殺されたのか・・・
結局、何事もなかったかのように、しれっと「全面改定」されました。
感染症危機が発生した際、感染拡大を可能な限り抑制し、国民の生命及び健康を保護するとともに、国民生活・経済に及ぼす影響が最小となるように、国、地方公共団体、事業者等が連携・協力し、発生段階に応じて行動できるようにするための指針として、あらかじめ定めたものです。
なお、新型インフルエンザ等が発生したと認められ、政府対策本部が設置されたときは、政府行動計画に基づき、基本的対処方針を定めて対応します。
令和6年7月2日 全面改定
それでも! 黙っていてはダメ。
言わないよりは言ったほうが良い。
・・・という素晴らしい方は、パブコメに意見を出しましょう。
さて、そんな、一般庶民にとっては、ただ、ひたすら面倒が増えるだけでしかないように思える此度の「省令案」。
出所はというと、例によって政府深窓の(?)審議会でして。
●厚生科学審議会感染症部会
こちら、7月8日、厚生科学審議会感染症部会資料の一部です。
【資料1】急性呼吸器感染症(ARI)サーベイランスに係る具体的な方針について
「急性呼吸器感染症を五類感染症に追加してはどうか」なんて書いてありますね。
「どうか」と、いかにも提案の体ではりますが、端から決定事項?「新たに五類感染症に位置づける急性呼吸器感染症」を図示してもいます。
いずれにせよ、様々な用語を駆使して分かり難くしてるなあ、という感は否めず。
だからこそ、そこを突っ込んだ冒頭記者さんは、素晴らしい。
文脈含めて、再掲します。
- 記者:
- 急性呼吸器感染症、ARIを感染症法の5類感染症に追加する方針についてお尋ねします。現在、省令改正のパブコメが行われており、そこで明確に説明されていないようですが、従来の風邪コロナウイルスによる感染症を「5類」に位置付ける変更だと理解してよろしいのでしょうか。そうだとすれば風邪を5類に格上げする目的は何でしょうか。また、これによって他の感染症と同じように今後は風邪の流行状況をいちいち発表したり、医療機関や国民生活に影響が出ることも予想されます。今回の位置付け変更によってどのような影響が出るのか教えてください。
- 大臣:
- 今月開催した感染症部会において、季節性インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス感染症等、個別に把握している感染症以外の急性呼吸器感染症も、発生状況を把握し平時より呼吸器感染症の包括的なリスク評価を行うため、感染症法の5類感染症に位置付けました。これは平時より呼吸器感染症の包括的なリスク評価を行うためです。国際基準に準じ急性呼吸器感染症を一体的に把握する体制を整備する方針も了承されました。今後、報告を求める具体的な症例について検討することとしていますが、定点医療機関が報告すべき対象が追加されるため、詳細が決まり次第、定点医療機関における報告に係る事務負担にも配慮しつつ定点医療機関に対してご理解・ご協力を促してまいりたいと考えています。
- 記者:
- 従来の風邪コロナウイルスは入っているのでしょうか、入っていないのでしょうか。今回パブコメで付されている案です。
- 大臣:
- これは平時より呼吸器感染症の包括的なリスク評価を行うため、平時よりの包括的な感染症のリスク評価という点が、その基本的な考え方です。
- 記者:
- 国民に意見募集を求めているわけなので、そこは明確に今回の改正によって従来の風邪が5類に入ることになるのか入らないことになるのか、そこを明確にご説明いただけますか。意見募集をされている意図がわからなくなってしまいます。
- 大臣:
- 急性呼吸器感染症とは、急性の上気道炎(鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎、咽頭炎、喉頭炎)あるいは下気道炎(気管支炎、細気管支炎、肺炎)を指す病原体による症候群を総称して急性呼吸器感染症と言います。新型コロナウイルス感染症とは異なる「かぜ」の原因となるコロナウイルスもここに含まれます。
- 記者:
- 含まれるとお聞きしました。
ついで、ではありますが、この日の記者会見では、マスクの話も出てました。
●結論「効果不明だけど推奨」
- 記者:
- マスクの感染予防効果についてお尋ねします。去年の1月30日コクランレビューに、マスクの感染予防効果は認められなかったという科学論文が発表されています。6月にはアメリカの下院公聴会でアンソニー・ファウチ氏が、マスクの感染防止効果についてソーシャルディスタンスと共に科学的根拠は必ずしもあったとは言えないとの発言をされています。我が国は厚労省がマスクに感染症防止効果があるという立場と認識しますが、その根拠を教えてください。
- 大臣:
- 新型コロナウイルス感染症の感染予防には、換気や手洗い・手指消毒、マスクの着用などの基本的な感染対策が有効であり、これまでも国民の皆様に対し周知してきたところです。マスクの着用については、新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードにおいて、西浦先生から「マスク着用の有効性に関する科学的知見」として資料を提出していただくなど、感染症の予防に有効であると考えています。
- 記者:
- 根拠として決定付けるような論文はありますか。
- 大臣:
- これは、まず新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードでの資料に基づきますと、系統的にレビューした研究によると、マスク着用をコミュニティ全体で推奨した際、新規感染者数、入院患者数、死亡者数をそれぞれ減少させる効果があることが示唆された結果が大変多く出ています。米国における研究では、マスク着用者が10%増加することにより、そうでない場合と比較して流行を3.53倍制御しやすくなると推定された結果などが紹介されていると承知しています。
- 記者:
- 後者の論文はおそらく昨年2月1日に出されたものだと思います。同時期に出された先ほどのコクランレビューの方は検討されないのでしょうか。
- 大臣:
- 適宜こうした文書については検討していると思います。その上で、引き続きマスク着用については効果がある、特に今年の夏は再びコロナが感染する、拡大可能性があり、私どもも非常に警戒しています。その中で、やはり症状が出た方はぜひマスクの着用をしていただき感染を防止していただくことを強く国民の皆様方にも推奨させていただいているところです。
感染予防について、マスク着用の効果あり効果なし双方の論文があり、厚生労働省として検討はしていると。で、本当のところ、どっちとも言えないと。けれど「やはり」推奨しますと。
相変わらず、
何じゃそりゃ。
です。
何じゃそりゃ、といえば、こちらの記事も「何じゃそりゃ」でした。
だが、感染を広げない、感染しないためには、やはりマスクをしたほうがいい。
以上をまとめると、新型コロナに限らず、呼吸器感染症を予防するためには、公共交通機関や人混みなどでは不織布マスクを着用し、入念な手洗いやうがいを励行し、屋内では小まめに換気をすることが重要なのは間違いない。
そして、せっかくマスクを着用するのなら、布マスクやウレタンマスクではなく不織布マスクを、顔にしっかり密着させて使ったほうがいいだろう。
全体として、なるほどと頷く部分もそれなりにあるのだけれど、だからこそ、結論が、いかにも取って付けた感満載。
ここでも「やはり」。何を言っても「やはり」。
「やはり」って何です?
マスクに限らず様々な感染予防、ついでに、体に良いこと悪いこと、人それぞれ、何を信じても信じなくても良いのだけれど・・・
「だからアナタ(みんな)も」と押し付けるのだけ止めてもらえます?
アナタと私は違うのですから。
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(読者登録が必要ですが)当の記者(楊井人文)さんによる記事があります。
従来、感染症法上は位置付けがなく、監視の対象ではなかった風邪のコロナウイルスによる感染症も「5類」に位置付ける方針であることを武見厚労大臣が明らかにした。それはどういうことを意味するか解説した。
※旧来の風邪を「5類感染症」に格上げへ 武見厚労相が明言
→https://yanai.theletter.jp/posts/c6ab8b10-4b00-11ef-9d1c-3503a557eb18
「新型コロナは普通の(ただの)風邪」=「誤った医療情報につき削除対象」、「マスク着用に効果なし」=「誤った医療情報につき削除対象」、「ワクチン接種で後遺症」=「誤った医療情報につき削除対象」・・・
(マスであれネットであれ)メディアが、(実際の当否はともかく)ソレは間違いだ、と指摘するまでは良いとして、削除はダメだろうと思う。
何が怖いって、多くの人が情報統制されていること自体に気づかないから。
でも、今、我が国政府は、こぞって偽情報・誤情報について積極的に統制しよう(させよう)としているように見えるわけで。
ちょっと前に、こんなニュースがありました。
総務省の有識者会議は16日の会合で、SNS上の偽情報・誤情報や著名人に成り済ます偽広告への対応策を盛り込んだ報告書をまとめた。偽情報の削除や偽広告の掲載停止に関する基準を、SNS事業者に策定させるための制度整備などの対応を求めている。これを受け、同省は法制化などを検討する見通しだ。
傘下の作業部会は、さらなる対策の具体化に向けて議論を続ける。
報告書は、偽情報・偽広告対策について「SNS事業者による自主的な取り組みのみには期待できない」と指摘。削除申請に応じるかどうか事業者に一定期間内で判断させたり、その結果を通知させたりすることも求めた。他に、広告の事前審査基準の策定や、関係団体による協議会の設置を提言した。
こちらは、その有識者会議の関係資料。
資料25-4 各政府戦略等における偽・誤情報対策について
偽情報・誤情報に関する対策や啓発、その全てがダメということはありません。
けれど、そもそも「偽」とか「誤」とか、長い時間をかけ議論を戦わせる中で見えてくるもののはず。
政府・メディアがしても良いのは、(自らが発信するものも含め)情報には偽も誤もあるよと周知徹底するところまで、ではないですか?